池袋で大変悲しい交通事故のニュースがありました。
栃木は全国的にも車の保有率が高く、何年も電車に乗ったことがないという方が来院しますし、全国でも有数の車社会かもしれません。
当院に来院される方でも80代で車を運転している方は珍しくなく、自分の親も80代でまだ運転していて、考えさせられることが多くなりました。
運動器不安定症という病名があります。
ひとつの基準は「腰に手を当てて片脚立ちで15秒安定して立っていられるか」ですが、これができなくても、危機感を抱いてくれる高齢者は少なく、年だから仕方ないという雰囲気で笑っている方がほとんどです。
運動器不安定症であっても車の運転が一応できてしまうことも多く、結果として自分の足で歩かないことをさらに助長することにもつながります。車に乗るから交通機関を全く利用しない⇒歩く場面が少ない⇒歩かないことで筋肉が弱る⇒ますます車を利用して楽に移動しようとする⇒さらに歩かなくなり筋肉が痩せ細る・・・といった負のスパイラルに入っていくことが予想されます。
いままでに何回も骨折をして、手術も何回も受けているのに、つかまらずに歩いていたり、外は杖を使うけど中は壁や家具に捕まるから大丈夫と思い込んでいる方も多いです。
家の周りを10-15分程度歩いているとか、3000歩歩いているので自分は他の人よりも運動をしていると思っている方も多いです。実際には街へ出て買い物して帰ってくるよりも負荷が少ないのですが、近所の方はもっと歩かないことも多いので、自分はよく動いているという錯覚に陥りがちです。
「転ばないように気をつける」という発言は多いのですが、具体的に「気をつける」とは何か訪ねると、「転ばないようにする」と言われることも多く、「では転ばないようにどうするか」と再度質問すると「気をつける」と元にもどってしまい、これを繰り返し話すだけという場面もよくあります。
杖を使ってまで歩きたくないと言う方もいます。「普通にしていれば痛くない」という発言もよく耳にします。「普通」とは何か、つまるところはイスに座っていることのように思われます。
関節が変形していても、首都圏に住んでいる方ほどは歩かず、家族の車で外出をするためか、痛みを強く感じることも少ないようです。
都内の病院勤務当時なら人工関節の手術を勧めたような画像であっても、痛くないし出かけないから困らないというケースも多いです。
実は筋力低下も進んでいて、片脚立ちも数秒もできないけどそれなりに作業をしているという高齢者も多く、転倒のリスクについてはなかなか受け入れてもらえない傾向にあります。
運動器の傷みは「発作」のように考えて、痛みがなくなっても治っていないと思っていただいた方がよいでしょう。喘息の発作が治まっても喘息予防の薬を内服したり、胸の痛みがなくても狭心症として通院をするようなものです。痛くないときも筋力の低下は残っているし、負荷をかければふらつくことが再現できることも多いです。運動器の領域は薬で根本的な解決にはならず、適切な治療のための体操をしていただくことが重要です。
痛くないからと放置しておいて、いよいよ体中が弱ってきて痛くなり来院したときには、運動器リハビリの実施が困難な年齢・状態と想定され、介護サービスの導入を提案せざるを得ない場合もあります。
高齢化の進行とともに、車の事故の問題の増加が懸念されます。
高齢者の頚部や腰部の動きの低下は左右や後方の確認に制限を加えるかもしれないし、肩の痛みや動きの低下はハンドル操作に支障を来すかもしれません。膝や足の痛みはペダル操作に影響を及ぼすのかどうか。
当院周辺は歩行者の数より車の数が圧倒的に多いので、人がはねられるのは首都圏よりも少ないのかもしれません。しかし、店に突っ込んでしまうとか、前の車に追突するとか、対向車線に飛び出すとか、そういった問題は増えていくのかもしれず、過信と自信の区別が難しいところです。

栃木は全国的にも車の保有率が高く、何年も電車に乗ったことがないという方が来院しますし、全国でも有数の車社会かもしれません。
当院に来院される方でも80代で車を運転している方は珍しくなく、自分の親も80代でまだ運転していて、考えさせられることが多くなりました。
運動器不安定症という病名があります。
ひとつの基準は「腰に手を当てて片脚立ちで15秒安定して立っていられるか」ですが、これができなくても、危機感を抱いてくれる高齢者は少なく、年だから仕方ないという雰囲気で笑っている方がほとんどです。
運動器不安定症であっても車の運転が一応できてしまうことも多く、結果として自分の足で歩かないことをさらに助長することにもつながります。車に乗るから交通機関を全く利用しない⇒歩く場面が少ない⇒歩かないことで筋肉が弱る⇒ますます車を利用して楽に移動しようとする⇒さらに歩かなくなり筋肉が痩せ細る・・・といった負のスパイラルに入っていくことが予想されます。
いままでに何回も骨折をして、手術も何回も受けているのに、つかまらずに歩いていたり、外は杖を使うけど中は壁や家具に捕まるから大丈夫と思い込んでいる方も多いです。
家の周りを10-15分程度歩いているとか、3000歩歩いているので自分は他の人よりも運動をしていると思っている方も多いです。実際には街へ出て買い物して帰ってくるよりも負荷が少ないのですが、近所の方はもっと歩かないことも多いので、自分はよく動いているという錯覚に陥りがちです。
「転ばないように気をつける」という発言は多いのですが、具体的に「気をつける」とは何か訪ねると、「転ばないようにする」と言われることも多く、「では転ばないようにどうするか」と再度質問すると「気をつける」と元にもどってしまい、これを繰り返し話すだけという場面もよくあります。
杖を使ってまで歩きたくないと言う方もいます。「普通にしていれば痛くない」という発言もよく耳にします。「普通」とは何か、つまるところはイスに座っていることのように思われます。
関節が変形していても、首都圏に住んでいる方ほどは歩かず、家族の車で外出をするためか、痛みを強く感じることも少ないようです。
都内の病院勤務当時なら人工関節の手術を勧めたような画像であっても、痛くないし出かけないから困らないというケースも多いです。
実は筋力低下も進んでいて、片脚立ちも数秒もできないけどそれなりに作業をしているという高齢者も多く、転倒のリスクについてはなかなか受け入れてもらえない傾向にあります。
運動器の傷みは「発作」のように考えて、痛みがなくなっても治っていないと思っていただいた方がよいでしょう。喘息の発作が治まっても喘息予防の薬を内服したり、胸の痛みがなくても狭心症として通院をするようなものです。痛くないときも筋力の低下は残っているし、負荷をかければふらつくことが再現できることも多いです。運動器の領域は薬で根本的な解決にはならず、適切な治療のための体操をしていただくことが重要です。
痛くないからと放置しておいて、いよいよ体中が弱ってきて痛くなり来院したときには、運動器リハビリの実施が困難な年齢・状態と想定され、介護サービスの導入を提案せざるを得ない場合もあります。
高齢化の進行とともに、車の事故の問題の増加が懸念されます。
高齢者の頚部や腰部の動きの低下は左右や後方の確認に制限を加えるかもしれないし、肩の痛みや動きの低下はハンドル操作に支障を来すかもしれません。膝や足の痛みはペダル操作に影響を及ぼすのかどうか。
当院周辺は歩行者の数より車の数が圧倒的に多いので、人がはねられるのは首都圏よりも少ないのかもしれません。しかし、店に突っ込んでしまうとか、前の車に追突するとか、対向車線に飛び出すとか、そういった問題は増えていくのかもしれず、過信と自信の区別が難しいところです。
