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同棲(どうせい)生活を送る倦怠(けんたい)期カップルの百瀬(高岡蒼甫)と佳代(田畑智子)の家に、夏休みを利用して佳代の中学生の妹・桃(元AKB48・小野恵令奈)が住み着いてしまう。自由奔放な桃は風呂上がりに下着を着けずにウロウロするなど、気まぐれな態度で百瀬を翻弄(ほんろう)し、一方、彼の心の動揺を感じ取った佳代は、百瀬の気を引こうと策を練るが…。(シネマトゥデイ)

吉田恵輔監督
キャッチコピーは「好きになるのは、カンタン。好きでいるのは、ムズカシイ。」


はっきり言って、こんなに面白い邦画は久しぶりに観ました。
もっと注目されて良い映画だと思います。
作中の三角関係を作る3人、高岡蒼甫さん、田畑智子さん、小野恵令奈さんの仕草、表情がリアルすぎました。単純にお話としてめちゃくちゃ面白かったです。そしてこの映画における最大の魅力は「こんなにも少なすぎる人物、狭すぎる日常空間」を切りとっているのにも関わらず、物語の膨らませ方がめちゃくちゃ上手い」 という部分です。予想を裏切る展開の連続が凄すぎます。

オープニング、電車の中。露出の高い服装でパンツが見えそうな位にだらしなく足を広げ、隣に座る男性の肩を借りて眠る桃(小野恵令奈)。一度は起きて謝るが、今度は逆方向に座る男性の肩を借りて再び眠る。そして最後は後ろの窓に頭をぶつける。1分未満で桃(&小野恵令奈)の魅力を最大限に描写する素晴らしいOPでした。これだけの描写で、物語が始まり、百瀬(高岡蒼甫)が桃にメロメロになってしまうであろう展開にも納得出来る程の説得力。 ここで重要なのが、この段階ではモモは男性に対して「悪気があってやっているのではないように見える」ということです。だからこそ途中まではずっと桃のことを純粋無垢な子だと信用出来るし、ラストで一気に覆されて「女の子ってワカラナイ…」となるんですが笑。
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最初の物語設定の説明不足、画面の切り替えが唐突だったりで、序盤は粗さが目立つものの、百瀬が桃を好きになっていく描写の積み重ねが巧みすぎて、個人的にこの部分に関しての物語の説得性はかなりあると思いますね。ベランダから手を振られたり、佳代に隠れて手を繋いだり、下から見つめられたりしたら…ねぇ笑。

中盤以降の展開には「この映画のジャンル何だっけ?」と思うくらいシリアスな場面になったり、ここから急展開し始めて、当初思っていた展開をどんどん裏切っていく構成で素晴らしいです。

この映画を見終わって大満足出来た理由が2つあります。
1つ目は「1つ1つのシーンが魅力たっぷり」だということです。
ドキっとしたり、クスッとするシーンが多くあって、台詞・演技・編集が凄く良い。特に好きなのは、一刻も早く桃に会いたい百瀬が、マンションの階段を1個飛ばしして、フロアを爆走するシーンが大好きです。あと新鮮だと感じたのは、桃が痴漢されるシーン。これによって自分自身の性を意識し始めるきっかけとなり、物語上でも重要となるんですけど(これをきっかけに化粧品に手を出したり、高い下着に興味を持ち出す)、電車とかメジャーなシチュエーションでないのは良いけど…痴漢の仕方、そして監督の今までの作風(女子高生を多く撮っている)を考慮すると…監督はかなり分かってると思いますね。

また、撮り方として特徴的なのは、喋ってる人物を映す出す時に「足元から顔に持っていく」カメラワークが多く、人物の魅力を引き出すのが本当に上手い監督だなあと思いました。

2つ目は、「同じ様な画のシーンで油断させておいて、そこから発展していくのが予想外の展開の連続」というのがこの映画においては抜群に上手くて、観ている人をどんどん物語に引き込んでいっていきます。それが興味深くて面白かったし、結果的にこの映画「さんかく」におけるテーマ性を多面的に、そしてより深いものさせていたと思います。
警告を受けた佳代の帰り道の画は、桃が痴漢されるシーンからのハズシカフェで並んで座る佳代と栗田(矢沢心)の画も、散々繰り返された画からのハズシ。このシーンは凄い笑える。
警告を受けることになった窓が破壊されるシーンは、繰り返してきた百瀬の「あ、モモちゃーん?」の流れからの裏切り窓から佳代が覗いているトイレシーンは2度の画を生かした裏切り。(最初はドキっとさせる桃のおしっこシーン。だからこそビビる)

最後にはそれらのフリが積み重ねって文字通り、「さんかく」の完成。納得出来るラストです。3人それぞれが微妙なきまずさを醸し出し、誰かが何かを発言することで一気に崩れてしまう三角関係。そんな中、ラストカット寸前の佳代の一瞬の微笑み。これは、完全に百瀬がモモのことが好きって確信に変わったうえで、「それでも百瀬が好きだよ。」って意味かなと解釈しました。

「佳代→百瀬」「百瀬→モモ」「桃→中学の先輩」という一方通行のストーカー展開や、モモが佳代の職場へ、佳代が百瀬の職場に押し掛ける展開はこの少ない人物設定を上手に操っているなと思いました。

以上がこの映画に大満足した理由です。他にも良いところはたくさんあって、彼女の妹という「どこか許される」桃と、だからこそガンガンいける佳代という2人の人物設定も素晴らしいし、ダメダメな男と女を演じる高岡蒼甫、田畑智子の演技力。そしてラストの桃の発言も破壊力抜群。

意外にも凄い笑えて楽しい映画でした。
どちらかと言うと恋愛要素よりもコメディ要素が強いかと。物語の序盤には桃にドキっとして、中盤は佳代にゾクッとして、終盤は百瀬に切なくなりました。この3人のリレーも「さんかく」ってことで。

ということで、 僕はかなり大好きな映画でした。エンディング曲の「空が白くてさ」もこの映画にマッチしまくりでした。
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最後に小野恵令奈さんについて。15歳(桃の設定年齢も実際の小野恵令奈も15歳)なのに体は発達していて、でも幼児体型というアンバランスさがこの映画では必要とされていて上手く機能していましたけど、演技の方は…。今後大人になって、女優としての需要はどうかなと思いますけど…。でもファンなので応援してます。