理科実験2日目は12月25日「クリスマス」に行われました。
ほとんどの人がキリスト教徒であるソロモンでは、とても神聖な日に、何と、小さな日本人の“あつかましい”要望にジョン教授は答えてくれたのです。
まず、この『奇跡』とも言うべきハプニングに感謝するしかないです。
さて、2日目のこの日は、器具の場所も薬品の種類も把握できているので前日よりは大分スムーズに実験を行うことができました。
この日は、ジョン教授にカメラを回してもらい、私がDVDに出演してみようと思い、張り切って臨みました。
ソロモンの子どもたちにとっても、「日本人が白衣を着て何を始めるのだろう?」と興味が湧くのではないかと期待をしています。
最初の実験は昨日できなかった水素の発生実験!
☆準備物
・塩酸・マグネシウム・試験管・ゴム栓・マッチ等
この実験は、ブログでは伝えることのできない「音」に感動を覚える実験であると思います。そう考えると体験によってしか得られない“五感”を使った学びの重要性が理解できます。
水素がたまった試験管にマッチの火を近づけると・・・・
「ピュッ!!」と高い音が鳴るのが特徴であり、中学校のテストでは“音を出して燃える”というふうに、音を聞いていないと答えることができない解答方法が要求されるほどです。
次の実験は・・・アンモニアの発生実験!これは、私が行いました。
☆準備物
・塩化アンモニウム・水酸化カルシウム・ガスバーナー・ガラス管・ゴム管・ゴム栓・試験管・丸底フラスコ・BTB溶液・フェノールフタレイン溶液・リトマス紙等
この実験は「色」の変化に感動し、視覚を大変刺激する実験です。それに加え、アンモニアの「におい」は刺激臭といい、大変鼻が痛くなります。これもまた五感を刺激する良い実験です。
アンモニアは空気より軽いため、試験管やフラスコを上に向ける“上方置換法”で集めるのも特徴です。
アンモニアにまず近づけるのは、「水に濡らした赤色リトマス紙」です。アンモニアは水に非常に溶けやすく、しかもアルカリ性を示すため、リトマス紙に変化を与えます。
アンモニアは赤色リトマス紙を・・・・・青色に変えます。
次に行うのが、アンモニアが溶け込んだ水溶液にフェノールフタレイン溶液を入れると・・・・赤色に変化しますね。この指示薬はアルカリ性のものにしか反応しません。
最後は、BTB溶液を入れてみて・・・・青色に変化することを確認します。このようにいくつかの方法でアンモニアの性質を調べていきました。
(噴水の実験は乾いたフラスコを準備したり、ゴム栓にちょうど良い穴をあけることが困難であるため断念・・)
次の実験は・・・水溶液に電流を流す実験!
☆準備物
・炭素棒2本・ビーカー・導線・電源装置・豆電球等
この実験には、私の実験を是非見たいと言ってくださった同期の隊員さんが協力してくださいました。わざわざ大学まで足を運んでくださり、白衣まで着て出演してくださいました。ソロモンの人々も日本人女性が実験をしている様子には興味が惹かれるでしょう。有難い!
まず、ただの蒸留水に電源装置につないだ炭素棒2本を入れ、スイッチを入れて、豆電球が点灯するか確認します。この場合、豆電球は点灯しません。
しかし、スイッチを入れたままの状態で、塩化ナトリウム(食塩)を蒸留水に入れた瞬間、豆電球が明るく点灯します!これは、マジックのように生徒を驚かせることができる実験です。魔法の粉と言って塩を入れるだけで、液体に電流が通るという画期的なものです。
また、食塩の代わりに塩酸を入れても同じように豆電球が点灯することから、電解質と非電解質の説明をすることができます。
その流れで電池の実験も行うことができます。
☆準備物
・上の実験と同じ器具+銅板と亜鉛版
この実験はマルーの学校でも行い大変生徒に人気があったものです。
意外に簡単にできる実験なのでおすすめ!
食塩水や塩酸に導線と豆電球と電流計をつないだ銅板と亜鉛版を入れるだけで電気が発生することが確認できます。
今回は、豆電球をつけるために必要な電圧が高目だったため、しっかり光らせることができませんでしたが、電流計では針が躍るように振れるところを撮影することができました。
次は、酸・アルカリの性質を確かめ、中和する実験です。
☆準備物
・ビーカー沢山・BTB溶液・フェノールフタレイン溶液・リトマス試験紙・マグネシウム・塩酸・水酸化ナトリウム水溶液・砂糖水等
この実験も「色の変化」での感動という点では、中学校の実験ではナンバー1ではないでしょうか。
指示薬を入れた瞬間に色が一気に変化するため驚きます。またその色も美し色をしているため女の子たちが大変興味を持ったりする実験です。最高!
次に行ったのは、大気圧の実験です。
これは簡単にすぐできるので5分ほどでカメラに収めました。
☆準備物
・熱湯・ペットボトルのみ
熱湯をペットボトルに少し入れ、ふたを開けたまま少し振り、ふたを閉めます。
その後、急激にペットボトルを冷やすとどうなるでしょうか?
ペットボトルが音を立ててへこみ始めるのです。これは、ペットボトルの中の気圧と外の大気圧の差によって生じる現象です。生徒にとって、感じにくい大気圧を目の前で見せることのできる個人的に好きな実験です。
今日最後に行った実験は・・・・質量保存の法則を証明する実験です。
☆準備物
・電子天秤・試験管・ペットボトル・炭酸水素ナトリウム(もしくは炭酸カルシウム)・塩酸
まず、ペットボトルに炭酸水素ナトリウムを入れます。そこへ、試験管に入れたままの塩酸を試験管ごとペットボトルに入れます。これによって、最初は二つの薬品が反応していない状態が完成します。
そのままの状態で、一度電子天秤で質量を測ります。
次に、ペットボトルを逆さまにして、塩酸をこぼすようなかたちで、炭酸水素ナトリウムと反応させます。(この時、ペットボトルのふたはしっかり閉まった状態)
ペットボトルの中で薬品が反応している状態で、もう一度電子天秤に乗せ質量を測ります。
するとどうでしょう?ペットボトルの中は泡立って化学反応が起こっているのに、質量は変わりません。
しかし、次にふたを開けて中に発生した気体(二酸化炭素)を出してみると、質量が減少するのです。
ここから分かることは、化学変化をする前と後の質量は、分子が外へ逃げない限り、等しくなるということです。これを質量保存の法則といいます。
この日で全て終わらなかったので、もう一日理科室を開けていただけるようお願いして2日目を終了しました。