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早見和真の『スリーピング・ブッダ』です。ぐいぐいと入っていく程ではなかったですが、なかなか面白かったです。

売上部数を伸ばしたい!

と思ったら、「仏教」という扱ってはいけない地味な題材なのですが、多分そこは戦略的に分かっていたのでしょうが、敢えて取り上げたと思える所に(著者に)魅力を感じました(笑)

この作品は、仏教的な話が軸ではあるのですが、青春小説という感じですね。悩める2人の青年の物語。仏教を推奨するようなものではなく、裏の部分に切り込んで宗教の矛盾や暗部を取り上げながら進んでいく所にも、バリバリの無神論者の僕としては拒否感なく読む事が出来ました。

 兄と母を車の事故で同時に亡くしてしったのがきっかけで、家業を継ぐ決心をする憲和寺という寺の次男坊の広也。そんな広也と大学時代に出会い、安定を求めて仏門に入る決心するギタリストの隆春。共に修行しながら様々な悩みや困難を乗り越えて成長していく感じのストーリーです。この2人の人間性に時々イラッとしながらも、なぜか突き放せずに読んでしった。

 この作品で1番印象に残った文章です。

 「お父さん、1つだけ教えてください。あなたが信じている仏はなんのために存在しているのでしょうか。僕たちの最愛の人さえ守ってくれなかった仏や教えに、どれだけの値打ちがあるのですか。お父さん、教えてください」

 車の事故で兄と母を亡くした広也が父に問うた言葉です。これは印象的でした。これに対して広也の父は何と答えたか気になった方はぜひ読んでみてください       ( ̄ー ̄)ニヤリッ これ、僕も思った事ありました。とある宗教団体が修行の為に車で修行先に向かった道中、自動車事故を起こして何人か死亡したニュースを見たり、自分の所のお墓参りに行って、坂の途中に停めた車が動きだし、下にいた子供をはねて死亡させてしまったニュースとか、沢山あるのですが、同じ様な事思いましたね。しかし、何かに盲信している人は、屁理屈が上手いので、議論したら確実に負けるので議論はしませんが( -д-)ノ