ライブ編
座席位置
今回のプレミアムライブでは、当日会場に入場するまで座席位置が分からないようなシステムが導入された。麻衣さんのライブにおいて、このようなシステムが導入されたのは初めてであるが、既にこのようなシステムを導入しているアーティストもいる。
例えば、B'zのライブがそのようなシステムになっている。調査の結果、B'zのライブでは、ライブ会場の入場口が一箇所に集約され、そこに入場引換券を座席券に引き換える場所が設けられているということだった。また、座席券には「再入場不可」と印字され、入場引換券を座席券に引き換えて入場した観客は外に出られないようになっているということだった。
要するに、n枚の入場引換券を持参しても、1人でn枚分の引き換えが出来ないため、物量作戦は成立しないことになる。今回のプレミアムライブでも、B'zのライブの時と同様の措置が取られることが予想されたため、筆者は物量作戦の実施を一時断念していた。そして、FC枠でn個分のエントリ全てに当選していたにも関わらず、1エントリ分のチケット代金しか入金していなかった。
しかしながら、結果的に筆者は物量作戦を敢行した。具体的な座席位置が分からないまま、ライブの日だけが刻々と迫ってくることが不安で、精神的に耐えられなくなったのである。また、n枚の入場引換券を持っていれば、それらの中に少なくても1枚の良席、超良席が含まれる確率が大きくなるため、結果的に物量作戦が失敗したとしても、少なくてもライブ当日までの心の気休めにはなると考えたのである。
また、
- 1枚の入場引換券を持参したが、1人でn枚分の引き換えが出来るようになっていた。
- n枚の入場引換券を持参したが、1人でn枚分の引き換えが出来ないようになっていた。
の2つの失敗パターンを考えた場合、前者の方は悔やんでも悔やみきれないことになる。何故ならば、前者の方は最善を尽くしていないからである。一方、後者の方は最善を尽くした上での結果なので、同じ失敗でも後者の方が後悔しない理屈である。
但し、1人でn枚分の引き換えが出来ない確率の方が圧倒的に高いと思われるため、物量作戦の規模を縮小し、多くても3枚程度に留めることにした。物量作戦を敢行した場合、どのような結果になろうと、n-1枚分のチケット取得資金を1円も回収することが出来ず、この時点で経済的損失が確定するが、チケット2枚程度の金額であれば、許容範囲内の損失額と考えた。
筆者は、FC枠で当選した自分名義の入場引換券の他に、FC枠とプレイガイド枠の入場引換券を一枚ずつオークションで取得した。ここで、プレイガイド枠を敢えて1枚含めた理由は、万に一つ1人でn枚分の引き換えが出来るようになっていて、かつFC枠の入場引換券の引き換え結果が、全てアリーナ後方ブロックだった場合のリスクヘッジである。アリーナ後方ブロックは、ステージまでの視界を確保出来ない確率が高いため、何としても避ける必要がある。視界の悪いアリーナ後方ブロックの座席位置を掴まされるくらいなら、プレイガイド枠に割り当たっていると思われる2階席スタンド後方の宇宙席の方がまだマシなのである。
ライブ当日、日本武道館には14時40分頃に到着した。グッズ売り場には、既に長蛇の列が出来ていた。まだ開演時刻まで1時間以上もあるというのに、誘導係員は「今から並んでも、開演に間に合いません」と叫んでいる。筆者は、誘導係員の言うことを無視して待ち行列に並んだ。結局、15時30分前には、グッズを買う順番が回ってきた。筆者は、ペンライトとフォトバスタオルを購入した。
「開演には十分間に合ったじゃねいかい、このボケ!!」
グッズ購入後、入場口に向かった。いよいよ、運命の瞬間がやって来たのである。果たして、1人でn枚分の引き換えは出来るのか?
しかしながら、筆者が入場口に辿り着く前に、あっけなく結末が分かってしまった。誘導係員が「1度入場されますと、再入場は出来ません」と叫んでいるのが聞こえたのである。
入場口を遠巻きに偵察すると、予想通り入場口は一箇所に集約され、そこに入場引換券を座席券に引き換える場所が設けられていた。引き換え場所は駅の改札口のようになっていて、座席券を発行して1度入場してしまうと、二度と外に出ることが出来ないようになっていた。引き換え場所の向こう側で、アリーナ席・1階席と2階席の入り口が分かれているのが見えた。
「うーむ、矢張りダメか。」
こうなると、どの入場引換券を使って入場するかが問題となるが、このようなケースは十分想定されていたので、入場引換券を引き換える優先順位を前もって決めてあった。
筆者は、Mai-K.netから干されているため、自分名義の入場引換券では殆ど期待出来ないと考えていた。一方、オークションで取得したFC枠の入場引換券は、良席が当たることが多いFC会員から取得していたので、引き換える優先順位として、
- オークションで取得したFC枠の入場引換券
- 自分名義のFC枠の入場引換券
- オークションで取得したプレイガイド枠の入場引換券
と決めていた。
以前から述べているように、今回のプレミアムライブでは、筆者はアリーナ最前ブロックに特に拘っていなかった。今回のプレミアムライブは、ハロウィンライブに匹敵するような凝った演出が入ると考えており、今までの経験上、そのようなライブでは、アリーナ最前ブロックより、ステージ全体を俯瞰出来る見晴らしのよいスタンド席前方の方が見易いことが分かっていたからである。
オークションで取得したFC枠の入場引換券から発行された座席券は、南西スタンド2階B列であった。ステージを真正面から俯瞰出来る見晴らしの良い南スタンド1階席前方を期待していた筆者は、落胆した。
しかし、よく考えてみると、南西スタンド2階B列もステージを俯瞰出来る見晴らしの良いスタンド席ではないか!しかも、前から2列目である。これは、今回のような凝った演出が入るライブで、当に筆者が求めていた座席位置ではなかったか?満額回答ではなかったにせよ、以前から望んでいたステージ全体を俯瞰出来る見晴らしのよいスタンド席前方をほぼ希望通りに取得出来たことになる。筆者は機嫌を直した。
しかし、残り2枚の入場引換券も、何とか座席券に引き換えることは出来ないものだろうか?南西スタンド2階B列ということで、座席位置として取り敢えず及第点を取ることが出来たが、残り2枚、特に自分名義のFC枠の方が更に良い座席位置かもしれないからである。先程までは、自分名義の入場引換券は殆ど期待出来ないと考えていたくせに、筆者は何とも欲張りな人間である(笑)。
そのためには、もう一度外に出る必要があるが、座席券を引き換えた先の通路は、至る所が柵で取り囲まれており、観客が外に逃げ出すことが出来ないようになっていた。人目の付かない場所から、こっそり柵を乗り越えて脱出するのはどうか?しかしながら、そのような場所には、決まって見張りが立っていた。2階席バルコニー伝いに外に逃げ出すことも考えたが、バルコニーの境界には柵が作られており、そこにも見張りが立っていた。当局もそこまでバカではないということだろう。
もしゴルゴ13であれば、一発パンチをお見舞いして見張りを気絶させ、悠々と柵を乗り越えていくであろう。残念ながら、筆者にはそのような腕力はなかった。筆者は、残り2枚の入場引換券の引き換えを諦めるしかなかった。
残り2枚の座席位置を確かめられなかったのは残念だが、以前から望んでいたステージを俯瞰出来る見晴らしの良いスタンド席前方を取得出来たことに感謝し、ライブの方に気持ちを集中することにした。尚、外への脱出ルートを探していたために、筆者が自分の座席に着いたのはかなり遅く、開演約5分前だった。
ライブ会場
自分の座席に座ると、アリーナの様子が良く見えた。先ず、アリーナ席の座席数があまり多くないことが分かった。メインステージがアリーナ区域中程までせり出していたため、アリーナ席が全体的に南スタンド方向に押しやられたためである。
今回のプレミアムライブでも、チャリティーライブの時と同様に、センターステージが設けられていた。センターステージは円形状のもので、半径約4メートル程の大きさであった。アリーナ席最前列とメインステージは、目測で5メートル近くも離れていた。その空いた空間に、ステージ下手側にはビデオカメラ移動用のレール、ステージ上手側にはビデオカメラ用クレーンが設置されていた。
客席は満席に近かったが、超満員ではなかった。よく目を凝らすと、所々に空席が散見された。いずれにせよ、筆者が引き換えることが出来なかった2枚の入場引換券があるので、超満員になることは決してないのである(笑)。2階席スタンドは最上段までびっしり観客で埋まっており、壮観な眺めであった。スクリーンは、メインステージ後方と、2階席東西スタンド脇の3箇所であった。
尚、アリーナ最前ブロックは、メインステージから目測で5メートル近くも離れていたため、いくら5列目以内の超良席でも、あまり有り難味のある座席位置とは思えなかった。特に、センターラインからかなり離れてしまうと、ステージが極端に見辛くなるため、名ばかりの超良席になってしまうであろう。今回のプレミアムライブのベストポジションは、矢張りステージを真正面から俯瞰出来る見晴らしの良い南スタンド1階席前方ということになろう。
その南スタンド1階席の大部分は、招待客で占められていたようである。この区画は、ライブ中にペンライトが殆ど光っておらず、大部分の観客が着席したまま観ていたというのがその論拠である。その分、FC席は2階席スタンドに追いやられたようである。実際、2階席スタンドのかなり上段まで、FC席になっていたようである。ライブの度に割高なグッズを購入して、麻衣さんの音楽活動を支えてきたFC会員を差し置いて、招待客にベストポジションを譲るとは、一体どういうつもりなのか?筆者は、憤慨していたのである。
ライブ内容
ライブは、筆者の時計で16時03分に始まった。先ずは、この日の曲目を以下に示す。
本編
第一部
- PUZZLE
- touch Me!
- Wake me up
- Delicious Way
- You can
- Secret of my heart
- Your Best Friend
- Tomorrow is the last time
- Stay by my side
- Reach for the sky
- Revive
- Strong Heart
- NEVER GONNA GIVE YOU UP
- Simply wonderful
- わたしの、しらない、わたし。
- Feel fine!
- TRY AGAIN
- DYNAMITE
- 無敵なハート
第二部
- サウンド オブ ミュージック
- さくら さくら
- 恋に恋して
- Time after time 〜花舞う街で〜
- 冷たい海
- 明日へ架ける橋
- 会いたくて
- あなたがいるから
- 白い雪
- もう一度
- 儚さ
- STAND BY YOU
- chance for you
アンコール
- Stand Up
- Special morning day to you
- always
- Love, Day After Tomorrow
第一部
第一部のオープニングでは、麻衣さんのデビューから今年までの各年の代表的なシーンがメインステージ後方のスクリーンに映し出された。この後、麻衣さんは、メインステージ中央部分の白いコンテナ型ステージの最も高い場所に現れた。何かアニメのコスプレキャラクターのような衣装を纏っている。しばらくの間、何故か麻衣さんはそこを動かなかった。これは後で分かったことだが、これはマイケルのライブの演出を模倣したものだったようである。
メインステージ構成は、ステージ下手側にキーボード、ベース、ギター、ステージ上手側にドラムス、ギター、コーラスのいつものバンドメンバーが配置されていた。何故かキーボードとドラムスだけは、櫓のような高所に配置されていた。櫓の下側は白い仕切りで囲われていた。メインステージ中央部分には、階段を備えた白いコンテナ型ステージが設置されていた。このコンテナ型ステージの前方左右両側も、仕切りで囲われていた。コンテナ型ステージは、中に何かを隠しておくにはもってこいであり、サイズ的にはオーケストラが丁度入るような大きさであった。この時点で、この後でオーケストラが出てくることが、ある程度予測出来てしまったのである。
図1 第一部のステージ構成
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筆者の座席位置は南西スタンド2階のため、流石にメインステージまでは遠く、麻衣さんの表情を肉眼で確認することは出来なかった。しかし、座席位置が2階席スタンドになることも想定して、筆者はオペラグラスを持参していたのだった。その後、筆者はオペラグラスを片手に、振り付けをすることもなく、大人しくライブを観賞した。筆者は、日本武道館のような大規模会場で、この日のような一発物の特別なライブを見るのは、久し振りであった。今までのライブツアー2014のホールツアーの各公演とは、観客数、ステージの広さ、舞台演出の全ての面において、スケール感が全く違った。このスケール感に圧倒されていたため、最初は筆者自身がやや戸惑い気味であった。
2階席スタンドは、筆者の周辺を含めて全般的にあまり盛り上がっておらず、数多くのペンライトが振られているものの、比較的大人しい観客が多かったように見えた。筆者の周辺環境も極めて良好であった。そもそも、日本武道館のような座席幅の狭い客席で派手な振り付けやジャンプをされたら、周辺の観客の迷惑になってしまうのである。また、筆者の座席位置は前から2列目だったため、ステージまでの視界も抜群に良好だった。
"PUZZLE"と"DYNAMITE"では、メインステージ先端の舞台演出装置設置エリアから炎が噴き出す演出があった。 また、メインステージ中央部分とセンターステージの2箇所に設置されているエレベータを利用して、麻衣さんが高い所で歌う場面が度々あった。これらのエレベータは、2階席スタンド最前列と同じくらいの高さまで伸びた。今までのライブでも、麻衣さんが高い所で歌う演出は何度もあったので、きっと麻衣さんは高い所は平気なのだろう。メインステージ中央部分のエレベータが上方に伸びているときは、少し揺れていた。
「麻衣ちゃん、怖くなかったの?」
エレベータは上方に伸びるだけでなく、ステージ下側に下降するようにもなっていて、麻衣さんの衣装チェンジの時に利用されていた。
"無敵なハート"の後、照明が入って場内が明るくなった。本編が終了したと思った一部の観客がMai-Kコールを始めた。その直後、15分間の休憩に入るとの場内アナウンスが流れると、会場がざわめいた。
第二部
第二部の冒頭では、大勢のバレリーナが登場した。メインステージ中央部分の白いコンテナ型ステージの前方左右を囲っていた仕切りがゆっくり持ち上がると、中からオーケストラの一団が現れた。手前側には弦楽器群、奥側にはピアノとパーカッションが配置されていた。木管楽器群と金管楽器群は、メインステージ左右両側の櫓の下側にそれぞれ配置されていた。指揮者は、シンフォニックライブでおなじみの藤原いくろう氏である。
図2 第二部のステージ構成
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オーケストラの演奏に乗って、バレリーナ達が優雅に踊る。この場面は、本格的なクラシックスタイルになっていた。そして、バレリーナ達がメインステージ中央部分のエレベータを囲むようにしてポーズを取ると、その中から麻衣さんがヒョイと現れ、バレリーナ風のお辞儀をした。
このコーナーでは、過去のチャリティーライブやシンフォニックライブで歌われた楽曲が中心になっていた。実は、筆者は"恋に恋して"のシンフォニックアレンジが個人的に好きだったりする。また、最新シングルの"STAND BY YOU"も歌われた。ゲストとして、バイオリニストのメイさんも登場した。筆者は、何かシンフォニックライブを見ているように思った。
但し、如何せん音響が悪過ぎた。過去2回のシンフォニックライブが行われた東京芸術劇場に比べると、日本武道館の音響性能は比較にならない程悪いのである。東京芸術劇場で聴いたシンフォニックライブの音響を基準にして聴いてしまうので、どうしても音が悪く聴こえるのである。また、ピアノはデジタルピアノが使われており、シンフォニックライブで使われていたコンサートグランドピアノに比べると、音質が相当悪かった。
いつものように、編曲は指揮者の藤原氏が手がけたものだった。これは過去のチャリティーライブやシンフォニックライブでも言えることだが、藤原氏の編曲には1つの特徴がある。それは、譜1の音型を多用することである(文脈によっては、2小節目1拍目のシンバルはないこともある)。この日初めてお披露目となった"STAND BY YOU"のシンフォニックアレンジでも、至る箇所にこの音型が現れていた。
譜1 藤原氏編曲の特徴
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「もしかして音型法ですか?それにしても、ちょっとワンパターン過ぎるんじゃね?」
このコーナーでは、北西と北東の1階席スタンド部分だけがスポットライトで照らされる場面があった。よく見ると、皆歌っているではないか。このとき、筆者はここに合唱団が入っていることに初めて気付いたのである。2階席東西スタンド脇のスクリーンには、合唱団が歌っている様子がアップで映し出されていた。
アンコール
アンコール1曲目の"Stand Up"の後、ようやく本格的なMCが入った。麻衣さんは、今年でデビュー15年目に入ったこと、この日のライブで単独ライブとしては300回目になることなど色々話してくれたが、最後の方は感極まったのか言葉に詰まってしまった。メインステージ後方のスクリーンには、麻衣さんの泣きそうな表情がアップで映し出されている。
「麻衣ちゃん、頑張れ!!」
MCを聞くために静かになっていた客席のあちこちから、声援が飛びかい出した。このようなとき、麻衣ファンはいつも温かい。筆者個人的には、ここがこの日のライブの中で最も記憶に残っているシーンの1つである。
この後、"Special morning day to you"が歌われたのは、個人的に少し意外だった。"always"、"Love, Day After Tomorrow"と最近のライブのアンコールのお決まりパターンに入り、さしもの4時間近い大ライブも終演が近づいた。よく見ると、ダンサー陣に混じってラ・ポン・ポンもいるではないか!
「ウヒョ!!可愛い!!」
しかしながら、筆者のいる南西スタンド2階からでは、ラ・ポン・ポンの細かい部分までよく見ることが出来ないのだった(オペラグラスを使用すればよいと思われるかもしれないが、細かい部分については、近距離から肉眼で直接観察する必要がある)。このときだけは、筆者はアリーナ席の観客のことを羨ましく思った。
アンコールでは、金色のテープが噴出される演出があった。幸運なことに、このテープは2階席まで飛んできたので、筆者もー本確保することが出来た。
アンコール後の最後の挨拶では、この日出演した全てのゲストがステージに勢揃いした。麻衣さんは、メインステージ両側の花道まで行って、観客の声援に何度も応えていた。麻衣さんは「来年また会いましょう。よいお年を。」と言った。そう言えば、今年はカウントダウンライブがないので、筆者が麻衣さんを直接見れるのは、今年はこれが最後ということになるのだった。
麻衣さんは「来年もまた歌を届けていきたい」とも言っていた。この様子では、当分の間は引退することはなく、今まで通りの音楽活動を続けてくれそうだ。しかしそれは、麻衣さんが当分の間は結婚しないということの裏返しであり、このままでは結婚適齢期を逃してしまうことにもなりかねない。筆者は、麻衣さんがいつまで独身であり続けるつもりなのか、逆に心配になってきた。