薬師寺運動器クリニック院長のblog

栃木県下野市の日曜診療・祝日診療の整形外科・運動器リハビリ・スポーツクリニックである薬師寺運動器クリニックの院長がつづるブログです。 土曜日も月に2回程度の診療をして、週末に多く発生するスポーツやレジャーでの痛みに対してなるべくその日のうちに治療開始できるようにしています。 栃木県や茨城県西部の野球選手が数多く来院されます。 診療に関連して是非知っておいていただきたいことや、新たな情報を述べていきます。

2020年06月

 運動器の診療では、身体を動かすのに必要な筋肉・骨・神経ときには皮膚や皮下脂肪も含めて、その機能を評価し治療をすることになりますが、ある程度動かさないと自覚的には困らないことも多いので、なかなか危機感を持たれない領域でもあります。

 長い間、レントゲン像に頼って画像診断が行われてきたため、骨の形に関心が集中してきたという経緯があります。いまだに「骨は大丈夫」という言葉で安心と思われる方が多いようです。

 日常診療のレベルでは、はじめに骨の問題が生じるということはほとんどないと思っています。
 筋肉の機能低下がまずはじめに生じ、そのあとから神経が引っ張られたり圧迫を受け、靱帯や腱に緊張が強いられると、それらが骨に付着する関節周囲で本来とは違う向きや強さの力が生じて、荷重関節であれば軟骨の摩耗、腱や靱帯の付着部には骨の棘の形成、やがて関節周囲の骨の変形が生じるという流れが想定されます。
 外傷の場合も、たとえば骨折であっても骨以外に筋・腱・靱帯・神経・皮膚・脂肪などの組織がダメージを受けているはずで、骨折による周囲の炎症と、治療のための固定で動かせないことも含めて、組織の癒着が生じる可能性があります。
 
 筋肉は動かさなければ痩せて細くなっていき、関節は動かさなければ硬くなって可動域制限が出てきます。
 それでも使わなければ痛くありません。
 だから外出しない人・車ばかり乗って歩かない人・全く交通機関を利用しない人は自覚症状がなく、発見が遅れます。
 
 逆に使うことで疲れるとか、ぎこちないとか、突っ張るとかの軽い症状があったりして、使うことに対してネガティブな印象を持ち始めると、「動かさない方がいいと思った」「じっとしていれば痛くない」「疲れるから遠出をしない」というような感想を持たれることがあります。
 
 骨折でギプスを当てる期間が終了した後、固定を外して動かしていきましょうという時期になっても、「動かすと痛いので動かさなかった」ということになると、治療が長引くことにつながります。
 必要があれば上手に薬だったり、エコーを見ながらの注射だったり併用して痛みを薄めて動かしていくべきで、「薬は使いたくない」となりすぎると、リハビリの長期化になることもあります。
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 新型コロナウイルス感染症の拡がりに対して、外出自粛が叫ばれてから、通院を中断していた方が再び来院をされるケースもあります。
 骨粗鬆症や腰部脊柱管狭窄症などくすりを継続的に内服しているべき方が中断していたり、中断の間に筋力低下がすすみ「ロコモ」と略されるロコモティブシンドロームの状況になった方もいます。
 「コロナが怖くて外出しなかった」「地元を離れるのは数ヶ月ぶり」というお話をお聞きしますが、栃木で言えば宇都宮のような県庁所在地をのぞけば、ほとんど感染者が出現しないのは外出自粛中も現在も変わらないように思います。
 手洗いの徹底と屋内でのマスクの併用、ソーシャルディスタンスで、感染は防げる可能性が高いのですが、不安感のあまり医療を受けなくなっているのは問題です。
 整形外科にとどまらず、小児科でいえば予防接種が必要な子どもに注射を受けさせていないということも問題になっています。内科に受診して行っていた健康診断を今年は受けないという人もいるかもしれません。
 コロナウイルスの感染よりも、医療を受けない方が問題が生じる確率がずっと高いのですが、そちらは気にならない方も少なくないようです。
 このあたりも含めて、医療の仕組みも変わっていかないといけないことがあるように思います。
 診療の完全予約制とか、診療曜日や診療時間の見直しなども含め、安心して受診できる環境をつくることも今後の課題なのかもしれません。
 これまでの常識を見直さないといけないように思う今日この頃です。
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 3か月遅れでプロ野球が開幕しました。無観客だったり、監督や審判がマスクをつけていたり、選手同士のタッチがなかったりと、コロナウイルスの感染予防の対応をしての開幕ですが、少しずつ日本中がコロナウイルスと共存しながら動き始めているひとつの象徴のようでもあります。
 
 一方、BCリーグも無観客で開幕し、栃木県民球団 栃木ゴールデンブレーブスも試合を行いました。
 開幕前に下野新聞に特集記事が載り、紙面の下部にはスポンサー企業の一覧が掲載されました。
 当院もいちばんささやかなレベルのスポンサーをさせていただいており、今年も栃木ゴールデンブレーブスを応援しています。
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 高校野球や中学野球も練習は再開されており、7月から対外試合が始まると思われます。
 栃木県の高校野球は代替大会を1試合ずつ行うとしていましたが、他県がトーナメント方式ということで、再検討になったという記事が24日の新聞にありました。
 準備期間が選手たちには十分ないままの大会となりますが、これで引退という3年生もできるだけ多く試合をしたいという気持ちでいるのもわかるところです。
 現在、当院にも3年生に限らずですが、高校野球選手が治療に通っています。
 進路に関わる野球選手では、筋肉が骨に付着する部位、筋膜、神経周囲、関節内、脂肪組織周囲などに注射をすることがあります。プロのスカウトが見に来る、大学の推薦に関わる、社会人チームに進みたいというような場合は、いいプレーをアピールできるよう、生理食塩水を中心とした注射を行うことも考慮すべきでしょう。
 もちろん最後の大会を満足して終わりたいという選手も同様に注射をすることがあります。
 すでに残り1か月を切っている大会ということで、リハビリだけでは間に合わない時期になりました。
 
 選手の中には、中学生では高校野球を、高校生では大学以上での野球を目指して練習をしている人もいるはずですが、今年のコロナの影響を受けた異例の夏にケガや故障をしないよう、いつも以上に身体に気をつけてほしいと思います。

 元高校球児の理学療法士やアスレティックトレーナーもいますので、お気軽に来院いただきご相談ください。

学校で体育も部活動も始まり、ケガや故障の10代が再び増えてきたせいか、診療の終了時間が遅くなってきたようです。
ここ10日間の診療では19時半までに終わったのは1日だけで、20時を過ぎる日も4か月ぶりでありました。
この春から、エコー検査を行って保険請求をするにはカルテに画像を添付しておく必要が生じました。電子カルテに参照画像をファイルとして読み込む作業が増えました。
検査・撮影の段階で、電子カルテにエコー像やレントゲン画像を貼り付けられるようなシステムになっている施設は、こんな手間は不要なのでしょうが、零細な施設はそうもいかないので、診療後などに手作業で画像を読み込み電子カルテに貼り付けています。

これ以外にも診療後は院長は雑用が多く、紹介状や診断書、介護保険の主治医意見書の作成だったり、その日の診療で気になったり勉強になった症例のカルテの内容を再確認し、あとで見直せるように自分のデータベースにIDを登録したり、その日に来院した方々の医療経営上のデータの確認をしたりということで、診療後は数時間以上居残りです。

診療が遅くまでつづくと、診療後の業務も遅くなり、仕事が終わらないうちに帰宅せざるを得ないこともあります。
そこで、休診日にいわば休日出勤をして、仕事の続きをすることがあります。
そしてこれから真夏にかけては、屋外リハビリスペースの芝刈りも必要で、これもどういうわけか私が行っています。汗とほこりの問題があって、診療日に行うことはなかなか困難ということもあり、またスタッフがなかなか手を挙げることがないため、こういう作業は院長が行うことになるのでしょう。

また、学会・研究会がほとんど行われないなか、オンラインでの勉強会が増えました。
19時以降に開催というものも多く、診療のある日にこれに参加をすると、さらに仕事が残ってしまうことになってしまいます。

ここ10日間の診療が少し長引きつつあり、診療のある日の勉強会は少し控えています。
日曜は朝から行われることもあり、診療前に終了するといいのですが、日曜の日中に長い時間行われる興味深い勉強会にはほとんど参加できないため、もどかしく感じることも増えてきました。

少しでもいい診療が行えるように、休診日を利用しています。

それでも少しだけリフレッシュで、宇都宮の森林公園~大谷方面へ車を走らせてきました。
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県境をまたいだ外出もOKとなった最初の週末ということもあって、県外ナンバーの車もたくさんありました。
自転車の街・宇都宮ということで、多くの方が自転車を車に積んできて、森林公園周辺を走っていました。
ちょっと暑いこともあって、何年ぶりかで大谷資料館のなかで涼んできました。
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日頃車にはほとんど乗らないうえ、今年はさらに春に高校野球がなかったため、球場にでかけることがありませんでした。
たまにはエンジンをかけないとバッテリーが上がることもあって、3-4時間は県内を走らせることがあります。
東京駅構内に出店したパン屋さんのパンを買って帰ってきました。
仕事場で昼ご飯として、午後から芝刈りを行い、書類を作って、オンライン勉強会に参加し、土曜も夜まで仕事場でPCに向かっています。
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ちょっと車で走ればリフレッシュできる風景が栃木にはたくさんあります。
仕事もしなければいけなかったので、歩き足りないですが、来週は県外で仕事もあるので、少し多めに歩けるかなと思います。

 栃木県はもともと野球が盛んな県と思います。
 その中でも宇都宮・小山・栃木周辺はさらに熱心な地域と思われ、学童野球から社会人野球の選手、ときにBCリーグの選手も含めて、多くの野球選手が当院へ来院します。
 新型コロナウイルス感染症の拡がりでスポーツ活動はもちろん、学校も臨時休校だった間は、野球選手がほとんど来院しなかったのですが、少しずつ野球選手の来院が増えてきました。
 そんななか、昼休みや診療の終わった夜の時間帯にYahooを何となく見ていたら、知っている選手がつづけて紹介されていました。
 学童の頃から高校や大学に進学するまで時々来院していただいたような選手や、高校野球の大会の医療サポートでベンチ裏で会話をしたりした選手は注目しています。
 知っている選手たちには、引き続き活躍して上のステージに上がってほしいと思うところです。

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 学校の再開にともない、スポーツ活動も徐々に再開され、体育の授業、部活動、クラブチームなど10代の各種スポーツがまずは制限されながらも動き始めました。
 体育では自治体によっては水泳を行わないとか、生徒児童同士が接触するような内容の回避もあるようですし、格闘技系とかコンタクトスポーツと呼ばれるものは練習メニューも制限があるようです。
 対外試合も6月は禁止とか、マスク装着の条件とか、まだ自由ではないことも多いのではないかと思います。

 県内の野球選手の治療に関わることが多いので、県野球連盟から運動再開について医療面からのコメントを求められました。県野球連盟のガイドラインがホームページに掲載されています。
http://www.tbbl.or.jp/

 ある高校野球の監督さんからは、選手の受診について電話をいただきました。
 こちらの監督さんとは以前勤務されていた高校の頃からお世話になっており、SNSでもつながっているので、コミュニケーションが取れる関係でいられたことが役に立っているように思います。

 しばらく学校も臨時休校がつづいたあとに、蒸し暑い時期の運動再開となって、指導者の先生方も選手の体調を気遣われている状況かと思います。
 野球の現場の指導者と医療側が連携することで、連絡を取りやすい・相談しやすい・受診しやすい・練習の見学に行きやすいという関係をつくれるといいなと思っています。

 また、いちばん末端レベルでのスポンサー契約をさせていただいている栃木ゴールデンブレーブスからはシーズン開幕にあたって、広報の担当の方から当院へ訪問いただきました。暑いなか、スポンサー各社を回られて大変かと思いますが、やはり地域連携ということで大切な活動でしょう。

 誰もが経験のしたことのない状況でのスポーツ再開で、正解はわからないけれど、新型コロナウイルスの第2波を防ぐために、よりよいと思われる方法を模索をしている状態です。
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 野球の盛んな県のひとつである栃木県は、NPBの球団はありませんが、BCリーグ、社会人男子・女子、大学、女子高校野球、高校野球硬式・軟式、中学野球硬式・軟式、学童野球、リトルリーグやボーイズの小学部というように多様なカテゴリーのチームがあり、当院には多くの選手が来院しています。
 チームや団体の縦横のつながりが深まることと、医療がそこにうまく後方からサポートできることは栃木の野球を盛り上げるうえで大切だろうと思います。
 さらに、選手たちが指導者の姿を見て自分も指導者になりたいと思ったり、検診や受診で医療側をみて野球に関わる医療人になりたいと思っていただけると、選手が自分の将来を考えるうえで必要な学びの場を作ることにもつながります。
 NPO法人野球医療サポート栃木という組織にも関わっていますが、将来一緒に仕事をしてくれる選手たちが育ってくれることも願っています。
 今回の新型コロナウイルス感染症が、多くの野球選手たちに考えるきっかけを与えた、と前向きにとらえることもできると思います。

 野球に限らずですが、医療側とスポーツの指導者との連携が進むことで、ケガや故障の予防に役立てていければ幸いです。

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