薬師寺運動器クリニック院長のblog

栃木県下野市の日曜診療・祝日診療の整形外科・運動器リハビリ・スポーツクリニックである薬師寺運動器クリニックの院長がつづるブログです。 土曜日も月に2回程度の診療をして、週末に多く発生するスポーツやレジャーでの痛みに対してなるべくその日のうちに治療開始できるようにしています。 栃木県や茨城県西部の野球選手が数多く来院されます。 診療に関連して是非知っておいていただきたいことや、新たな情報を述べていきます。

2023年01月

石橋高校野球部の21世紀枠での甲子園出場が決まりました。
関係者の皆様、おめでとうございます。

過去2回の21世紀枠での関東・東京地区の候補校選出から、3度目の正直での甲子園出場決定で、学校関係者はもちろん、栃木県の高校野球ファンも喜んでいるはずです。

選出理由のなかには、文武両道に加えて、地元の子どもたちへの野球教室と検診を行っていることが挙げられていました。

栃木の野球肘検診は、当院が中学硬式野球チームに行ったのが始まりと考えていますが、その後に自治医大整形外科の先生方と交流するようになり、野球肘検診を広く行うようになっていったという経緯があります。

中学軟式野球選手と高校野球選手の合同練習会で、改修前の県営球場で検診を行った際は、手術が必要なくらいの野球肘が何名も見つかりました。

その頃に「野球医療サポート栃木」という組織を自治医大・獨協医大の整形外科の先生と私で作ったという記憶で、組織の名称も私が提案したように思います。

その流れで、当時石橋高校野球部の監督だった琴寄元樹先生が、石橋高校野球部主催の野球教室を下野市や上三川町の学童野球選手対象に開催するようになり、石橋病院に勤務される自治医大整形外科の先生に野球肘検診を依頼したのではないかと思われます。

私は第1回からの参加ではない気もするのですが、少なくとも7-8年は石橋病院の検診に関わってきたように思います。

現在の監督である福田先生になってから石橋高校はどんどん強くなって、1回目の21世紀枠の候補校になったときは、当時エースだった竹内投手のスライダーで勝ち上がり、秋の大会は栃木県で準優勝し、栃木県で開催された関東大会に進んで、千葉の東海大市原望洋に惜敗したような記憶があります。

このときは毎日新聞の記者の方が取材で当院にも来ました。

前回の21世紀枠の候補となったときは、秋季県大会は準決勝で作新に勝利したものの、惜しくも決勝で國學院栃木にサヨナラ負けとなり、栃木県2位の高校として関東大会に出場し、現在巨人に入団した真岡出身の石田投手のいる東海大相模に敗れたはずで、厳しいバント攻めを受けたような記憶です。

当院のある下野市の高校として、石橋高校野球部の躍進はうれしいところです。これまでにかなり多くの選手に受診をしていただきました。

また、歴史のある学校ということで、野球に限らない卒業生ということであれば、親族・身内や近所のにも該当する人はいますし、前の市長もそうですが、市の職員やと地元の学校関係者にも多くの卒業生がいるのではないかと思われます。

ということで、下野市民の多くが好意的に思っているはずです。
すでに市役所には垂れ幕、石橋駅西口には横断幕が掲げられました。
過去2回の段階で作ってあったのかもしれませんが、市の素早い対応ですね。

これから寄付を集めるでしょうから、ささやかながら応援をしたいと思います。

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昨年末に厚生労働省が2020年の県別の平均寿命を発表しました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22DCG0S2A221C2000000/

2年のタイムラグがあるので、実態を反映していない可能性もありますが、栃木県の女性はこれまで「定位置」に近かったワースト2位からワースト3位の第45位になりました。

44位茨城・45位栃木・46位福島というように隣県どうしが順位も並んでいるので、生活習慣もかけ離れていない地域性と平均寿命に関連があるかもしれません。

西高東低というか、西日本はやや長生きで、東日本はやや短めという傾向はあるように思われますが、長野県が男女とも上位、男性では栃木よりも沖縄・高知・大阪が下位にいるなど傾向に当てはまらない地域もあります。

日本人の死因の第1位はがんとなっていますが、脳血管障害や心筋梗塞などの突然の死亡も引き続き重大な問題です。

がんの予防は簡単ではないかもしれませんが、脳血管障害や心筋梗塞は生活習慣によるところも大きいでしょうから、これまで内科の先生方・保健師・行政が協力して、長年にわたり治療や保険指導が行われてきました。日本は世界的にはトップレベルの平均寿命の国になっています。

当然ながら、生活習慣・健康状態は人によって異なるので、90歳を過ぎても元気に外出をする方もいれば、70代にして近所を歩くのみという方もいます。すでに介護保険サービスを利用している方もいます。

海なし県の栃木県は内陸であり、冬の天気予報を見ていただくと、宇都宮の最低気温は札幌や東北・北陸の県庁所在地と比べて低いこともあります。積雪がほとんどなく晴天が続くため、放射冷却が厳しくなって朝晩と日中の温度差が大きくなり、血管の障害が起こりやすいかもしれません。

例年のことではありますが、真冬は来院される方の手指・足趾の著明な皮膚温低下や凍瘡(しもやけ)を認めることも日常的になります。

暖房に対する考え方が北東北や北海道の方々とは異なっているようであり、「暖房はもったいない」という意識がどこかにあるように思われます。リビングあるいは茶の間と呼ぶような、人がいることの多い部屋のみ暖め、それ以外のスペースは暖房をつけないという方も少なくありません。
寝室は眠りにつくときのみタイマーで暖房をするものの、就寝中はつけないという方も多いようです。

住宅メーカーも「ヒートショック」という言葉を使い始めているようですが、生活空間の温度変化が大きいと血圧の変動が大きくなり、動脈硬化の想定される世代では、脳血管障害や心筋梗塞のリスクになると考えられます。

当院のある下野市は、農村地帯も多く、特にJRの線路から離れるほど農村が拡がり、昔からの生活習慣が残っている傾向があって、広い農家でありながら、家の中にこたつがひとつあるだけという家庭もあるようです。

生活空間が冷えていると、整形外科の立場では、筋肉のこわばりや関節痛、腰痛などを引き起こしやすいので、転倒・骨折の要因にもなり得ると考えます。

組織に血液が十分に流れることが病気・ケガの治療や予防のうえで大切で、ケガの急性期を除けば、冷やさないほうがよいように思われます。

そのため、部屋全体あるいは家を暖めるために暖房は大切です。

温度変化の激しい茶の間と浴室・トイレの移動は血管にかかる負荷が大きい可能性があります。

寒い廊下を通って、寒い脱衣所で服を脱いだり、寒いトイレでズボンを下ろしたりすると、血圧が急上昇しているかもしれません。
入浴の場合は、寒い洗い場から暖かいお湯の中につかることで、一気にリラックスすると血圧が急に低下することもあります。これで意識障害を起こしたり、時には溺死してしまうことがあります。血管の拡張で血栓が急に移動すれば心筋梗塞を起こす可能性もあります。

年末に俳優の佐藤蛾次郎さんが亡くなったのも浴室でした。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/219559

ヒートショックには生命に関わる怖さがありますので、急激な温度変化を生じないように、家の中の温度差を小さくすべく、扉を閉めないで暖房をしていくことが望ましいと考えます。

暖かい環境を作ることで、暖房のための電気・ガス・石油の代金は増えるかもしれないけれども、医療費が減るかもしれませんし、薄着でいられれば洗濯で使う水道・電気・洗剤は使用が減るかもしれません。
安全を買うと思って、ご自身へ投資をしていただければと思います。5年後は栃木の平均寿命のランクが上がっていることを期待しましょう。

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新年になりました。本年も薬師寺運動器クリニックをよろしくお願い申し上げます。

年明けの診療初日から、野球をしている選手たちに必勝祈願について話をお聞きしています。

必勝祈願のために神社まで行くかどうか、神社まで走っていくのかどうか、近くの神社なのかどうか、いろいろ興味深いところです。

あくまで現在当院に受診中の選手に聞いてみたところ、必勝祈願をしないというチームが2チームありましたが、それ以外は何らかの形で行っているようです。

地元の神社であれば走って行くケースが多いようですが、学童野球では体力も考慮して、片道は走る学年と往復とも走る学年に分けているところもありました。

神社までは車で往復してその後グラウンドで走る練習をしたというところもあれば、その日は練習はせずに終了というところもあり。

宇都宮なら二荒山神社や護国神社、小山なら須賀神社、真岡なら大前神社、栃木なら神明宮や太平山神社など、地元の中心的な神社に行くことが多いようですが、当然ながらいくつものチームが祈願に行くことになります。
高校によっては神棚もあるような気がします。

必勝祈願をしたチームどうしが試合をすることがあるので、神様としては大変という話を神社の方が笑ってされていたのをお聞きしたことがあります。

SNSを見ていたら、グラウンドでお祓いをしているチームもありました。

また、益子には勝負の神様として知られる鹿島神社がありますが、益子町ではないチームであってもそちらまで出かけるというケースもありました。

いずれにせよ、野球については神社へのお参りを重視する傾向があり、他のスポーツとは異なるようです。

プロ野球の各球団がキャンプインのため九州や沖縄へ行くことが多いですが、テレビのスポーツニュースでも、神社へ参拝に行っている映像が流れることが多いですね。

当院も新年の祈願に毎年薬師寺八幡宮まで行きますが、今年も1月4日に地元の中学も走って行っていったようですし、高校野球部の絵馬も見たことがあります。

必勝祈願とはいえ、勝つことだけでなく、ケガ・故障をしないことへの祈りも捧げたものと思います。
どうかケガのないよう新しいシーズンを迎えていただきたいと思います。

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新年あけましておめでとうございます。
本年も薬師寺運動器クリニックをよろしくお願い申し上げます。
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昨年は「いちご一会とちぎ国体」が開催されたり、事務局メンバーでもある栃木県野球フェスタ2022野球フェスタ2022」に準備段階から関わるなど、例年とは違う年でした。

小山地区医師会の理事会や栃木県臨床整形外科医会の幹事にもなり、会合も毎月参加することとなって、診療外の業務も増えました。

常勤の理学療法士は昨年1月は一旦6名まで減少しましたが、4月から9名に増えました。現在は男性6名・女性3名の内訳で、さらに日曜は非常勤の理学療法士が交代で1名勤務する日があります。

リハビリはスポーツ選手の競技復帰に向けたものや、中高年の膝・肩・肘などの関節および肩こり・腰痛・殿部周囲の痛みなど体幹が関与するものが多いですが、それ以外にも、他の病院で手術を受けた後の外来リハビリのつづきを当院で行うことも可能です。

病院によっては、手術をしたものの外来通院ではリハビリを行わないというケースもあって、「自主トレをがんばって」とか「外来ではリハビリはできない」と言われてしまうこともあるようです。

また、高齢者の骨折の手術後では、介護サービスの導入を勧められるケースもあるようです。

運動器リハビリテーションは手術や発症から150日間は行うことも可能で、外来で行えないはずはありませんが、入院患者優先であったり、脳卒中後のリハビリなど運動器以外のリハビリも行わなければいけない施設は、どうしても優先順位が低いことが多いため、外来での運動器リハビリまで手が回らないという病院の事情があると思われます。

そこで外来通院での運動器リハビリを当院で行っていただけると、患者さんにとっても、病院にとっても、あるいは介護に関わる行政にとっても、いいはずです。

整形外科の診療所で当院と同等の規模で運動器リハビリを行う施設はまだまだ少なく、広くアピールできていないのが現状です。

高齢者や平日に休みを取れる職種の方は、11時台と15時台が予約を入れやすいかと思われます。

栃木県内の下野市周辺の地域からは多くの方に来院いただいていますが、県境が近いことから、距離は近いけど茨城県になる結城市と筑西市は、来院される人数が少ない状況です。
特に結城市は、小山地区夜間休日急患診療所を利用できるなど、医療圏を共有しており、もっと当院をご利用いただいてよいかと思われます。

茨城県西部からの運動器リハビリは学童野球選手が主になっており、30代以上の方のご利用もお待ちしております。



また、ベビーブーム世代が75歳になりはじめるまであと2年あまりで、「2025年問題」といわれることもありますが、これからは介護予防も重要になってきます。

平均寿命の長い女性の場合は、介護サービス導入の原因となるのが「要支援」の場合は関節疾患がトップかと思いますが、「要介護」では認知症・高齢のための衰弱・転倒骨折が上位に入ります。関節疾患と転倒骨折は言うまでもなく運動器疾患です。

認知症の一部には活動レベルの低下が関与することもあると思われます。
外出が億劫になることで筋力低下が進行し、関節痛が出現するものの、自宅でじっとしていれば何ともないというパターンから、変化の乏しい・刺激の少ない日々が続くことで徐々に物忘れが生じる可能性もあります。

高齢のための衰弱というのも、ベースには運動器の機能低下があると考えられます。
内科の先生方は「フレイル」という言葉で話をされるかもしれませんが、身体の虚弱から心身の虚弱に至ることで、社会的にも支障をきたすようになったものです。
「フレイル」の前に「ロコモティブシンドローム(ロコモ)」があり、その後に「運動器不安定症」という病名がつく段階を経て「フレイル」に至るような気もします。
ですから、「ロコモ」の段階で対応が望ましいのですが、自覚症状がないためほとんどの人は気づいていません。特に栃木県のような車社会で何十年も電車に乗らない生活をしていると、「フレイル」の段階まで気づかないことが多いのではないかと思われます。

安易に「高齢のため」と言わない方がよく、ちょっとした関節の痛みや腰痛も筋力低下のサインだったりしますので、介護予防・転倒予防のリハビリの行える当院にご相談下さい。
骨折には筋力低下はもちろんですが、骨粗鬆症も関与しますので、女性は骨密度検査も行いましょう。


これからの少子高齢化の時代は、運動器疾患の早期発見と進行予防が重要になります。
少子としての高校生以下は、ケガをすると代わりの選手がいないので、少々無理をしてもスポーツをやってしまうことでひどい故障をするかもしれず、症状の軽いうちにチェックをしておく必要があります。
高齢化としては年金の支給開始を遅らせるなど国の財政の問題にも関わりますが、元気でいれば75歳でも働ける時代がやってくると思われるので、自分への投資としての運動器の健康管理をしておく必要があります。

そんなわけで、漫然とロキソニンと湿布を処方する整形外科ではなく、運動器リハビリを行える施設への受診が望ましいということになります。

問題の初めは骨ではなく筋肉の機能と負荷のバランスの乱れにあると思われます。機能低下があるのに負荷が強すぎると、軟骨の摩耗・靱帯の過緊張・筋腱の滑走障害・神経の絞扼や緊張から痛みの誘発という段階を経て骨の変形に至ります。

骨の変形が進むまでは一般的なレントゲン像はあまり有用ではありません。
エコー像やMRI 像が初期は有用ですが、動きを評価できることや診断と治療を兼ねた注射を狙い打ちできるという点で、特にエコーが重要視されるようになっています。

現状ではまだまだそういう整形外科が少ないこともあり、近くに理学療法士による運動器リハビリが受けられてエコー像をみながらの注射もできる整形外科がない方は、車で1時間かけてでも、当院を利用されることをおすすめします。

痛みの部位の特定は簡単ではなく、またひとつの場所だけとも限らないことから、整形外科医と理学療法士の協力で痛みの部位を絞り込むことが求められるようになっています。

簡単ではありませんが、そういった治療を栃木県で行っている数少ない施設です。

今年も当院は熱意を持って治療に当たります。
スポーツ選手であれば早く現場に復帰できること、目標とする試合に出場できること。
人生の進路を左右する大会で活躍できるようにすることも課題になります。

スポーツ選手でない場合は、そこまでの制約はないにしても、少しでも早く症状が改善できるよう努めます。

2023年が皆様にとってよい年となりますよう、当院がお手伝いできれば幸いです。

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