デッドエンド














柴田哲孝の『デッドエンド』です。なかなか面白かったのですが、柴田哲孝の作品としての期待度からすると物足りなかったですね。
【IQ172の脱獄犯VS警察・公安】という帯を見て、深みのある展開を期待したのですが、脱獄後の最初の山場を「ストックホルム」に頼った所で少しトーンダウンしてしまいました。全部読み終わった時も、全体を考えてみると、色々と穴も見えてしまいました。まぁ、それ位、作品中にハマってしまったという事もあるかもしれませんが。( ´∀`)つ

笠原武大は、妻を殺害した罪で千葉刑務所に服役していた。刑は、無期懲役。それでも笠原は、密かに決意していた。一日も早く、自力でここを脱出しなくてはならない。綿密な計画を練り、厳重な監視をかいくぐって笠原は高い塀をこえた。大胆な行動で警察の目を欺きながら、追跡の手を躱してく。だが、目的を果たす手筈が整ったと思った直後、自分の娘・萌子が誘拐されたというニュースを聞く。
どうすれば、萌子を取り戻せるのか・・・・・。
考えろ・・・・・考えろ・・・・・考えろ・・・・・。


という帯なのですが、この帯はいいですね。こんな感じで話が流れていきます。主人公の【笠原武大】は、東京大学経済学部卒。経済産業省を経て、フリーの雑誌記者になったのですが、経済産業省時代の、とある不正を告発しようとした事から妻を殺され、両親、上司までプロの殺し屋に殺されてしまいます。
 そして、妻殺しの罪を背負って千葉刑務所に服役している所から物語が始まり、脱獄へと話が進んでいくんですね。あとは、逃げる笠原、追う警察、そして不正に関わっていた組織と笠原の対決へと向かっていきまして、予想通りの結末までを楽しむといった感じの物語です。
 この作品の中にも出てきますが、実際に、2012年1月に、広島刑務所から中国人受刑者が脱獄した事件がありましたが、、現代の日本の刑務所で脱獄があったという事は、僕的には衝撃でした。この実際の事件のおかげで、日本を舞台にしても「脱獄モノ」の小説にもリアリティが増して、もっともっと面白い作品が描けると思うんですね。今回の作品は、脱獄した後の次なる逃走を「ストックホルム」http://blog.livedoor.jp/yocching/archives/51238840.html)を使ったんですね。IQ172という設定の笠原ならもっと凄い事をやって欲しかったですね。

文庫になったらぜひ。( ´∀`)つ