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ブレアの魔女(ウィッチ)伝説に関するドキュメンタリーを撮りに3人の映画学科の学生が森に入り、失踪する。1年後、彼らが撮ったフィルムだけが発見される。そこに映っていたものは…。 

「魔女伝説を題材としたドキュメンタリー映画を撮影するために、森に入った三人の学生が消息を絶ち、1年後に彼らの撮影したスチルが発見された。三人の学生が撮影したビデオをそのまま編集して映画化した」という設定のフェイクドキュメンタリー(モキュメンタリー)映画。(Wikipedia)


ここまで有名になり、そしてブームが過ぎ去った後なので「この映画がフェイクドキュメンタリーである」というのは分かりきってしまっているので、実際にこの映画が公開された時期に劇場で観て「この映像は本当なのか!?」と疑心暗鬼に陥り恐怖を感じる体験はどうしても出来ません。なので、ちょっと一歩距離を置いてこの映画を観ました。それにしてもインターネットを使った宣伝方法は革新的だったと思います。

実際この映画、怖くなかったです。面白かったとも言い難い内容でした。
なんですけど、嫌いにはなれない作品でした。
何故ならそれなりに完成度のある作品だと思ったからです。 

まず、この映画における「恐怖」はたしかに微妙だと思います。

まず第一の恐怖である「得体の知れない何かによる恐怖」、つまり今作でいうと「魔女伝説がある森で起こる恐怖体験」なんですが、大して怖くない…。やっぱりこの作品で物語が進むにつれジワジワ主人公たちに起こり始める「言葉では説明の付かないモノの存在」というのは、この映画を観る際に大前提である「この映画は本当なのか!?」と思えるかどうかが恐怖に結びついて行くと思うんですけど、事前情報としてモキュメンタリー映像である、というのがかなりインプットされてしまっているので、さすがに恐怖を感じることは出来ませんでした。

そして第二の恐怖である「極限の状態にさらされた場面で垣間見える人間の本能としての恐怖」これも退屈…。ただただ喧嘩するだけだったし、「人間の狂気」みたいな感情や行動は今作の中に無かったので怖くもなんともなかったです。

以上2点が大きな理由ですが、今作における「恐怖」に関しては本当に微妙だったと思います。

そして「面白さ」に関しても…はっきり面白いとは言えないと思います。

物語としては結局話がグダグダながらゆっくり進行するだけ、喧嘩するだけなので興味の持続に関しては何回も途切れそうになりました。

と言ったように、文句は色々あるんですけど、この映画を観終わって僕はこの映画、嫌いにはなれませんでした。
今作は結局アイデア一発勝負の映画だと思うんですけど、この映画における「設定」に関してはとても良かったと思います。
これがこの映画を嫌いになれなかった1つ目の理由です。
まず、「得体の知れない何か」に対する主人公たちに、どうやってそこに行動の説得性を持たすか、が重要なんですけど、今作はその「得体の知れない何か」をそもそも確かめようとしているので物語の設定上無理がない。これはまずクリアしていました。

そして次に、やはりこういう映画を観る際に引っ掛かってしまうであろう最大の疑問、「そこまでしてカメラを回し続ける信念の深さは何なんだ」ということ。今作では魔女伝説のドキュメンタリー映画を撮ろうとしてる、という動機づけがあるからこそカメラを回し続けることに不自然さは無いし、撮ろうとしていることが受動的ではなく能動的であるのでより一層この物語を引っ張る存在になっていると思いますね。

ただ、3日目以降、どんどん不穏な雰囲気になって喧嘩が起ったりする中、それでもひたすらカメラを回すヘザーはちょっとどうかと思いますけどね…笑。
でも映画学科の学生で、ドキュメンタリー映画を撮ろうとしている段階でかなりの執念がうかがえるので、その執念が延々カメラを回させたのだろうということで納得します笑。
そもそもこのヘザーの序盤の強引っぷりに苛立ちはありましたが、カメラを回し続けたヘザーもラスト付近で一応それなりの反省はしているし、まぁしょうがないかなと思います。

そして、この映画が嫌いになれない2つ目の理由「結構緻密に映画を作っている」という点です。
前提として「ドキュメンタリー映画を製作しようととしている映画」だからこそ、この物語の説得性はあるし、1つ1つのシーンの積み重ねが自然と観客に背景や意図を伝わりやすくしていると思いました。
インタビューの編集も上手いし(ここに出てくる子供の行動はかなりリアル)、2台あるカメラも使い分けがキチンとされているし、出演者たちの素人っぽい演技もあってか、僕には結構完成度の高い映画だと思いましたよ。

あっけないラストだと言われているあのシーンも、一応は冒頭の街人のインタビュー「地下室へ2人連れて行き、1人は隅を向いて立たせた。まず1人殺し、隅を向いて立たせた子も殺した。じっと見ていられるのがイヤで、隅を向いて立たせたと。」という台詞も効いているし、そこまで陳腐なラストではないと思いますけどね。

結論を言うと、そこまで楽しめはしなかったですけど、僕は嫌いにはなれない作品でした。
こういう手法で一番面白くて作品の完成度が高いのは「クローバーフィールド/HAKAISHA」だと思います。
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