蕎麦とラーメン食べ歩き と読書のブログ

蕎麦とラーメンの食べ歩きと読書のブログです。蕎麦は、結構詳しいので、蕎麦の評価は信用出来ると思います。ラーメンは、素人です。読書傾向は偏りがちです。

 お薦めの本を紹介してください!  コメント欄ではちょっと・・・。という方は、メールください。生意気言ってすみませんが、「恋愛もの」以外でお願いします。     

馳星周(読書関係)

雨降る森の犬(馳星周)4

雨降る森の犬
馳星周の「雨降る森の犬」です。馳ブログの作品紹介を引用させて頂くと、

ワルテルと雪音の絆をモデルにした青春小説です。
雨音(あまね)という名の少女と、ワルテルという名のバーニーズが主役です。


という内容です。この短い文章だけで、この作品のストーリーはともかく、ワルテルと雪音の様々な情景が(想像でも良いんです)浮かんでこない方には、この作品の良し悪しを語って欲しくないですね。この作品の書評を見た訳ではないのですが、この作品の中に散りばめられた出来事が、馳のブログをずっと追い掛けてきている方達には感慨深い内容があったりして、僕的には、この作品は、

「馳のコアなファンだけが読んでくれれば良いなぁ」

なんて思ってしまった作品です。まぁ、そんな事を知らなくても作品自体は良い作品だと思うので(これは僕には冷静な判断が出来ないので分かりませんが)全然オススメは出来るのですが、よりこの作品を理解する上で、せめて、

http://walterb.blog103.fc2.com/blog-date-201203.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-38.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-178.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-542.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-544.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-560.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-562.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-1556.html

ここら辺をチェックして頂いてから、この作品を読んで頂ければと思います。以上で僕的には、出し切った感があるのですが、全然、案内出来てないので、集英社の文芸単行本公式サイトから内容をコピペさせて頂きます。

編集者のテマエミソ新刊案内

山と犬が与えてくれた、生きるためのヒント。女子中学生と男子高校生の葛藤と成長を描く、馳星周の最新長編『雨降る森の犬』。

父親を病でうしない、母親との確執を抱えた女子中学生の雨音(あまね)は不登校になり、山岳写真家の伯父・道夫のもとに身を寄せた。道夫はバーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルとともに自前のログハウスに住んでいた。ログハウスの近くには大きな別荘があり、雨音はそこの持ち主の長男で高校生の正樹と知り合う。正樹は再婚した父親と若い母親に対して、複雑な感情を抱えていた。
雨音と正樹は道夫の影響で登山の魅力を知るようになり、道夫の愛犬ワルテルと自然との触れ合いが、二人の心を少しずつ癒していく。

家族の問題を抱えた中学生と高校生が、道夫とワルテルと過ごすなかで、自らの生きる方向性を見出していく、心に響く長編小説。


これは完璧な内容ですね。主人公の雨音がワルテルと出会う事で、成長していく青春小説ですわ。馳作品の「ソウルメイト」の「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」を長編小説にした感じと言えば分かりますかね。(*´∇`*)

『雨降る森の犬』のインタビュー記事です。https://book.asahi.com/article/11737182

続きで、印象に残った場面を( ´∀`)つ


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パーフェクトワールド上下(馳星周)3

パーフェクトワールド
馳星周の『パーフェクトワールド』です。12年前に「週刊プレイボーイ」に連載されていたものが12年の歳月を経て文庫として発売されました。帯には、

幻のノワール巨編ついに書籍化!

なんてありますが、12年間ほったらかしにされていただけで、馳の「ノワール作品」の中では下位の方ですね。前半はまったりとした遅い展開に少し飽きがくるのですが、中盤から終盤にかけてはリズムが良くなりまして面白くなりました。馳ファンなら読んで損はないですが、ファンでない方にわざわざオススメは出来ないという感じです。

1970年。本土復帰を目前に控え、沖縄は混沌としていた。公安警察官・大城は、警察上層部よりさらに上――内閣総理大臣から直接の命を受け、沖縄に潜伏することに。時を同じくして、那覇では沖縄独立を目指す平良が、賢秀塾を率いる古謝賢秀の指示のもと、不穏な動きを見せ始めていた。大城は、円滑な返還を実現するべく、時に犯罪行為にも手を染め、諜報を進める。彼は、どこまで堕ちていくのか。(上巻内容紹介)

沖縄独立へ向け、平良は古謝の立てたクーデター計画実現に必要な同士を集め、すでに軍事訓練を始めていた。一方、大城は犯罪性をますます強めた手法で、現地警察官、政治家やその愛人、平良の恋人すら懐柔し、内偵を進めていた。しかし、返還の裏に巨大利権が蠢いているのを察知し、自らの使命への疑問を強め・・・・・・。果たして彼らの、そして沖縄の行く末とは。幻のノワール巨編、満を持して書籍化。(下巻内容紹介)


上下巻の内容紹介です。主人公は警視庁公安総務課警部補(のちに警部)の【大城一郎】です。72年の沖縄返還に向けての現地調査に沖縄出身で沖縄方言にも理解力がある大城が抜擢されたんですね。首相官邸で総理から直々に、

「君に沖縄に潜入してもらいたいと思っているんだ。沖縄では今、なにが起ころうとしているのか、大衆の間にどんな心理が蔓延しているのか、なかんずく、沖縄の日本復帰を喜ばない連中はなにを考え、なにを画策しておるのか。その辺りを調査、報告してもらいたい」

なんて依頼されるんです。わざわざ総理を登場させる必要もない気が凄くしたのですが、とにもかくにも大城は沖縄に調査に向かいます。そして、沖縄の独立を夢みてクーデターを起こそうとしている「賢秀塾」に辿り着くんですね。公安警察ならではの手法でこの「賢秀塾」に迫っていくのですが、その一方で、沖縄返還後の莫大な利権に絡んだ争いに大城も身を投じていくんですね。そこからは当然の如く「馳のノワールの世界」が展開されていくのですが、大城の堕ちていく様が「馳作品」にしては、ストレート過ぎたのが残念でした。(頂点から急転直下という感じでした)もっと二重三重の変化を付けながら(読んでいて僕の内臓がうねる様な)徐々にすり減らしていきながら堕ちていく展開が良かったですね。

ファンの方は是非( ´∀`)つ


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蒼き山嶺(馳星周)3

蒼き山嶺(あおきさんれい)
馳星周の『蒼き山嶺』です。馳のブログでは、

父ちゃん初の正統派山岳冒険小説です。

なんて説明がありましたが、【神奈備】が発売された時の馳のブログでは、

父ちゃん初の山岳小説。

なんて書いてありまして、「正統派山岳冒険小説」と「山岳小説」の違いが僕には分からないのですが、ハッキリと言える事は、【神奈備】は面白くなかったのですが、【蒼き山嶺】は面白かったです。しっかりとしたストーリー展開で、【神奈備】と同じ様な「追いかけっこ」が続いたりするのですが、読み手を飽きさせない構成で、ある程度の緊張感が続き、最後まで飽きる事なく楽しめました。今回も帯は完璧です。

なにがあった?
なにをした?
どうして
追われている?

元山岳遭難救助隊員の得丸志郎は、残雪期の白馬岳で公安刑事・池谷博史と再会した。二人は大学時代、山岳部で苦楽をともにした同期だった。急遽、白馬岳山頂までのガイドを頼まれた得丸が麓に電話を入れると、警察に追われた公安刑事が東京から逃げてきている、という話を聞かされる。厳しい検問が敷かれ、逃げるには山を越えるしかないと言われたその時、池谷が拳銃の銃口を押しつけてきた

という感じで話は流れていきます。主人公の【得丸志郎】、公安刑事の【池谷博史】、有名な登山家となった【若林純一】の3人は、大学の山岳部では三羽烏と呼ばれていたんですね。得丸は長野県警の山岳遭難救助隊員を辞めて「北アルプス北部地区遭難対策協議会員」になり、山岳ガイドをして暮らしている。池谷は大学を卒業後は警視庁に入り、公安部に配属されて20年公安畑一筋。そんな二人が白馬岳で偶然出会うんですね。年に1度位しか山に登らなくなった池谷は、白馬岳の山頂までのガイドを得丸に頼むんですね。(この時既に、若林はヒマラヤで遭難死をしてしまってこの世にいない)そして二人は白馬岳山頂を目指すのですが、得丸は偶然、東京から公安が犯罪者を追って白馬村まで来ているという情報を耳にするんです。そうなんです。公安が追っている犯罪者が【池谷博史】なんですね。更に北朝鮮の工作員までが池谷を追っているんです。逃げる池谷を助ける羽目になった得丸と、これらの追手との「追いかけっこ」が展開されていくのですが、大学時代での雪山合宿での回想シーンとが交互に展開されて、更に若林に縁のある人物までが登場しまして、息つく暇の無いハラハラした展開が繰り広げられます。

展開の甘さで少し気になった所もあったのですが、ラストまで飽きずに楽しめました。ラストもこれが最高の締め方だと思える内容でした。山に興味ない僕でも楽しめましたのでオススメです。( ´∀`)つ


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神の涙(馳星周)3

神の涙
馳星周の『神の涙』です。アイヌ民族の文化を舞台に、ちょっぴりエンターテイメント的な要素を織り交ぜた作品で、なかなか面白かったです。ほんとは「アイヌ民族の文化」だけをぶっとく描きたかったのかもしれませんが、僕的にはこの刺激があってこその星が3つという感じです。帯に、

号泣必死の衝撃作!
感動の自然サスペンス!!

とありますが、少し涙腺を刺激する場面はありましたが、僕的には涙は全く出なかったです。感動の自然サスペンスという文句は「アリ」ですね。裏の帯は、

北海道東部に位置する屈斜路湖。
アイヌの木彫り作家・平野敬蔵と中学3年の孫娘・悠の家に、
尾崎雅比古と名乗る若い男が訪ねてきた。 「弟子にしてください」と懇願。
初めは煙たがられていたが、敬蔵から木彫りを教わり、山に入るようになる。
しかし、雅比古には誰にも明かせない過去があった。ある日、事件が起こる――。
自然を尊んで生きる敬蔵、アイヌから逃げ出したい悠、自らの原点を探す雅比古。
故郷とは、家族とは、今を生きることとは……。
さまざまな葛藤を抱える現代人に贈る、 感動のヒューマンドラマ!

これは完璧ですね。アイヌである事に誇りを持ち、アイヌの文化と共に生きる【平野敬蔵】、この北海道から抜け出して、自分がアイヌだという事を忘れ去りたい中3の孫娘の【平野悠】、自分のルーツを探しに北海道に来た【尾崎雅比古】、この3人が織り成すヒューマンドラマですね。3.11の震災で雅比古の人生が大きく変わってしまうんですね。やがて雅比古は、とある事件を起こし、住んでいた東京を離れ、敬蔵の元を訪ねる事から物語は始まるのですが、そこから一気に作品中に入り込んでしまいました。後半の雅比古の仲間の逃走劇は強引過ぎたのですが、あの場面は外せないので納得しました。( ´∀`)つ

ま、ファンでなくても楽しめる作品です。インタビューもありますので、それを読んで頂くと更に良いです。続きで印象に残った場面を(・∀・)つ

「神の涙」連載開始記念インタビュー
https://j-nbooks.jp/novel/columnDetail.php?cKey=50

「神の涙」刊行記念インタビュー
https://www.bookbang.jp/review/article/537334


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暗手(馳星周)3

暗手
馳星周の『暗手』です。1998年に発表された「夜光虫」の続編です。馳のブログでこの作品の発売を知ったのですが、馳の案内のニュアンス的には、あまりオススメでない感じだったのですが、読んでみるとこれが凄く面白くて、馳ファン&「夜光虫」を読んで面白いと感じた方には、絶対オススメですね。「夜光虫」を読んでない方でも楽しめると思いますが、主人公の心の闇をより深く理解するには、まずは「夜光虫」を読んでからこの作品を読む事をオススメします。
 余談ですが、「夜光虫」を読んだ当時は、ノワールの世界に全く耐性がなくて、「夜光虫」を読んでいて、【胃が重くなる】【なんか精神的に落ち込む】という状態に陥ってしまうのに、読み進めなければ気が済まないという感じになりまして、ノワールの世界にハマりました。(今となっては、「ノワール」だろうが、【スカトロ系】の裏でも全然問題ないですが)

台湾のプロ野球で八百長に手を染め、罪から逃れるために次々と殺しを重ねた加倉昭彦。居場所を失い、顔も名前も変えて過去を抹消、逃れ着いたのはサッカーの地イタリアだった。イタリアの黒社会では、殺し以外の仕事なら何でも請け負い、いつしか「暗手」(暗闇から伸びてくる手)と呼ばれるようになっていた。そんなある日、サッカー賭博の帝王・王天から、中堅チームに所属する日本人ゴールキーパー・大森怜央に八百長をさせろとの依頼が舞い込む。計画実行に向けて着実に準備を進めていく加倉だったが、大森の姉の写真を目にしてから過去の記憶がよみがえり、計画の歯車が狂い始める・・・・・・・。

この帯は完璧ですね。前作の「夜光虫」は、台湾プロ野球での八百長問題、今回はヨーロッパでのサッカーの八百長が取り上げられてます。そのヨーロッパサッカーでの八百長に台湾から逃げてきて「暗手」と呼ばれるまでになった【加倉昭彦】が関わっているんですね。今回、加倉が請け負った仕事は、日本人ゴールキーパーの【大森怜央】に八百長をさせるという内容。加倉は大森が好みそうな女性を用意して、着々を準備に取り掛かるのですが、その大森怜央の姉が、かつて愛した女性に似ていたんですね。

暗手は引き受けた仕事は必ず成功させる

という信用があるのですが、この【大森 綾】の出現で再び、加倉は壊れていくんですね。台湾時代から因縁のある「馬兵(マービン)」までが関わってきまして、ラストは想像とは違ったのですが、楽しめました。


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比ぶ者なき(馳星周)3

比(なら)ぶ者なき
馳星周の『比ぶ者なき』です。あの藤原鎌足の子である【藤原不比等】が主人公の歴史小説です。馳のブログには、

日本書紀において、日本の神話と聖徳太子という人物を捏造し、天皇の権威を高め、その影で藤原氏の栄光を求めた男、
藤原不比等。
彼がいかにして藤原氏の世を築き上げていったのか、その真実に迫る……


との案内がありますが、馳なりの歴史解釈と馳流の魅力的な人物描写で、藤原不比等の生涯を描いておりまして、なかなか面白かったです。馳の歴史解釈も突拍子もないモノではなく、ある程度支持されている説での進行なのでストレスもなく読む事が出来ましたし、この骨組みとも言える「歴史解釈」に、肉付けとなる登場人物のキャラ設定と進行も魅力的で、

馳に「大河ドラマ」の台本を書かせてもよいな

なんて思いましたね。(*´∇`*)
歴史が好きな方なら読んで損はないです。続きで印象に残った場面を( ´∀`)つ


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神奈備(かむなび)馳星周2

神奈備















馳星周の『神奈備(かむなび)』です。馳星周、初の山岳小説との事ですが、面白くなかったですね。代わり映えしない展開に途中で飽きてしまいました。簡単に言うとクドいです。霊山・御嶽でのわずか半日程の出来事を(昔の回想シーンを挿入したりしてますが)269ページものページを使って表現しているので、飽きるんです。大人の皆さんに分かり易く例えるなら(以前も同じ様な例えをしましたが)、女性とのエッチで、夜の20時位にホテルにチェックインしてから、朝までずっとペッテイングしてるんですね。挿入は、チェックアウトのわずか30分前という感じの内容でさすがに、ペッティングが大好きという(この作品で言いますと「山好き」or「御嶽山好き)方じゃないと耐えられない感じでした。昼のランチを抜いてこの作品を購入したので、勿体無いのでしっかり読みましたが、斜め読みしようかと思ったくらいでした。一応、帯を紹介します。

救われるのは、信じる者か、信じぬ者か。
霊山・御嶽の麓の町で、悲惨極まりない人生を送ってきた少年、潤。
山に棲まう神に会い、生きることの意味を問いたい・・・・・・・・・・。
積年の切ない望みを胸に、潤は誰もいない山へひとり姿をくらませてしまう。
そんな潤を、強力の孝が思わぬ理由で捜索することになる。
神を求め、信じる潤。長く山で暮らしながら、神を信じぬ孝。
恐るべき大自然の猛威に翻弄されながら、二人が熱く命の炎をもやす。


この帯は素晴らしいです。まさしくこんな感じです。母親からの愛情を受ける事無く、母親から常に罵倒され、友達もいない、夢も閉ざされた潤は、自分はなぜ生まれてきたを「神」に問う為に、悪天候の中、御嶽山に登るんですね。潤を助けようと潤を追う強力の孝。この二人の物語なんですね。潤のシーンと孝のシーンが代わる代わるゆっくりと、しかし激しく進んでいくのですが、挿入(遭遇)はチェックアウト(ラストの方)寸前だったので、飽きてしまいました。( -д-)ノ


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陽だまりの天使たち〜ソウルメイト供繊蔽收閏)4

陽だまりの天使たち













馳星周の『陽だまりの天使たち〜ソウルメイト供繊です。一昨日のブログでも書きましたが、良かったです。この作品だったら直木賞獲れると思います。捻くれモノの僕としましては、この帯の

 馳星周が贈る感涙必死の犬小説第2弾!!
 
 というのを見て、絶対泣かねえなんて思って読み始めたのですが、泣いてしまいました。「ソウルメイト」より更にパワーアップしてましたね。「次郎的馳星周作品ランキング」の5位にランクインしました。

『いつもそばにいるよ』(巻頭詩)・・・「マージ、ワルテル、ソーラ、アイトール、アイセ、マイテ、そして、将来一緒に暮らすであろう犬たちに」という文から始まる詩です。以前、何処かで書いたのですが、この作品を花村萬月に読んでもらいたいですね。

「トイ・プードル」・・・まずいきなりこの作品で泣いてしまいましたね。この作品は、白血病と闘う【千尋】という少女とトイ・プードルの物語です。白血病に侵された少女がツラい抗がん剤治療を経て、無事に寛解となり、頑張ったご褒美としてリクエストしたのが、犬を飼う事だったんですね。そして保護犬の譲渡会に行き、トイ・プードルの【ダンテ】と出会うんですね。ダンテは、内気な性格で、誰にもなつかない犬なのですが、初めて会った千尋には心を許したんですね。そして、ダンテの譲渡の許可が下りて、ダンテと千尋は一緒に暮らす様になるんです。だいたい予想は出来ましたが、予想通りの展開になりまして・・・・。

「ミックス」・・・この作品が一番、作品の中に入り込んでしまいました。上手く説明は出来ないのですが、凄く惹きつけられた作品で、一番好きです。この作品は、西表島に住む【渡久山永勝】とMIXの【シロ】の物語です。永勝は、最愛の妻に先立たれて、MIXのシロと生活していたのですが、ある時、シロが「西表ヤマネコ」の子供を咥えて帰ってきたんですね。さかりが終わり想像妊娠の様な状態の時にシロはヤマネコの子供を拾ってきたので、シロは母親としてヤマネコの【たま】の世話をみる様になるんですね。そして、人間と犬とヤマネコの不思議な生活が始まるのですが、永勝は、この生活によって、妻を亡くした悲しみから解放されて、再び生きる喜びを感じる様になるんですね。やがて、ヤマネコの【たま】も成長していくのですが、大型の台風が上陸した夜に・・・・・。永勝たちの生活が頭にはっきりとイメージが出来まして、作品中に入り込んでしまいました。

「ラブラドール・レトリバー」・・・この作品は、事故で視力を失った小説家と盲導犬との物語です。田舎の家に引き籠って、酒浸りの生活を送っている小説家の【里中 保】は、ある時、それを心配した里中の姉に言われて盲導犬と生活する事になるんですね。里中は、偏屈な男で、家政婦さんと姉意外は誰とも会わず、外にも出ない生活だったのですが、ラブラドール・レトリバーの盲導犬の【ジョーヌ】と出会ってからは、外に散歩に出る様にもなって、徐々に素直になっていくんですね。そして、里中とって導犬の【ジョーヌ】がかけがえのない存在となってきて・・・・・・。感じですね。この作品も良かったです。

「バセット・ハウンド」・・・この作品は、大学生の亜紀とバセット・ハウンドの【アンジュ】の物語。アンジェの前に飼っていたバセット・ハウンドの【ルカ】が死んでしまい、悲しみの傷が癒えてない時に、亜紀の母が犬のレスキュー団体から【アンジュ】を引き取ってきたんですね。ルカが死んでまだ4か月しか経ってないのに、新しい犬を連れてくる母親に反発するんですね。アンジュは、子供の頃に母犬に噛まれて、頭頂部がへこみ、マズルが捻じれて見える不細工な犬だったんですね。しかし、アンジュの笑顔は、全ての人を魅了する笑顔で、亜紀は徐々にアンジュに惹き込まれてしまいます。そして、亜紀はアンジュをセラピードックにしたいと考えて・・・・・。という感じの物語です。この作品の中で、馳の【犬を飼う】という事のスタンスが分かります。この作品で馳が一番言いたい事が、これなんですね。多分。以下抜粋。

 最愛の犬を失い、うちのめされ、それっきり犬を飼わなくなる人がいる。また新しな犬を迎えて、以前の犬と変らぬ愛を注ぐ人がいる。
 亜紀は前者で、母は後者だった。母とアンジュのおかげでルカを失った悲しみから抜け出すことができた。
 犬は飼い続けるべきなのだ。今ではそう思う。最初の犬から次の犬、さらにその次の犬。代が替わっていく内に人間も成長する。人間が成長すれば、犬はもっと幸せに暮らしていけるようになる。


 馳のブログを見ているとこの事をよく言ってますね。最初に書いたのですが、花村萬月は、前者なんですね。そして、エッセイで後者を勢いよく批判してたんですが、僕も馳派になりました。( ´∀`)つ

「フラットコーテッド・レトリーバー」・・・泣いてしまった作品の第2弾です。この作品は、最愛の愛犬がガンに侵され、苦しむ姿に【安楽死」を選択した家族の物語です。フラットコーテッド・レトリーバーの【エマ】は、家族に愛されて、そして最愛の家族に看取られて死んでいくんですね。しかし飼い主が愛犬の生死を勝手に決まる権利があるのかというテーマも含んだ作品です。安楽死の当日から物語が始まり、エマとの過去の想い出が随所に織り込まれ、ラスト付近から涙無しではいられなくなります。人間バージョンではここまで泣けないかもです。

「フレンチ・ブルドッグ」・・・ベタな内容なのですが、僕的には、2番目に良かったです。会社も家族も失って、死のうと思って向かったキャンプ場で、棄てられたフレンチ・ブルドックに出会った男の物語です。「ぶひ子」と名付けたフレンチ・ブルドックと出会って、徐々に生きる力が沸いてくるんですね。ほんとベタだけど、良かったです。

「バーニーズ・マウンテン・ドッグ〜魂の伴侶〜」・・・巻頭詩と、この作品が今回の為の書下ろしの作品です。僕の記憶が曖昧なんだけど、たしか馳が見た夢と現実にあった事を織り交ぜた作品だと思います。馳のソーラへの想いが描かれております。

 先程も書きましたが、直木賞獲れるレベルの作品だと思います。( ´∀`)つ


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次郎的馳星周作品ランキング

1位「不夜城」

2位「マンゴーレイン」

3位「エウスカディ」

4位「虚の王」

5位「陽だまりの天使たち〜ソウルメイト供繊

6位「美ら海、血の海」

7位「ソウルメイト」

8位「漂流街」

9位「雪月夜」

10位「帰らずの海」

11位「ダーク・ムーン」

12位「夜光虫」

13位「復活祭」

14位「古惑仔」

15位「9・11倶楽部」



 断然「不夜城」が1番ですね。だいぶ前の事なので、今読むとどうか分かりませんが、当時の衝撃は凄いものがありました。「鎮魂歌 (レクイエム)」もなかなか面白かったけど、「長恨歌 (ちょうごんか)」は、期待した程ではなかったです。2位の「マンゴーレイン」も、さすが馳だと唸った記憶があります。3位に「エウスカディ」がランクインしました。じっくり考えてみてもやっぱり良かったです。「虚の王」は、友人の評価は低いですが、僕的には良かったです。
 
 ※「帰らずの海」が10位にランクインしました。読んでいる時の心の高揚は、「エウスカディ」に匹敵しました。(読み終えてみると、「エウスカディ」には及びませんでしたが)

 ※ランキングに「美ら海、血の海」も入れてみました。あと、「陽だまりの天使たち〜ソウルメイト供繊廚5位にランクインしました。泣いてしまった程の作品でしたね〜。


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アンタッチャブル(馳星周)3

アンタッチャブル














馳星周の『アンタッチャブル』です。馳が初めて描くコメディで、なかなか面白かったです。しかし、馳作品の中では、中の下くらいに位置するレベルの作品で、コメディとして見ても少し笑いが足りない気がしました。とにかく、これはコメディだと心に念じて読めば、なかなか楽しめると思います。( ´∀`)つ

主人公は、警視庁捜査一課でへまをしでかして、公安部外事三課に異動してきた【宮澤武】です。その宮澤武を待っていたのは、気がふれて少しおかしくなった元スーパーエリートの【椿警視】のお守りだったんですね。椿は、東大法学部を主席で卒業、国家公務員擬鏤邯灰肇奪弭膤覆箸いΨ侘鬚了ち主で、同期入庁組の中でもトップクラスのキャリアで、その父は外務省のキャリアの大物で、母方の祖父は、流通業界で名を馳せる名物経営者と、家柄と経済面の両方を兼ね揃え、各方面に強力なコネクションを持ち、幹部の覚えもめでたい凄い人だったんですね。
 しかし、椿は愛する妻に逃げられてしまい、その妻は椿の同期の男と再婚するという出来事があって、気がふれてしまい、出世街道から脱落していき、閑職に追いやられたんですね。気がふれたと言っても見た目は普通で、相変わらずのキレる頭で他人を論破してしまうので、辞めさせる事も出来ないので、資料室の中に「警視庁公安部外事三課特別事項捜査係」という部署を作り、椿警視を監視下に置いていたのですが、その椿警視のお守りが宮澤武の仕事となったんですね。(特別な仕事がある訳でなく遊軍という立場の閑職部署)

そして、椿警視と宮澤巡査部長とのコンビが誕生しまして、捜査に当たる事となるのですが、たまたま入ったシガーバーで、椿警視の奥さんを奪った元同期と遭遇するんですね。その男はなんと北朝鮮の工作員と思しき女性と一緒にいて、調べを進めるうちに、東京でテロを計画している事が分かるという壮大な展開になっていくんですね。

 このテロ計画に、椿と宮澤のコンビが立ち向かっていく 

簡単に言うと、そんな感じの物語なんですね。先程も書きましたが、馳流のなかなかのコメディに仕上がっています。(・∀・)つ
 コメディって【読み手】にとっても難しいものがありまして、登場人物の設定や展開などが、かなり有り得ない状態に崩されて展開していきますので、色々な事を許容して読み進まないと駄目なんですね。それでも全然気にならなくさせるのは、登場人物の魅力やストーリー展開の面白さなのですが、今回の作品はこれをクリアしてました。ただ、爆発力があった笑いは、僕的には2か所しかなく、もっとあっても良かったと思いますね。

馳ファンの方は是非( ´∀`)つ






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ソウルメイト(馳星周)4

ソウルメイト









 





馳星周の『ソウルメイト』です。人間と犬との絆を描いた短編集です。僕は子供頃から犬好きなんですね。(実家が飲食店を営んでいるので犬を飼えなかったですが)だけど、馳のこの作品を何となく避けてきたのですが、この度やっと読んでみました。読み終わってみると、どれも読後感があって良い作品でしたね。


 『チワワ』・・・夫の定年退職を機に軽井沢に引っ越してきた【佐伯夫妻】とチワワの【ルビィ】の物語。家族を幸せにしたいと、がむしゃらに働いた揚句に家族に背を向けられてしまった佐伯。しかし、軽井沢に越してきてからは、妻の時枝とルビィとの生活に幸せを感じる様になっていたですね。そんな矢先に、時枝が膵臓ガンに・・・・・・。
 そして、佐伯にとって心の支えとなっている【ルビィ】にも異変が・・・・。これぞ短編という終わり方で、読後感がありました。

 『ボルゾイ』・・・10歳になる【悠人】とボルゾイの【レイラ】の物語。悠人の父親は胃がんで亡くなってしまい、その後、悠人の母親が再婚した相手の所にボルゾイの【レイラ】がいたんですね。レイラは悠人の事を群れの序列で言うと、自分をより下だと思っているので、悠人の言う事を全然聞かないんですね。そんな中、ある事がきっかけで、悠人とレイラの関係に変化が・・・。ベタやけどついつい作中に入り込んでしまいました。

 『柴』・・・福島第一原発からほど近い町に、災害後に取り残されてしまった柴犬の【風太】の物語。この作品が一番良かったですね。実際の被災地に取り残されてしまった犬達の救出の模様をネットで何度も観ていたので、作品へのハマり具合は一番でした。主人公の【神田】の母親が【風太】の飼い主なのですが、神田の母親は津波に飲み込まれて死んでしまったんですね。母親の遺体の右手には風太のリードが握られていたんです。そしてある時、被災地の様子を放送するニュースで、神田は、偶然に【風太】らしき柴犬を見たんですね。神田は、仕事を一年休んで、動物保護団体の「レスキューライヴズ」に参加して【風太】の救出を目指すんですね。頭の良い風太は、野生化して群れのリーダーになっていて、なかなか捕獲出来ないんです。その風太救出までの物語にどっぷりハマってしまいました。

 『ウェルシュ・コーギー・ペンブローク』・・・酷い虐待にあっていたコーギーの【ルーク】と新しい飼い主となった【真波】の物語。人間不信となってしまった【ルーク】は、真波が愛情を持って、ルークに接しようとしてもなかなか慣れてくれないんですね。そして、真波はルークに噛まれて10針を縫う傷を負ってしまって・・・。真波の奮闘記という感じですね。ルークが真波に心を開き始めた辺りからハマってしまいました。

 『ジャーマン・シェパード・ドッグ』・・・幼い頃に犬に噛まれた事が原因で犬が苦手になってしまった【愛(めぐむ)】とシェパードの【メグ】の物語。リタイアした警察犬のシェパードの【メグ】との出会いから、メグの飼い主との恋愛に発展していくベタな内容ですが、安定感あって良かったです。

 『ジャック・ラッセル・テリア』・・・テリアの【インディ】と父と子の物語。別れた妻から【康介】の元に連絡があり、テリアの【インディ】を引き取って欲しいとの連絡があるんですね。犬の事を知らない元妻の【美樹】と息子の【亮】は、小さくて愛くるしい容姿に騙されてテリアを買うのですが、攻撃的な性格の【インディ】を持て余してしまうんですね。そして、亮は、インディのボスになる為に夏休みを利用して康介の家に修行に行くんですね。なかなか良かったです。この物語の中で、康介が「犬を飼うのにも免許制を導入すればよいのだ」と思うシーンがあるのですが、ホント僕もそう思いますわ。

 『バーニーズ・マウンテン・ドッグ』・・・先程、「柴」の所で、この作品が一番良かったと書いたのですが、この『バーニーズ・マウンテン・ドッグ』の作品は別格ですね。馳のブログを見てきた僕にとっては、色々な想いが溢れ出した作品です。あ、まだ書いてなかったですが、この作品は、馳とマージの闘病生活がモデルになってます。ブログも合わせて見た方が良いかもです。


まだ読んでない方は是非( ´∀`)つ



 

雪炎 (馳星周)3

雪炎












 


馳星周の『雪炎』です。なかなか面白かったです。馳のブログから拝借しますと、

北海道の道南市という原発のある架空の町を舞台にした、3.11から一年後に行われた市長選挙を巡る物語りです。


という感じです。『光あれ』は、3.11以前の福井県敦賀市の原発銀座と言われる若狭湾周辺の小都市で生まれ育った男の物語だったのですが、今回の作品は、震災後の原発のある町の市長選挙を巡る物語なんですね。今回も「原発に頼らざるえない、原発周辺で暮らす人々」の様子を市長選挙を舞台にして上手く描ききってましたね。『光あれ』の読後感と似たような【切ない】読後感でした。馳自身のこの国の原発に対する想いも作中に散りばめられてまして、興味深く読み進める事が出来ました。エンタメな作品としてもしっかりと出来上がっておりまして、そっちの側面で見ると、この作品の帯は、なかなかです。

3.11から1年後の市長選挙に、原発廃炉を公約に掲げる弁護士・小島が出馬した。何百億円もの原発利権に群がる者たちの策略、暗闘に対し、選挙スタッフの和泉は、公安警察官時代の経験で対抗。しかし、そんな彼らに悲惨な事件が襲いかかった。

公安警察官を辞めた【和泉 伸】は、道南市の実家に戻り、農業を営み、細々と暮らしていたのですが、和泉の同級生の【小島大介】が市長選挙に立候補する事になり、選挙スタッフとして手伝う事になります。弁護士でもある小島は、この国から原発をなくそうとの理念からの立候補だったのですが、原発利権に依存するこの町にとっては、そんな事はあってはならない事で、小島陣営に様々な妨害が待ち受けます。原発推進派の政治家、原発利権に群がるヤクザ等との選挙戦に、元公安の和泉が活躍するんですね。ヤクザの古沢と和泉との対決、小島陣営の【佐藤碧】の殺人事件(ミステリー的な要素もあり)、原発の町での選挙の様子、色んな角度から見ても楽しめました。特に和泉が飼っている元競走馬の【ガイウス・ユリウス・カエサル】は、この作品をどっしりと支えてましたね。

次郎的馳星周作品ランキングにはランクインしませんが、購入して損はないです。( ´∀`)つ



復活祭 (馳星周)3

復活祭













馳星周の『復活祭』です。「生誕祭」の続編です。「生誕祭」が僕の中でランキングが高くなかったので、そんな魅力を感じなかったのですが、読んでみたらかなり面白かったです。ただ登場人物の歪な精神世界を理解するには「生誕祭」を読まなけば絶対駄目です。( -д-)ノ

前作のバブル崩壊後のどん底から10年、美千隆と彰洋は息を殺して生きてきたんですね。市場でIT関連の会社が勢い付いてきた時、機が熟したと感じた美千隆と彰洋は、復活を果たす為、IT関連の会社を立ち上げるんです。そして、ITバブルの時流に乗って、上場を目指して奔走します。一方、美千隆からの裏切りにあって、どん底に落ちた麻美はというと、六本木のクラブの【雇われママ】をしてるんですね。
 そんなある日、偶然にも麻美のクラブに、彰洋が幹事会社の担当者を伴って現れます。麻美は店の女の子を使って彰洋の現状を聞きだし、美千隆と彰洋への復讐を誓います。麻美のクラブのオーナーは名の通った詐欺師なんですね。IT関連企業の創業者たちを食い物にして荒稼ぎをしている。麻美はそのオーナーの桜田に話を持ちかけ、美千隆と彰洋の会社の「メディアビジョン」を陥れようとするんです。
 そこからその一連のコンゲームは、テンポも良くて読み出したら止まらなかったです。麻美はこのコンゲームに、彰洋のかつての恋人の【早紀】を引き込むんですね。あの波潟の娘の早紀も彰洋に裏切られ、両親も亡くし天涯孤独の身でひっそりと生きてきたのですが、麻美からあの美千隆と彰洋がIT関連の会社を立ち上げ、上場を目指していて、上場したら美千隆と彰洋が巨額の資産を得る事になると聞いて麻美に加担するんですね。このメンバーが入り乱れてのコンゲームは、さっきも書きましたが、読み出したら止まらないです。

ホント登場人物のそれぞれが良い働きをするんです。是非読んでみてください。   ( ´ ▽ ` )ノ

帰らずの海(馳星周)4

帰らずの海















馳星周の『帰らずの海』です。あの「エウスカディ」を彷彿させるテンポの良さで、読み出したら止まらなかったです。次郎的「馳星周作品ランキング」の7位にランクインしました。( ´∀`)つ  
 馳は、前作の「ラフ・アンド・タフ」を【愛の話です】と言ってましたが、今回の作品の方がより【愛の話】であり、そして「エウスカディ」の様なサスペンス的な要素もあり、「雪月夜」の様な因縁を期待させる展開もありで(実際は違いますが)深みがありました。ラストは僕が期待したラストではなかったですが、それでも凄く面白かったです。

主人公は、函館西署の【田原稔】警部補です。道警本部から函館西署に赴任してきてすぐに殺人事件が起きたんですね。海水浴場近くの海岸から揚がった死体は、田原がかつて愛を誓い合った仲の【水野恵美】だったんです。そしてその恵美の兄は、田原の幼馴染でもあり、中央署組対の【水野郁夫】警部で、田原と水野はそれぞれの立場で犯人を追うのですが、その殺人事件は、20年前に田原と恵美に起きた出来事が関係していたんですね。展開される20年前の田原と恵美と郁夫の描写と現在の田原と郁夫の犯人を追う描写が相乗効果となって作品をどんどん盛り上げていきまして、ホント読み出したら止まらないです。

もう少し説明しますと、田原稔の両親は交通事故で死んでしまい、稔の父の親友だった水野の家に引き取られるんですね。そこで、稔と郁夫は親友となり、稔と恵美は将来を誓い合うまでに至ったのですが、稔が高校3年の時にとある出来事が起こるんですね。それがきっかけで稔は水野家を飛び出して・・・・・。っていうのが軸になってまして、物語の先の展開(犯人は誰か?)と、稔と恵美の間に起こった出来事の内容を知りたいという欲求で、(ベタな表現ですが)読み出したらホント止まらなくなってしまいまして、イッキに読んでしまいました。

これはおススメです。( ´∀`)つ


ラフ・アンド・タフ (馳星周)3

ラフ・アンド・タフ









馳星周の『ラフ・アンド・タフ』です。馳のブログで、この作品の事に触れていたのですが、馳曰く【愛の話です】って言ってるんですね。なので恋愛小説をイメージして読んでみましたら、結構、正統派の馳作品でした。( -д-)ノ ですから勿論、主人公は、最後は奈落の底に落ちて行くのですが、その落ち方が【愛の話】だからか、そんなドロドロしてなくて、予想を裏切るうラストでしたね。まさしく、愛の話ですね〜。(*´∇`*)   あとは、その主人公の性格を許容出来るかが、読み手にとっての問題ですね。いつもの馳作品なら、主人公の性格なんてそんな許容する必要もなく(「弥勒世」の伊波尚友は別として)ラストまでの展開をひたすら読み進めていけば良いのですが、今回は、やはり【愛】が絡んでいるので、ある分岐点で、主人公の性格を許容しないと、ちょっと投げ出したくなるんですね。(大金をゲットした時点の事なのですが)そして、その後も、次の展開を占う、分かり易いキーワードみたいなのがあるのですが、それも飲み込んで読み進めていくと「そうくるか〜」って感じで、ラストを迎えます。全然意味分からないと思いますが、今までの馳作品とは、ラストの落とし方が微妙に違う作品でした。馳の本気の作品ではないですが、なかなか楽しめました。

主人公は札付きのワルで、考えるより先に手が出るタイプの【脇田健一】です。その脇田と〈魂の兄弟(ソウル・ブラザー)〉の染谷浩次郎(弟分)が賞金稼ぎを始めます。簡単に言うと、借金を踏み倒して逃げている連中を捕まえて、その借金の額の1割を賞金として頂く仕事なのですが、300万円を踏み倒して逃げている風俗嬢がいて、それを捕まえたら50万の賞金が貰える仕事が入るんですね。脇田は情報網を駆使して、その風俗嬢を名古屋で捕まえれる事に成功します。しかし、脇田はその風俗嬢に惚れてしまうんですね。その風俗嬢は他にかなりヤバい筋からの借金が3,000万もあるのですが、脇田は、犯罪絡みの5,000万を強奪して、その風俗嬢の3,000万の借金を返済して風俗嬢とその子供との新しい生活を夢見るのですが・・・・・・・・。
 そこは馳作品ですからね。5,000万を強奪されたヤバい筋からの追手がかかり、脇田と浩次郎、そして風俗嬢とその子供での逃亡劇が始まるのですが、最期は誰でも予想出来ますが、それまで過程が今までとはちょっと違った展開なので、それをお楽しみください。( ´∀`)つ

美ら海、血の海 (馳星周)4

美ら海










馳星周の『美ら海、血の海』です。馳らしくない作品。この作品を読んでいる時、読み始めからラストまで、全く馳の【気配】を感じませんでした。でも、心に沁みる作品でした。この出来なら、『次郎的馳星周作品ランキング』の中段位にランクインする位の出来なのですが、ロックの歌手がチャリティイベントか何かで、特別に演歌を歌ったら、それが素晴らしく良かったという感じなので、演歌をランキングに入れるのも本望ではないのではないかと勝手に思いましてランキングは弄りませんでした。( -д-)ノ 

この物語は、東日本大震災から3日後、主人公の【真栄原幸甚】が、自動車と自転車を使って石巻に入り、家族を求めて各地の避難所回る場面から始まります。そこで瓦礫の下や瓦礫の隙間に数百の人体が横たわっている惨状を見て、終戦間際の沖縄で、沖縄一中の生徒だった幸甚が鉄血勤皇隊となって従軍していた頃を思い出します。そして、場面は、終戦間際の沖縄に変っていきます。アメリカ軍が沖縄本土に上陸し、幸甚が所属する【第五砲兵司令部】が南部に向かって撤退する所から、やがて終戦を迎える所までの幸甚の壮絶な体験が描かれています。(最後はきっちり現代に戻りますが)先程も述べましたが、全く今までの作品で感じた様な馳の気配はなく、ただただ幸甚の、そして鉄血勤皇隊や沖縄の人たちの惨状が描かれています。

詳細は、購入して読んでみてください。続きでまだ語ります。(・∀・)つ

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暗闇で踊れ(馳星周)3

はせ
 
 
 馳星周の『暗闇で踊れ』です。馳星周が描く典型的な暗黒小説という感じの作品です。そういう作品なので、ストーリー展開とラストの締めっぷりが僕的な作品の評価対象になる訳ですが、そういう点でいうと、(少し中弛みもありましたが)なかなか面白かったです。ただ、『次郎的馳星周作品ランキング』をわざわざ弄る程ではないです。(10位くらいに入れても遜色はないですが)

 この作品は、詐欺師の姉弟(詐欺師なので色々な偽名を使うので名前は省略)と警視庁捜査三課の「神崎巡査部長」が主人公の作品です。松涛に住む大金持ちが所有していた美術品が2ヶ月の間で大量に市場に出回っているとの情報があり、「神崎巡査部長」は、この美術品を売り捌いている姉弟に辿り着きます。その姉弟は、その松涛に住む大金持ちが妾に生ませた子供だとの事だが・・・・。

 という感じで話は進んでいきます。「氷のザキ」との異名をもつ「神崎」は、この姉弟は怪しいと思い色々調べるのですが、なかなか尻尾を摑めない。そして逆に、この姉弟の姉が「神崎」に近づきます。そして、神崎はまんまと騙されてしまい、二千万円の借金を背負う事になります。怒り狂った「神崎」はこの姉弟を追うが・・・・。

 という感じの話です。これ以上は書かない方がいいので止めておきますが、勿論、馳作品なので、正統な「犯罪者」VS「警察」なんて話な訳はなく、歪な形でストーリーが展開していきます。詐欺師の姉弟は特殊な環境で育ち、心に闇を抱えているし、「神崎」は、妻子に逃げられるわ、警察官に向いていない事を自覚する事になるわで、こんな3人が普通の犯人と警察という関係ではなく、面白い形になっていきます。そんな展開が馳作品らしく面白かったです。

 どんな関係になっていくか気になった方はぜひ読んでみてください!あとは、ラストの締めっぷりを乞うご期待!(馳作品のラストは、方向性が同じなので、馳はラストで悩む事ないでしょうね)続きを読む

光あれ(馳星周)3

光あれ

馳星周の『光あれ』です。

・「事故」
・「チェルノブイリ」
・「ふっかつのじゅもん」
・「花かえ」
・「光あれ」


 の5編からなる連作の短編集です。詳しい内容は、馳のブログを見た方が早いですね。

 
 犯罪は起こらない。犯罪者も出て来ない。人は死ぬが殺人ではない。事故死か病死だ。
 3・11が起こる遙か前、原発の街で暮らす人間を描こうと思い立った。
 福井県敦賀市、原発銀座と呼ばれる若狭湾周辺の小都市で生まれ育った男の10代前半から30代半ばまでを綴った連作集だ。
 反原発の集会やデモをわたしはおぼろげに覚えている。あの頃は日本中のあちこちで幟がはためき、シュプレヒコールが響き渡っていた。
 あの光景はいつ日本から消えたのか。
 私見だが、バブルと団塊の世代がすべてを変えたのだ。団塊の世代の働き盛りの年代にバブルが起こり、日本人は変質した。
 反戦、反原発の声は次第に薄れ、消えてなくなり、人々は何事もなかったかのように日常に舞い戻っていった。
 原発の周辺で暮らす人々も、漠然とした不安をそのうちに抱えながら、しかし、その不安に気づかないふりをして生きてきた。いや、そうやって生きるしかなかったのだ。
 未来はない。嘘に目をつぶりながら原発に頼って生きていくしかない。そうした人々を描きたかった。
 3・11の大災害が来るなんぞ予想すらしていなかった。
 3・11の後、人々がこの小説をどう受け止めるのかは知ったことではない。
 大事なのは、わたしはわたしの仕事をした。それに尽きる。
(馳のブログより)


描いた本人なので、流石に素晴らしい。(笑) まさに上記の通りです。(・∀・)つ

で、読み終えての感想はというと、これがなかなか良かった。(●´ω`●) 1470円の価値は十分にあって満足しました。最後の「光あれ」なんか、

 プチハッピーエンドじゃね?

 なんて思える作品で、

 馳作品とはもう離れられないな。

 なんて改めて思える作品でした。今回も読み終えてばかりでブログを書いているのですが、今の僕の心は、なんだか

 何だか、せつね〜な〜。

なんて気持ちで埋めつくされています。ホント何か切なさを感じる作品です。主人公の【徹】の、30代後半(「事故」)、中学生時代(「チェルノブイリ」)、高校生時代(「ふっかつのじゅもん」)、20代後半(「花かえ」)、30代後半の「事故」の作品の後の時代(が「光あれ」)がそれぞれ描かれていて、平凡な人間なら何らかの場面で、この作品の登場人物やその状況と被るものがあるはずだと思います。そして、そんな登場人物と自分を重ね合わせて、切ない気持ちにさせられるはずです。(平凡な人物ならですよ)僕も主人公の【徹】の人生と被るものがあったりしまして・・・・・。(*´ェ`*) なんか切ない。

この作品のテーマは、「原発に頼らざるえない、原発周辺で暮らす人々」という事なんだろうけど、多少の差はあっても、地方の過疎化の進む街の人々だとか、地方の米軍基地とかの周辺の街に暮らす人々とか、人々の生活は何処も似たり寄ったりだと思います。ですので、この作品は、「原発」という事を除いても、幅広い人々に共感を得られる事が出来る作品だと思います。まぁ、お薦めですね。

「続き」で少し不満だった点を。時間があればですが、1つ1つの感想を追加する予定です。( -д-)ノ



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淡雪記〈馳星周〉3

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馳星周の『淡雪記』です。イマイチな作品でした。馳ファンなら読まなきゃですが、ファンでない方がわざわざ読む作品ではないですね。本気の作品ではありません。

この作品については、馳自身の2010年12月2日のブログに載っております。馳のブログから抜粋させていただきますと、

そうそう、その新しい小説の話を少し。
 父ちゃんの世界観、人間観は普通の人とかなり変わってるんだけどさ、その原点はアニメの「フランダースの犬」なんだ。
 まだ子供だった父ちゃん、アニメを毎週見ながら、ネロとパトラッシュは最後には絶対に幸せになるんだって信じて疑わなかったんだって。
 でもでも、ネロもパトラッシュも不幸なまま死んじゃって、父ちゃん、大ショックを受けたらしいんだよ。現実の厳しさを幼少時に思い知らされたんだ。努力すれば夢は叶うなんていう言葉の薄っぺらさ加減を能に刻み込まれちゃったんだよ。
 父ちゃんが作家としてデビューしたころ、その話をいろんなところでしてたんだ。
 そしたら数年前、父ちゃんはいつも「アホアホ」って呼んでる編集者が「馳さんの『フランダースの犬』を書いてください」って言ったんだって。
 いつもは全部自分だけで決めるんだけど、編集者の言葉で小説を書く気になったのはそれが初めてなんだよ。 犬は出て来ないよ。でも、父ちゃん版「フランダースの犬」なんだってさ。


とあります。ついでに、新刊案内にも(http://renzaburo.jp/shinkan_list/temaemiso/110225_book03.html)もう少し詳しくその事が載っています。

 そして、馳のブログの2010年2月26日のブログには、

 前に少しだけ話した、父ちゃんの新刊、「馳 星周版 フランダースの犬」がもうすぐ発売されます。

『淡雪記』 集英社刊 発売2月25日 定価1890円

 ワンコは出て来ないけど、フランダースの犬なんだ。物語の基本は恋愛小説。正面切って恋愛描くの、父ちゃん初めてなんじゃないかな?

 自分が買うだけじゃなく、親兄弟、友人知人にも勧めてね(爆)。

 もちろん、カバーの写真も父ちゃん撮影だよ!


 というふうに載ってます。以上の事を前提で読んでみると、少しがっかりしてしまいます。雑なストーリーで、つっこみ所が満載です。馳の作品を読むと、たしかに馳の「人間観」、「世界観」の原点は、「フランダースの犬」なんでしょうけど、原点と謳った作品としては「写真」がメインとも思える作品で、「ついでに主人公を不幸に落としておこうか」なんて感じで書いたような内容で、少し残念です。よっぽど「不夜城」の方が、馳版「フランダースの犬」ですね。 

 内容的には、カメラマン志望の「三浦敦史」と知的障害のある「有紀」の物語。舞台は、北海道の大沼。湖畔で倒れている「有紀」を助けた事がきっかけで、2人は出会います。有紀は敦史のモデルになる事によって、2人はどんどん接近していきます。しかし、敦史、有紀共に暗い問題を抱えていた・・・・・。  

という感じです。あとは、読んでみてください。「続き」で、ネタばれとくだらない話をしようかと思います。

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エウスカディ(馳星周)4


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 馳星周の『エウスカディ』です。最初から最後まで飽きる事なく読めて面白かったです。(読み終えたばかりで、このブログを書いているので、また冷静になってみると違ってくるかもしれませんが)次郎的馳星周作品ランキングの3位にランクインしました。完成度という点では、僕的には文句をつける所がないですね。敢えて言えば、銃撃戦や格闘シーンの描写が分かり難く、頭の中で映像化するのにかなりの時間を要した事だけど、そんなの気にならない位良かったです。

 今回の作品は、いつもの馳作品と違って「サスペンス」的要素の強い作品になっていて、いつもの馳作品なら、(自分自身が)悩み事を抱えていたり、失恋したばかりかのような胃の重さを引きずりながら読み進めていくのがパターンなのですが、今回は、そんな『』の重さを感じる事なく読み進める事が出来ました。

 この『』の重さを感じられないのが馳らしくなくて嫌な方もいる?かもしれないですが、作品の出来自体はすこぶる良くて、それでいて最後はしっかり

 やっぱり馳作品だな

 と思える作品になっていると僕は思います。過去と現代の2つの時代が最後の方になってやっとリンクする、よくあるようなパターンではなく、ジグザグジグザグとしっかり交差しながら進んでいく展開には、

 馳、新境地に達した? 

 なんて思っちゃいました。この勢いで次作は、馳作品初の

 「ハッピーエンド」

 もありか!と期待してしまいます。(まぁ、ないでしょうが)

 眠くなったので、ストーリーは簡単にいかせてもらいますが、

 1971年、赤軍派のメンバー、「ワルテル」(吉岡良輝)は、他組織との連携を深める為に、そして戦闘訓練に参加し、再び日本に戻って、武装隆起する為に過激派組織ETA<バスク祖国と自由>に送り込まれた。スペインでは東洋人は怪しまれない事から、ワルテルは「ETA」で重要視されるようになる・・・・・。
 そして、現代の2005年、柔道のアテネオリンピックのスペイン代表にもなった「ワルテル」の息子の「アイトール・ヨシオカ・アランダ」の元にワルテルの事を調べている記者が現れる。それがきっかけで、アイトールの母が失踪し、アイトールの周りに次々と事件が起こる・・・。
 

 後日編集予定ですが、こんな感じで話は流れていきます。ワルテルは、組織の裏切り者を暴く任務を与えられていたが、その裏切り者によって、殺されてしまいます。裏切り者は誰か?アイトールは母の「マリア」と生きて会えるのか?が重要な要素となっていきます。

 ではおやすみなさい(* ̄∇ ̄*)エヘヘ

沈黙の森 〈馳星周〉3

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馳星周の「沈黙の森」です。この作品は、ストーリーは単純ですが、なかなか楽しめました。主人公の活躍に手に汗握りました。ここまで徹底的にやってくれると、すっきりします。馳のブログによると、

 「気取った軽井沢を血塗れにしてみたくて書いた小説なんだって(滝汗)。
 カバーの写真は父ちゃんが撮ったんだよ!」
 

との事です。(ちなみに、父ちゃんとは、馳の事です)この作品では、犬も活躍するのですが、作品中の犬はホントは種類が違うのですが、ついつい、バーニーズマウンテンドッグを想像して作品を頭の中で映像化してました。ストーリー的は、ヤクザから足を洗い、軽井沢で別荘の管理人の仕事をしていた「田口健二」の元に、20年の時を経て、かつての仲間や敵やらが現れて、金の争奪戦が起こるといった、単純なストーリーです。単純だけど、かなり楽しめます。

ちなみに、馳の今日のブログでは、またまた新刊が出たとの事でしたが、対談集なので、購入しません。m(__)m

煉獄の使徒〈馳星周〉3

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 馳星周の「煉獄の使徒」です。馳作品が好きなので発売されてすぐに購入したのですが、なかなか読む気になれずに、やっと、つい最近読み終わりました。この「煉獄の使徒」は、「オウム真理教」を題材にして書かれた物語です。こういうものを題材にして書かれた小説は、ノンフィクションの方が面白いと思った事と、僕もリアルタイムでオウムの事件を見ていて、かなりの概要とかを詳しく知っていたので、なんかストーリーが予想できてしまったので、買ったのはいいけど、なかなか読む気になりませんでした。ヤンソギルの「死は炎のごとく」の様に、僕の知らない事件を題材にしたものなら、もっと楽しめたと思うのですが、オウムの事件から月日は大分経っていますが、僕的には、まだまだ新しすぎました。

 だからと言って、つまらないという事はなく、読み始めると中弛みもなくイッキに読む事が出来ました。新堂冬樹の「カリスマ」より断然に本格的です。オウムの事件を時系列に追っていって、そこに「公安刑事」というものが織り込まれていて、しっかり「馳ワールド」が作られています。馳は、朝日新聞社の記事によると、

 地上げ、アジアン・マフィアの台頭など同時代の犯罪に向き合ってきた作家馳星周さんが、オウム事件を題材にした『煉獄(れんごく)の使徒』(新潮社)を刊行した。犯罪の暗部に寄り添うノワール(暗黒)小説の手法で、宿命のように地下鉄サリン事件を引き起こしてしまう教団の姿を描き出している。

 ノワール小説を代表する書き手である馳さんの作品では、バブル期以降の犯罪が大きな役割を果たしてきた。

 「何でこんな世の中になってしまったのか、と考えると、すぐに思考停止してしまう日本の社会のあり方が原因に思えてきました。オレの想像したオウム事件はこうだと提示することで、間違ってもいいから考えろ、想像しろと投げかけたのです」

 警官から政治家までも巻き込む陰謀を描く馳流のオウム事件解釈は、戯画化されているところがありながらも切実さがある。「現実と虚構をどうすり合わせて、物語の推進力を保つかに苦労しました。教団は当時の社会の縮図です。真理を求めて入信するといっても、バブル社会と同じく、お手軽・お気軽な商品となった“解脱”を求めていただけだと思います」

 資料を集め出してから書き上げるまで10年がかりだった。「たとえ妄想でも、日本の体制を本気でひっくり返すクーデターを実行しようとした姿に興味を持ったのがきっかけです。でも今の社会を転覆させようとした人たちが、教団の組織も含めて今の社会のコピーを作っているというアイロニーを描きたかった」

 今回の作品でノワールの手法と現代の犯罪の相性の良さも示した。「最近の事件は暴発型が多くて、動機を推理する余地がありません。ノワール小説では、なぜ人を刺したかではなく、どのように刺すに至るのかが描けます」

 軽井沢に移住しても、トレードマークの金髪とサングラス姿は変わらない。「早寝早起きになって体調は良くなりました。ただ、さわやかな土地でもどろどろとした物語は生まれます。今は軽井沢の高原を舞台にした血みどろの暴力も描いています……。作家は世間を挑発してなんぼだと思っていますから」

 
 という感じに言ってます。僕的には「坂本堤弁護士一家殺害事件」での坂本さん親子の姿を、そのまま物語の中の事件で想像してしまい、気分的に良くない事とかあったりして、今回は、馳の思いは伝わらなかったです。僕より10歳若い方は、もっと興味深く読めるかと思います。まあ読んでみる価値はあります。( -д-)ノ

ダーク・ムーン〈馳星周〉4

ダークムーン






 馳星周の「ダーク・ムーン」です。カナダのバンクーバーが舞台の作品です。現地の悪徳警官、日本の元警官等、かなりどろどろした展開な作品です。前にも僕は書いてますが、僕は、本を読んでいて、その本の内容の凄さなのか、やるせない展開になのか分かりませんが、気分が悪くなった事があります。(ちなみに僕は、全くデリケートな奴ではないです) まぁ、その時の体調とか気分とかが大きく作用していると思いますが、新堂冬樹の「鬼子」と、この「ダーク・ムーン」は、気分が悪くなって、一旦読むのを止めました。しかし、凄くその後の展開が気になり、再び読み始めて、読み終えてみると、これは、

 「ぜひ、他の人に読んでもらいたい」 

 と思える作品でした。馳作品では、「不夜城」が1番好きですが、それに匹敵する作品だと思います。( ´∀`)つ

マンゴーレイン〈馳星周〉3

マンゴー・レイン







 馳星周の「マンゴーレイン」です。この作品は、「タイ」が舞台の作品で、なかなか面白いです。

 タイのバンコクで生まれてバンコクで育った「将人(まさと)」「富生(とみお)」。将人は、タイに腰を据えた日本人の2世で、将人の父親は、タイ社会に馴染めず、将人の家庭は貧乏暮らしだった。富生は、3世で、富生の父親は、タイで成功し裕福な家庭で育った。幼なじみの2人は、親の状況とそのまま同じで大人になった。そんな2人がある時、5年ぶりに出会った。そこで将人は、富生に、

 「女をひとり、シンガポールに出国させてほしい」 

 と頼まれる。その女は、パスポートを持ってなくて、タイから持ち出すのが難しい仏像を持っている。胡散臭そうな話だったが、将人は金に目が眩んで、その依頼を引き受ける。その事によって、様々な危険に巻き込まれる・・・・・。

 という感じで話が進んでいきます。騙し騙されの展開が面白いです。クロージングの仕方も良かったです。( ´∀`)つ

ブルーローズ〈馳星周〉3

ブルーローズ





 馳星周の「ブルーローズ」です。これを初めて読んだ時は、すごく面白かった気がするのですが、ブログで紹介しようと思い、パラパラ読み返してみると、アラが結構見えてしまい、少し評価が落ちました。でも、なかなか面白いので、読んで損はないです。

 バブルの頃、勤めていた警察を辞めて、土地に手を出し、バブル崩壊と共に1億2千万の借金を背負って、その借金を返す為に、弁護士事務所でこき使われている徳永は、かつての上司の井口宗久警視監に、
 
  「五日前から姿が見えなくなっている娘を捜してもらいたい」 

 との依頼を受ける。特に事件に巻き込まれた様子もなく、前兆の様なものもなく、突然に姿を消してしまった。井口の娘の山本菜穂は、薔薇を育てるのが趣味で、青い薔薇を作るのに情熱を燃やす、普通の主婦だった。(「ブルーローズ」というのは、『ありえない』という意味で、現時点では、青い薔薇を作った人がまだ存在しておらず、現時点では、栽培不可能とされているらしい)
 徳永は、まず親しい人からの聞き込みを開始する。その中の「薔薇の栽培仲間」に話を聞くが、この薔薇仲間が怪しい行動を見せていた。徳永がこの薔薇仲間の調査をしていくうちに、薔薇仲間は、「SMクラブ」のメンバーだという事が分かる。やがて、徳永は、「公安警察」と「刑事警察」の権力争いに巻き込まれていく・・・・。

 という感じで進んでいきます。ちょっとありえない設定だけど、徳永の活躍に手に汗握ります。(殺される人数は、かなりの数になります。)ちなみに、続きでは、僕の感じた矛盾を書いてみます。ネタばれなので、読んだ人だけ見てください。続きを読む

クラッシュ〈馳星周〉2

クラッシュ






 馳星周の「クラッシュ」です。この作品は、

 ・「ストリートギャル」
 ・「ギャングスター」
 ・「溝鼠」
 ・「スリップ」
 ・「ジャンク」
 ・「土下座」
 ・「マギーズ・キッチン」
 ・「クラッシュ」


 の8編からなる短編集です。まぁまぁ面白かったという感じの作品です。当たりは、僕的には、1つだけでした。ブックオフで、100円で売っていたら、買ってみてくださいという感じです。

・「ストリートギャル」は、心が満たされない、雑誌モデルの由香が主人公の話。なんか落ちがなくて、僕的には「?」な作品。

・「ギャングスター」は、作者を伏せて読んでも「馳作品」だと分かるような作品。主人公の若者の落ちていく様をあれこれ想像させて楽しませる作品だと思う。

・「溝鼠」も「馳作品」だとすぐ分かってしまう様な作品。馳作品の王道のような作品。どっかで読んだ様な?って感じの感想です。悶え苦しみ、這い上がろうとしも這い上がれない若者の物語。

・「スリップ」は、売れないキャバ嬢の話。何もかもが上手くいかず、這い上がろうとして、打たれてしまう物語。

・「ジャンク」は、「馳作品」上級者編な作品。満たされない15歳の淳一の物語。「こういう作品を期待していた!」と思える人ってどうだろ?と思う作品です。

・「土下座」は、「自業自得だよストーリー」です。山田和正は、1日に3回も別な所で、別の理由で、土下座さられてしまう物語。可もなく不可もなくというところ。
・「マザーズ・キッチン」は、ごく普通。うだつのあがらないホストの遠山の話。馳作品なので、サクセスストーリーの訳なく、落ちていく・・・。

・「クラッシュ」は、この作品の中では1番良かったです。主人公の設定が面白かった。

M〈馳星周〉3

M





 馳星周の「M」です。4編からなる短編集です。この作品は、なかなか面白かったです。10年位前の作品なので、パソコン関係の事とか少し古く感じる事はあるのですが、今でも全然楽しめます。まぁ、馳作品なので、元気のない時は読む感じの作品ではないですがね。( -д-)ノ

・「眩暈」・・・したくない結婚をして、欲しくない子供が出来てしまって、マンションを買って、金に余裕がなく、常に精神不安定な男の児玉。そんな児玉の会社に義理の妹が派遣社員としてやって来た・・・・。短編としては、いい仕上がりだと思う。読後感が良かったです。

・「人形」・・・隣同士仲の良い、内藤家と金子家。内藤家の娘の裕美は、金子家の達也パパが物心ついた頃から好きだった。21歳になった裕美は、ある時、電車の中で達也パパと会う。こっそり後をつけると、達也は、「デートクラブ」に入って行った。達也パパと会う為に、裕美はそのデートクラブで働くようになる・・・・。という感じで話が進みます。この内藤家と金子家は、かなり複雑な関係になっている。途中で、結末を予想出来てしまいましたが、裕美の態度だけは予想出来なかった。なかなか良かったです。

・「声」・・・・失業中の旦那。旦那に隠れて、「伝言ダイヤル」にハマり、浮気する妻。その子供が学校でいじめにあっているようなので、息子のお守り袋の中に、こっそり「盗聴器」をしかけてみると・・・・。話のメインは、妻の浮気なのですが、運悪く、ヤクザに捕まり、脅され、泥沼にハマっていく。こっちの話で発展していくかと思ったのですが・・・。僕的にはこの「声」が1番面白かった。

・「M」・・・・母親を守る為に父親を殺した稔。会社の先輩に連れられ、「SMクラブ」を経験した。そして、「SMクラブ」のSM嬢のまゆみにのめり込んでしまう・・・・。これは、展開が予想外でした。そっちに行ったか?というのが最初の感想です。これもなかなか面白かったです。 

9.11倶楽部(馳星周)4

9.11倶楽部






 馳星周の「9.11倶楽部」です。この作品は、最近の馳作品の中では、1番面白いです。最初から惹きつけられました。

 地下鉄サリン事件で妻子を亡くした救急救命士の織田は、国籍がない子供達に出会う。東京都の新宿浄化作戦で、親が強制送還されてしまい、子供達だけの力で、マンションの1室で共同生活をしている子供達だった。妻子を亡くして孤独だった織田は、その子供達を生きがいに思うようになる。しかし、その子供達の中の笑加(えみか)という少女が、「再生不良貧血」で、莫大な薬代がかかるようになる。その金を捻出する為に、織田は、汚い仕事に手を染めていくが・・・・・。

 という感じで話が流れていきます。やはり馳作品なので、織田はどんどん奈落の底に落ちていく運命になるのですが・・・・。読んでいてすごく面白いのですが、もう作者が馳星周なので、手に汗握る展開でも、

 「もうすぐ躓くな。」とか「絶対上手くいかない。」 

 という事が予想出来てしまいます。これが、馳が作者と知らなければ、この後の展開を予想出来ずにもっと、はらはらして、楽しめるのにと思います。これが、馳作品を読んでいて、面白くても不満な所です。1度、ハッピーエンドの作品ばかりを書いてもらって、「今度はどっちだ?」みたく、分からない様にして欲しい。

 しかし、この作品は、最近の中では面白かったので、お薦めです。( ´∀`)つ

生誕祭〈馳星周〉3

生誕祭






 馳星周の「生誕祭」です。馳作品の中では、順位つけた訳ではないですけど、真ん中位のランクだと思います。なかなか面白いという感じの作品。上下巻あるけど、一応、飽きずに読めます。

 バブル絶頂期の時代、ディスコの黒服だった「堤彰洋」は、幼馴染の麻美の紹介で、若手で勢いのある地上げ屋の美千隆のMS不動産に入る事になる。美千隆の仕事の話、土地の話、金の話を聞いて、魅力に溢れる世界に刺激を受けた。そして、美千隆の

 「おれは、おれの王国を作りたいんだ」 

 という言葉に、彰洋の身体に稲妻が貫いた。彰洋は、美千隆についていきたいと思い、美千隆の王国を一緒に築きたいと思うようになる。その為に、彰洋は、汚い世界をも乗り越えて、美千隆の為に奮闘するが・・・・。

 という感じで話が流れていきます。基本的に彰洋は、生真面目すぎる性格で、この汚い地上げの世界では生きていけないタイプ。しかし、彰洋は、美千隆に心酔し、美千隆の「王国」を見たいという一心で、がむしゃらに働くが・・・・、そこは、馳星周の世界なので、彰洋のその後は、おおよそは想像出来ると思いますが、そこを楽しむのが馳の世界なので、それを知りたいと思った方は、是非読んでみてください。

 余談ですが、僕の世代は、バブルの恩恵を受ける事が出来なかった世代です。大学の時の就職活動の時は、バブルが崩壊してたので、就職がかなり厳しかった。何十社もの面接を受けて、全て落ちました。第一希望は、パチンコメーカーでした。三共とか西陣とダイイチ(字忘れた)を受けたと思います。あとは、適当にたくさん受けましたが、落ちました。それで、大学まで行かしてもらって、就職しないのは悪いと思い、フロムAで、同時に社員と募集していた会社を受けて、就職した感じでした。バブルの頃の就職は、すごい事になってたと先輩の話を聞くと、羨ましいです。まあ、そんなバブルの時代に1番恩恵を受けた職種が、不動産関係だった訳ですが、その時代背景を知るという点でも、この「生誕祭」は、いいかもしれません。

弥勒世(みるくゆー)〈馳星周〉2

弥勒世







 馳星周の「弥勒世」です。僕は、前に読んだ作品をブログに載せる前には、軽く読み直すのですが、今回も「弥勒世」をアップする為に、軽く読み直したのですが、かなり、読む進めるのが難しかったです。これは、あまり面白くない作品に起こる現象です。最初に読んだ時もそんな面白いと思わなかったのですが、だいぶ月日が経って、読み直しても、同じ感想でした。

 この作品は、返還前の沖縄が舞台です。主人公の伊波尚友を通して、当時のアメリカや日本の思惑や現地の人々の様子などが巧く描かれています。そして、やはり最後は、いつもの馳作品の帰結を迎えます。

 この「弥勒世」の説明もかなり難しいです。あまり面白くなかったという最大の理由は、主人公の伊波尚友の思考に共感を得られない事、その思考を許容出来なかった事だと思います。尚友の政信に対する憎悪と嫉妬の思考が理解出来なかったです。この作品を展開していく中で無理矢理そうしたように思えてしまう。「雪月夜」の幸司と裕司の関係なら、理解を出来るのだけど、今回の場合は、読んでいてイライラしてしまった。その理解出来ない点がある為に、いくら当時の沖縄について、何百もの資料を紐解いて、その当時の沖縄に関心のある読者のみなさんが、褒め称えるような、当時の沖縄情勢を描いても、小説としてのこの作品は面白くなかったですね。馳星周は、「不夜城」の頃にインタビューで、

「どうしてこのような設定にしたか?」
 
 という問いに、

「このジャンルは、あまり使われていなジャンルなので、誤魔化しが出来るから」 

 という様にに答えてました。今回の場合は、関心を持っている方もたくさんいて、誤魔化しが出来ないので、ストーリーより、現地の取材やたくさんの資料を紐解く事により、そういった方達をも納得出来るような、沖縄情勢を書いてやるという思いが強かったのでは?と思えてしまった。なので、この作品を褒めている方は、やはり、当時の沖縄情勢をよくここまで描けたという背景への賞賛が多い気がします。しかし、僕のように、ストーリーを重視した方の評価は低かったと思います。この感じのストーリー展開なら、短くして1冊にした方がいい位の凡庸な気もしますし、長くなったのは、当時の沖縄の情勢を詳しく書きすぎて、頭でっかちになってしまったからだと思います。

 これは、かなり意見が分かれる作品ですが。読んでみる価値はあると思います。( ´∀`)つ
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