薬師寺運動器クリニック院長のblog

栃木県下野市の日曜診療・祝日診療の整形外科・運動器リハビリ・スポーツクリニックである薬師寺運動器クリニックの院長がつづるブログです。 土曜日も月に2回程度の診療をして、週末に多く発生するスポーツやレジャーでの痛みに対してなるべくその日のうちに治療開始できるようにしています。 栃木県や茨城県西部の野球選手が数多く来院されます。 診療に関連して是非知っておいていただきたいことや、診療に限らず新たな情報を述べていきます。

2022年12月

 当院は文星芸大附属高校硬式野球部のご厚意により、理学療法士が毎月2回程度グラウンドに出向き、選手の状態を把握する経験を積ませていただいています。
 現場のフォローをしたいという理学療法士2名の希望を受け入れていただいて、監督の高根澤力先生、責任教師の瀧田湧先生ともコミュニケーションをとり、状態を報告させています。
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 スポーツ整形をやるのであればときどき現場に出向くようにと、尊敬する先生に言われたことがあり、私自身も高校野球の栃木県大会では休診日に本部に入れていただいたり、当院で治療した選手の試合を観戦に行ったりします。当院の別の理学療法士には、中学硬式野球の真岡ボーイズのサポートを担当してもらっており、真岡ボーイズの練習グラウンドや試合に行くこともあります。

 整形外科は身体の扱う範囲が広く、大学病院などでは、腰専門、肩専門、膝専門、リウマチ関連専門、小児専門など分野別に分かれてしまっています。  
 スポーツ整形分野でも、柔道選手が多く集まる、体操選手を多く治療している、サッカー選手の治療に力を入れているなど、特徴が出ることが多いです。

 当院は、いちばん力を入れているスポーツ競技は野球で、学童野球から栃木ゴールデンブレーブスの選手まで世代も性別も競技レベルもさまざまな選手の皆さんに来院いただいています。

 野球に注目してみても、肩や肘だけではなく、腰を傷める選手もいれば、突発的なケガで足首を捻る選手もいて、ある程度広い分野での治療が求められます。

 基本は訴えを聞いて、痛みの出た状況を推測し、観察と触診を行って病状のあたりをつけるということになります。
 現場レベルでは、受診をさせた方がいいのかどうか、練習を休ませる必要があるのかどうか、復帰までにどの程度の時間がかかるのかどうかの判断も求められます。
 この「判断」する力を文星芸大附属高校硬式野球部のグラウンドで、理学療法士たちは磨かせていただいています。
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 時には受診をしていただき、画像診断を追加して診断・治療を行うこともあります。

 こういったご縁を大切にさせていただき、関わることのできた選手を中心に、文星芸大附属高校硬式野球部の試合は注目しており、日程が合えば大会での試合には観戦に行くようにしています。

 甲子園出場もされたことのある高校ですので、近い将来文星芸大附属高校硬式野球部が甲子園に出場する日が来ることを期待し、そのお手伝いになることがあれば当院としてもうれしい限りですので、邪魔にならないように学ばせていただき、応援してまいります。

12月16日は、年末の挨拶で高根澤監督、瀧田部長にお目にかかってきました。
今年一年、文星芸大附属高校硬式野球部の皆様には、大変お世話になりました。
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2年前に栃木県野球協議会が発足して、加盟団体のひとつであるNPO法人野球医療サポート栃木のメンバーとして、協議会の事務局の仕事もしてきました。

協議会の主催する最大の事業である「とちぎ野球フェスタ」の計画からずっと関わってきて、他の野球団体の皆さんと協力し、何度もオンラインでの会議を行ったり、小山市のベースボールビレッジにも出かけたりしてきました。

12月4日に宇都宮市のカンセキスタジアムで、ついに第1回のフェスタを開催することができました。

サッカーをはじめ他のスポーツと野球が異なるのは、団体がいくつもあり、各団体がそれぞれの思惑で動いていて、ひとつにまとまっていないという、いわば特徴があることです。

野球はいろいろな理由で選手人口が減っていて、学童野球チームの消滅、中学でも連合チームが当たり前、なかには廃部という話の出現、高校でもここ数年で連合チームが増加という状況が珍しくなくなってきました。

中学硬式野球や高校硬式の強豪校、大学野球はまだ選手人口が確保されていますが、いずれ男子の野球は人数が減っていくことが懸念されます。


一方、まだ選手人口の少ない女子については、これから少しの期間は人数が増えることが予想され、高校野球のチームが増えたり、県内でも大学や社会人の女子チームが設立されたりすることが期待されます。


高校野球200年構想というものが、高校野球100回大会を契機に提唱され、日本高野連と夏の大会を主催する朝日新聞、春のセンバツを主催する毎日新聞がその内容を述べています。

そのなかに、各地域ごとに野球協議会の設立や野球の普及としての野球フェスタの開催も上げられています。

栃木県の野球協議会は、高校野球200年構想に述べられている内容に準じて活動しているといってもいいでしょう。

12月4日のフェスタは、栃木県の福田富一知事や地元選出の国会議員でもある船田元衆議院議員に挨拶をいただくことからスタートしました。

船田議員は栃木県の野球を長年リードしてきた作新学院の代表でもあり、野球に理解あるいは造詣が深い方です。

野球人口拡大のためのイベントとしての「わくわくボールぱーく2022」はスタジアムに隣接する投てき場で開催です。本来はスタジアム内のサッカーを行う芝生のうえで行えるとよりよいのですが、それでも広いスペースを利用して、初めてボールを打ったり投げたり、作新学院女子硬式野球部や全足利の社会人野球選手と一緒に楽しんでいる姿がみられました。
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ここでボール遊びを体験した子のなかから、何年後かに選手として活躍する子が出てくるのを楽しみにしたいと思います。

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となりのクレイグラウンドでは、大学野球選手による野球教室も行われました。
世代を超えた交流ができる場面は限られるので、学童選手だけでなく、大学野球選手にも有意義だったかもしれません。
その昔「月に向かって打て」と言ったプロ野球選手がいた気がしますが、ここでは後方に男体山が見えており、「日光に向かって」打っている感じでしょうか。
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野球とは直接関係のないカンセキスタジアムですが、今年行われた「いちご一会とちぎ国体」の2か月後で、栃木県民にとっては印象の強いこの施設に一度は入ってみたいかも、という意味もあって会場としました。
イベントのなかには、野球とは直接関係ないダンス系のものもあって、子どもたちだけでなく、社会人野球のエイジェックの選手が男女とも楽しそうに踊っていたのが印象的でした。
写真の中央には、ナックル姫こと吉田えり選手です。


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野球指導者向けの講演会の講師は、新潟医療福祉大学硬式野球部総監督の佐藤和也先生にお願いいたしました。
私が新潟の野球肘検診を含むベースボールフェスタの見学に行った際に、新潟の医療側の代表である新潟リハビリテーション病院院長の山本智章先生にご紹介をいただき、佐藤和也先生に挨拶と名刺交換させていただいておりました。
そんなこともあって、先進県である新潟から佐藤和也先生に栃木にお越しいただくべく、正式な依頼を栃木県野球協議会が行う前にメールでお伺いを立てたのは私です。

佐藤先生が右手に持っているのが「新潟メソッド」という冊子、左が新潟県がパイオニアとされる「野球手帳」です。
高校野球200年構想に書かれている内容の多くは、新潟のシステムを参考にしていると思われ、新潟の先見性が日本のモデルとして重視されているといえるでしょう。
今回の講演会には中体連の指導者が多く集まったようです。また県外からもお問い合わせをいただき、群馬県館林の指導者の方も会場へお越しいただきました。

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閉会式の前には大型ビジョンに各イベントの様子が映し出されました。
野球肘検診の画像が、こんなに大きく映し出されたことは全国的に見てもないのではないかと思われ、画期的といえるでしょう。


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閉会式では吉田えり選手が挨拶をしました。
栃木の野球のみならず、日本の女子野球のレジェンドのひとりと言っていい選手です。
以前から知り合いではありますが、いただきそびれていたサイン色紙を、秋に個人的にいただいていたこともあって、感謝しています。




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閉会式の際には西日がバックスタンドに当たり、いちごのマークと「とちぎ」の文字がいい感じでした。
長い準備期間でかなり大変でしたが、子どもたちの笑顔を数多くみることができてよかったです。

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「とちぎ野球フェスタ2022」は無料のイベントであり、県内の多くの企業や医療機関の皆様にご協賛をいただきました。
 ご協賛をいただいた医療機関につきましては、会場入口に施設名と所在地を掲示させていただきました。
 来年も第2回を開催すべく、栃木県野球協議会は話し合いを始めています。
 栃木の子どもたちが野球を始め、野球肘をはじめとする故障をすることなく、中学・高校と活躍できることを期待します。
 ご協力をいただいた全ての皆様に御礼を申し上げます。

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