砂の王宮














楡周平の『砂の王宮』です。この作品は、薬屋から身を起こし、一代でスーパー【誠実屋】を日本一の流通企業へと成長させた「塙太吉(はなわたきち)」の物語です。ダイエーの中内さんがモデルの物語で、後半はどんどん陳腐になっていくのですが、何度か壁にぶち当たりながらも、既成概念を次々と打ち破り、流通業界に革命を起こし、誠実屋を大きくしていくまでの前半は面白かったですね。

塙太吉は、大学2年の時に学徒出陣による召集で海軍予備学生として海兵団に入隊し、大和乗船を命じられたんですね。そして沖縄の水上特攻で奇跡的に生還して、神戸三宮の闇市で薬屋始めるんです。ズルチンやペニシリンの闇商売で莫大の利益を得るのですが、ある時、ブローカーの【深町信介】と出会うんですね。深町のアイディアで、販路を日本全国へと広げて更に利益を増やしていくんです。そして3年が経ち、闇商売も限界が見始めた頃に、またしても深町のアイディアで表の商売で「薬の安売り」を始め、これまた紆余曲折ありまして、塙太吉は、一個所で全ての買い物が事足りる【スーパーマーケット】の店舗形態に行き着くんです。そして、門真市で『主婦の味方 誠実屋』の1号店をオープンするのですが、これが大当たりするんですね。そして7年で誠実屋は大阪を中心に50を超える一大スーパーチェーンに成長するんです。関西→中部ときて、いよいよ関東進出となる頃から、塙太吉の一代記的な物語から、いっきに物語が変わっていくんですね。塙太吉が心底から信頼していた【深町信介】が怪しい動きを始めまして、やがて現代の場面となってからは「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京」的な展開となっていきまして、僕的には後半は陳腐に感じました。塙太吉の一代記的な物語だと少し物足りないけど、「ワンス・アポン・ア・タイム・イン・東京」的な物語をわざわざ入れなくてもと思ったりしましたね。ま、でもほんとに前半は面白かったです。

文庫本が出たらおススメという感じですね。( ´∀`)つ


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この作品を読むと、栄枯盛衰という四文字熟語が頭に浮かびますね。ダイエーの絶頂時代も何となくですが見てきて、凋落してイオンに吸収された今も見てきた感想としましては、「時代の流れはどんどん早くなっているなあ」という事ですね。ダイエーに続き、「イトーヨーカ堂」が同じ末路を辿る事が予想されますが、セブン&アイ・ホールディングスは、まずニッセンですね〜。以下は、中内語録です。

日用の生活必需品を、最低の値段で消費者に提供するために、商人が精魂を傾けて努力し、その努力の合理性が商品の売価を最低にできたという事が何で悪いのであらうか?

 中内さんでも消費者の意識の変化とか、早い時代の流れについて行けなかったんですね。(●´ω`●)