薬師寺運動器クリニック院長のblog

栃木県下野市の日曜診療・祝日診療の整形外科・運動器リハビリ・スポーツクリニックである薬師寺運動器クリニックの院長がつづるブログです。 土曜日も月に2回程度の診療をして、週末に多く発生するスポーツやレジャーでの痛みに対してなるべくその日のうちに治療開始できるようにしています。 栃木県や茨城県西部の野球選手が数多く来院されます。 診療に関連して是非知っておいていただきたいことや、新たな情報を述べていきます。

2019年12月

 2019年もまもなく終わります。西暦を用いることも多いので、令和という元号に十分になじんでいないうちに令和2年になります。
 当院の2019年の診療は終了しました。
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 1月になると本格的に寒くなり、スキー場の積雪も増えますが、栃木県南部は晴天のことが多く、学校にスキー部やスケート部はないのではないかと思われ、ウインタースポーツの競技としてのケガや故障での来院はほとんどありません。大人が週末のレジャーでケガをしてくるのが1シーズンに数名という程度でしょうか。
 中学の行事としてスキー教室を行う地域もありますし、スポーツ科のある高校もスキーのカリキュラムがあるようですが、これらでケガをしてきたというケースはほとんどありません。
 また、1月になると栃木県は私立高校の入試が始まります。入試の時期は、受験生とその家族の来院が減ります。その後、センター入試、首都圏の私立中学や高校の入試、私立大の入試、県立高校の特色選抜、学校の学年末テスト、国公立大の入試、県立高校の一般入試というように試験シーズンになります。
 10代の来院する比率が高い当院では、例年1月~4月にかけては10代の方の来院人数が減るようであり、月ごとの患者平均年齢をみてみると、5~11月と比べて、12~4月は平均年齢が上がる傾向があります。
 10代の来院が少なければ、夕方の診療の混雑が緩和する可能性もあります。
 受験とは関係のない世代の方々にとっては、受診をしやすい時期になります。

 冬の後には春が必ず来ます。
 1月に私立高校の入試を受けて進路が決まる中3やすでに大学に推薦で合格している高3のスポーツ選手は、1月から春に向けてトレーニングをしておくことをおすすめします。
 パフォーマンスを落とさないあるいはアップさせることが目的であれば、アスレチックトレーナーによる対応をおすすめします。リハビリよりも予約が入りやすく、自由診療ですので健康保険で行うリハビリのような制約がありません。
 一方、故障を抱えていて入学までに治療をしておきたい選手は、運動器リハビリの対応になります。
 こちらはいろいろな検査をする必要もあり、ときに検査と治療を兼ねて、痛みの部位の特定のためにエコー像を見ながらの注射が必要になることもあります。
 春を目指して学業もスポーツもがんばりましょう。
 
 
 

 昨年末から高校野球の球数制限の話が野球界の各方面に拡がりました。昨年もその発表の場である新潟のベースボールサミットに行っていたのですが、今年も野球肘検診を中心としたイベントである新潟ベースボールフェスタに行ってきました。
 新潟駅からタクシーに乗り、会場であるハードオフエコスタジアム新潟に到着しました。
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 バスが球場までひっきりなしに走る訳ではなく、決して公共交通の便がよいところではありません。前回の見学の時は、大きな道路に出ても流しのタクシーはほとんど走っていなかったので、球場から新潟駅まで戻るのに苦労しました。
 高速道路や国道からのアクセスはよいため、広い地域から自家用車で来るのには便利な場所です。
 新潟に住んでいたことがあるので、土地勘も少しあるのですが、新潟駅南口からこの野球場のある新潟県スポーツ公園あたりは私が住んでいた頃と比べれば大きく変わっていて、驚きすら感じます。
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 ハードオフエコスタジアム新潟は、グラウンドそのものも素晴らしいのですが、スタンド下の設備も素晴らしく、大きな室内練習場やロッカールームのほかにミーティングルーム、トレーナールーム、コーチ室などが1塁側・3塁側の両方にあります。
 これらの部屋を使って、野球教室、中学野球のメディカルチェック、腰痛検診、医事相談、コンディショニングやトレーニングの指導、身体機能評価といったプログラムが行われました。
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会議室も広く作られていますが、野球肘検診や講演会はこの会議室を使って行われました。
エコー検査は10台のエコー機器があり、肘可動域や圧痛の評価も20カ所で一気にチェックできるようにしてあり、この日は560人の選手を昼すぎからはじめて15時半ぐらいにはエコーのチェックまでは終了していました。
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 効率よく検診を一気に行っているのは栃木も見習うべき点だなと思った次第です。
 新潟は野球手帳を持参している選手がほとんどのように見受けられました。検診を受けた記録を手帳に残す仕組みも確立していてうらやましいです。出口で手帳に記入をして検診が終了していました。
配布がうまく行えていない栃木では、検診で手帳を持ってきている選手をほとんど見かけないですし、検診する側も手帳を持ってきても対応できてないのが現状です。
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 この野球肘検診の会場のイスを並べ直して、講演会が行われました。講師は高校野球の球数制限に関する有識者会議のメンバーの渡邊幹彦先生でした。渡邊先生はオリンピックやWBCの日本代表チームのチームドクターをされた方ですし、先週の神楽坂スポーツ医学セミナーを開催された先生でもあります。
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 球場内でこんなイベントができてしまうのはすごいことで、ここまでの設備と広さを兼ね備えたところは全国的にもまれなのではないでしょうか。
 検診や野球手帳、さらに「新潟メソッド」そして新潟県青少年野球団体協議会といった仕組みは、今後「新潟モデル」として全国の模範となっていくようです。
 「投球制限」という本を今年出版されたライターの広尾晃さんがこの日は取材に来られていました。私も名刺交換をさせていただき、いろいろとお話をお聞きすることができました。
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 新潟県青少年野球団体協議会の医療側の組織である「野球障害ケア新潟ネットワーク」の代表で、新潟リハビリテーション病院院長の山本智章先生には、私も同じく新潟大学卒業ということで、大変お世話になっております。
 栃木の野球肘検診の立ち上げ後からは、新潟の後を追いかけたいと思って活動をしてきましたが、栃木は新潟に比べればまだまだです。
 この日は新潟県高野連の行事が別にあったようなので、高野連関係の方はお見えにならなかったようでしたが、検診後の講演会には、新潟医療福祉大学硬式野球部の総監督になられた佐藤和也先生をはじめとして野球部指導者や学生、中体連の役員、新潟県青少年野球団体協議会副会長の石川智雄先生、新潟県野球連盟理事長の新発田様をはじめ、野球団体からの参加者や医療従事者が多く集まりました。
 懇親会では佐藤和也先生がごあいさつで述べられていましたが、「新潟のいいところは各団体が仲がいいこと」で、医療と現場の間の連携がうまくとれているように思われました。
 年数回の懇親会が行えているのだそうで、栃木もさらにいい方向にもっていければと思います。学問も大切ですが、連携・懇親を深めていくことも大事です。
 今年最後の出張は学ぶことが多かったです。
 


 金曜・土曜が休診の当院は、12月26日木曜日で年内の診療を終了します。
 12月27日金曜日から1月4日土曜日までが休診で、1月5日日曜日から診療を開始いたします。
 曜日の並びの関係で長めの年末年始の休診となります。
 土日が休みの会社は同様に長い休みになるのではないでしょうか。
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 突発的なケガは休みの日に起こりやすいと考えられるため、休みが長ければケガをする方も増える可能性があります。
 年末の大掃除、タイヤ交換、灯油のポリタンクの運搬、正月に備えて買い物の量が多いなど、いつもよりも重たいものを持つ場面が増えることで腰・膝・肩をいためるかもしれません。
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 スキーやスノーボードでのケガも毎年数名来院されます。長い休みの年末年始はケガをしやすいかもしれません。
 帰省や旅行で長い時間の移動で肩・膝・腰をいためる人もいるでしょうし、高速道路の大渋滞の中で大きな事故も起こるかもしれません。
過去の経験では帰省してきた孫を抱き上げようとして転倒し骨折を生じた祖母という例もありました。
 いつもと違うことをするときに、ケガが起こるかもしれません。
 年末年始は医療機関が機能低下します。一部の救急の対応をのぞけば、休診という施設が大部分です。
 救急車が必要なケガであっても、受け入れてくれる病院も限られます。
 当院近くには自治医大附属病院がありますが、医療全体の中では特殊な高エネルギー外傷でもない限りは、骨折程度では受け入れてもらえない可能性が高いです。救命救急を扱う施設では、生命に関わる疾患を扱いますので、下肢の骨折ではもっと後方の病院に受診するようになるはずです。
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 その場合に、年末年始で医師の人数が限られている状況では、病棟内で緊急の処置をしているから救急車の受け入れをストップする時間帯が生じたり、整形外科医師がいないから骨折は受け入れられないという病院があったりするかもしれません。
 お盆は病院は通常の診療を行っていますが、年末年始は病院も診療を行わないことから、一年でいちばん医療をうけにくい時期になります。
 そんなときに腰を痛めるかもしれない大掃除をすべきかどうか、寒い時期に屋外の掃除をしなければいけないのかどうか考えてみてもいいように思います。
 医療を受けにくい時期であるため、いつも以上に予防を心がけて、安全で楽しい年末年始にしましょう。
 


 毎年どんどん変わっていくものもあれば、毎年自分たちが続けていくものや、上の人たちから受け継がれ下の人たちに受け継いでいくものもあります。
 この時期、多くの方が忘年会シーズンでいろいろ楽しい時間を過ごしているかと思いますが、忘年会という風習も受け継がれていく気がします。
 先週、以前の職場の忘年会で都内へ行ってきました。病院の所在地そのものが、私の勤務していた当時と変わってしまいましたが、忘年会では以前の上司・先輩・後輩と再会することができ、変わらない部分を再確認してきました。そこに新しい一緒に仕事をしたことのない世代が多くいて、若い看護師などはいわば娘の年齢のような人たちであり、時の流れを感じざるを得ませんでした。
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 社会のコンプライアンスの変化もあるのでしょうが、昔ならいろいろな会社の協賛が得られたものが今はダメになり、また病院の他の科の忘年会の日程とかぶったこともあって、いささか大人しい忘年会でした。
 それでも普段は栃木の静かなところで仕事をしているので、人がたくさんいて夜でも明るくて、まだまだ朝まで飲むという人もたくさんいるような街で、懐かしさも感じてきました。
 翌日昼から都内で神楽坂スポーツ医学セミナーという野球に関連した勉強会があるので、久しぶりにかつて住んでいた中央区で宿泊し、かつて住んでいた地域も朝のうちに歩いて、タワーマンションが増えどんどん変わっていく姿を見てきました。

 都内でも何回か引越をしたので、数年しか住んでいたなかった地域でもどこか大切に思うようになりました。都内の劇的は変化はいいような悪いような何とも言えない部分があります。
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 現在は栃木にいて、気がつけば10年以上住んでいることになり、転居をしないで一箇所に住み続けている時間は、いちばん長くなりました。
 その栃木で運動器リハビリと運動器エコーを診療の主軸として10年以上続けています。
 
 エコーを用いて診断を行い、そこを狙って注射を打つという技術はどんどん進化しています。その変化について行くのは大変です。運動器エコーは20年前ぐらいから徐々に拡がってきたという歴史ですが、現在60代になられたぐらいの先生方の研究からはじまり、受け継がれたものが現在20~30代の若い医師・理学療法士の先生たちに爆発的に拡がり、新たな知見が今年もどんどん得られています。
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 エコーを用いた注射を野球選手に対して実施することが増えて、ひとつのチームであればそのチーム内の仲間の選手が何人も来るようになったり、他のチームの選手も話を聞いてやってきたりというように、効果を実感してもらえる場面も増えてきました。
 何とか試合に間に合ったケースもありましたし、ベストかどうか別にして投げられたと言っていただけることも増えた気もします。
 もちろん、いちばん大切なのは理学療法士のリハビリの治療で、さらに付け加えれば、アスレチックトレーナーによる普段からの手入れが大切でしょう。
 予防につなげて、医療を受けずに済むように体のコンディションを整えること、さらに予備知識を持って故障させない意識付けができることが、アスレチックトレーナーの重要な仕事のひとつかと思います。
 栃木は野球が盛んな県のひとつであり、それはこれからも変わらないかもしれません。
 しかし、全国的に子どもたちの野球離れが起こっていると言われ、野球人口を増やす取り組みも行われています。
 今年も当院は、多くの野球関係者や野球医療の関係者に出会うことができました。
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 勉強会や見学先で全国の先生方や野球関係者と知り合うことも多いですし、野球の現場などで栃木の野球関係者の方々と名刺交換をすることも多かったです。
 栃木では高野連を中心とした栃木県青少年野球団体協議会がありますが、さらに包括的に県野球連盟が野球人口減少に対する取り組みをはじめました。
 長く続いてきた野球も、高校野球の球数制限問題など変革の時期を迎えています。

 継続・継承と変化・変革の両者のバランスのなかで、栃木の運動器領域の医療に来年も取り組んでまいります。
 エコーを診断や注射に用いるという流れはこれからも続くはずで、より確実に効果を発揮できるよう、注射の技術を上げていかなければなりません。
 理学療法士によるリハビリ、さらには、予防という立場まで踏み込めば、自由診療にはなりますが、アスレチックトレーナーの役割も大きくなるものと思います。
 一般的な整形外科の診療所としての診療の延長線上に、スポーツ整形外科の診療もあり、当院はスポーツのなかでも野球選手が多く集まってくるという施設ですが、NPBを目指す、大学野球を目指す、甲子園を目指すという選手の来院が増えていくものと予想しています。
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 野球医療で有名な先生方から学び、エコーやリハビリを併用して治療を行うことで、治療がうまくいって、選手が早期に活躍できることを願っています。
 活躍した選手がいずれ医療を志し、そのなかで運動器領域の仕事を選んでいただくことで、次の世代につながっていくという流れを、ここ栃木で作れればいいなと思います。
 スポーツ整形外科の診療から得られた知見を一般整形外科の治療にもフィードバックをして、運動器領域の当院の診療を全体的にレベルアップしていきたいと考えています。

 シーズンが終了し、栃木県では高野連とNPO法人野球医療サポート栃木の共催で、野球肘検診が始まっています。将来の栃木県の野球を支えてくれる小・中学生の故障を予防したいという活動です。
  検診のシステムにはまだまだ改善すべき点があって、各チームから受診できる人数が限られているのは問題で、NPO法人野球医療サポート栃木のコアメンバーとして、次年度以降の改善を強く要求しようと思っています。
  さてそんな折に、来年の選抜高校野球の21世紀枠の関東 東京地区の推薦校の中から、宇都宮高校が選ばれたというニュースが流れてきました。
 言うまでもなく栃木県でトップクラスの進学校で、当院もこれまでに多くの野球部の皆さんに受診していただいています。部長の先生にも高野連に関連してお世話になっており、今回の選出をうれしく思います。
 石橋高校が惜しくも甲子園に出られなかったときがありましたが、今度こそ栃木県から21世紀枠で出場できることを期待しましょう!
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