Dの遺言
柴田哲孝の 『Dの遺言』です。東大教授でもある歴史作家の【浅野迦羅守】のシリーズです。前作の「Mの暗号」では「☆」2つを付けさせて頂きましたが、今回は「☆」が3つという所です。前回は、M資金を題材にした【B級お宝探し小説】といった作品だったのですが、今回も「日銀の金庫から消えたダイヤモンド」を題材にした【B級お宝探し小説】です。前作もそうでしたが、作品のテーマと序盤の掴みは最高なのですが、展開が甘いんですね。しかし、今回の作品は前作よりも2回転半くらい捻りが入っていたので楽しめました。帯は完璧ですね。

戦時中、軍需省の要請により立法化され、それに基づき皇室からも供出さたダイヤモンドがあった。その量、32万カラット。戦後は日銀に保管されていたが、その内20万カラットが占領のどさくさの中に消失。GHQのアメリカ軍将校が盗み出したとも、日本の政権運用資金に使われたとも言われていた。東大教授にして歴史作家・浅野迦羅守は、戦後の特務機関・亜細亜産業に勤めていた曽祖父たちから消えたダイヤの在り処を示す暗号文の遺言書を託された。しかし、捜索を開始するや何者かからの脅迫を受け、やがて敵の襲撃が・・・・・・。

前作で、浅野迦羅守達は城ヶ島の獅子の岩の下から大量の金塊を発見したんですね。その金塊と一緒に、手書きの暗号文が記された一通の文書が見つかったんです。それには、

遺言
我々ノ子孫ニ告グ。失ナワレタダイヤモンドヲ探セ


から始まる文書だったのですが、その後の本文が意味が分からない状態だったんですね。(暗号文なんで)浅野迦羅守達の曽祖父達からの遺言書を元にダイヤモンドの捜索を開始するのですが、当然の事ながら、そのダイヤモンドを追うもう一方のグループが存在してるんですね。もうここからは想像出来るはずなのですが、どちらが先にそのダイヤモンドまで辿り着けるかという物語です。

展開が甘いと書いたのは、日銀金庫室に保管されていたダイヤモンドの約半分が(約800億円相当)消失した訳です。色々な所に渡っている事が想像出来るので、800億円分のダイヤモンドではないとしても、かなりの額となるダイヤモンドを探し出そうとしている訳です(結局は100億〜160億のダイヤだったのですが)それなのに、迦羅守も敵側も行動やら何やらが「ヌルい」です。そのヌルさに5回くらい舌打ちした記憶があります。ま、それでも楽しめましたが( ´∀`)つ


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