移動編
往路では東海道・山陽新幹線と在来線特急を乗り継ぎ、移動では在来線特急を利用し、復路では寝台特急サンライズ瀬戸を利用した。具体的な列車名、車両、座席番号は以下の通りである。
列車名、車両、座席番号一覧表
往復種別 |
列車名 |
車両 |
座席番号 |
備考 |
往路 |
新横浜(9:29発)→岡山 のぞみ19号 |
N700系 |
12号車10番E席 |
EXPRESS予約 |
岡山(13:35発)→伊予西条 しおかぜ13号 |
- |
1号車1番A席(グリーン) |
e5489 |
移動 |
伊予西条(10:19発)→高松 いしづち12号 |
- |
8号車7番A席 |
e5489 |
復路 |
高松(21:26発)→横浜 サンライズ瀬戸号 |
- |
14号車25番室(シングル) |
- |
往路
遠征を取り止める可能性が低くなかったため、高いキャンセル料を取られる航空機の早割り運賃で予約することが出来なかった。そのため、往路では航空機を利用せず、東海道・山陽新幹線と特急しおかぜを乗り継いで、伊予西条を目指すことにした。
新幹線から在来線特急に乗り継ぐ場合、在来線特急の特急料金が半額になる(乗継割引)。しかし、今回の場合は、乗継割引を適用した場合より、エクスプレス予約とe5489でe特急券をそれぞれ購入する方が僅かながら安くなることが分かった。また、エクスプレス予約やe5489では、ネットからシートマップの好みの座席位置を指名買いすることが出来て、かつ何度でも予約を変更出来るという利点がある。筆者は、エクスプレス予約とe5489でそれぞれの指定席特急券を購入することにした。
ここで問題になるのが、e5489で予約したしおかぜ13号の指定席特急券である。e5489で予約した指定席特急券は、JR西日本、JR四国、JR九州の管轄駅で引き取る必要があるのである。よって、今回の場合は岡山駅で引き取るしかなく、そのためには岡山駅で途中下車して改札の外に出る必要があった。そこで、時間的余裕を見て、岡山駅での乗り換え時間として、約1時間確保することにした。ここから逆算して、のぞみ19号(岡山12時30分着)としおかぜ13号(岡山13時35分発)の組み合わせを選択した。
のぞみ19号では、いつものように
- 進行方向に向かって右側の窓側の原則
- ゆったりと寛げる広い客室
- 線路から伝わる振動が低減される車両の中央部
を全て満たす座席位置を指定した。尚、のぞみ19号はN700系で運転されるため、「長窓の後方の原則」は該当しない。
一方、瀬戸大橋を渡るしおかぜ13号では、敢えて上記各原則に拘らず、先頭車両の展望席を指定した。筆者が瀬戸大橋を渡るのは今回が初めてであり、どうせなら先頭車両の展望席でと考えたのである。先頭車両の展望席で瀬戸大橋デビューを飾るのが、今回の西条・高松両公演の遠征の目玉の一つであった。
松山行きのしおかぜの先頭車両は、グリーン車になる。展望席と言えるのは1号車1番A席のみであり、同じ1番でも、B席やC席は正面に障害物があって前方が見難い座席なので、展望席とは言えない。
当日は天気が良く、富士山がよく見えた。よく考えてみれば、新幹線で大阪以西に来たのは、実に久し振りであった。のぞみ19号は、ダイヤ通りに運転され、定刻の12時30分に岡山に到着した。
瀬戸大橋 〜 しおかぜ13号より
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岡山から、しおかぜ13号に乗り換えた。自由席はそれなりに混雑していたようだが、先頭のグリーン車はガラガラだった。いよいよ、ここからが往路のクライマックスである。本州最後の駅である児島を発車すると、列車は瀬戸大橋に差し掛かった。筆者は、展望席から瀬戸大橋を堪能することが出来た。思っていたより、渡るのに長い時間を要した。流石は瀬戸大橋である。
四国に入ると単線区間になった。列車は、のどかな田舎の風景の中を走っていた。快適な列車の旅だった。四国には本州にない独特の雰囲気が感じられ、何か時間がゆっくり流れているように思えた。しおかぜ13号は、ダイヤ通りに運転され、定刻の15時17分に伊予西条に到着した。
移動
瀬戸内海 〜 いしづち12号より
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松山−高松間で運転される特急いしづちは、宇多津で特急しおかぜと分割・併合が行われる。終着の高松まで運転されるいしづちの車両は2両しかなく、始発駅でない伊予西条から乗車する場合は、指定席の確保が必須である。
予讃線は単線区間のため、「進行方向に向かって右側の窓側の原則」は殆ど意味がない。また、予讃線の上り列車で瀬戸内海を見るためには、 進行方向に向かって左側の窓側でなければならない。また、午前中の列車の進行方向に向かって右側の窓側は、日射しを受けるため、車窓を堪能出来ない。以上のことから、「線路から伝わる振動が低減される車両の中央部」にある進行方向に向かって左側の窓側を指定した。尚、特急いしづちの指定席は先頭車両にしかないため、車両に選択の余地はなかった。
伊予西条からいしづち12号に乗車した乗客の多くは、西条公演のライブ参加者のようだった。流石に、関東近辺のライブ会場でよく見かける常連客はいないようだった。筆者と同様に、彼らも高松へ向かうようだった。予想通り、指定席は満席だった。いしづち12号は、ダイヤ通りに伊予西条を発車したものの、下りの特急列車が若干遅れていたため、その影響で約5分遅れで高松に到着した。
復路
ライブ終了後、関東方面に帰還するには、夜行高速バスと寝台特急サンライズ瀬戸の2つの方法がある。ドリーム高松号の早割運賃を利用すれば、僅か6170円で東京まで戻ることが出来るため、交通費を削減するだけであれば、夜行高速バスを選択すればよい。
しかしながら、夜行高速バスでは熟睡出来ないという問題がある。筆者は会社員のため、翌日は朝から出勤しなければならず、睡眠不足になると困る。一方、寝台特急にはベッドがあって完全に横になれるため、夜行高速バスより熟睡出来るのではないかと考えた。また、ライブが終了するのは20時40分頃と想定されるため、高松を21時26分に発車するサンライズ瀬戸を利用するのが、最も時間的に無理がないプランであると考えた。筆者は、サンライズ瀬戸で横浜市に帰還することにした。
筆者がサンライズ瀬戸に乗車するのは、今回が初めてだった。復路でサンライズ瀬戸に乗車するのが、今回の西条・高松両公演の遠征の目玉の一つであった。
サンライズ瀬戸の一人用個室寝台には、シングルデラックス、シングル、ソロという様々なタイプがある。シングルデラックスは最もグレードが高い個室寝台であるが、その分寝台料金が高く、約9時間という乗車時間を考えるとコストパフォーマンスが悪い。また、ソロは狭過ぎて居住性が悪いという評判だった。筆者は、編成内の個室の大半を占めるシングルを選択することにした。
シングルにも、階上室、階下室、平屋室の3種類がある。居住性だけを考えるのであれば天井高がある平屋室が一番であるが、平屋室は車両端にあるため、線路から伝わる振動が大きくて熟睡出来ない可能性がある。階下室は、列車走行時の揺れが最も少ないと言われているが、眺望が悪く、また車両下部の絞りの部分に掛かるため、階上室や平屋室に比べて床面積が若干狭くなっているのがマイナスポイントである。
エクスプレス予約やe5489のように、JR指定券もネットで購入出来る時代になっているが、寝台券だけは、相変わらず駅窓口で購入する必要がある。筆者は、指定券発売日の午前10時ちょうどに駅窓口に行き、サンライズ瀬戸のシングルの個室寝台券を購入しようとした。ところが、空きが一つもないと言われる。試しにシングルデラックスはどうかと聞いてみると、こちらも空きがないということだった。
筆者は唖然とした。はじめは、関東方面から高松公演に遠征する倉木麻衣ファンからの申し込みが殺到したために、全ての個室寝台券が売り切れてしまったのではないかと思った。しかしながら、シングルのみならず、寝台料金が高いシングルデラックスまでも一杯とは、何かおかしい。その日の夕方、筆者はもう一度駅窓口に立ち寄ってみた。すると、今度は十分空きがあると言う。筆者は、車両中央部の階上室に当たる14号車25番室を指名買いすることが出来た。
どうやら、先行手配していた旅行会社が全てのシングルとシングルデラックスを抑えていたようで、午前10時の時点では、販売可能なシングルとシングルデラックスが一つもなかったようである。それが、夕方までに解放されたものとみられる。寝台特急の個室寝台券を購入する場合、発売日の午前10時の時点で希望の個室に空きがなくても、旅行会社からの放出分があるので、望みを捨ててはいけないということだろう。
筆者は、別の駅窓口で14号車11番室を購入した。こちらは先頭車両の運転台の後ろに位置する平屋室である。サンライズ瀬戸の先頭車両の運転台側には乗り降りするための扉がなく、14号車11番室の前の廊下を他の乗客が通ることは殆どない。そのため、この個室は独立性が非常に高い点が魅力だった。14号車25番室と14号車11番室のどちらを採用するか最後まで悩んだが、今回は熟睡することを優先し、線路から伝わる振動がより少ないと思われた14号車25番室の方を選択した。14号車11番室の方は、払い戻しとなった。
JR高松駅改札口
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寝台特急サンライズ瀬戸
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当日のライブ終了後、筆者は高松駅に21時前に戻って来た。サンライズ瀬戸は既に入線していたが、ホームに乗客の姿は殆どなく、シーンと静まり返っている。どうやら、始発の高松から乗車する人はあまりいないらしい。花形の寝台特急列車としては、少し寂しい出発風景だった。
列車は夜の瀬戸大橋を渡り、岡山に到着した。ここで出雲から来たサンライズ出雲と併合し、14両編成で東京へ向かうことになる。岡山でかなりの乗車があったようだが、個室のドアを閉めていたので詳しい様子は分からなかった。これ以降は、車内アナウンスもなくなるので、筆者も寝ることにした。
結論から言えば、熟睡出来たとは言い難い。ふと目が覚めると、列車は大阪を出発するところだった。次に目が覚めたのは、午前2時頃だった。散歩がてらに14号車を一周してみたが、シングルとシングルツイン共に空きがあった。その後、個室に戻って数時間寝たが、午前5時頃にまたまた目が覚めてしまい、それ以後は寝ることが出来なかった。
遅れることが多いと聞いていたサンライズ瀬戸であるが、この日はダイヤ通りに運転された。列車は、6時44分に横浜に到着した。この日は月曜日で、既に朝の通勤ラッシュが始まろうとしていた。
ライブ編
ライブ会場
西条市総合文化会館向かいの飲食店
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予讃線の伊予西条駅は特急停車駅であるが、駅前には数軒のビジネスホテルとバス停留所があるだけで、商業施設の類は何もない。今回のホールツアーに限らず、麻衣さんのライブツアーでは、何故このような田舎でわざわざライブを行うのかと不思議に思うような場所がライブ会場として選ばれることがある。伊予西条もその中の1つであり、今回のホールツアーが行われる場所で、最も田舎なのは間違いないであろう。
西条市総合文化会館は、その伊予西条駅から徒歩約5分の場所にあった。筆者は初めて入場したが、築浅の綺麗な建物であった。客席は、2階席まである1100席の規模である。西条の田舎振りからすれば、規模が大き過ぎて、今の倉木麻衣さんの人気度から考えればチケットを完売させるのは難しいと言える。果たして、当日券が発売されていたようだが、結局完売しなかったようだ。
サンポートホール高松は、高松駅から徒歩約3分の場所にあり、交通アクセスの便は非常に良い。高松駅は寝台特急サンライズ瀬戸の始発駅であり、高松駅高速バスターミナルからは関西や関東方面への夜行高速バスが出ているので、遠征し易いライブ会場と言える。
サンポートホール高松は、前日の西条市総合文化会館とは売って変わって、都会的なセンスが漂う建物であった。ホール入口の3階までは、エスカレーターで上っていく必要があり、何か東京国際フォーラムやグランキューブ大阪のような雰囲気だった。建物は港の近くにあるので、会場内のロビーからは高松港を一望することが出来た。先日の台風の時は、凄いことになったのかもしれない。客席は、3階席まである1500席の規模であるが、この日の3階席は開放されていなかったかもしれない。当日券が発売されていたようだが、完売したかどうかは不明である。
座席位置
筆者は、西条公演で超良席、高松公演で良席を取得することが出来た。両者共に会場枠がない公演のため、ライブツアー2013の富田林・大津両公演のように、文句無しの超良席を揃えるのは極めて困難であることが分かっていた。そこで、今までより若干合格ラインを下げ、両公演共に良席以上を取得することが出来れば、座席位置として合格とし、予定通り遠征を実施することにしていた。
特に、高松公演の座席位置は、ステージへの角度も申し分なかった。また、筆者の座席位置の列からちょうど段差が付いていたため、前の人の頭でステージが見えなくなることもなく、ステージまでの見晴らしも良好だった。一般的な会場では、6列目付近まではフラットで、7列目付近から段差が付き始めることが多い。よって、下手に前方の端の方の超良席に拘るより、段差が付いている先頭列を狙った方が良い結果を得られることがある。筆者の高松公演の座席位置は、正にそのような座席位置だったと言える。
ライブ内容
2日間共に、バンドリーダーの大賀氏が不在だった。そのため、ギターが音量不足気味になり、バックバンドのサウンドに厚みがなかったように思う。ステージ上の大賀氏の立ち位置には、浩二が回っていた。
日替わりコーナーは、西条公演が"BE WITH U"、高松公演が"anywhere"だった。バラード曲がネタ切れになったのか、ここ最近の公演ではバラードでない楽曲も選択されるようになってきたようだ。しかし、着席したままでは、観客側も今一つ盛り上がれないので、この手の楽曲の良さが引き出せていないように感じる。矢張りこのコーナーでは、バラード系の楽曲を選択するべきではなかろうか?まだ"Start in my life"等、バラードコーナーで歌うのに相応しい楽曲が残っていると思うので、今後の公演の日替わりコーナーでは是非検討して欲しい。
2日間では日替わりコーナー以外の曲目にも違いがあり、西条公演では"さくら さくら…"と"Growing of my heart"、高松公演では"Time after time 〜花舞う街で〜"と"ベスト オブ ヒーロー"が歌われた。
2日間共に、客席に空席が散見された。交通アクセスの便が悪い西条公演では、1階4列目中央という超良席に3席連続して空席があるなど、前方の座席位置にも空席が目立った。
西条公演では、特に大人しい観客が多かったようで、開演時に客席の照明が暗くなったとき、歓声ではなく拍手が起きた。まるで、演劇が始まるときのような客席の反応だったのである。そのため、相対的にあまり盛り上がらないライブだったと考える。
交通アクセスの便が良い高松公演では、流石に西条公演より空席は少なかったものの、1階6列目中央という良席に2席連続して空席が残っていた。高松公演の会場は3階席まであるが、3階席に人影はなかった。3階席は、開放されていなかったのかもしれない。
2日間共に、地元住民と思われる終始着席したままの年配の観客が散見された。当日券が販売されていたので、倉木麻衣ライブとは一体どんなものなのか、興味本意で参加しているのかもしれない。