下野市の介護認定審査会の委員を連続して15年以上務めていて、現在の委員ではいちばん長く担当しています。

審査会は市役所の会議室で開催されます。

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少子高齢化が進み、介護認定の症例が増えていることから、下野市においては長い認定期間として36か月の認定をすることが増えました。

有効期間についての市の指針があり、新規申請と区分変更申請は原則12か月、更新申請は前回の介護度が異なる場合でも状態が安定していると見込まれれば36か月、前回と介護度が同じで状態の安定が見込まれれば48か月ということになっています。

更新する回数を減らして審査会の負担を減らすという考えになるかと思われますが、それでも1回の審査で16~26件で、市としては週に2回の審査会を開催していて、単純に計算すれば、週に40~50例、1か月に160~200例、年間1900~2000例以上の審査ということになるでしょうか。

人口は6万人未満ですので、市民30人にひとりぐらいが介護認定を受けているということになりそうです。

下野市の介護保険認定審査会は現在ペーパーレスに移行してきたところで、タブレットを貸与されており、そちらに審査会の資料は1週間前にデータで送られてきます。

4~5日かけて資料に目を通し、アルゴリズムに基づいてはじき出される「一次判定」を変更するべき記載がないかどうか確認をして、「二次判定」に向けた事前意見を入力していくという形になっています。

介護申請の際は、主治医の意見書が必要になります。
内科も整形外科も心療内科も通院中など、いくつもの診療科に受診している方は、誰を主治医にするか検討することも大切です。

いちばん困っているのが関節の痛みや転倒骨折に関連した症状であれば整形外科を、物忘れなど認知症などの問題であれば内科あるいは神経内科の先生に相談をされるべきでしょう。

主治医意見書があまりにあっさりと書かれていたり、全くピントの外れた記載になっていることも多く、介護審査の役に立たないケースも珍しくありません。

介護認定も十数年前よりは厳しくなったような気もしていて、申請しても「非該当」となる症例も増えた気がします。

感覚としては、介護認定が認められやすいのは①がんの末期、②脳卒中で麻痺が強くて会話も困難な状況、③認知症が進行して目が離せないような状況になっている、といった場合のような気がします。

整形外科の扱う運動器疾患はあまり考慮されません。

介護認定のための調査では、5m歩ければ歩行能力はありとなり、片脚で1秒立てれば片脚立ちができるとされます。

筋力低下は「高齢のため」とされがちで、くり返し転倒をしていても、しばらく転倒していなければ「最近は転倒していない」などと書かれ、危機感のない調査書類になっていることも多いです。

介護認定とは、あくまで「介護する側の手間」の評価であって、「介護される側の立場」になっているものではありません。

ベッドから車椅子に移るときに自分で踏ん張ることができるのかどうか、介護に抵抗しないかどうか、介助をしなくても自分で食事の動作ができるかどうか、同じ話を30分に5回も6回もして傾聴の手間がないかどうか、不潔な行動がないかどうか、などを評価していることが主です。

自由に動き回れて認知症が進行すると、施設の外に勝手に出て行こうとすれば危険(あるいは施設側の責任問題)になるので、目が離せないということにつながります。

自由に動き回らずおとなしく座っていられる、介護施設のスタッフの指示に従えるという方は、介護の手間がかからないということになります。

座った状態で膝がまっすぐ伸ばせれば筋力があるとか、腕を水平に上げられれば関節は硬くなっていないと考えるような状況で、実用的な運動器の機能は求められていません。

従って、高齢者が転倒骨折をして手術をしたけれども、外来通院ではリハビリを行えないから介護サービスに回ってと言われても、歩けるようになるかどうかは疑問で、手術はしたけれど車椅子ゴールになるというようなことも起こるし、それを「歳なので仕方がない」と判断されることも珍しくないようです。

これからもっと高齢化が進み、介護を要する人が増える一方、それを支える現役世代は少子化で減っていくので、勤労者が減れば、税収も減り、介護サービスを維持できるのかどうか懸念されるところです。

保険料が値上げされても、介護サービスの保険点数が大幅に上がることは考えにくく、介護職として働く人の給与はなかなか上がらないうえに、土日も祝日も年末年始もシフトで勤務という仕事のスタイルは敬遠されがちなので、人手不足もずっと続くことが想定されます。

介護保険サービス導入のきっかけになる疾患としては、厚生労働省の「国民生活基礎調査」(2022年)によれば、「認知症」16.6%、「脳血管疾患(脳卒中)」16.1%、「骨折・転倒」13.9%、「高齢による衰弱」13.2%、「関節疾患」10.2%となっています。

骨折・転倒と関節疾患は言うまでもなく整形外科の扱う疾患ですし、高齢による衰弱も筋力低下が背景にあるとすれば、ロコモやフレイルと呼ばれる問題が大きいと思われ、それも整形外科の領域です。

さらに、いちばん多い認知症も、外出が減って閉じこもったことをきっかけとして生じていくものがあるとすれば、やはり背景には運動器の機能低下として整形外科の疾患の問題が考えられます。

介護保険サービスが何かと厳しい状況にあるということを理解いただき、筋力低下や転倒骨折・手術を予防すべく、日頃から理学療法士のもとで運動器リハビリテーションの行える整形外科にかかりつけを作っておくべきでしょう。

当院では、80代でも90代でも、全身状態が許せば運動器リハビリテーションを行っています。

きちんと発症や手術から150日以内の病名が付くことが条件となります。

病名がつけられない場合でも、自由診療ではありますが、運動療法を実施していますので、転倒・骨折・手術・介護よりも安いと考えて、運動療法としてのコンディショニングについてご相談下さい。