伴奏楽器という言い方がある。どういう意味で使われているかよくわからないけれど、いわゆるメロディーしか演奏する事の出来ない単音楽器(例えばトランペットとか）を支える事が出来る“和音が出せる”楽器は、おそらくこういう言い方が出来るのだろう。
ピアノ･･･これは考えればすぐわかる。同類でオルガンやピアニカ等もある。
ギター･･･これもバンドではいわゆるコード楽器。同類でウクレレ等。
ヴァイオリン･･･これも2音は同時発音出来るので伴奏も出来る
そして今日の写真の揚琴（ヤンチンと読む）
中国の民族楽器で、ピアノの原型とも言われる打弦楽器だ。
幅１ｍくらいの台の上に約130本のスチール弦が張られていて、それを竹で作った撥で叩いたり、引っ掛けたり、こすったりして音を出す。
最近この揚琴奏者「張 林（チャンリンと読む）」と知り合い、彼の演奏を聴いた。
一般的な中国人のイメージとはかけ離れた地味な人柄だが、ひとたびスティックを持つとどこから湧いてくるのだろうか？と思う位のエネルギーを発散してくる。
演奏にたむける集中力はまさに圧巻。
もちろん演奏技術は言うまでもない。
さてこのいわゆる「伴奏楽器」といわれる揚琴だが、彼の手にかかると魔法の楽器のように、様々な表情を見せる。
ピアノの様に伴奏をしながらメロディを奏でたり、二本のスティックであらゆる奏法を使ってアンサンブルをリードしたり、そしてまたニ胡等のメロディー楽器を支える効果的な和音をつくりあげたり。
特に先日行われた彼のコンサートは、二胡やウッドベースを相手に、揚琴の｢独立楽器･アンサンブル楽器｣としてのあらゆる可能性を立証したものだった。
まずウッドベースとのDUO「牧歌」で内モンゴルのメロディーをリードする。
次にニ胡と「月夜･･げつや」というアンサンブル重視の曲。
｢山歌調」ではニ胡との掛け合い。
そして揚琴ソロとなるが、それまでのアンサンブルの時とは少し表情が変わり、あらゆる奏法を駆使しての名人芸を披露。
また後半ではベースの吉野弘志と即興演奏を交えたスリリングな演奏を披露。
まさに張林の実力見せつけたりといった内容の、素晴らしいコンサートだった。
