薬師寺運動器クリニック院長のblog

栃木県下野市の日曜診療・祝日診療の整形外科・運動器リハビリ・スポーツクリニックである薬師寺運動器クリニックの院長がつづるブログです。 土曜日も月に2回程度の診療をして、週末に多く発生するスポーツやレジャーでの痛みに対してなるべくその日のうちに治療開始できるようにしています。 栃木県や茨城県西部の野球選手が数多く来院されます。 診療に関連して是非知っておいていただきたいことや、診療に限らず新たな情報を述べていきます。

2019年06月

 7月1日から柳橋理学療法士が勤務を開始します。これで月曜~木曜は理学療法士が8名体制になります。日曜はパート勤務の理学療法士がいるので、8~9名体制です。
 それでもまだ十分な理学療法士の人数とは言えないと考えています。1日に理学療法士1名で担当できる人数が2単位ずつの治療のため10名程度です。実際には100%の予約状況ではなく、急なキャンセルも無断キャンセルもありますし、10代の多く来院する当院では、学校に行っている時間である午前中や15時台が全て埋まるわけではありません。従って、1日に実際に行えるリハビリの人数は70名前後と見込んでいます。週に5日間の診療であれば、単純計算で350名程度です。
 現在、リハビリを行うべきとして登録している方は340名程度で、全員を均等に来院してもらったとして、週1回の順番でしかありません。
 他県では1単位20分しかリハビリを保険で認めないという話も聞きますので、栃木はまだ良心的かと思われます。
 適切なリハビリの頻度や時間については明確にされていないように思います。
 患者さん自身が意識を変えて、生活スタイルの変更や主体的な自主トレをしっかり行わなければ、週1回程度実施して効果が上がるか明らかではありません。客観的な効果の判定も時として難しいところです。
 一方で保険診療の規則で発症から150日間という期限もありますし、交通事故や労災も半年を超えての実施は事実上困難なため、限られた時間である程度の頻度が必要と考えるのが素直でしょう。
 スポーツに関連する場合は、大会の日程も考慮し、出場できるかどうか、さらにそれが進路に関わるあるいは大げさに言えば人生を左右するかもしれない試合になるとすれば、大会に間に合わせるための対応も求められます。
 ということで、空きがある平日午前に来院できるという方なら、週2回以上の実施もOKです。短期集中という言葉もありますし、
 急なケガの場合は受傷から1-2週後ぐらいから患部外も含めてリハビリを開始することも求められます。ある意味1-2週遅れの救急のリハビリみたいなもので、予約の枠に余裕が少しはないと対応しきれません。
 しかも、栃木県はリハビリを熱心に行っている整形外科の診療は多くはないようで、遠くは那須塩原、大田原、茂木、矢板、市貝、さくら、日光からも来院をいただくことがあります。
 日曜に診療をする施設も少ないため、鹿沼、佐野、足利、古河などからも日曜を使って来院されることがあります。
 従って、特定の曜日や時間に多くの方がリハビリの実施を希望するということが起こります。
 
 ということで、1名理学療法士が増えますが、まだ十分な人数といえないため、引き続き理学療法士を募集します。平日の夕方のみ勤務希望という方も歓迎します。
 来年春の国家試験合格見込みの方も見学も含め、お問い合わせいただければありがたいです。現在、いくつかの大学や専門学校には求人票をお送りしているところです。
 術後ではなく、保存治療としてのスポーツ障害への運動器リハビリは、理学療法士の腕を試されるところでしょう。当院は野球の症例が多く来院しますが、野球以外も含め、多くのスポーツの保存治療の症例を経験できると考えています。病院は手術治療も多く、診療時間の関係で夕方遅くまでは受診ができないと、10代の選手の保存治療の症例がそれほど多くないかもしれません。
 当院で運動器リハビリの仕事をしていただける理学療法士からのお問い合わせをお待ちしています。

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 先日ビートたけしさんの家庭の医学の番組でハイドロリリースの注射について取り上げられたとお聞きしています。放映の内容を観ていないのですが、当院も患者さんの紹介でお世話になっている帝京大学の笹原 潤 先生が出演されたそうです。
 すでに数年前から整形外科のエコーを熱心に行っている施設の先生方はハイドロリリース注射に取り組んでこられていますが、テレビの影響は大きいようで、知り合いの先生方の施設には問い合わせが多くあったようです。
 当院も同様に数年前から注射も実施しています。運動器のエコーそのものは前の職場の頃からですでに20年以上前から関わってきたのですが、ここ数年の盛り上がりには驚いています。
 栃木ではエコーに熱心に取り組んでいる施設のひとつという自負はしているのですが、東京・大阪・名古屋などの周辺と比べるとまだ温度差があるようで、注射の希望や問い合わせ、あるいはテレビを観たという話はそれほど多くないです。
 テレビはときに偏ったイメージを与えることもあるので、気をつけなければいけないのですが、注射をしただけではその場~数日症状が緩和するということであって、その後に筋肉や関節に対して運動器リハビリテーションで介入する必要性が高いです。運動器リハビリテーションを行えない施設では、注射を打っても不十分になりがちです。
 ただし、その試合だけ痛みが緩和していればいい、ある1日だけ痛みなく動ければいいというような場合は、注射の短期間の効果でも役立つこともあります。この時期で言えば、最後の大会になる中学3年生や高校3年生が、試合の数日前にハイドロリリース注射を行うことで最後の試合に相対的な満足度を上げて出場できることも多くなるので、注射を打ちに来院している選手もいます。
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 当院に受診されるとわかることですが、隣に空き地があるにもかかわらず薬局がありません。
現在地に移転する際にいくつもの薬局と交渉しましたが、処方箋の枚数が少なすぎて薬局としては商売にならないようで、出店を断られたわけです。
整形外科の扱う疾患は筋肉のコンディション不良がはじめにあって、疲労やオーバーワークに伴い、筋肉の能力と負荷のバランスが取れずに痛みに至り、二次的に構造上の問題として骨・軟骨・靭帯・半月板・椎間板などの変形や損傷が生じていくと考えていますので、投薬は本質的な治療ではなく、単なる対象療法です。
痛み止めの薬は、歯医者で歯を抜いた後も、耳鼻科で喉がいたい時も、整形外科で肩が痛い時も、腰が痛い時も、膝が痛い時も同じ薬が処方されます。ということは、体じゅうに薬がばらまかれると考えられるので、痛いところに集中して到達することなく、肝臓や腎臓に負荷を加えて分解され排出されているものも多いのではないでしょうか。
エコーを見ながら注射を行うことが可能になり、痛みの原因となると思われる部位に注射を狙い打ちすると、その場で痛みが激減することがあります。痛みが減っている隙に運動器リハビリテーションをしっかり行うことや、生活の中で適切な負荷をこまめに加えることが求められます。
歩かない人は腕もふらず、腹筋も力を入れず、太ももも尻も筋肉に刺激が少ないので、安定した筋肉のパワーを出せず、すぐに疲れてしまったり、だるくなったりします。もともと関節が柔らかい人は、筋肉の手入れをしていないと関節がゆるい感じになりがちです。
筋肉に働きかけをしなければ、痛みが改善しないので、普通の痛み止めが効かないと錯覚し、強い痛み止めを処方され眠気や吐き気、めまいが出るケースもあります。ほかの施設でリハビリテーションを実施できないので当院に来院されることも多いのですが、「骨に異常はないと言われた」というパターンがほとんどで、患者さんに触れることなくレントゲンだけで「診断」をされた方が多いです。
運動器リハビリテーションを実施する整形外科の診療所は少なく、かなり遠くから来院いただくこともあり、当院が整形外科として2軒目3軒目という方も珍しくありません。
冷静に考えて、痛み止めの薬で筋肉が強くなったり疲れにくくなったりするわけがなく、捻ったぶつけたとか骨が折れたなど急激な腫れを伴うエピソードでもなければ典型的な炎症は生じにくいはずです。
慢性的な痛みは活動を制限していると痛みが軽減あるいは一時消失するので、その時期に薬を使うとあたかも薬が効いた気がすることも想定されます。
社会の高齢化に伴い、自分でやらなければいけないことが増えると痛みを感じる場面も増えるので、長引く痛みに対して用いる薬も多く発売されています。眠気や吐き気、めまいを伴う薬は、一方で転倒のリスクも高めるかもしれません。
大切なことは、痛くならないうちにしっかりと軽い運動を、オーバーワークにならないよう短時間ずつこまめにしておき、筋肉のコンディションを維持しておくことです。中高年以上は競技としてのスポーツ、長時間の作業はオーバーワークになる可能性もあります。
よく考えて適切に使いましょう。
薬は本質的な治療ではないことを理解していただけると幸いです。
このへんの話をしないあるいはできない医療機関も多いので、いかがなものかと考えています。
「骨は大丈夫」 薬 電気 だけの治療は要注意です。
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 7月になると多くの学校が19日金曜日で終了し、夏休みに入るのではないかと思います。
 当院は、10代の方の来院が多く、平均年齢が平日で40代前半、日曜は30代後半のようで、他の整形外科の施設よりも若いのではないかと思われます。
 学校が終わってから受診されることがほとんどなので、平日は17時から混雑することも多く、診療終了は20時を過ぎることもしばしばです。一方で午前中と午後3時台にリハビリの予約の空きが多めに出たりします。
 これが夏休みに入ると、朝から10代の来院が増えるため、いままで朝のうちにリハビリを行っていた方には、予約が入りにくい状態になることも予想されます。空きがあれば、週2回以上のリハビリを行ってよいというスタンスで診療を行っていますが、週2回の実施が困難になるかもしれません。
 リハビリには期限があり、発症から150日と保険診療の規則で決められています。よくなるまでリハビリができると思っていると間違いで、ときどき誤解をされているケースがあります。
 期限が学校の夏休み中にやってくるという方で、現在午前中のリハビリが行えている方は、夏休みに入る前の、つまり7月18日木曜日までの診療で多めにリハビリを行うことをおすすめします。

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 6/13木は臨時休診をいただき、ありがとうございました。
 6/13~6/15土まで、札幌して開催された日本関節鏡・膝・スポーツ整形外科学会(JOSKAS)に参加してまいりました。この学会はその名の通り、いくつかの分野の集まった学会であるため、参加される整形外科医の人数も多いです。
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 梅雨に入った本州以南とは異なり、梅雨のない北海道で爽やかということが期待されるのですが、今年については、曇りや小雨で決して爽やかな初夏の北海道ということにはなりませんでしたが。
 当院は手術は行いませんので、膝とスポーツ整形外科の分野が聴講の主体となります。今回は変形性関節症に関連した半月板やエコーに関連した話、凍結肩の話、これまでの歴代の会長の講演、足関節の靱帯の話を聴いて、一部は手術関連の講演も聴講しようということで、肩関節脱臼でコンタクトスポーツに復帰するために肩甲骨の一部を移行して固定する手術に関連した話も聴いてまいりました。
 栃木から札幌に行くには、飛行機の便数の多さを考えるとやはり羽田からということになります。
 朝いちばんに栃木を出て、羽田で8時過ぎの飛行機に乗り、10時前に新千歳空港に到着しても、札幌までは電車に乗りついて1時間以上かけて会場に到着するということで、学会で講演を聴けるのは昼前がせいぜいということになります。空港と市街地が近いということで福岡は便利ですが、札幌はちょっと遠い、栃木はもっと遠いということです。
 札幌に飛んでいく際には、ちょうど栃木の上空を飛行することが多いようで、その場合は渡良瀬調整池や小山市、遠くに中禅寺湖が見える宇都宮上空というルートを通ります。
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当院から空を見上げると飛行機が飛行機雲を描きながら北へ向かっているのを見かけることがありますが、このルートを飛行しているということなのでしょう。
 今回の学会には、自治医大の先生方が多数参加されていましたし、県内の他の病院の先生もお見かけしました。
 学会はどういうわけか金曜・土曜の両方あるいはいずれかを絡めて開催されるのがほとんどであり、当院はそれを念頭に金曜・土曜が休診です。参加をする開業の医師は少ないのですが、手術は行わない治療も整形外科の診療でかなりのウェイトを占めるので、開業の医師ももっと学会に参加してもいいのに、と思うところです。
 少しでもよりよい治療をと思えば、現役医師でいる限りは勉強を続けなければ、話についていけず取り残されてしまうという懸念がありますので、これからも学会参加を毎年行ってまいります。皆様のご理解をいただきますようお願い申し上げます。

 

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