昨年末に厚生労働省が2020年の県別の平均寿命を発表しました。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22DCG0S2A221C2000000/
2年のタイムラグがあるので、実態を反映していない可能性もありますが、栃木県の女性はこれまで「定位置」に近かったワースト2位からワースト3位の第45位になりました。
44位茨城・45位栃木・46位福島というように隣県どうしが順位も並んでいるので、生活習慣もかけ離れていない地域性と平均寿命に関連があるかもしれません。
西高東低というか、西日本はやや長生きで、東日本はやや短めという傾向はあるように思われますが、長野県が男女とも上位、男性では栃木よりも沖縄・高知・大阪が下位にいるなど傾向に当てはまらない地域もあります。
日本人の死因の第1位はがんとなっていますが、脳血管障害や心筋梗塞などの突然の死亡も引き続き重大な問題です。
がんの予防は簡単ではないかもしれませんが、脳血管障害や心筋梗塞は生活習慣によるところも大きいでしょうから、これまで内科の先生方・保健師・行政が協力して、長年にわたり治療や保険指導が行われてきました。日本は世界的にはトップレベルの平均寿命の国になっています。
当然ながら、生活習慣・健康状態は人によって異なるので、90歳を過ぎても元気に外出をする方もいれば、70代にして近所を歩くのみという方もいます。すでに介護保険サービスを利用している方もいます。
海なし県の栃木県は内陸であり、冬の天気予報を見ていただくと、宇都宮の最低気温は札幌や東北・北陸の県庁所在地と比べて低いこともあります。積雪がほとんどなく晴天が続くため、放射冷却が厳しくなって朝晩と日中の温度差が大きくなり、血管の障害が起こりやすいかもしれません。
例年のことではありますが、真冬は来院される方の手指・足趾の著明な皮膚温低下や凍瘡(しもやけ)を認めることも日常的になります。
暖房に対する考え方が北東北や北海道の方々とは異なっているようであり、「暖房はもったいない」という意識がどこかにあるように思われます。リビングあるいは茶の間と呼ぶような、人がいることの多い部屋のみ暖め、それ以外のスペースは暖房をつけないという方も少なくありません。
寝室は眠りにつくときのみタイマーで暖房をするものの、就寝中はつけないという方も多いようです。
住宅メーカーも「ヒートショック」という言葉を使い始めているようですが、生活空間の温度変化が大きいと血圧の変動が大きくなり、動脈硬化の想定される世代では、脳血管障害や心筋梗塞のリスクになると考えられます。
当院のある下野市は、農村地帯も多く、特にJRの線路から離れるほど農村が拡がり、昔からの生活習慣が残っている傾向があって、広い農家でありながら、家の中にこたつがひとつあるだけという家庭もあるようです。
生活空間が冷えていると、整形外科の立場では、筋肉のこわばりや関節痛、腰痛などを引き起こしやすいので、転倒・骨折の要因にもなり得ると考えます。
組織に血液が十分に流れることが病気・ケガの治療や予防のうえで大切で、ケガの急性期を除けば、冷やさないほうがよいように思われます。
そのため、部屋全体あるいは家を暖めるために暖房は大切です。
温度変化の激しい茶の間と浴室・トイレの移動は血管にかかる負荷が大きい可能性があります。
寒い廊下を通って、寒い脱衣所で服を脱いだり、寒いトイレでズボンを下ろしたりすると、血圧が急上昇しているかもしれません。
入浴の場合は、寒い洗い場から暖かいお湯の中につかることで、一気にリラックスすると血圧が急に低下することもあります。これで意識障害を起こしたり、時には溺死してしまうことがあります。血管の拡張で血栓が急に移動すれば心筋梗塞を起こす可能性もあります。
年末に俳優の佐藤蛾次郎さんが亡くなったのも浴室でした。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/219559
ヒートショックには生命に関わる怖さがありますので、急激な温度変化を生じないように、家の中の温度差を小さくすべく、扉を閉めないで暖房をしていくことが望ましいと考えます。
暖かい環境を作ることで、暖房のための電気・ガス・石油の代金は増えるかもしれないけれども、医療費が減るかもしれませんし、薄着でいられれば洗濯で使う水道・電気・洗剤は使用が減るかもしれません。
安全を買うと思って、ご自身へ投資をしていただければと思います。5年後は栃木の平均寿命のランクが上がっていることを期待しましょう。

https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA22DCG0S2A221C2000000/
2年のタイムラグがあるので、実態を反映していない可能性もありますが、栃木県の女性はこれまで「定位置」に近かったワースト2位からワースト3位の第45位になりました。
44位茨城・45位栃木・46位福島というように隣県どうしが順位も並んでいるので、生活習慣もかけ離れていない地域性と平均寿命に関連があるかもしれません。
西高東低というか、西日本はやや長生きで、東日本はやや短めという傾向はあるように思われますが、長野県が男女とも上位、男性では栃木よりも沖縄・高知・大阪が下位にいるなど傾向に当てはまらない地域もあります。
日本人の死因の第1位はがんとなっていますが、脳血管障害や心筋梗塞などの突然の死亡も引き続き重大な問題です。
がんの予防は簡単ではないかもしれませんが、脳血管障害や心筋梗塞は生活習慣によるところも大きいでしょうから、これまで内科の先生方・保健師・行政が協力して、長年にわたり治療や保険指導が行われてきました。日本は世界的にはトップレベルの平均寿命の国になっています。
当然ながら、生活習慣・健康状態は人によって異なるので、90歳を過ぎても元気に外出をする方もいれば、70代にして近所を歩くのみという方もいます。すでに介護保険サービスを利用している方もいます。
海なし県の栃木県は内陸であり、冬の天気予報を見ていただくと、宇都宮の最低気温は札幌や東北・北陸の県庁所在地と比べて低いこともあります。積雪がほとんどなく晴天が続くため、放射冷却が厳しくなって朝晩と日中の温度差が大きくなり、血管の障害が起こりやすいかもしれません。
例年のことではありますが、真冬は来院される方の手指・足趾の著明な皮膚温低下や凍瘡(しもやけ)を認めることも日常的になります。
暖房に対する考え方が北東北や北海道の方々とは異なっているようであり、「暖房はもったいない」という意識がどこかにあるように思われます。リビングあるいは茶の間と呼ぶような、人がいることの多い部屋のみ暖め、それ以外のスペースは暖房をつけないという方も少なくありません。
寝室は眠りにつくときのみタイマーで暖房をするものの、就寝中はつけないという方も多いようです。
住宅メーカーも「ヒートショック」という言葉を使い始めているようですが、生活空間の温度変化が大きいと血圧の変動が大きくなり、動脈硬化の想定される世代では、脳血管障害や心筋梗塞のリスクになると考えられます。
当院のある下野市は、農村地帯も多く、特にJRの線路から離れるほど農村が拡がり、昔からの生活習慣が残っている傾向があって、広い農家でありながら、家の中にこたつがひとつあるだけという家庭もあるようです。
生活空間が冷えていると、整形外科の立場では、筋肉のこわばりや関節痛、腰痛などを引き起こしやすいので、転倒・骨折の要因にもなり得ると考えます。
組織に血液が十分に流れることが病気・ケガの治療や予防のうえで大切で、ケガの急性期を除けば、冷やさないほうがよいように思われます。
そのため、部屋全体あるいは家を暖めるために暖房は大切です。
温度変化の激しい茶の間と浴室・トイレの移動は血管にかかる負荷が大きい可能性があります。
寒い廊下を通って、寒い脱衣所で服を脱いだり、寒いトイレでズボンを下ろしたりすると、血圧が急上昇しているかもしれません。
入浴の場合は、寒い洗い場から暖かいお湯の中につかることで、一気にリラックスすると血圧が急に低下することもあります。これで意識障害を起こしたり、時には溺死してしまうことがあります。血管の拡張で血栓が急に移動すれば心筋梗塞を起こす可能性もあります。
年末に俳優の佐藤蛾次郎さんが亡くなったのも浴室でした。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/219559
ヒートショックには生命に関わる怖さがありますので、急激な温度変化を生じないように、家の中の温度差を小さくすべく、扉を閉めないで暖房をしていくことが望ましいと考えます。
暖かい環境を作ることで、暖房のための電気・ガス・石油の代金は増えるかもしれないけれども、医療費が減るかもしれませんし、薄着でいられれば洗濯で使う水道・電気・洗剤は使用が減るかもしれません。
安全を買うと思って、ご自身へ投資をしていただければと思います。5年後は栃木の平均寿命のランクが上がっていることを期待しましょう。

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