青年海外協力隊!ソロモン!教師!

青年海外協力隊平成27年度1次隊、理科教育でソロモンへ派遣されます、西山裕介です!理科教師として、ソロモンの中、高学校で働きます。ソロモンのマルーという田舎町ですが、人々との触れ合いを一番大切に考え、一生懸命頑張ります。

2016年02月

『マルー初研究授業』

今日は、年度初めの職員会議で企画書を提出させていただいた研究授業の日です。

 

(今回も自分の中で整理したい部分があるので、細かく区切って書かせてください。今日は、授業までの流れや考え・思いを書きます。)

 

○方法について簡潔に説明すると

私の授業に先生方が見に来るというスタイル。

1140分から始まる、フォーム4(高校1年生)の45分間の理科の授業に、その時間空きの先生方に来ていただき、コメントシート(A43分の1程度の紙)に感想とアドバイスを書いていただくというものです。

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ずいぶん前の職員会議で紙を配布したものの、覚えてくれてはいないだろうと予想し、朝から来ていただけるようにお願いして回りました。

 

先生たちの授業の合間を見て、一人ずつに、

「今日はデモンストレーションクラス(研究授業)を行うから、是非見に来てほしい。」

と言いながら、“お菓子”を渡していきます。

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職員室にある小さな黒板にも、

「是非紹介したい授業があるから、来てほしい。来てくれたら“日本のお菓子をプレゼント!”」

と書いて宣伝しました。(お菓子でもつる。お腹が減りますから。)

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日本でも研究授業の“当番”が回ってきたら、一カ月前からそわそわして、憂鬱な気持ちになったのを思い出します。

日本人でもこんなにプレッシャーがかかる研究授業を、マルーの先生に説明して無理矢理やらせることは不可能だと思いました。

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そうではなく、研究授業を導入し、教師全体の教育力向上を目指すために、まず、自分がやって見せなければならないと考えました。

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研究授業は普通に行われるものだという雰囲気を出すこと。

研究授業は“当番”になったら喜ばしいこと。

むしろ、日本の先生は研究授業というものを取り合いするんだよ!というイメージを与えること。

 

だから、見に来てもらいたい、という心からの思いを伝えるために必死でした。

来てほしい、来てくれたらいいことがある、来てくれたら心から嬉しい。

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『研究授業の目的』

・教員が研究授業とはどういうものかを知り、意義を理解し、指導力向上に向けて、継続的に実施して“危なくないもの”と感じることができる。

 

ふざけているように思われても仕方ありません。

しかし、本気の目的です。理解されにくいかもしれません。

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いきなり来た日本人が行う研究授業というものが、自分たちの国、地域、自分自身にとって、「安全かどうか」ということが間違いなく第一なのです。

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何かを始めるときは、「教育的意義」を理解しただけでは現実は動きません。そこに、自分自身の生活、暮らし、命、家族が「安全である」というベースが必要なのです。だから、まず、「研究授業は負担でなく、楽しく、ハッピーなものだよ」という雰囲気を醸し出すことが一番大切だと思いました。

これは、前の学期からものすごく感じることで、今、文化を理解するから言えます。

 

研究授業を「生み出す」ために。生みの苦しみの場面は目的も違ってきていい。

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今回の『授業の目的』は、

・ゲームを使った授業を通して、子どもたち全員が活発に活動し、授業を楽しみ、興味関心を抱いているように“見せる”。

 

日本でやったら追放されそう・・・

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本来は、子どもたちにつけたい力をつけさせるために、全力で授業を行った先生について、みんなで議論していくのが研究授業のように思います。

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そうではなく、今回だけは先生たちがメインの授業と考えさせてもらいました。

だから、先生たちに分かりやすく、子どもたちが活発に“見える”ゲームをまず使いました。(ここはもっと良い方法があるとは思います)

それを見たマルーの先生たちが、子どもたちの学習意欲が見るからに増している、と感じられるものでなくてはならないのです。

また、理科の先生に限った研究授業でないため、実験をすることもできません。どの先生にも分かりやすいもの・・・

 

このような方針で進んでいくことを決意し、教材を決定し、実践していく流れとなりました。

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○自分の思いをまとめて箇条書きにすると

「研究授業という方法を是非導入したいのです!」

「授業を見ること、見られることで効果的に学べるのです!」

「授業を見ること、見られることは失礼なことでも、恥ずかしいことでもないのです!」

「授業をもっともっと見てほしいのです!」

「マルーの学校でマルーの先生たちと一緒に授業について考えたいのです!」

 

小さい子の作文のようですみません・・・

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世界トップクラスの教育大国日本では、膨大な研究が昔から積み重ねられており、無知な自分は専門的なことは何も言えません。

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ちょっと“ひっかいた”程度ですが、研究授業の目的として下の①②のようなものがあります。

 

その目的を達成するためには、☆が必要だとしきりに書かれています。

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①「授業をみる側が実践者の意思決定プロセスに歩み寄りながら、そこでの事実を読み解いていく中で、各自が自分自身の教材観や授業観などを問い直し、同僚と議論し合う中で授業の鑑識眼を高めていくことを目的」

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②「研究授業の意義は、授業者の実践を手がかりに、参観者一人ひとりの個性的・主観的な見とりを互いに公表し合って、教材観や授業観、子ども観などを交流していくことにある」

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☆『それらの目的のために、研究授業を特別な儀式にせず、日常の授業をお互いに公開し合い、そこでの気づきを情報交換し合うものに改革していくことが期待される。外側から与えられたテーマに沿って“やらされる”研究授業ではなく、参加者同士が自分の授業改善のために主体的に学び合う協同学習会として研究授業を位置づけられたら、本来の授業研究としての意義となる。』

 

参考:(京都府教育委員会ハンドブック等)


結局、ベースとなるのは☆の部分。

それは、教員の人間力にかかっているように思います。

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マルーのアーノン・アトメア中高校では、色々なステップを飛び越して、☆へたどり着くつもりです。

だから、誰かが、

「今度は私がやってみたい!」

と手を挙げるまで絶対に自分がやり続けようと思います。

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後一年ちょっとの任期で達成できるか・・・・

 

(明日は具体的な授業内容を書きます。)

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「第3回ソロモン・日本サッカー親善大会inマルー」は第4回、5回と続いていくものなので、今回の反省点をしっかり挙げておく必要があります。

 

その前に、まず良い点を上げさせてください。

(昨日もさんざん自己満足したじゃないか、と思われるかもしれませんがご了承ください。)

 

 

今回のMVPを上げるとすると誰でしょうか。

地域のレフリー?

元気な男の子たち?

スーパースターのメンバー?

 

いいえ違います。

 

“私”が最も良かったと思ったこと、感動したこと、心から大会をしてよかったと思ったのは、「“女の子”が一緒に参加してくれたこと」です!

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小学生に交じって勇気を出してボールを蹴ったり走ったりしてくれたことに感謝します。

それを見ていた女の子とたちもたくさん集まって、かわるがわる参加してくれました。

今度の大会では、女子の大会をつくるか、最初から小学生と一緒にチームを編成していきたいと強く思います。

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マルーの地域の人々や、子どもたちに根付くスポーツに対する固定概念に、いつも違和感を感じているのが正直なところです。

 

それは、「スポーツは男子が主にするもの!」という考え方です。

 

例えば、グラウンドで女子が走り回っていたとしても、男子たちが来ると、その場所から退いてしまうような雰囲気があります。

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全ての場面で男子と女子の力関係がこのようなものであるというわけではありません。男尊女卑といわれますが、女尊男卑とみられる場面もあり、私が総合的に見る中では平等であるように思います。

授業中ならば女子の方が前の方に座り積極的に発言したり、黒板に書きに来たりします。

社会の色々な働き口を見ても、病院、マーケット、銀行、学校では、女性の方が多いように思います。

女性がよく働くんだよ、と尊敬の目があるのも事実です。

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しかし、スポーツに関して言えば、考え方が少し偏っているのと、どうしても男子が体力的に勝ってしまうのでしょう。

 

この解決方法として、「場所」「道具」を提供することで少しは解消されました。

男子に指導する際は絶対に場所を空けること、ボールを一つ女子に渡すこと。しかし、まだまだ女子の運動機会が足りません。今後はさらに女子をスポーツ参加させる方法を検討していきたいです。

 

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『ぶちぎれ事件』

 

私は小学生には日ごろ指導していないですし、元気よくプレーしているのを見ていると何も言うことはありません。

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その代わり、毎日指導している中高生に対しては、“むちゃくちゃ”厳しくなります。

厳しく指導するのを見て、びっくりする小学生たちがかえって良い動きになるのは面白いです。

 

それだけ思い入れがあるということかな。

 

事件①

今回の大会では子どもたち自身に運営させたいと考え、試合のないチームにボールボーイとラインズマンの仕事を課していました。

しかし、そのラインズマンが座っている場面を目撃します。

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こういう場面は瞬間の感覚でいってしまいます。

怒鳴り声と勢いで、プレーをしている選手もストップするほど。その様子を見て、プレーヤーに対しても切れまくるという事態へ・・・

挙句の果てには、

「今日のプライズ(商品)は全部小学生のものだ。中高生はなしだ!勝手にやってろ!今日も遊びだろどうせ!小学生以下か!そんなんで地域を引っ張れる人間になれるのか!もう終わりだ!お前らのせいでぶちこわし!帰れ!はやく家へかえれ!」

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あまり何を言ったか覚えていませんが・・・

 

事件②

閉会式前に、負けが決まって商品がもらえないチームが帰ろうとしたのです。

いつもの練習と同じようにはさせまい、とその場で勝負しました。

言葉でじっくり言って聞かせることなど考えにも及ばないくらい、頭は“切れ”てしまっていたので、まず、力づくで連れ戻し、全員座らせて説教タイム・・・(それでも数名は帰宅)

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・大会は開会式から閉会式までしっかり参加するものと教える。

・誰のおかげで試合ができているのか考えさせる。レフリー、ボール、ラインズマン。そのおかげで試合ができているのを分かっていて、その気持ちを伝えずに帰るなんて考えられない。自己中極まりない。

・みんなの将来のために大会とはどうものか知っておく必要がある。将来ナショナルチームに行くもの、ワールドカップに出るものもいるだろう。しかし、そんな時のために、大会とはどういうものかを知っておかなければならない。

・サポートする者、プレーする者、どちらもいて大会は成立することをもっともっと考えなければならない。

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(実際言ったことをあまり覚えていません。大したことは言っていないですが、気持ちだけで強く訴えかけました。)

 

 

そんな雰囲気ではありますが、小学生と合流し閉会式が行われました。

もう一度、中高生に言ったのと同じような内容の話をし、「誰のおかげで試合ができているか」をみんなで考え、レフリーやラインズマン、ボールボーイへ拍手を送りました。

有難いのが、来てくれた助っ人たちが現地語に訳して分かりやすく伝えてくれること。有難い。

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そんな話をしながら、苦しくなるのも分かりました・・・

「一番大会がしたいのは自分自身。子どもに感情むき出しで指導しているが、この子達が来なければ何も始まらないということ。」

こういった思いが、後頭部を思いっきり打ち付け、目を覚まさせます。

 

「ごめん。言うのを忘れていた。みんなが来なければ大会はできない。だから、来てくれて本当にありがとう。」

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遅かったか。

それか、教師として優しすぎるか。

ぶれぶれの教師だ。

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次につなげよう・・・

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『第3回ソロモン・日本サッカー親善大会in マルー』

が今日開催されました。

(まず、良い部分だけ書きます。反省点もありますが、それは明日書きます。)

 

子どもたちのモチベーションを高め、地域を活性化させるためには、「大会を開くことが一番の近道」(ソロモンオリンピック委員会藤山さん)

 

この言葉を信じて、どんどん大会を開催していきたいと考えています。

 

今回で3回目であり、大会の下準備は早い目に進めることができました。

大会に商品をつけることでソロモンの子どもたちの勢いは大分変わってきます。

 

今回用意した商品は、

・ソロモンのスナック菓子

・日本食(缶詰やヌードルなど)

・賞状

・オーストラリアドル(旅行で余ったもの)

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そして、下準備で一番頑張ったところは、レフリーを“地域の人々”に任せるということでした。

そこで、小さい子どもたちを相手に、時々熱心に指導されている、ポール(スモールマイケルのお父さん)を誘っていました。

このお父さんを誘ったのは後から振り返ると、大正解だったと思います。

結果的に、このお父さんの存在で、本番に沢山の助人が登場することになります。

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3回目となると、スタートの時間を午後3時としても、その時間にグラウンドには誰もいないことは分かっています。

だから、自分の中で、「4時頃かな」と思いながら、余裕を待つことができました。

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その間にすることも考えていて、早く来ている子どもたちとまずは、ゴミ拾い!その後、大会を機会に投入した新しいボールを子どもたちに蹴らせて、その「ボーン」という蹴った音を周りの人々に聞かせ、大会が始まろうとしていることを伝えます。

また、ゴミを拾いながら笛を無駄に吹き鳴らし、地域の子どもたちに「時間だよ!」と伝えたりもしました。

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日本では想像できませんよね・・・

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そんな形で、子どもたちが集まり、マイケルのお父さんも合流し、大会が始まりました。

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今回は、2面フットサルの広さのコートを作り、片方で小学生が、もう一方で中高生が試合をすることに。

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今回の目標の一つに「セカンダリーが中心となって大会を運営P2270124
する」ということを思っていたので、コーンを並べてコートをつくったりする準備から子どもたち自身で行いました。

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小学生

4チームの総当たり

10分ゲーム

1チーム5

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中高生

3チームの総当たり

20分ゲーム

1チーム6

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小学生のチームはお父さんが均等に分けてくれ、それに子どもたちが素直に従う姿がありました。

中高生は、自分たちで分けさせました。(やたらもめておりました。)

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子どもたちのモチベーションを最大にしてくれた、沢山の助人レフリーを紹介します。子どもたちの声を聞きつけ集まってくれ、マイケルのお父さんの声掛けでレフリーをしてくれることになったのです。

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まずは、凄腕リチャード!

今年から転勤になってマルーにはいないのですが、土日で帰ってきていたのです。

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そして、熱い小学校の先生デイヴィッド!

子どもを連れながらも、草を持ってラインズマンや中高生のレフリーをしてくれました。

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熱い数学教師バッドリーです!

この人が立っているだけで、子どもたちは包まれている感じを持つことができるほど温かい男です。

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また、全く知らない人にいきなりお願いをしてレフリーをしてもらいました。(名前を聞くのを忘れた・・)

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また、セカンダリーの子の兄貴がレフリーを買って出てくれました。

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このような「環境」の中で子どもたちがプレーできた最高の大会になったと思います。

(途中でぶちぎれる指導場面もありましたが・・・明日書きます。)

 

子どもたちの表情は全く違います。

子どもたちが輝ける最高の場所だと思います。

その「場づくり」が「大会づくり」なのだと思います。

 

大会でしか学べないことは沢山あります。

・大会の流れ。(開会式~閉会式)

・大会運営方法。(コート準備など)

・勝敗にとことんこだわりプレーすること。

・大会の独特の緊張感の中でプレーすること。

・レフリーに100%従ってプレーすること。

・時間に縛られること。

・順位が決まり、勝って商品をもらったときの喜び、負けたときの悔しさを味わう。

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そして、『大会でプレーできることへの感謝の気持ち』だと思います。

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自分の中では、大会を開催して、モチベーションを高めたり、自分たちで運営できるようになったりするのは全て目標であって、大会の最終目的は『感謝』を教えることだと思います。これはスポーツをする目的にもなります。

子どもたち自身の目的である「地域を励ませる存在」というのも感謝の気持ち無しに達成されないと思っています。

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どうやって気づかせるかが難しい。

例えば、大会の「裏の仕事」を学ぶことも一つの気づきにつながるかもしれません。

試合のメンバーから外れた仲間や周りの人の“支え”にミーティングによって気づかせる方法もあるかもしれません。

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「君たちがこうやってここで試合を行えるのは誰のおかげだ?」

こういう問いかけも続けていくとおのずと感謝に変わり、大会が終わった時などに、

「今まで、応援して自分たちを支えてくれてありがとう、毎朝ご飯をつくってくれてありがとう。」

といった言葉が出てくるかもしれません。

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しかし、最近ものすごく思うのが、ここマルーで試合をしたいのは誰か、ということです。

一番したいのは「私自信」です。

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子どもたちに投げかけるのと同じ質問を自分に対してしてみると、

「あなたがこうやってここで試合を行えるのは誰のおかげだ?」

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『来てくれた、子どもたち、地域の人々です』

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前々からアナウンスして、前日にまたアナウンスして、当日にゴミを拾いながら1時間ほど待って待って、待ちくたびれてやっと集まってくれた子どもたち、地域の人々によって最終的には自分を喜ばせてくれる・・・・

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まずは、率先して素直に、

「来てくれてありがとう!」

と感謝の気持ちを伝えていきたいです。

それを子どもたちが感じない限り、本物の感謝を学ばせることはできないような気がします・・・
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『夢注入プロジェクト』は「一緒にやる」という行動によって少しずつでも前進していくことを願っています。

夢を受け継いでいくこと。それが、教師の使命であると思います。

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どんな「夢」を受け継ぐのか?

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それは、

「生徒が生まれ育った、ソロモン、そしてマルーに“誇りを持ち”自信を持って地域を励ましていける存在になってほしい。」

「国をつくるためのリーダーになって、“世界に誇れる”幸せの国をつくってほしい。」

「そして、日本に良い影響を与えてほしい・・・」

自分は自分の国へ帰るから・・・

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「奪うことができないのは志である。滅びないのはその働きである。」

(吉田松陰先生)

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そんな大きな夢ではありますが、やっていることは「草の根」にすぎません。

しかし、JICAの協力隊事業では大きなステップより草の根的ステップが期待されているので、焦らずやっていけるところが助かります。

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今学期に開始している、「環境啓発活動」は生徒と共に村を回りながら、お店やマーケット、病院などにお願いして、環境ポスターを張らせていただくことができました。村の協力なくしてできないプロジェクトです。

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そして、「ソロモンを引っ張っていくことを期待する意欲ある青年」を連れながら、頭を下げて張らせてもらいます。

「面倒くさい。こんなことやってられっか!」ではなく、

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「良いことをしている。人のために働いている。」

子どもたちの表情からはそういったものが伝わってくるのが嬉しいです。

そうなる要因として、“受け入れてくれる村人の姿勢”が大きく関係していると思います。
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子どものすることに関心のない自己中な地域の雰囲気であれば、子どもたちも大人を恐れるし、良いことをしている感覚にはならないでしょう。だから、マルーは有難い。

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そして、もう一つのプロジェクトは、「通信を子どもたちと書き、村を回る」というものです。これに関しては、前回紹介しました。

そこから、ステップさせて、『通信を同僚の先生と“一緒”に書き、村へ発信する』という

ことを始めています。

そして、書いていただく最近の内容は、「生徒の良い所」です。

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この「生徒の良い所」をメッセージカードに書いて、沢山見えるところに掲示する方法は、尊敬する京都の木津第二中学校に勤めておられる先生のアイデアをいただきました。

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通信などの概念が全くないソロモンでは、書いてほしいと依頼して紙を渡してから、書き始めるまでに、数十分は考えておられました。

今の現状を見ると、通信全部を書くことなど絶対に無理だと感じます。それが負担になれば、以後やらないでしょう。

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なので、スモールステップとして、今まで通りの私の通信の空いたスペースに、一言生徒へのメッセージを書いてもらうことにしたのです。

この「控えめな依頼」によって、ソロモンの先生たちは、少しだけ意欲を出してくれるのがうかがえます。

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今回は、ビジネスの男前教師オーウェンと、やんちゃな26歳ワトソン、元パイロットの数学教師スティーブンに依頼しました。

 

数十分考えたのちにひねり出された言葉には、思いが乗り移っているのを感じます。

 

職員室に一枚、掲示板に一枚、小学校、警察署、役所、マーケット、病院へそれぞれ1枚ずつ持っていき、掲示してもらいます。

村人は、ソロモン人教師の書くメッセージに興味津々!!よしっ!

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3分の1以上の活動期間が経過した最近は、国際援助や支援とは何かということを考えたりもします。

それは、“子ども相手の支援”と“同僚の教師相手の支援”は全く別物だということが前提です。

子ども相手の支援は、ボランティアという関係よりも、まず“教師と生徒”という関係があります。その関係自体が支援者として働いているためにそれほど考える必要はありません。

 

しかし、“大人相手”の支援をどうするかが腕の見せ所のように思います。

ある本に、次のような原則があります。

プロセス・コンサルテーション10の原則

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原則1「絶えず人の役にたちたいと心掛ける。」

原則2「今の自分が直面する現実から決して遊離しないようにする。」

原則3「自分の無知を実感する。」

原則4「あなたがどんなことを行っても、それは介入、もしくはゆさぶりになる。」

原則5「問題を自分の問題として当事者意識を持って受け止め、解決も自分なりの解決として編み出していくのは、あくまでクライアントだ。」

原則6「流れに沿って進む。」

原則7「タイミングがすごく大事。」

原則8「介入で対立が生じたときには、積極的に解決の機会を捉えよ。」

原則9「何もかもがデータだと心得よ。誤謬(ごびゅう)はいつもおこるし、誤謬は、学習の重要な源泉だ。」

原則10「どうしていいか分からなくなったら問題を話し合おう。」

 

(人を助けるとはどういうことか―本当の「協力関係」をつくる7つの原則:エドガー・H・シャイン:金井壽宏著)

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特に原則6に関して、

あらゆるクライアントの会社は、組織文化を発達させており、その文化を維持することに

よって、会社としての安定性を維持しようとしている。また、クライアントとなるあらゆる

個々人もまた、自分自身のパーソナリティ(性格)やスタイルを発達させている。これら

の文化にまつわる現実や個性にまつわる現実を当初は知ることができないので、その分、

クライアントのどの領域をいじれば、モティベーションが高まり、変革を起こす気になる

か、を突き止めないといけない。この敏感な領域に最初は、大きく依拠することになる。

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そこに根付く“文化、個人の性格の理解”なしに、支援は成り立ちません。それなしに、勢いだけでシステムを作り、指示を出し、無理矢理変化を求めても、最初は圧力から変化が見られたとしても、23年経って残るものにはならないように思います。

 

この本に、しきりに出てくるもう一つのキーワードがあります。

「控えめな問いかけ」

というものです。

 

子どもへの教育でも、問いかけから自主性が育つという法則があるのと同じように、大人に対しても“控えめに”働きかける必要があるのです。

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JICAボランティアであるだけで、立場は上になるそうです。

その状態で、対手と対等にしゃべっているように感じても、自然と相手には“ゆさぶり”をかけていることになるのです。ならば、もう一つ謙虚に、控えめに、学ぶ姿勢を持って接することが“本当の支援”に繋がっていくと信じます。

 

「ジャブ」を打つというスタイルも間違っていないといのかもしれません。

「生き方を学ぶ」という目的もそんなに間違ってはいないのかもしれない・・・

 

さあ、どうなる・・・

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『大失敗』とか『痛い目に合う』経験はすればするほど自分のためになるものだと言われます。

「若い時の苦労は買ってでもしろ」

 

失敗したときや、辛い時、哀しい時にどう考えて生きていくかが人生の分かれ道なのかもしれません。

 

とはいっても、そんなことを考える余裕もないくらいつらい時はつらいし、痛い思いをした時はとことん痛いし。

世の中には、震災のように神ですら答えの見えない悲しみに襲われたり、望むわけもない紛争に巻き込まれたりと、人々の悲しみや苦しみにもその深刻さの大小があるように感じます。

 

こんな前置きですが、

世の中の失敗や困難、悲しみとは比にならないくらいの「“小さな”大失敗プロジェクト」を紹介します。

 

 

昨年行われた初めての卒業式、そして、全校合唱による「We are the world」の様子をビデオやカメラにしっかりと収めていました。

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それを、クリスマス休みの間に編集し、DVDに残すことができました。

そのDVDは卒業式前から出来上がったら村の人々も見たいと言っていたので、首都のホニアラで空のDVD50枚購入し、自分のパソコンで1時間ほどの映像を50枚焼いてマルーへ持って来ていました。

 

他の隊員の方や、大先輩から話を聞いている中で、物を売って自分たちでお金を稼いでやりくりしていくプロジェクトが沢山あることを知りました。

 

その話を聞いてすぐに、自分の“単純思考回路”が活発に動き始め、このDVDを使って、“想像に基づいて”商売を実行していようと思いついたのです。

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その方法は、簡単に言うと、

子どもたちが大人にDVDを売りに行き、その利益でボールを購入するというものでした。

 

(あらためて書くと、そんな簡単にうまくはいかなかったのです)

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☆具体的な方法

・サッカーチーム、スーパースターのメンバ―数名に、数十枚のDVDを渡す。

115ドル(200円程)でほしい人に売る。そのうちの5ドルはその売った子どもの利益となる。残りの10ドルはサッカーボールのために自分が預かる。

・売った日付、買った人の名前、ディスクの番号、お金のやり取りを記入する用紙を作成し、しっかり書かせる。

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一応「ねらい」はありました。

①自らの手でお金を稼ぎ、買ったボールでサッカーをすることで、ボールを大切にするようになる。

②商売の方法、商売の意義を理解する。(大切な活動のために物を売ってお金を稼ぐ。その喜びを感じる。)

③子どもたちが頑張ってサッカーボールを買おうとする姿を見て、地域の人々が応援してくれるようになる。

 

今考えたら、むちゃくちゃです。

 

早速、グラウンドへ行き、サッカー部のみんなにこの話をします。

目的もしっかりと伝えたつもりでした。

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「ありがとう!ユウスケ!これはいいプロジェクトだ!」

「俺が売って見せる!」

「サッカーボールを買おうじゃないか!」

 

これはいけるかもしれない!いつもの子どもたちの最初だけの勢いに完全にのせられて、突っ走ってしまいました。

 

結果から言うと、2週間ほどで売れたのは、たったの1枚!

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その間に、パソコンを持っていそうな人のところへ行って売ろうと試みたり、店に置いてもらったりしましたが、

「ちょっと考えるよ。また、後で買うよ。」

と言って先延ばしにされてしまいます。そして、“濁った表情”をされると、その裏に潜む相手の気持ちが心に突き刺さります。

 

そうこうしているうちに子どもたちのやる気も失われ、この企画は潰れていったのです。

 

今までにないような嫌な気分になったのが分かります。

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人に物を売りに出かけて交渉しているうちに、お金のために動く自分が嫌いになってくるのです。村人に断られるたびに、何か悪いことをしているような気分になってきます。だんだん心が寂しくなってくるのが分かりました。

それを子どもたちにさせている自分。

 

値段を安くすればいいのでは、などと考えれば考えるほど、“いやらしい心”が顔を出してくるようで苦しくなります。

 

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結論。

教育にお金を持ち込むことは危険である。(職業訓練校などは別として。)

お金は子どもたちの心を貧しくする可能性がある。

そして、教師自身も信念が曲がる可能性がある。

 

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世の中のトラブルの原因はほとんどがお金絡みだと聞きます。

いくら、家族や親戚関係、親友であったとしても、お金の力でそういった絆も壊されると言われます。

 

しかしながら、お金についての教育、というものは、自分の人生を振り返っても学校では教えてこられないように思います。(あったのかもしれませんが)

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そう考えると、お金の価値観は、その家庭の状況、親の価値観、地域の環境などに大きく影響を受けるのです。

少なくとも、ソロモン、マルーで子どもたちにお金(大金)を扱わせるような文化は良いものと思われていません。そして、村人同士が“シェア”する文化をぶち壊しかけたのは罪だとも思いました。

 

先日考え直し、即行でお金をとるのをやめ、人々へ無料で配って回りました。

ミーティングでもう一度掘り返そうとも思いましたが、すぐにでも撤退し、忘れ去りたいと思いやめました。

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同じソロモンのマーケットで働く隊員である坂本さんに相談したところ、色々アドバイスをいただき、解決策はあったようですが、もう二度とこういった取り組みはしたくないと思います。

 

人とお金が関係している場合は慎重に行動するべきだということと、お金と教育をつなげることは難しいことを頭によくたたき込み、今後の活動は進めていきたいと思います。

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という、小さい子供のような失敗を語る今日この頃です・・・

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