下野市の介護認定審査の委員を連続17~8年務めています。

下野市ではここ数年はペーパーレスになって、iPadを貸与されて事前に送信されてくる書類に目を通し、事前の意見もiPadで送信となっています。

1回の審査会で20名前後の症例を審査します。

高齢化が進んでいるので、90代の審査書類も当たり前のようになり、移動に支障をきたしているケースが大変多いです。

介護認定では5m歩けるかどうか、片足立ちが1秒できるかどうかが判断基準のひとつであり、屋外での実用的な歩行は求められていません。

概況調査では、「壁や家具につかまり歩行」と書かれていることが多いのですが、壁は触ることはできてもつかまることはできませんね。

家具はつかむことができても、椅子やテーブルであれば、角度によってはつかんだそばから動いてしまうこともあるかもしれません。

「慎重に移動しており転倒はない」といいつつ、「転倒が心配」と書かれていることもあります。

いちばん転びやすいのは居室とされ、寝室や居間が危ないにもかかわらず、外はカートや杖を使うのに、自宅内は「慎重に移動」などとされており、なかなか危機意識が深まらないのが現実です。

介護申請をする一般の方々はもちろん、認定をする委員や行政の皆さんも運動器疾患に対する危機感はあまりないのが現実です。

そもそも健康診断では整形外科の扱う疾患はほとんど対象にならず、せいぜい5年に1回の骨粗鬆症の集団検診ぐらいで、しかも整形外科の施設では用いられることのほとんどない踵の骨での検査をしている程度です。

ベッドにせず布団で寝ている場合は起立時のふらつきが懸念されます。

安全に立ち上がりやすいのは高めの椅子やベッドなのに、転ぶといけないといって低いマットレスや、こたつや座卓で食事をするような生活スタイルを高齢になっても続けている方も珍しくありません。

ふらつき・めまいが頭の位置の角度の変化が大きいことで生じたり、立ち上がるまでの垂直方向の長さ(落差)も大きければ位置エネルギーを稼がなければいけないですが、筋力低下でふらつくことも想定されます。

筋力やバランス感覚については個人差があり、運動療法は個人の背景としての既往歴や生活環境なども考慮したうえで、個別で行うべきものと考えます。

集団で体操を行っていたり、医学的な背景も考慮せずにジムに行っていたりというケースもありますが、効果は期待しづらいように思われます。

安易に「高齢のため」とせずに運動器リハビリの行える整形外科で相談をすることが望ましいです。

内科的な問題がなければ、当院では80代はもちろん、90代でもリハビリをはじめとする運動療法も検討します。

整形外科の施設でも、病院は外来通院のリハビリは実施困難なことも多く、診療所は理学療法士による運動器リハビリテーションを行わずに電気治療やせいぜい簡単なマッサージ程度ということも多いようです。

介護サービスとしては転倒を防ぐために、自由に施設内を歩かないよう指導しているケースが多いように思われます。個別での運動も十分に行えるのかどうかよく確認されることをおすすめします。

転倒予防の運動は、介護サービスではなく、健康保険での医療として実施できる可能性が高いです。

受診先に困ったら、どうぞ下野市の薬師寺運動器クリニックをご相談ください。