楽しいだけじゃ楽しくない

よーへーです。 映画について何も知らないど素人で感受性もなく理解力に乏しい僕が、おこがましく感想を書いていく、退屈なブログです。

基本的に拙い文章ですので、
かなり読みづらいと思います…申し訳ありません。
どうか暖かい目で宜しくお願いいたします。
カテゴリーの「映画一覧表」からどうぞ。

映画131~140

映画134『ボルト』

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アメリカで人気のテレビショーに出演中のスター犬、ボルト。ある日、ハリウッドのスタジオからニューヨークに運ばれる途中、迷子になってしまった彼は、アメリカ横断の旅を余儀なくされる。しかしテレビショーの中で発揮する、数々のスーパーパワーを自分のものだと信じて疑わないボルトは…。(シネマトゥデイ)
ピクサー最高責任者、ジョン・ラセターが親会社のディズニースタッフと共同制作した3DCGアニメ。
主人公ボルトの声を演じるのはジョン・トラヴォルタ。


DVD観賞なので2Dです。

何といってもやはりアニメ技術はハイレベルです。
町の風景、背景は細かいところまで作りこまれています。

特にアニメ技術の凄さを痛感したのは冒頭10分弱のアクションシーンでした。
スピード感がある流れの中で瞬時にスロー映像を挟み込んだり、多アングルで画面を切り替えたり、一気にズームにしたり、逆に遠い場所から第三者目線的に主人公たちを映したり
緩急を上手く使っていました。

この映画におけるカメラワークの使い方も音楽の使い方も抜群です。

ただ、肝心のストーリー部分についてですが…個人的には期待外れでした。登場するキャラクターも、人間と動物両方上手く描かれてはいるんですけど…。
ライノ(ハムスター)とミトンズ(猫)が物語を盛り上げているし、アイデアも良く、ボルトが「本来の犬としての姿」を徐々に取り戻していく過程の描き方は見事なんですが…全体に物語が単調に感じました。

物語上で最大の見せ場でもある「ボルトが自分にはスーパーパワーなど持っていない普通の犬だと知る」シーンの描写が、少し物足りない。それをきっちり描いていれば、その分ラストにも効いてきたはずなのに、と思いました。でも後半の悲劇(勘違い)シーンは凄く良かったです。
また「行動を共にするミトンズとライノの決定的な目的や存在意義が単純すぎて薄い」のが観ていてそこまで引き込まれないし、「ペニー側の視点が少なく、ボルト側のシーンばっかり」というのも単調に感じてしまった原因だと思います。とにかく絵は綺麗だったんですけどね…。

確かにボルト役のジョン・トラボルタの声は良いし、笑える部分もあって、アニメ技術も凄いし(是非3Dで観たかった)音楽も良くて、もちろん決して悪い作品ではなかったんですけど、…観る前からあまりにも期待してしまったので…
観終わってちょっと拍子抜けしてしまいました。
面白い映画なのは間違いないんですけど、他のピクサー映画に比べてしまうと、やや劣っているかな…。
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映画132『ソルト』 ネタバレ

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CIAエージェントのイヴリン・ソルト(アンジェリーナ・ジョリー)は、何者かの陰謀によってロシアスパイの嫌疑をかけられてしまう。逃走を図ったソルトはCIAの追跡をかわしながら、自らの容疑を晴らすべく、たった独りで真相究明に乗り出すが……。(シネマトゥデイ)

観ていて常に疑問が残る物語展開で、登場人物の行動目的や動機づけが弱すぎるので、話に全く説得力も興味の持続もない。
後半で巻き返すかと思いきや、
逆に終盤にいけばいくほど「前半のあれって余計じゃなかった?」と更に疑問が増える
脚本の穴が目立つ後半の展開はボロボロ。


前半ただ話を分かりにくくしているだけで、
後半脚本に行き詰まってどうしようもなくなり
ラストただの「逃げ」に感じました。

何よりここまでソルトが超人な理由づけも充分じゃないのも不満ですし。
ていうかCIAは1人のスパイにどんだけ振り回されてんだよっていう…。

「ストーリー」の矛盾性はひとまず置いておいて、じゃあ「アクション映画」として割り切って観よう思いましたが、迫力なし、斬新なアイデアもなしなので、ただただ退屈…。
そして唯一この映画に残っている魅力は「アンジェリーナ・ジョリーのブランド力」のみですが、
僕は特にアンジェリーナ・ジョリーさんに対して何の思い入れもないです…。

なので単に全然面白くない映画でした。…すいません。

ただ一瞬だけですが、階段の手すりと自分の手錠を使った殺しのシーンだけはカッコ良かったです。
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映画140『鉄男 THE BULLET MAN 』 

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東京で普通のサラリーマンとして働くアメリカ人男性のアンソニー(エリック・ボジック)は、日本人の妻ゆり子(桃生亜希子)、3歳の息子トムと幸せな生活を送っていた。ある日、最愛の息子が謎の男に殺され、絶望に打ちひしがれる中、怒りに我を失ったアンソニーは体から蒸気と黒いオイルを噴出し、全身が金属化していく。
塚本晋也監督作品。


過去の「鉄男」シリーズは未見です。この作品が初めてです。
かなり異質な映画で、観る人によっては好き嫌いハッキリ分かれると思いますが…
僕は結構好きです。
タイトルバックの出し方はカッコイイし、爆音で盛り上げるBGM、冷たく響き渡る鋼鉄音、ガラスの音、連続したフラッシュカットも初めてこのシリーズを観る僕にとっては凄く新鮮で衝撃的でした。
異質ながらも、メッセージ性もあって、爽快感があるラストでした。
この映画は劇場で観たかったし、過去の鉄男も観てみたくなりました。

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映画139『【リミット】』 ネタバレ

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目を覚ますと、そこは土の中に埋められた箱の中だった。ポール・コンロイ(ライアン・レイノルズ)はイラクで働く 米国人運転手。何者かに襲われ拉致され、気づくと棺のような箱の中にいた。充電切れ間近の見知らぬ携帯電話を使い、ポールは思い出せる番号を押す。家族、政府、会社…。脱出の可能性を探るが、箱の中の酸素には限界がある。やがて1本の電話がかかってくる。相手の目的は…?
原題は「BURIED(埋められる)」



個人的には楽しめたし、好きな映画です。
とにかく何といっても、90分のワン・シチュエーション映画(しかも舞台は棺の中という限られまくっている空間)ということなので、観客を中だるみさせない為ならいくらでも方法(棺の外の世界の映像を挟み込んだり、主人公がこうなった経緯を説明する回想映像など)はあったのに、この棺の中という「緊張感」「圧迫感」を損なわせないが為に、絶対に最初から最後まで棺の中で、この狭い空間のみで映画を完結させようという作り手のこだわりが感じられました。それは本当に凄いと思いました。他にもワン・シチュエーション映画はいくつか観たことがあって、「フォーン・ブース」「SAW1」は観ました。面白さでは「SAW1」や他の観てないワン・シチュエーション映画には到底及ばないでしょうけど、ここまで「徹底したワン・シチュエーション映画」は多分無いと思います。他のワン・シチュエーション映画を観てないから断定的には書けませんが。出演者1人で、しかも棺の中だけで90分間のこの映画を作り上げたのは凄いです。
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こういうワン・ワンチュエーション映画の物語の展開の仕方は、「主人公(たち)が、この不可解な状況に置かれることになった経緯を思い出しながらも、この不可解な状況には制限時間があって死の危険が迫っている。なので同時進行でここからの脱出方法を考えなくてはいけないので冷静な判断がしづらい」という物語展開がメジャーであって、観ていてハラハラするし、しかもこういうワン・シチュエーション映画ではその中で回想シーンに展開していったり、徐々にフラッシュバック的に思いだしていく映像を挟みこむことで観客を飽きさせないんですけど、この映画においてはこうなった経緯などは映像もなく簡単に説明されており、とにかく携帯電話でのやりとり一本で進んでいく。ワン・シチュエーションの中でも物語の展開のしづらさはかなりの難度だと思います。その中で良くやったと思います。

色んな映画でよくある「こうなった経緯、状況説明を観客に理解させる為に不自然な状況で主人公が口でどんどん説明していく」という、映画観ている人を一気に興ざめさせるシーンが多い中で、
この映画は、いや、この映画こそ観客に状況を説明するのが重要なのに、主人公が1人の時に「思い出せ思い出せ…たしか俺はトラックに乗っていて…」等と説明するシーンは一切なく、 「電話での会話のみで状況説明をする」という点もかなり好感が持てました。
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途中で出てくる蛇はさすがに必要なかったと思いますけど…。中だるみなんて絶対してしまう映画だし、それは分かった上で、徹底して棺の中で物語を進めていけばいいのに、この蛇の出現(丁度飽きてくる40分辺り?)はいかにも「淡々としている中での変化」を求めてやったことで、世界観がちょっと崩れてしまいました。細かいけど、更に言うなら携帯動画に映るパメラも主人公が携帯画面を見ている画だけで、実際の動画は観客に見せて欲しくなかったかな…。(徹底してこの映画に映るのは主人公のみにしてほしかった…。贅沢ですね、すいません…。)

棺の中だけで物語は進んでいくけど、カメラワークも凝ってました。単調に感じたりもしたけど、「あっ棺の中の奥行きはこうなってんだ。もし自分がこの棺の中に入ったら…(妄想)」とか出来ました笑。棺の中で体を上下入れ替えるシーンはこっちも息苦しくなりましたし、終盤の認知症の母への電話はグッときてしまいました…。

そして衝撃のラスト…なんですが、色々と賛否分かれてるみたいですが、ラストのオチは僕も正直ガッカリでした。

全体を通して、この映画はツッコミ所を探すとキリがないんである程度は目を瞑りました。例えば、そもそもこの物語の設定である「埋められた主人公」。後で真相が分かっていくんですけど、わざわざここまでして埋めて脅迫したり、わざわざ主人公の奥さんの住所を調べたり、動画を撮れと脅迫したり、あまりにも非効率的すぎる犯人側の行動が疑問には思いましたが、その設定はどうしてもこの映画を成立させる中では仕方のないことですしね…ここに突っ込むのはちょっと違うかな…と。
なんですけど、どうしてもひっかかってしまった部分があって、物語の終盤で爆撃を受けてどんどん外からの砂が入ってきますが、その時こそチャンスと見て、弱ってるのは分かるけど、頑張ってもがけば助かったんじゃない?っていうね…。砂もすっごい細かくて柔らかそうでサラサラしてるし…。「棺が埋められたのは地上から数10センチ」って言ってるし。(外の世界での祈りの歌も棺の中から聞こえる程の浅さ)。
 「キル・ビルvol.2」で、ユマ・サーマンがやったみたいにさ笑。


結局はアイデア一発勝負の映画である事は間違いないと思いますし、ラストもいまいち納得出来ないですが、ここまで徹底したワン・シチュエーション映画を作ろうとしたという拘りは本当に伝わってきたし、素晴らしいと思います。他の人に自信を持って勧められるかと言われると微妙ですが、個人的に好きな映画です。
DVDでは緊迫感があまり感じられないだろうし、わざわざ劇場に足を運んだ甲斐はありました。
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途中のハラハラするシーンの、オイル(?)が着火しそうなくだりは、「ファイナル・デスティネーション」「母なる証明」の1シーンを思い出しました。
ハラハラ度では「母なる証明」がダントツでしたけど。
ジンテの家に侵入した母が脱出する時にペットボトルを倒してしまい、ジンテの手に水が触れようとなるシーンは「アーッ!ダメーッ!母逃げてーーーーーー!母ーーーー!」ってなりました笑。

映画138『ノルウェイの森』 感想(ネタバレなし、内容にはほぼ触れません)

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ワタナベ(松山ケンイチ)は唯一の親友であるキズキ(高良健吾)を自殺で失い、知り合いの誰もいない東京で大学生活を始める。そんなある日、キズキの恋人だった直子(菊地凛子)と再会。二人は頻繁に会うようになるが、心を病んだ直子は京都の病院に入院してしまう。そして、ワタナベは大学で出会った緑(水原希子)にも惹(ひ)かれていき…。(シネマトゥデイ)

僕は原作は未読ですし、どういう物語かも知らずに、予備知識なしのまっさらな状態で観に行きました。原作である長編小説(あの赤と緑のやつですよね。)の中から大幅にエピソードや台詞を削って映画化しているので、予備知識なしで本当に大丈夫なのか不安な状態でこの映画を観ました。

率直な感想として、単純に僕は楽しめました。

映像も綺麗でしたが、僕が特に興味を惹かれたのはカメラワークでした。
1つ目は「人物の撮り方」です。
風が吹く緑豊かな自然の中で人物を遠くから映したかと思えば(直子が口でするシーンは違う意図での上手さだけど)、今度は近距離で一気に人物に寄って映したり、5分近くの長回し長台詞でひたすら固定カメラで人物を映したかと思えば、今度は歩き回る人物を追いかけてひたすら画が動きまくる。
2つ目は「画に映る人物の出し入れ」です。
これも計算された必然性があって上手いなぁ~と思いました。
つまり、この155分という長丁場の作品の中でも、重要なシーンは長台詞だろうが長回し固定カメラでちゃんと見せつつ、それでいて他のシーンでは飽きさせないようにぐるんぐるんカメラが動く。
工夫やカメラワークの巧妙さを感じました。


役者陣のついてですが、主役のワタナベを演じる松山ケンイチさん、直子を演じる菊池凛子さんは正直う~んって感じでした。(特に菊池凛子さんは個人的にはちょっと合わないかな…と。)
ただ、脇役演じる役者の方々は素晴らしいと思いました。
キズキ演じる高良健吾さんはあまりにも見せ場が少なく、この物語のきっかけを説明するだけの記号的存在でしかなかったので、活躍はほぼ見れませんでしたが、
少し変わった恋愛観を持つ永沢演じる玉山鉄二さんは、ナルシストで高貴な雰囲気を醸し出していて良かったですし、
緑を演じる水原希子さんは透明感があって、まさに魔性の女って感じで、そして何より可愛かったです笑。
 (この人があまりにも綺麗すぎるから、菊池凛子さんがちょっと劣って見えてしまい、作中でワタナベが直子と緑で悩むシーンを観ていて「いやいや!最初から緑ちゃん一本でしょうがぁ!!」と思ってしまいました。いや、冗談ですよ笑。)
生き方に悩むワタナベをおおいに惑わせる永沢と緑の存在。それを演じる玉山鉄二さんと水原希子さんの演技は良かったです。
そして、出演時間は僅かでしたが、ハツミ演じる初音映莉子さんは存在感が抜群でしたし、この人の演技で素晴らしいシーンがあります。
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それは、物語の後半で、ワタナベと永沢とハツミさんの3人で夕食をとるシーン。
そこでのドアップでのハツミさんの表情変化のシーン。
ここでのハツミさんの演技(2分程の独壇場)は、この映画の中でも一番と言っても良いくらい印象に残り、度肝を抜かれたシーンです。背筋が凍るとはこのことです。
これから観る人はこの夕食シーンは必見ですよ。

ただ、面白くないと言う方の気持ちも凄く分かります。
おそらく観る人が不満に感じるであろう点はいくつかあると思いますが
特に「主人公演じるワタナベ(松山ケンイチ)の納得のいかない行動」ですかね…。
原作の小説ではワタナベの細かい心情描写や行動の動機づけがしっかり文章でなされているはずですが、映画単体で観る限りはたしかに描写不足に感じます。
もちろん「松ケンの行動」を観て納得いかなかったり、腹立ったりする気持ちも凄く分かりますけど…僕はむしろ、登場人物たちの難しい心情を描くエピソードを出す為の存在だと思ったので(そのエピソードによってワタナベが生き方を模索し悩んでいく)、多少の理解しがたい松ケンの行動、強引な物語展開はそんなに気にならなかったです。 だって気にしても仕方ないしなぁ…。
2つ目は「155分(2時間35分)という長さ」で、これも不満に感じるとは思います。
僕も正直この映画を観終わって、一番最初に思ったのは「うわぁ…長かっっったわぁ…」です笑。
でもこの映画を120分前後にしたらそれはそれで薄い内容になってたと思うし、155分にすることで、この物語の中でで苦悩するワタナベを、荒削りながら何とか描ききっているなと思いましたし、多少の描写不足は観る人に「行間(使い方違うかな…)」を与えたと思いますけど。
長丁場でワタナベの数年を描いたからこそ、ラストのワタナベの一言も説得力を感じました。
多分、120分前後の物語にまとめていたら、ラストのワタナベの台詞は何の深みや説得力もなくなってたと思います。(原作を読んでる方からしたらそれでも不満に感じるかと思いますが)
なので、もちろんこの上映時間は長いとはおもうけど、僕はこの上映時間で良かったと思います。

普通に劇場で観る価値はあると思います。ただ、この映画においての世界観を受け入れられれば全然大丈夫だと思いますけど、ちょっとイビツなこの世界観が少しでも不快に感じてしまったら、この長丁場の映画は苦痛でしかないかもしれませんね…。
原作を読んでる方はどうか分かりませんが、もし原作未読で、この映画を観ようか迷ってる方が居たら、劇場で観に行くことを是非お勧めます。

ビートルズの「ノルウェイの森」も貼り付けておきます。

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どうでもいいけど、この時代のファッション、凄く好きです笑。特に緑さん。

映画137『リアル鬼ごっこ2』 ネタバレ

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今作は前作のラストから半年後が舞台。パラレルワールドでは、またしても佐藤さんが追いかけられる「リアル鬼ごっこ」が行われていた。佐藤翼(石田卓也)と妹の愛(吉永淳)、親友の洋(三浦翔平)、そして美沙(渡辺奈緒子)、明(蕨野友也)は、鬼ごっこを提案した独裁者に対するレジスタンスとして活動していたが、ある日突然翼が鬼3匹を連れて現実世界にスリップしてしまった……。


ひたすら街を走り続けるだけで単調だった前作「リアル鬼ごっこ」に比べて今作の2は、
アクションは飽きさせない工夫が随所に見られましたし、出演者も頑張っているのが凄く伝わってきました。
鬼から逃げる佐藤翼(石田卓也)がテーブルの下にスライディングして、避けられない鬼をテーブルに衝突させるシーンや、電車の踏切を使った頭脳プレーなシーンなど、結構スタイリッシュでカッコ良かった場面が何度かありました。
また、住宅街(民家の中にも入ります)、オフィスビル、廃墟、病院など、鬼ごっこが単調にならないように、場所を変えたりしてくれたので、飽きずに割と楽しく観れました。
警察の中にもパラレルワールドで共に戦う「佐藤明」が居て、その人が結果的に仲間になってくれるくだりは見ていてスムーズな展開だと思いました。
(こういう物語は観ていて「いや、警察とかに頼めば全部解決してくれんじゃないの?」と思ってしまいがちなので…。)

ですが、現実世界の町では「鬼」と「追いかけられる側(佐藤翼、佐藤愛、佐藤洋、佐藤明、佐藤美沙)」以外の、「鬼ごっこに関係していない一般人」はひたすら鬼ごっこを「この人たち何やってんの?」みたいな目で見ているだけなので、なんだかこの物語でやってることの規模が凄く小さく見えてしまいました。 (だから終盤の黒幕の正体もそんなに驚くことも出来ず)。
名前が佐藤じゃない一般人は鬼の眼中に無いからほっといて良いと思いますけど、名前が佐藤の一般人は大勢居るんだし(日本で一番多い名字だから)、鬼のターゲットなんだから、もっと「鬼ごっこのことを何も知らない佐藤さんが巻き込まれ、鬼にやられてしまう」描写があったら、日本全国がこの鬼に支配されてしまうんじゃないかと一般人がハラハラしつつ、その中でも主役の佐藤5人に焦点をあわせるという規模を大きくしていれば、この物語のファンタジーな世界観にも凄く奥行きが出たんじゃないかなとは思いました。

そこまで物語展開は強引ではないし、パラレルワールドを信じてない佐藤洋、佐藤美沙が事態を飲み込むくだりの説得性はあったので良かったんですけど、
やっぱりそれでも観ていてひっかかる部分が多くありました。
「集団幻覚」というご都合主義な展開や、ワイヤーアクション丸出しのシーンや、「鬼は匂いでも佐藤を見つけられるんだから、近距離でひたすら隠れ合うそのシーン無駄じゃない?」と設定に疑問を感じたり、シェルターがあるなら「もっと早く言え!」と思ったり。



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後は、定番中の定番である、誰かの真後ろに鬼が立っていて、「(後ろにだれか居る気が…ゆ~っくり後ろを振り返り)鬼がいる!ギャー!!」の描写とか(このパターンを何回かやるのは仕方ないけど…さすがに何回もやりすぎて興ざめしてしまう)、鬼はありがたいことに主人公たちがリアクションしてくれるまで攻撃せずに待って頂ける優しい心の持ち主。
ていうか、鬼がノロマだったり非効率的すぎて全然怖そうに見えない…。

後半の現実世界とパラレルワールドがどんどんリンクしていくところは一応盛り上がりましたが、
この後半がやたら長くてさすがに飽きるし、終盤にいくにつれてどんどんツッコミ所が増えてくる…。

後半で一気に幻滅したのは、最後の最後、翼が逃げる将軍の居場所が何故「防波堤」だと分かったのか全然説明がなされていないところ、そして病院を飛び出した時は真っ暗だったのに、2分後に防波堤に駆け付けた時にはすっかり朝になっていたという撮影や編集の適当さ…。
更に、ある人物がラストで実は生きていたってどんでん返し的な展開があるけど、「あの絶体絶命な状況から、何故生き延びることが出来たのか」の説明がなされていないのでそれはさすがにえぇ…と思いました。
つまり後半はどんどん物語が荒くなっていきました。


ラストはこうなるんだろうなって読めたけど、あのラストカットは好きです。

出演者ですが、皆さん頑張ってるのが凄い伝わってきて、演技やアクションシーンは楽しく観ていられました。
特にカッコイイ女、美沙を演じる渡辺奈緒子さん(黒木メイサさんと滝沢沙織さん合わせて2で割った感じの顔立ち笑)は、「レジスタンスとして生きる美沙」と「現実世界の看護師として生きる美沙」を見事に演じ分けていました。
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↑右から2番目が渡辺奈緒子さん。

なんだかんだで、面白い部分も確かにあったし、1よりははるかにパワーアップしてるけど、疑問点が多すぎたり、後半のグダグダ感が否めないので、
そこまで酷くはなかったけど、かといって面白いわけでもなく、まぁまぁつまんないって感じでした。
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エヴァネタ、DBのネタパロディは面白かったです笑。

映画136『シーサイドモーテル』

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海もないのに「シーサイド」と名づけられた山奥のすたれたモーテルの4つの部屋を舞台に
ワケありの男女11人が騒動を巻き起こすアンサンブル・ストーリー。
出演は生田斗真・麻生久美子・山田孝之・玉山鉄二・成海璃子・柄本時生・温水洋一・古田新太・小島聖・池田鉄洋・山崎真美 と豪華な出演者たち。

結論から言うと、こんなに退屈で内容の無い酷い映画を観たのは久しぶりです。

全部で4つの部屋のストーリーが何回も入れ替わって展開されていくけど、なんとびっくりするのが、この4つの部屋の宿泊客が作中でほとんど絡み合わないし、ワクワクさせられるような大きな変化ももたらさないこと。(それなりに関わりはあるけど、とって付けただけの終盤のシナリオ)
1つ1つのエピソード自体が面白いならまだ観ていられるかもしれないけど、
残念なことに4つの部屋全てのエピソードがただただ陳腐で退屈

一番気になったのはやたらと多用される「登場人物の心の声」。
いちいちナレーションで説明されるから観ていて「もういいよ…」と何度も興ざめする。
しまいには、物語の序盤、誰も居なくなった部屋で、独り言で人物紹介やここに至る経緯を全部喋ってくれる古田さんには思わず笑いそうになった (いや、古田さんだからこそある程度は画になってたけどね…。)
心理描写を全部説明されるのが結局内容が無い作品になってしまった原因の1つでもあると思います。

笑わせようとするシーンも一切面白くない。
温水洋一さんの役とか…そういうの今どき映画でやっちゃうんだ…うん、全然面白くないよ。

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そして演出がホントに酷い。
コールガールのキャンディ(麻生久美子)が亀田(生田斗真)の宿泊する部屋に間違えて入ってきて、お店の方針で言わされる「お電話サンキューです!ラブ・ミー・コール・ミーのキャンディです!今宵アナタと萌え萌えフォーリンラブ♪」の後の生田の目パチクリパチクリ、後ろではセミの鳴き声が響く演出…なにそれ古っ。
また、生田「ちゃんと話聞い…」麻生「Zzz…」生田「寝てるし!」…なにそれ古っ。
しかもそんな古臭い演出があるくせに、拷問で「中指を削る」というそれなりの残酷描写には無駄に拘ってる感が少しある。うん…他のところにもっと力入れた方が良いんじゃないかな…。

他にも軽くてダサいBGM(何故か無駄にバリエーションはある。)や、玉山鉄二と小島聖の「いつの時代だよ!」と思わず突っ込みたくなる派手な衣装や髪型、多アングルの繰り返し再生(結局作中に全部で3回もやった)、カメラが出演者の顔にズームする時や引く時の「シャッ」という効果音、セット丸出しのホテルがより一層この映画を見事なチープ作品に仕上げている。

脚本も当然のごとく酷い。
途中で盛り上がる場面かのようにロック調のBGMと共に始まる朝倉(山田孝之)と相田(玉山鉄二)のしょうもない賭け(他にアイデア無かったのかな…)や、 伏線も脈絡も無い唐突な山田孝之の自分語りや玉山鉄二の号泣には開いた口が塞がらない。 相田「陽ちゃんやっぱ煙草くせえな…」…えっ!?何が!?

途中で挟まれる生田と麻生の心底気持ちの悪いベタベタの恋愛コントとか観てられないし、

ちょいちょい名言ぶってるセリフがあるけど、内容が無いのにそんなことカッコつけて言われても何も響かない。どんどん観客を無視して盛り上がっていく中盤。

終盤。「一応物語上びっくりするある仕掛け」のつもりなんだろうけど…安易すぎるでしょ…。
そしてラストの「良いこと言ってる風のエンディング」に心底腹が立った。

長身で体が柔らかいというだけでキャスティングされたであろう山崎真美さん、
セックス大好きの役をやらされる麻生久美子さん、
安っぽい掛け合いをさせられるあまりハマり役とは思えないチンピラ役の玉山鉄二さんと柄本時生
さんが可哀想でしかなかった。(柄本さんのアウトレイジでの雰囲気は好きですけど。)

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ただ、池田鉄洋さんのちょっとリミッターの外れたあの感じは良かったです笑。

とはいえ
どうしようもない描写が多すぎるし
くだらないコントを延々見せられているだけの苦痛の時間でした。
最高につまらない映画でした。

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映画135『息もできない』

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過去に辛い境遇をかかえた借金取りのサンフン(ヤン・イクチュン)と女子高生ヨニ(キム・コッピ)。この2人は偶然知り合うことになり…。
監督・製作・脚本・編集・主演 の全てをヤン・イクチュンが務め、途中で製作費がなくなっても家族や友人から資金援助を受け、更には自宅を売り払ってまでして作り上げた作品。
内容はヤン・イクチュンの実体験に基づいている。
原題は「ウンコバエ(糞ハエ)」。


率直な感想は、やはり凄すぎです、韓国映画。

BGMもほぼ使わず、作中に漂い続ける緊張感。

唐突な暴力から物語は始まる。このまま2時間10分ほとんど休むことなく訪れる「ぶれぶれのカメラワークでの暴力シーンは」リアルでまるでそこに自分が居るような感覚になる。加害者被害者、敵味方関係なく暴力を奮い、暴言を浴びせる主人公サンフンに最初はどうしようもない非道なヤツだと思っていましたが、ヨニと出会い、それぞれ2人の辛い境遇が分かるシーンからは一気に物語に引き込まれる。今でも必ずどこかの家庭で起こり続けている「現実」がそこにはある。

暴力を目の当たりする第三者(子供)への影響、「家族」というどうしたって切り離せない関係、どこにもぶつけようのない憤り、そして止まることのない負の連鎖がどんどんサンフン、ヨニを苦しめていき、後半の2人が感情を爆発した後の言葉にならない嗚咽シーンにはとてつもなく感情を揺さぶられました。そして中盤から見え隠れする不安要素、嫌な予感が現実となる終盤にはくぎ付け。

ラストも素晴らしい。
終盤のフラッシュバックの入れ方は、普通の時系列で見せるよりも何倍も強烈に心をえぐる。
ラストカットはまさにこの映画のテーマ、メッセージ性を最大に表した強烈なカットでした。

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主役を演じたヤン・イクチュンの風貌(コワモテなんだけど目には慈愛がある)を含めた演技も素晴らしいし、ヨニのぶっきらぼうで常に緊張感を持っているんだけど、時折見せる笑顔やほっとした表情が凄く良い。

ただ不満というか引っかかった部分がありました。
初めてサンフンとヨニが坂道で出会ってからの強引なヨニにはそこまでの動機づけが示されなかったから少し疑問に思いました。そこで何かしらの「サンフンにまとわりつこうとする明確な理由」が示されていれば、もっと早い段階でこの世界に入り込めたのにな、とは思いました。


後、気になっていたことがあって、僕の勘違いかもしれませんが、先ほど「BGMはほぼ使ってない」って書いてましたけど、作中にBGMを使ってる部分が5箇所だけあるんですよね。お、おそらく…。

・1箇所目 サンフン・ヨニ・ヒョンインの3人が初めて出会い、遊ぶシーン(会話なし)
・2箇所目 サンフンが衝撃の光景を目にし、病院で感情爆発シーン
・3箇所目 漢江での2人の嗚咽シーン
・4箇所目 最後のサンフンの走馬灯シーン(会話なし、どこか幻想的)
・5箇所目 ラスト 

この5回のシーンは全て物語中で重要な部分であるので、ヤン・イクチュンの意図的なBGMの使い方なのだと思います。


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あと、ヨニが多部未華子に似てました笑。

また、作中の暴力は悲惨というよりも“しつこい”これは北野武監督初作品の「その男、凶暴につき」のトイレでの尋問シーンを彷彿とさせました。

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最も心を鷲掴みにされた台詞は、今まで何度も葛藤を繰り返し、極限に達した主人公の
「どう生きりゃいい?」でした。


もう、とにかく素晴らしい作品でした。
本当に「考えさせられる映画」です。
是非観てください。
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映画131『メメント』 

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妻を目の前で殺されたショックから前向性健忘という珍しい記憶障害になってしまったレナード(ガイ・ピアース)。記憶を保つためにポラロイド写真を撮り続け、メモをとり、事件の手がかりのタトゥーを全身に彫りながら犯人を追うが……。(シネマトゥデイ)
「インセプション」「ダークナイト」で知られるクリストファー・ノーラン監督作品。


時系列を全くの逆にして進行していく物語構成。
ラストは全てが繋がりつつも、爽やかな終わり方に持っていかないのが良かったです。
人間が人間であるが故に持ってしまっている悲しい性(少しシャッターアイランドにも通じる部分がある…?)
「記憶(メメント)」というキーワードで見事に描いている作品でした。 

時系列をバラバラにしているパルプフィクション(クエンティン・タランティーノ監督作品)以上に
難解で混乱しました。
僕の理解力不足です…。

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映画133『ヒーローショー』 ネタバレ

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夢にもバイトにも中途半端で、ヒーローショーの悪役を勤める弱気なユウキ(ジャルジャル福徳秀介)。将来と恋人の為に真面目に働く元自衛隊で強気な勇気(ジャルジャル後藤淳平)。2人はある凄惨な事件に巻き込まれる。
井筒和幸監督作品。青春バイオレンス映画。


今作と同時期に公開された暴力映画「アウトレイジ」は同じ暴力映画ではあるものの、いわばファンタジー要素(架空の世界)が強かったのに対し、今作はファンタジー要素など一切なし、日常に潜む小さなきっかけが暴力に発展し、それが更にエスカレートしていくというリアル暴力描写。それを見事に描ききっていました。

今作を観るまでは井筒監督の印象は、TVで見てて「偉そうにしやがってこのおっさん…」と嫌悪感しかなかったのですが、今作を観て印象がガラっと変わりました。偉そうに映画評論しているのも納得できるほどに、今作の出来は素晴らしかったです。  特に前半は凄い。
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前半は、誰も止めることが出来ずに暴力がエスカレートしていき、辿り着いてしまう惨劇までの過程のことですが、ここまでの描写は全てがリアルで、本当に暴力の恐ろしさを見事に描いていて、映画史上に残るくらいの出来でした。もうこの時点では完璧な映画でした。発言や行動が生々しく、なんといっても出演する役者陣です。「アウトレイジ」とは違い、今作の役者はそこまで有名な人たちではなく(主演のジャルジャル除く)、素の顔が分からない点も大きいと思いますが、この人たちのやり取りが本当にリアル。本当に実在している人物のようでした。
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また、ジャルジャルの後藤は見事に役を演じきっていました。素晴らしかったです。出演する全員の発言や服装や雰囲気が本当に良く、演技も素晴らしい。実際に起こった事をそのまま覗いてる感覚。というか「東大阪集団暴行殺人事件」という実際にあった事件を元にしているるそうです…。

前半では食堂でヨガのポーズをやらされる(精神的暴力を受ける)聖子の困り顔が最高だったり、
勇気の「…本当にこうするしかないのか…?」と、ユウキの「…もう一度やり直すのはダメかよぉ。俺、生きなおしてぇよ。……生きなおさせてくれよぉ!!」の台詞は凄く重くて、心にズシンときました。

とにかく前半は完璧。なのに…後半がグダグダ。間延び感があるし退屈で残念な展開。映画「悪人」でもそうだけど、事件が起きるまで(悪人は回想シーンで全貌が明らかになるまで)は100点なのに、その後がグダグダで結局観終わってう~ん…となってしまう感じ。

途中の勇気の独白シーンは凄く良かったんですけど、他が緊張感なくて話の流れがぼんやりすぎでラストも腑に落ちず。惨劇に関わってしまった人たちのてん末は描ききれないにしても主演2人、特に勇気の最後が描写不足すぎて、対比されるユウキが全然生きてこない…。

まぁ、たしかに後半については不満があるものの、好きなシーンやセリフも数えきれないほど多く、そしてどうしても前半の暴力シーンの「後にもひけないし、いった先にも何もないドン詰まり感」は素晴らしいので、なんだかんだいってかなり大好きな映画になりました。
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いつも僕が行ってる映画館の名称が出てきたり(そういえば舞台挨拶やってたな。)、車でかかる曲に僕の好きな銀杏BOYSの「夢で逢えたら」が流れてたりしたのも大好きになった要因でもあります笑。

東大阪集団暴行殺人事件 (Wikipedia)

銀杏BOYS「夢で逢えたら」
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