蕎麦とラーメン食べ歩き と読書のブログ

蕎麦とラーメンの食べ歩きと読書のブログです。蕎麦は、結構詳しいので、蕎麦の評価は信用出来ると思います。ラーメンは、素人です。読書傾向は偏りがちです。

 お薦めの本を紹介してください!  コメント欄ではちょっと・・・。という方は、メールください。生意気言ってすみませんが、「恋愛もの」以外でお願いします。     

花村萬月(読書関係)

ニードルス(花村萬月)3

ニードルス(花村萬月)
花村萬月の『ニードルス』です。そこそこ楽しめました。ジャンル的には【青春音楽小説】でして、「ロック・オブ・モーゼス」系の作品なのですが、面白さで言えば【十代の花村萬月を17歳女子に置き換えて】表現している「ロック・オブ・モーゼス」の方が上ですね。今回の作品も勿論、花村萬月の若い頃に置き換えて表現はされているのですが、ストーリー展開や内面描写は圧倒的に「ロック・オブ・モーゼス」の方が深みがありました。まあそれでも、このジャンルが好きな方は読んでみて損はないと思います。

この小説、劇薬――。心を突き刺す、疾風怒濤のロック小説!

都内随一の偏差値の低さを誇る高校で退屈な日々を送っていた伊織は、同級生の針生(はりゅう)とともにロックバンドを組むことに。〈ニードルス〉のボーカルとして針生の天性の「声質」が注目される一方で、針生との絶望的な才能の差にも気づかされていく伊織。人気獲得のための演出は過剰となり、やがて針生が薬物に依存していく姿を見て伊織は――。

帯はこんな感じです。簡単に言えば、主人公の「宮本伊織」が、兄の「武蔵」と、高校で出会った「針生」達とロックバンドの「ニードルス」を結成し、やがてメジャーデビューし、終曲するまでを綴った作品です。そこには、萬月の音楽論とかドラックの事とか、いつものテイストが織り交ぜられていて、なかなか楽しめました。

萬月の描く【音楽青春小説】の共通点は、圧倒的な音楽的才能を持っているモノとの出会いなんですね。萬月が実際に「圧倒的な音楽的才能」を持つ人物に出会い、音楽は、

努力ではどうしようもない才能がモノをいう

という事を悟ってしまって音楽を辞めたんですね。なので、ストーリー展開はそれぞれ違えども、この「才能」については、必ず作品の隠れた「軸」となっていますね。伊織の兄の「武蔵」が言った言葉です。

「おまえだって薄々わかってるだろ。プロの世界では努力や頑張りで成し遂げられることなんて、ほぼ無意味だってことを。プロの世界では才能の問題は、正しくは才能の質の問題になっちまう」

萬月は「才能の凄まじさ」や「天性のおそろしさ」を描き、努力の虚しさを訴えているのですが、その凄まじい才能を持っている「針生」は、その才能ゆえの「刹那的」な男だったんですね。ラストは想像通りの「終曲」を迎えるのですが、読後感ありました。

続きで、ストーリー展開とは別に印象に残った場面を( ´∀`)つ


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武蔵(六)花村萬月3

武蔵(六)
花村萬月の『武蔵(六)』です。このシリーズの最終巻です。最終巻という事は、勿論、佐々木小次郎との対決がある訳ですが、これが視聴率の悪いドラマが急遽打ち切りになったかの様なあっけない終わりとなっておりまして、「私の庭」や「ワルツ」の様なアツい決闘の様子を期待していた僕としましては肩透かしな感じでした。下記は作中での武蔵の小次郎との対決に立ち会った弟子の直助との会話です。

痰が絡まったかの咳払いをして、直助が呟く。
「呆気ないいうか、えろう短かった。あまりに短かった」
「打々発止がよかったか」
「武蔵様が櫂を構えて波打ち際を駆けはじめた思うたら、次の瞬間には空飛んで、そいで仕舞いやった。ほんま、あっという間やったから」


読み手の僕もこんな感想です。勝負があっという間に終わっても良いのですが、それまでに至るお互いの心理描写すら、深堀りなされてなくて少し残念でした。しかし、僕が今回、星3つの評価をしましたのは、この小次郎との戦い以外に、かなり面白かった所があったんです。これがホント意表を突かれてまして、動揺させられてしまいまして、読後感ならぬ、読中感と言いますか、かなりの時間動揺させられてしまいまして「やられて」しまいました。

シリーズ全巻読破をオススメします。( ´∀`)つ

その「動揺」させられてしまった所は、せっかくシリーズを読んできてる方の為に伏せさて頂きまして、続きで別で印象に残った場面を(*´∇`*)


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武蔵(五) 花村萬月3

武蔵五
花村萬月の『武蔵(五)』です。前にも書きましたが、3巻から面白さにエンジンが掛かってきまして今回も面白かったです。前回の4巻からの続きで「鍛冶場」での武蔵の様子から始まります。自分の刀を作ってみたいと願いでた武蔵が、刀鍛冶の【忠直】の元で武蔵の刀が出来上がるまでの様子が綴られてます。今年に入ってすぐに両国の「刀剣博物館」に行ってきた事もあり、とても興味深く読む事が出来ました。

 下鍛えがはじまった。火床で充分に熱せられた鋼を金床に安置して折り返し鍛錬だ。國吉が打ち延ばした鋼の真ん中に鏨(たがね)を宛がう。佐兵衛が鏨の臀を鎚で打ち据え、切れ目を入れていく。ちょうど田楽の豆腐を真ん中から真横に割ったがごどくである。
 それを二つに折り返し、重ねる。國吉が佐兵衛と祐定に目で合図する。まずは佐兵衛が向鎚を振るい、その火花の散り具合を見定めてから祐定が若干勢いを弱めて打ち据えた。
 双方の力加減は一打一打微妙にちがい、打ち叩いているにもかかわらず愛撫しているかのような繊細さがある。弁之助は飛び散る火花にふたたび神妙になった。
 これより芯鉄皮鉄共に幾度も折り返して鍛える工程だが、まずは皮鉄からだ。國吉と佐兵衛と祐定が三位一体にならなければうまくいかない難しい作業だ。つまり刀匠と向鎚が一体にならなければ破綻する。
 向鎚の二人は國吉の目配せ、ときに指示の言葉にあわせて赤熱した鋼を叩く。
 相手の言葉に同意のしるしをあらわして頷くこと「相槌を打つ」をいうが、刀匠の合図にあわせて向鎚で叩くことからきている言葉である。

鍛冶場での場面を抜粋しましたが、上記を読めば分かると思いますが、その情景が頭にありありと浮かんできまして、さらには飲み屋で使える?雑学なんかもありましてとても面白かったです。

そして、二刀を手に入れた武蔵は「山落」の集落を離れ京都に向かい、鴨川沿いに軒をかまえる女郎屋の「湧泉楼」の主の【東海林梅左右衛門】のお世話になります。そこから北白川城址を訪れた武蔵は、

星辰坊、順正尼、白月尼

の3人と出会います。ここからが、この5巻のメインとなるのですが、これがアツいアツい。武蔵と2人の尼との交わりが勃起モノでしたね。男の僕が言うのは説得力がないかもですが、この精神世界までを理解して女性に対峙している男は殆んどいないと思いますね。萬月作品の良さはこれが理論的なんですね。この5巻でもそれが充分に楽しめるモノになっておりました。そして、武蔵と薙刀の名人の順正尼との仕合の場面もアツかったです。

唇のまわりを朱に染め、順正尼は笑みを崩さずに続ける。
「本音を申しますね。懸想しております。ゆえに首まで落とすつもりはございませぬ。けれど足か腕くらいは落ちるやもしれませぬ。だいじょうぶです。大切な武蔵様の男を傷つける気はありませぬし、腕や足が落ちれば即座に血止めして差しあげますし、手当もいたしましょう。もちろん後々の御面倒までも見させていただきますから御安心を」

その戦いの緊迫感から、下腹に力を込めて読む羽目になったくらいです。(*´∇`*)


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心中旅行(花村萬月)3

心中旅行
花村萬月の『心中旅行』です。タイトルに「心中旅行」と謳ってしまってますので、お分かりだと思うのですが、勿論タイトルそのままの心中旅行の物語です。しかも、向かう先は花村萬月お決まりの北海道と云う事で、パターン化してしまっている場所なのですが、これがなかなか面白いんです。今回は特に、心中旅行に旅立つまでの過程が凄く面白くて、一気に読んでしまいました。

主人公は、文芸誌〈小説〇〇〉の編集長の【澤野逸郎】です。この編集長である逸郎が作品中で妻に語った内容がそのまま僕の萬月作品の評価だなと思ったんですね。

「言葉って、リズムなの?」
「うん。リズムの良い文章は、中身がなくても読んでいて愉しいじゃないか。文章の達人は、必ず独自の、しかも優れた抽んでたリズムをもっているよ。ノリでぐいぐい読まされてしまう文章は、本物だよね。これは努力や頑張りとはあまり関係のない資質で、だからこれを持っていない文筆家は意味とか筋書きに逃げるしかない。異論もあるだろうけれど、意味やらなんたらは、詩や小説にとって二義的なものかもしれないね」


ほんと萬月の文章は読んでいて愉しい。今回の作品はタイトルもストーリー展開も、悪く言うと陳腐なモノなのですが、読んでいて愉しかったんですね。特に、萬月が「文芸編集者」の目線で、(萬月側である)作家の人達を描いているのですが、これが切れ味良くて愉しかったです。ファンでない方までがわざわざ読む程の作品ではないのですが、ファンなら購入しても損はないです。帯は良い感じです。

小説を愛してやまない文芸編集者の澤野逸郎は、文芸誌〈小説〇〇〉の編集長になった。妻と双子の娘に囲まれ、幸せの絶頂かと思われたが、気づけば編集部には鬱が蔓延、作家とのトラブルも続き、やがて大量の薬に溺れるようになる。時を同じくして、部下である新人編集者の豊嶋と不倫関係が始まった。薬と肉欲にまみれた逸郎を、不幸の連鎖が襲う。その行き着く先は―。

その行き着く先は勿論「心中旅行」となる訳です。先程も書きましたが、ストーリー展開は大したものではないし、エロの世界もいつもよりだいぶ浅いので、この作品を読んで、印象の残っているのは、編集者目線でのアレコレと睡眠導入剤系の話とスバルとボルボの安全性能の良さを認識したくらいでしたが、愉しめました。

続きで印象に残った場面を( ´∀`)つ


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日蝕えつきる(花村萬月)4

日蝕えつきる
花村萬月の『日蝕えつきる』です。ジャンル的には【暗黒小説】ですね。かなり読み手を選ぶ作品ですが、読後感は半端なくて、僕的にはかなり落ちました。あまりの展開の凄さに何度か休憩が必要でした。この作品には、花村萬月による「あとがき」がありますので、ブログ的にはかなりきっちりと作品の意図を案内出来ます。

 或る日、つれづれに斎藤月岑「武江年表」の巻之六を繙いていたところ『天明六年丙午十月閏 正月元日丙午にて午一刻より未一刻迄日蝕皆既闇夜の如し』とあるのが目にとまりました。元旦早々に皆既日食。とたんにこの日蝕にすべてが収束する幾つかの作品の輪郭が泛びました。太陽が消え去って、つまり光が失せたという現実に対しての物語の輪郭が泛ぶというのも奇妙なものですが、これがときおり小説執筆に訪れる魔法とでもいうべきものです。
 天明と言えば大飢饉、浅間山の大噴火といったあたりが脳裏にありましたが、それらを経て天明六年元旦の皆既日食に終局を迎える小説を書きあげることができました。救いのない物語ばかりですが、作者にはこれぞ真の『暗黒』小説との思いがありました。


という事なんですね。最後の方の「作者にはこれぞ真の『暗黒』小説との思いがありました」という所で、「上手い」と口ずさんでましたね。(*´∇`*)

「千代」・・・・・江戸で夜鷹をしている「千代」の物語。軽井沢宿の旅籠屋の看板だった「千代」が【前掛山(浅間山)】の噴火によって、江戸に逃げてきてそろそろ三年という時に、千代の身体に異変が起きます。陰穴の奥がちりちり痛む様になったんです。唐瘡(梅毒)に罹ったんですね。そこからは「暗黒小説」なんで、千代は急坂を転げ落ちるようにして落ちていくのですが、その様が萬月ならではの圧倒的な描写なんですね。後で思うとこの「千代」はまだ序の口でした。
 
 千代は丹念に腫れを確かめ、痛くも痒くもないのだから気に病むに及ばずと気持ちを切り替え、更に奥の三つのしこりがどうなったかさぐってみた。昨日よりもさらにじくじくに崩れ、たいそう粘った。糸を引きそうなねばねばは血膿まじで魚の腸のが腐った臭いがした。
 どうしたことか唐瘡は、罹った直後から三年後くらいまでのあいだしか肌を合わせた相手に移らず、夜鷹たちはいわば免疫を得たつもりで躰や顔のあちこちに肉が抉れた深紅の牡丹の大輪の花を咲かせ、抜け落ちた髪や欠けた鼻など手拭いで隠して商売に励むわけだが、十年もたてば歩くこともままならなくなって必ず気が狂う。そして、死ぬ。
 

 この作品の一部抜粋です。唐瘡に罹った人の肌の映像をネットで見た事があるのですが、上記の「躰や顔のあちこちに肉が抉られた深紅の牡丹の大輪の花を咲かせ〜」とまさに大輪の花でしたね。一発目にこの作品を読み終えた時の読後感は凄かったのですが、さっきも書きましたが、ホントにこの作品が序の口でしたね。

「吉弥」・・・・・歌舞伎役者として舞台に上がる事を夢見る「吉弥」の物語。萬月曰く、歌舞伎はもともと出雲阿国の時代に売春の客寄せとして始まったものらしいです。つまり、当時の役者は「売り物」だったんですね。吉弥は小さい頃からその美貌は抽んでいて、期待されていたのですが、最盛期を迎えた歌舞伎は、生半な才ではとても舞台に上がる事が出来ない時代だったんですね。吉弥程度の才では如何ともしがたい現実があり、しかも【陰間茶屋】が大繁盛で、実際の所は、陰間茶屋で育てられている吉弥達は、端から売笑目的に買われて連れてこられていたんです。そして「男色修行」(その内容は史実だそうです)が始まるのですが、その「男色修行」から、その後に客によってアナルを破壊されて落ちていく吉弥の人生は衝撃的でした。

「どれどれ本手取りでいたそうか」
くるりと吉弥をひっくり返す。仰向けにされた吉弥の片脚を肩に担ぐようにして、加減せずに重みをかけてくる。御無体でございますと訴えると、これぞ無体攻めと意に介さない。上豚上豚と喜悦の声で連呼し、あえて吉弥の出血がひどくなるように先だけで突きまくる。しばしそれで遊んで、頃合いをみて奥底まで押し入ってきた。


吉弥の菊座は裂けてしまったんですね。筋まで切れてしまい元に戻らなくなってしまった吉弥は、湯治に出掛けて・・・・。更なる試練が待ち受けているんです。久しぶりに「胃」が重くなる程の「暗黒小説」でしたね。しかし、この後の作品の方が更に「胃」が重くなりましたけどね。( -д-)ノ

「長次郎」・・・・・「29歳でこの世を去った山中貞雄監督の最後の作品で、河竹黙阿弥の世話物を翻案、映画化した時代劇の長屋ものの名作」である萬月の大好きな映画〈人情紙風船〉に対するオマージュとしてあえて武士の愚かさを徹底的に戯画化してみたそうです。貧乏長屋に住む下級武士の「長次郎」は、美人の妻に養ってもらっていたのですが、その妻は【春を鬻いで】生活の糧としていたんですね。そしてそれが露見する事となりまして、最後の場面の夫婦喧嘩となる訳ですが・・・・・。この作品はかなり息抜きになりました。

「それもこれも何方かが日々遊び暮らしておられるがゆえ。霞を食べて生きてゆかれるならば、わたしも意に染まぬ干菓子売りなどせずにすみましたものを。何方かに甲斐性が御座りましたら、わたしも妻女を全うできましたものを。なんらかの手立てにて稼がねば生きてゆくことができず、否応なしということでございます」
「だからな、待てと申しておるのだ。一朝事あらば」
「一朝事あらば。事など御座いませぬではありまあせぬか。事とは島原は天草の一揆で御座いますか。あるいは素浪人が空騒ぎなされた慶安の変くらいしかわたしには思い泛びませぬが。いったい、あれからどれだけたっておいでだと思いです」


という様な夫婦喧嘩の末に・・・・・。これは面白かったです。ほんと息抜きになりました。次の2作品が結構ヘビーなんです。

「登勢」・・・・・流刑の島だった八丈島の、「村八分」の家で育った「登勢」の物語。登勢の物語と共に流刑の島としての八丈島の様子が克明に描かれていて(これはフィクションとの事です)この作品が一番衝撃でしたね。
 女犯僧として押送されてきた流人の「興円」の子供を身籠った「登勢」は、仄かな期待も叶わず、「興円」に堕ろす様に迫られ、ある決意を持って村の外れにある「流し小屋」に出向くのですが・・・・・。

登勢は蔓蕎麦の枝を己に向けた。いきなり勢いをつけて突き刺す気にもなれず、ゆるゆる挿しいれた。〜登勢は息を整え、突いた。痛みが疾る。けれど見当違いの場所を突いたのが直感された。ゆるゆると引き出して、円を描くようにと己に言い聞かせて、刺した。悲鳴をあげた。腹の奥をひどく傷つけただけで、またもや外したようだ。〜蔓蕎麦の先端が刺さった子が、あまりの苦痛に登勢の口を通して哀叫を迸らせたかの悲鳴であった。仰向けに昏倒した登勢を凝視する興円の口許には、誰にも見せたことのないであろう歪みきった真の笑いが泛んでいた。

萬月の圧倒的な筆力からか、僕の想像力の賜物か分かりませんが、この作品の八丈島での様子が始まりからラストまで、くっきりと頭の中に浮かんできまして衝撃でした。読後感半端ないです。

「次二」・・・・・濡れ衣で江戸の牢屋に放り込まれた「次二」の物語。この作品は、萬月の色々な想いが込められている作品なのですが、僕的には単純に当時の江戸の牢獄の様子に衝撃を受けました。この時代、一度疑いをかけられたら、その罪を認めるまで拷問にかけられるのですが、「次二」は、どの様な拷問にも耐えるのですね。それには、「次二」が経験した凄まじい出来事が背景にあるのですが・・・・。

そこには黄土から鈍色褐色まで新旧入り交じった汚物が椀に山盛りで置かれ、杉の小箸添えられて御膳の用意ができあがっていた。強烈な臭気である。〜肥溜めは屋外にあれば良くも悪くも熟成した臭いがするものだが、気の澱んだこの閉ざされた場においてはあ、いかにも生めいた刺々しく悪辣な臭気である。どうやらこのご馳走のために放りだしたばかりの新鮮な物と腐敗酸敗が進んだ物を混ぜ合わせたようだ。
「これ、神妙に戴け。遠慮無用、遠慮するとお代わりを申しけるぞ。それ、早く戴け」


スパイとなった岡引への懲らしめの場面です。これを3杯食わされるのですが、この場面は、2回程休憩しないと読めませんでした。あと「次二」への拷問の場面も凄かったです。


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武蔵(四) 花村萬月3

武蔵(四)















 花村萬月の『武蔵(四)』です。何度も言いましたが、萬月の「私の庭」の武蔵バージョンですね。3巻から凄く面白くなりまして、今作品も面白かったです。

 今回、【弁之助】と【然茂ノ助】があの関ヶ原の戦いに、西軍の「宇喜多秀家」の軍勢一万七千超が布陣した天満山の最末端の雑兵として参加する所から始まります。西軍ですから、勿論負け戦になるのですが、関ヶ原の戦いが始まってから敗残兵となり、逃げのびるまでの展開は、花村萬月ならではの展開で衝撃でした。しかしこの戦いで然茂ノ助を失ってしまったんですね。弁之助は、心の隙間を埋める様に京都の小次郎の元を訪れ、そこで二刀流の真の使い方を学んだ後、然茂ノ助の死を告げるため、上の東江に向かいます。そこから弁之助が鍛冶仕事に興味を持ち、知られていなかった鍛冶場の世界を体験するまでがこの4巻で描かれいます。
 関ヶ原への参加・小次郎との二刀流の話・鍛冶場の世界を体験、大きく分けてこの3つが今回の作品の軸となっています。どれも全部面白かったです。( ´∀`)つ


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ロック・オブ・モーゼス(花村萬月)3

ロック・オブ・モーゼス













 花村萬月の『ロック・オブ・モーゼス』です。ジャンル的には【青春音楽小説】という事なのですが、読み始めたらイッキにハマってしまいました。音楽の事が全く分からない僕が読んでも面白かったです。「ウエストサイドソウル」と被るのですが、それより面白かったです。

 京都の高校に通う【朝倉桜】が主人公です。桜の性格は、以下の桜と姉の様な存在となる【ケイティ】との会話から分かります。

 「なるべく、髪で顔がみえないように」
 「してたん」
 「はい。表情を悟られないように。感情を読まれないように。ありとあらゆるものに遠慮してました。息するのにも気配りしてました」
 「家でも、学校でも?」
 「はい。とりわけ学校です」
 


 という会話から分かる様に、桜は集団が苦手で、ただひたすら自分を殺して集団からはみ出ない様にしていたんですね。そんな桜が、幼い頃から天才ギタリストとして、もてはやされていた【モーゼ】(百瀬竜治)と出会うんですね。桜は、モーゼによって秘められていた音楽的才能を開花させるんですね。そして、モーゼが率いる「モーゼス」というバンドに加入する事となり、桜は成長していくんですね。桜の音楽的才能は、モーゼをも凌駕する事になるのですが、そんなモーゼと桜の2人の関係に、もうかなり【おっさん】となってしまった僕ですら切ない気分にさせられまして楽しめました。(*´∇`*)

 萬月のTwitterからです。

多感だったころ、自意識過剰と劣等感に覆い尽くされていて、私の長髪はある種の防護壁のようなものでした。髪で顔を隠していた、ということです。

新刊〈ロック・オブ・モーゼス〉は、そんな十代の私を17歳女子に置き換えて表現してみました。もちろん虚構ですから、私のように挫折しっぱなしではありませんが、いつも俯いていて、顔を髪で隠しているような女の子を愛おしんで描きました。

挫折はきついですね。努力をすればなんとかなるならば、頑張りもしたけれど、自分のことは否応なしにわからされてしまう。この髪の短くなっている写真は二十歳過ぎです。このころには自分を見切るしかありませんでした。


 このTwitterを見てから(萬月の「百万遍」も読んでいれば更に良い)この作品を読むと、深い所まで想像出来て更に楽しめると思います。桜もモーゼも10代の萬月が下地になっているんですね。エッセイか何かで萬月が音楽を止めるきっかけになった話を書いてましたが、その事ともリンクしてまして楽しめました。


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いまのはなんだ?地獄かな (花村萬月)4

いまのはなんだ?地獄かな 















 花村萬月の『いまのはなんだ?地獄かな』です。萬月が描く子育て小説という感じです。萬月ファンの僕としましてはかなり楽しめました。エッセイ的な話が面白かったです。帯はなかなか良いですね。

 五十八歳にして初めて子を得た小説家・愛葉條司。「家族クソ食らえ」の條司だが、子育ての喜びを知り、のめり込む。娘・愛の無邪気な言動、良き母であり心身とも相性の良い妻・志帆との会話、幸福な日々に次第に丸くなる自らの内面等、克明に記録する條司。しかし、彼は、家族の「闇」に気づいていない。それは、愛が三歳になる直前のこと・・・。

 という感じで流れていきます。子育ての喜びを知った條司が、娘と妻との生活を綴った話に、しっかりエンターテイメント的な要素を織り込んで最後まで楽しめる内容になってます。ただ、この作品を読むには、頭のモヤモヤを取り除いてから読んだ方が良いと思んですね。読み始めると僕みたいな中途半端なファンは、情報不足の為に、頭にモヤモヤ感を感じながら読み進めるという状態に陥ります。簡単に言うと、

 萬月には子供がいるのかな?

という事なんですね。58歳にして初めて子を得た小説家・愛葉條司は、花村萬月自身がモデルになってるのかな?という確証が欲しくて堪らなくなります。読み進めると確証を得るのですが、僕の性格上、然るべき人や媒体から確証を得ないと気がすまないのです。だからまずはこの確証を得てから読もうと思って、一旦読むのを中止しまして、ネット等で検索しまくりました。この作品は、勿論フィクションなんですけど、基本的な軸な部分は、ノンフィクション的な【子育て小説】なんですね。子育てに励む花村萬月の話だと思えばこそ、感情移入して楽しめる訳で、この【子育て】の部分がフィクションだったら、

そんなのワザワザ読んでる時間はねえ!

 って感じなんですね。ネットで色々検索した結果、それを裏付ける情報はなかったのですが(4月の発売したばかりの時の検索です)花村萬月のTwitterにヒントがありました。

 ■6月11日
  小説宝石連載〈いまのはなんだ? 地獄かな〉のある山場を書き終えて、気がぬけてしまった。(俺にとっては)最悪の場面で、書くのがつらかった。こんなに書くのが(内容的に)しんどかったのは初めてだ。私小説の中に潜り込ませた虚構がごく身近な人を傷つけなければよいのだが・・・・・・。

 ■2012年8月31日
  ともあれ、久しぶり。メール等、不義理をしまくっていますが、おいおい返事を書きますね。しかし、ひと月こもっていると、全てがどうでもよくなるね。チビと虫取りにでかけて、でかいオニヤンマその他をつかまえました。

 ■2013年5月4日
  数日前、くしゃみ連発、ハナタレ、涙目の子供がペロペロキャンディを嘗めていて、それを『どうぞ』といって、俺の口に入れようとした。やばいと思ったが、NOとも言えず、ペロペロした。ストロベリー味。美味しゅう御座いました。結果、くしゃみ連発、ハナタレ、涙目・・・・・・・・ま、いいか。

 ■2014年2月6日
  〈いまのはなんだ? 地獄かな〉ゲラもどし。書いていてやや辛かったが、こうして読み直して手を入れるのも辛い。肉ではなく心を切り売りする。小説家は因果な商売だ。こんな因果な娯楽性の欠片もない小説を掲載してくれる小説宝石に感謝。


 上記のTwitterでの萬月の発言と、この作品を読み進めていく中での内容(エッセイ等での言動など)を検討しまして、

 萬月には子供がいて、この「子育て」の内容は萬月自身の体験記である!!

 という確証を得て、それを信じて読み始めました。長々&クドクドと書いてしまい、勘の良い女性には、僕の性向がバレてしまいそうなのですが、ホント、この作品を楽しく読むには、この疑問点はまず最初に解決しないと読み進める事が出来ませんでしたので、長々と説明させて頂きました。ですので、この作品の評価は上記の事が前提となって書いてます。(・∀・)つ

 で、この作品は、エンターテイメントな小説として纏まっているのですが、メインは萬月の「子育て小説」なんですね。Twitterにもある様に、「私小説の中に潜り込ませた虚構が・・・・・・」とありますが、虚構の部分は全くいらないと思えるくらい萬月の「子育て」の様子が面白いんですね。ホント電車の中で読んでいて、声を出して笑ってしまった場面もあるくらい面白かったです。後半がこの虚構部分だと思うのですが、虚構部分の頃は冷静に普通に、
 「お、クロージングに入ったな」
なんて思える展開になっていきまして、そんなには面白くはないのですが、純粋な萬月ファンは必読です( ´∀`)つ

 僕的に面白かった所を一部紹介します。萬月の子供が生まれた時の萬月の心境の変化が描かれてます。それまでの萬月は、子供の写真を載せた年賀状を送る人物を唾棄する程嫌いだったですね。子供が生まれた瞬間にこの思いが変わったんですね子供の写真を載せた年賀状を出したいと。(笑)全文載せたいのですが、かなり長いので省略バージョンで。

 たとえば家族、とりわけ子供の写真を使った年賀状が届けば、胸の裡でその送り主を切り棄てた。他人の子の成長に意味を見いだせる者があるのだろうかと投げ遣りな苦笑を泛べもした。そんな写真仕立ての年賀状を手にして、他人のひねた子供の姿をかわいいと口にする者があれば、それは嫌らしい処世にすぎぬと唾棄した。何よりも赤の他人に己の家族の写真を送りつける者の垢抜けなさ、あるいは繊細さのなさにおぞましささえ覚えていた。×夫、五歳になりました〜などとどうでもいいコメントと共に腐りかけた河豚のように太った小生意気かつ不細工な子供の作り笑いの写真を送りつけてくるのは嫌がらせにすぎず、しかも送りつけた当人がこのような年賀状を送るのはよいことであるという善意らしきもの、あるいはすべての人間は子供というものを無条件に受け入れるという身勝手で薄汚い思い込みを抱いていることが許せなかった。その賀状が妊娠できぬ女性のもとに届くことを考えると、あるいは子作りに必死になっている夫婦のもとに送りつけられることを思い描くと、ときに義憤のようなものにかられさえした。〜省略(まだまだ批判は1ページ程続く)〜

 〜娘が誕生して、生まれたての娘(名は「愛」)を抱いて〜

私は愛を抱いて、そのあまりの軽みに舞いあがった。愛の軽さの先に、賀状があった。年賀状を出したい。愛の画像入りの年賀状だ。とりあえず今年は『愛がうまれました』だろう。いまは生まれた直後で痩せているが、もう少し母乳を含ませてふくよかになったところを念入りに撮影し、それを年賀状に印刷する。『愛が一歳になりました』になると、すっかり髪の毛も落ち着いて、しかも結構太っているのではないか。あるいは母に似て痩せっぽちのままか。とにかく、送りつけたい。愛の画像入り年賀状をあちこちにばらまきたい。知り合いのところにすべて送りつけたい。俺の血を分けた存在が、ほら、こんなにかわいらしい貌をして。


 これはほんの前半部分なんですが最高ですね。この赤裸々に語る心境変化の所で、こんなに面白い文章が萬月自身の事でなく、ただの虚構であったなら逆に、先程にも書いた様に「そんなのワザワザ読んでるヒマねえ!」という心境になってしまって、ネットで調べたんですね。とにかく、これはほんの一部で面白い話ばかりでした。集中力が切れてしまったので、このへんで( ´∀`)つ

弾正星(花村萬月)3

弾正星













花村萬月の『弾正星』です。花村萬月の描く【松永久秀】の物語なんですが、なかなか楽しめました。僕の知る限りですが、この【松永久秀】を魅力的に描いた作品ってないんですね。あまり僕的には、イメージが良くないのですが、この作品で萬月は【松永久秀】を魅力的に上手く描いてましたね。萬月ファンの方なら分かるかと思いますが、「笑う山崎」の【山崎風】に描かれてました。(ハチャメチャなんだけど愛があるって感じですね)

内容的には、「弟」として松永久秀に仕え、久秀の最期をも看取った【丹野蘭十郎】が、久秀との出会いから最期までを語ると言った内容です。歴史的な出来事やその時代背景とかの描写は極端に少なく、久秀の人物に焦点が当てられてますので、この時代が得意でない方にも関係なく楽しめると思います。僕的には、もう少し織田信長との因縁を掘り下げてもらいたかったですが・・・。

 この作品の花村萬月のインタビュー記事です。http://www.news-postseven.com/archives/20140920_277343.html

武蔵(三) (花村萬月)3

武蔵(三)















 花村萬月の『武蔵(三)』です。第3巻ともなりますと、萬月の描く武蔵に全く違和感なくなりましたね。前も書いたかもですが、「私の庭〜武蔵編〜」という感じの進行で、「私の庭」が好きな方には、この3巻からは十分楽しめると思います。

 16歳になった【弁之助】は、豪族の東江家の当主で、手裏剣の名手の【然茂ノ助】と旅に出ます。山陰道の但馬国〜萩の須佐〜九州の最北端の門司〜彦山〜京都という行程の旅なのですが、全ての場所場所での出来事が面白かったですね。
 山陰道の但馬国の御火浦(みほのうら)では、五輪書で言う所の
 「但馬國秋山と云強力の兵法者に打かち」
の秋山兄弟と出会い、秋山兄弟と決闘になるのですが、そこに行き着くまでの物語が萬月らしくて良かったですね。彦山では、200人もの山賊を相手にしての戦いとなるのですが、この3巻のメインを張る内容で迫力があって楽しめました。そして京都では小次郎と再び出会いその後の展開が期待出来る内容で楽しめました。

 3巻まで読み終えてみると、この作品はおススメだと言えます。( ´∀`)つ

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舎人の部屋(花村萬月)3

舎人の部屋















花村萬月の『舎人の部屋』です。「浄夜」の続編という感じでしょうか。マニアックな花村萬月ファン向けの作品ですね。マニアックなファンでない方なら読む必要はないです。僕的には、まあ普通と言ったところですが、寄り道の多さに少し飽きてしまった所があったのと、ラストの舎人の世界に少し酔ってしまいました。(●´ω`●)

この作品は、主人公の【舎人憲夫】が一人称で自身の今の生活を語るんですね。舎人流の「サディズムとマゾヒズム」の解釈を交えて、物語が進行していきます。内容的には、エロと合法ハーブの話が主体となっていて、舎人の性癖が明らかにされていきます。性描写に関しては、「浄夜」よりパワーアップしておりまして(しかし、ストーリー性が薄いので勃起はしなかった)僕の記憶の萬月作品の中では更に一歩踏み込んだ「性描写」という印象でした。ラストは、2パターンのラストが用意されておりまして、ハッピーエンドで終わったと思って次のページを捲ってみると、

 なかには幸福な結末を微妙に物足りなくお感じの方もいらっしゃるでしょう。そんな方のためにもうひとつの終幕を御用意いたしました。

と綴られておりまして、ハッピーエンドで終わったその続きから物語が始まりまして、思ってもみなかった展開が用意されております。僕的には、ここからが少し酔ってしまいましたね。

「浄夜」を評価している方なら是非。( ´∀`)つ



萬月な日々(花村萬月)3

萬月な日々









花村萬月の『萬月な日々』です。「笑う萬月」、「萬月療法」ときて、第3弾のエッセイ集という感じです。前回アップした『色』を購入した際、読んだ事ないエッセイ集だと思って購入したら、以前立ち読みした事のある作品で失敗しました〜。花村萬月作品自体、新刊以外置いてない本屋さんだったので、てっきり新刊と思って購入してしまいました。(ノд・。) グスン

で、内容的には、この作品が僕にとっては一番興味のないものが多かったです。38タイトルあるのですが、その中で、6つくらいしか僕的に面白いのがなかったです。その中から僕的に面白かったのを紹介します。

「比喩について」・・・萬月の【私の庭】の連載が終わっての感想から始まる作品で、新人賞の応募作で、最近とみに増えた時代小説の事の話が面白かったです。

 ・それは、まるでマトリックスの戦いのようだった。
 ・彼女はラファエロの描く聖母のような微笑みを泛べて僕を優しく包みこんだ。
 ・年代物のワインのような芳醇さだ。
 ・仰ぎ見た空は、いまにも泣き出しそうだった。

上記の4つの比喩について萬月が語っているんですね。「マトリックス」の掴みから入って、その後は深い話でした。

それとは別に印象に残った所を。

俺は殺人に対する自由さを求めて時代小説を書き始めたようなところがある。〈私の庭〉の主人公は、基本的に誰にでも好かれるある種の超越性を持っている男であるが、その超越性は過剰で、ある瞬間、超越ゆえに斬りまくることとなる。その刀は女子供でも容赦しない。
 幸いなことにこの超越と過剰、編集者をはじめ読者には意外とすんなり受け入れられ、刀をふりまわすことのできる時代がもっているお約束とでもいうべきもの有利さを実感したものだ。


「あとがき」・・・僕的には、この作品のあとがき一番良かったです。

書こうか書くまいか迷ったのですが、ブビヲは二年前の夏に死にました。京都の猛暑から逃れようと八ヶ岳に向けて走らせていた車中で息を止めてました。

という話から始まる「あとがき」で、ブビヲの死から花村萬月の愛犬への想いのスタンスを語っていて興味深かったです。花村萬月の愛犬へのスタンスは、ブビヲを失った今、もはや犬を飼うきにはなれないそうです。そして、愛犬家と称する人達が次の犬を飼う心理が分からないと語っているんですね。そこらへんの話が印象に残りましたね。まあ、愛犬家ではない僕から見れば、この花村萬月も愛犬家だろうし、馳星周だって愛犬家ですよ。死んだ後のスタンスではなくて、それまでのスタンスを見て判断するだけですね。後のスタンスは性格とかの問題ですね。( -д-)ノ

色 (花村萬月)4

いろ









花村萬月の『色』です。9つの【色】がそれぞれタイトルとなった短編集です。客観的に読んで見ると、星が3つといった所だと思いますが、花村萬月ファンの僕にとってみると、星が4つのかなり満足出来る作品なんですね。『百万遍』の続きを読んでるかの様な『赤』、花村萬月の精神構造が垣間見れる『白』、花村萬月の父の事を描いた『黄』、母の事を描いた『茶』が良かったですね。

『赤』・・・「昔話をしよう」という一文から始まり、花村萬月が、二十歳になったのを潮に、十七歳からの京都暮らしから東京に戻ってきたばかりの時の事が語られています。ひょんな事から新宿歌舞伎町の暴力バーのママの娘と付き合う事となり、その暴力バーに入り浸っていた時の話なのですが、その暴力バーに、関西系の本物が客として来て、その本物に、48000円の請求をした事からトラブルになるんですね。そこでの遣り取りが熱いですね〜。最初にも書きましたが、『百万遍』の続きを読んでいるようで面白かったです。

『紫』・・・「祖母の頭が紫になった」という一文から始まる、京都に住むお婆ちゃんと孫の【郁音】の話。髪を紫に染めるというだけで、何となく一味違うお婆ちゃんだと想像出来ますが、そんなお婆ちゃんの魅力が微妙に興味深い作品。

『灰』・・・イラストレーターの女性が主人公で、一人称で日常のたわいも無い風景が綴られています。

『黒』・・・沖縄のソープで働く風俗嬢が主人公で、そこのソープに訪れた客との話。今も使う言葉か分からないけど、「哀愁」が漂う作品でしたね〜。

『白』・・・花村萬月が【私の庭】の執筆の為に、札幌に移り住んできて、二度目の冬を迎えた頃、花村萬月は精神に異常をきたしてしまい、奥さんも逃げ出し、そして・・・・・・・・という話。これは読んでのお楽しみですが、上手く表現出来ないけど、花村萬月の精神構造が垣間見れる作品でしたね〜。印象に残った所を少し。

 連載原稿は締切前にテキストデータとPDFで確実にいれているので担当編集者は私の異変に、いや異常に気付いてないだろう。だいたい私は自分の身に異変が起きていることを自覚しているし、異常になっていることも理解している。客観があるうちは真の異常ではないのだ。この中途半端は状況をなんとかしたい。ちゃんと狂いたいものだ。正しく発狂したいものだ。

 仕事の依頼がひっきりなしで忙しいという状況が、花村萬月の暴走を何とか引き留めているのですが、その後の己の復活までの道のりを客観的に文章にしている所が凄いんですね。

『青』・・・【音楽が醸し出すものは、どこか青褪めている。これが結論であり、結末だ】の一文から始まる、音楽に関する話。ひょんな事から同居する事となった天才的な音楽の才能を持つ【細田君】との生活の事が綴られていて面白かったですね〜。花村萬月が自身の音楽の才能に見切りを付ける事になったのは、この細田君の存在なんですね。【音楽】というものだけに特化した才能の見せる細田君は魅力的でした。

『緑』・・・こちらの作品も花村萬月を知る上では大変興味深い作品ですね。50歳半ばを過ぎた花村萬月が、【合法ハーブ】を実際に試してみて、その感想などをあれこれ語っているのですが、そんなものに興味のない僕が、別の意味で惹きつけてられて、この作品を読んでしまいました。上手く説明出来ないのですが、この精神構造は凄いと思ってしまいます。

『黄』・・・花村萬月が父親の事を語っています。花村萬月の【父の文章教室】で語られていない事があったりして面白かったです。花村萬月は、遺伝的な観点で見ると、ほぼ父親の血を継いでいる事が分かります。しかし、作家志望だった父親は、花村萬月から見れば、その才能はないと言っているんですね。それをこの作品で説明してる辺りが特に興味深かったですね。

 父の作品をきちっと最後まで読んだ事はない。理由は程度が低いからだ。小説としての技術が拙い。母は「講談社の方には、いつも艶がない。って言われていたみたい」と、どこか誇らしげだった。父は放蕩の限りを尽くした人で、私の知らない兄弟が幾人もいる。そんな父の書くものに艶がないということは、逆に父の心性の潔癖さをあらわしていると母は捉えていたようだ。私に言わせれば経験、あるいは実体験などなくとも、文章に艶さえあればなんとかなってしまうのが文芸だ。

上記の他にも沢山興味深い事が書かれていて、2回くらい読み直してしまいました。

『茶』・・・花村萬月が母親の事を描いた作品。花村萬月は、父親の事は書けるが母親の事はなかなか書けずに、依頼を受けてから一年以上もかかってしまったとの事です。とにかく『百万遍』を読んできた方なら、何となく花村萬月の母に対するスタンスというのが分かるのですが、その予想以上でしたね。この作品はホント深いです。文章を読んでるだけで、ガンガン想いが伝わってきます。読後感が凄くあった作品です。

ファンなら必読です〜( ´∀`)つ



 

よろづ情ノ字 薬種控(花村萬月)4

情ノ字

 花村萬月の『よろづ情ノ字  薬種控』です。花村萬月ならではのエロパワー満載の時代小説で、凄く面白かったです。単純に面白し、読み易いし、文中での会話の言葉遊びも軽快で、楽しませてもらえました。この作品の帯もなかなか良く出来てます。次郎的帯検定3級を進呈します。( -д-)ノ

 五代将軍・綱吉の世。並外れた薬物の知識と調合の技術を持ち、性にまつわる秘薬・秘具を商う情ノ字は、人を信じない。心を許し合うのは愛犬鞆絵のみ。しかし、夜鷹のおしゅんには、違った。惹かれた。女に厭きれば捨て、まとわりつけば殺す。毒を盛るなどお手の物。そんな人生を送ってきた情ノ字だが、おしゅん、鞆絵との生活は彼を変えてゆく。一方、身分を問わず、性や生きることの気鬱から逃れたい人々は情ノ字の処置を望み・・・・・・・・。

 という感じですね。浅草が舞台だからか、主人公の「情ノ字」は、萬月の「私の庭」の【権助】を彷彿させる、魅力的な人物で、ぐいぐい惹きつけられてしまいます。

 「月水早流し」・・・・・下谷御成街道白鼠の女医者【中山環】が手ずから服ませる薬は、中絶の後の痛みや苦しみがなく、その後の不具合も起きないと評判で(江戸時代の中絶の薬は、水銀等の毒物を混ぜたり、下剤等の多量服用で流産を誘発する手法が取られ母体の健康被害が多かった)外には一切流通させてないものだった。情ノ字は、秘かにこの薬の成分を調べたが中絶に効果がある様な成分は何も含まれてなかった。情ノ字は、世の為?自分の為?に中山環の元に出向く事に・・・・・・。という感じ。この評判の薬の成分が分かり、自分で調合出来る様になれば、情ノ字は今以上に懐が温まる。しかし、対峙する【中山環】は、男にまったく興味がない。情ノ字の色男ぶりも通用しない。どうする情ノ字?という感じなんですね。その後の情ノ字の人生を変える事になる「おしゅん」も登場しまして、この「月水早流し」でイッキにこの作品にハマってしまいました。
 冒頭に、文中の会話も面白いと書きましたが、この「月水早流し」で例をあげると、

 「なんか、やたら色っぺえ女医者だって評判じゃねえか」
 「ああ。やや浅黒くて、鋭い目つきがきりっとしてやがって、ふるいつきたくなるような小股の切れあがったいい女だよ。けどな、男にまったく興味がねえ」
 法螺貝が頭の後ろをぺち、と叩く。
 「ありゃま。桃と桜の花相撲ってやつかい」


 という様な具合で面白いっす。(´∀`*)

 「胆礬(たんばん)」・・・・・女に対しては、厭きれば棄てるし、纏わりつけば殺すしてしまう情ノ字だが、「おしゅん」と出会って、「おしゅん」だけは手許置いておきたいと思うようになる。「おしゅん」は、夜鷹なので、それを管理する元締めが許するはずはない。「おしゅん」を自分の手許に置いておく為には、それ相応の金が必要になる。そこで情ノ字は、衆道の盛んな芳町に出向く事に・・・・。芳町は道具立てもあれこれ複雑で情ノ字の商いでも大きな比重を占めているのですが、情ノ字は【蔭間】が苦手で・・・・。この「胆礬」は、蔭間についてのあれこれが詳細に描かれていて、その道に興味は全くないのですが、興味深く読む事が出来て面白かったです。そして、最後の締めもビシッとしてました。

 「御養の物」・・・・・・閨房秘具及び秘薬を武家の妻女に売りつけに行く話。江戸時代でも、いかに男女の交合を楽しむかという指南書的なものが沢山出でいます。エロDVD全盛の現代より、江戸時代の方が研究熱心だった気がしますね。それを萬月が素晴らしく上手に描いております。これは非常に興味深かったです。ここで印象に残った言葉を(以前から萬月は言っていた事ですが)

 男の残酷なところは、これほどの極上(女の事です)にも厭きるのである。極上に夢中になって、並みに安らぐ。

 極上を味わった事はないですが、何となく分かりますわ。(* ̄∇ ̄*)エヘヘ

 「浮身」・・・・・・情ノ字は、与力の【春野秋之介】より、惚れた女郎を吉原より抜けさせたいと相談受ける。人を仮死状態にさせる薬はないかと相談を受けるのですが・・・・・。これは普通でした。

 「犬神」・・・・・・犬神憑きの話。蔭間くずれの犬神遣いが押上村のはずれの更に東にある廃寺の「全性寺」に住み着いた。大の犬好きの情ノ字は、この蔭間くずれの犬神遣いと対決する事になる。集中力的な問題で詳細は省きますが、面白かったです。

 「鵺の大家。知ってるだろう。おまえにその気になっちまったってよ」
 「いまは生憎、釜に蓋をしてしまい、お売りしておりませぬ


 元蔭間の犬神遣いの返しです。こういう上手い会話の遣り取りもいいんですね〜。

 その他、「まこと」、「お犬様」とありまして、「お犬様」は、綱吉の話で、情ノ字は桂昌院に会いに・・・・・。まあ面白かったです。( ´∀`)つ

希望(仮)〈花村萬月)3

まんげつ

花村萬月の『希望(仮)』です。次郎的花村萬月作品ランキングに入る程では全然ないのですが、なかなか面白かったです。
 この作品は、【東大】受験に失敗した「山下幸司」という若者を主人公にした、萬月エッセンス満載の青春小説といった感じの作品です。(アイドルワイルドの帯のパクリではありません)簡単言いますと、東大受験に失敗した「山下幸司」は、

 山谷→京都→雄琴→福井の原発→沖縄

という、福井の原発を除けば、花村萬月の王道ルート上を歩んで成長していくんですね。師匠的な存在となる良き先輩に出会い、そして女というものを知って、原発での重労働や沖縄での肉体労働を通して世の中を知り、「山下幸司」は、成長していくんです。少しマンネリ気味の王道ルートだし、主人公は、相変わらず【絶倫】だし、青春小説という事でか、エロはかなり控え気味(キスをしたと思ったら、次の場面は、朝になっていたり、詳しい性描写はほとんどない)だったりするのですが、今回の作品は、それぞれの場面でどこか深みがあるんですね。だから、上記の様なワンパターン気味な展開なのに”マンネリ感”を感じなかったです。(やっぱり、感じなかったと言ったら嘘になりますが、付き合い始めて1年位のカップルの性生活に近いと言いますか・・・・・)

まあ、読んで損はないです。(・∀・)つ

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武蔵(二) (花村萬月)3

武蔵二

 花村萬月の『武蔵(二)』です。前にもブログで書いたのですが、二巻ともなると、萬月の描く【武蔵】にも慣れてきまして、なかなか楽しめました。まぁでも、萬月ファンでない方がわざわざ読む本ではないとは思いますが。( -д-)ノ

 この『武蔵(二)』では、武蔵は13歳です。内容の殆どが、武蔵の叔父にあたる正蓮庵の【道林坊】との旅の話。【道林坊】と出会って、武蔵は精神的に成長していきます。ここは萬月の得意なパターンでありまして、【道林坊】が武蔵に人生の蘊蓄を大いに語ります。この【語り】が、僕が花村萬月作品を好きな理由の一つでもあります。そして、今後の展開の前フリとしまして、『小次郎』も登場してきまして、章を替えて『小次郎』の物語もスタートします。萬月の描く『小次郎』は、結構悪役キャラに仕上がってる感じでした。

 そして、武蔵の初決闘と言われている『有馬喜兵衛』との対決も萬月らしい描写で、なかなかのものに仕上がってました。

 ここまで来たら、最後まで付き合います。( ´∀`)つ続きを読む

信長私記(花村萬月)2

萬月信長

 花村萬月の『信長私記』です。タイトルからも分かる様に、萬月が描く「織田信長」が大いに語っております。「武蔵(一)」ときて、この作品を読んで分かった事は、花村萬月に、実在した人物の物語を書かせては駄目ですね。特にこの「信長私記」の様に、一人称で話が進むパターンは駄目ですね。内面描写が「信長」ではなく、ほとんど「萬月」自身の思考回路に近いので、違和感が付きまといます。萬月が悪いのではなく、この作品を描かせた編集者が悪いですね。イチローに右打ちをさせるようなものです。( -д-)ノ

 で、内容的には、信長が元服前の「吉法師」の頃から家督を継いだ辺りの頃までの話です。本の帯には、

 なぜ瓢箪をぶらさげたのか。なぜ合戦に強かったのか。
 なぜ道三の娘を愛したのか。なぜ父親の葬儀に遅れたのか。
 なぜ鉄砲を集められたのか。なぜ秀吉を重用したのか。
 なぜ弟を殺したのか。なぜ地獄をも怖れなかったのか。


  すべての点が線になる、
 
 花村文学だから成しえた衝撃作


 とありますが、久々に怒りを覚える帯ですね。全ての点が線になるってありますが、この「なぜ」の萬月的な答えに萬月ならではの個性的な解釈はない気がします。いろんな「信長」関連の本にあった事ばかりです。しいて言えば、「なぜ道三の娘を愛したか」というのは、初めて知る解釈だと思いますが、利害関係や容姿以外の理由で「なぜ愛した」かどうかは、歴史の上では別に必要ない気がします。

 とにかく、この作品は、「信長」の時代や信長の事を知らない方が読めば、さっぱり意味が分からないと思います。それを知っている方が読んだら、特に何ともなく、少しイラッとする作品だと思います。おススメはしません。(。・ω・)ノ゙続きを読む

武蔵(一) (花村萬月)3

萬月武蔵

 花村萬月の『武蔵(一)』です。花村萬月の視点で描く「宮本武蔵」の物語です。僕は、「空手バカ一代」を読んで、「宮本武蔵」に興味を持って、吉川英治の「宮本武蔵」を読みました。最初に読んだのがこの作品だったので、あまりその他の「宮本武蔵」関連の作品を受け付けないのですが、花村萬月ファンなので、一応読んでみようと思って読んでみたのですが・・・・・、

 「宮本武蔵が好きだから読んでみるか」

 と思って読もう思っている方にはお薦め出来ません!

 僕のように、

 「萬月が好きだから彼の描く【武蔵】を読んでみるか」

 と言うなら、まあまあ面白いと思います。多分、誰もが何となくですが、イメージしている「武蔵」とはだいぶ違います。僕的には、「1巻」を読む限りでは、ほとんど【武蔵】をイメージ出来ませんでした。簡単に言えば、

 「私の庭 武蔵篇」

 という感じですね。場面場面で「私の庭」で読んだ事がある文章があったり、思考回路がほとんど「権介」と同じ気がしました。(笑) あとは、「百万遍」の惟朔でしたね。( -д-)ノ

 この1巻では、11歳からの宮本武蔵こと「弁之助」が成長してく様が描かれています。ふんだんなエロ描写、二刀流への思いとか萬月が描く「弁之助」の思考回路がなかなか良かったです。ただ、エロ描写的には、花村萬月は、「エロ描写」の抽斗を出し尽くしたかな?と思える程、色々な作品と重複していて、新鮮さがなくて、勃起度も弱かったです。(●´ω`●) 続きを読む

アイドルワイルド(花村萬月)3

 あいどるわい

花村萬月の『アイドルワイルド』です。広く浅く花村萬月ワールドが網羅されていて、まぁ楽しめると思います。しかし、昼飯を抜いて、やっと購入した僕にとっては、満足とまではいかなかったですね。帯には

 花村萬月のエッセンスが濃縮された衝撃作!
 
なんて書いてありましたが、先程も書いたように、広く浅くで、深みが足りないですね。最初の1章の所は予想外の衝撃的な展開で、かなり僕の心を掴んだのですが、残念ながら最初だけでした。

人間離れした美貌を持つ二十歳の『伊禮ジョー』が主人公。小学3年ですでに殺人を犯し、事故に見せかけ母親をも殺し、その後もジョーの行く手を遮る者を次々闇に葬っていくのですが、決して捕まる事はない。外見の容貌とは裏腹に心に闇を抱えていたジョーは、シルミチューで大学院生の「多田耀子」と出会う。耀子と出会ったジョーの心の闇は解放され、ジョーと耀子は、セレナを購入し、北海道への旅に向かう・・・・・。

上手く説明出来ないのですが、大筋はこんな感じです。そんな骨組みに、セックス、ドラッグ、バイオレンスで肉付けして、最後はお得意の旅で〆る。といった感じのストーリーです。最後がやけに陳腐なのですが、こんな感じしか終わらせようがないな。と納得したラストでした。花村萬月が描く主人公は、やけに腰が落ち着かない(旅とセックスをかけてみました(´∀`*) )主人公ばかりなので、やたらと、花村萬月の好きな沖縄、京都、北海道に向かってしまうのですが、今回の作品は、いいとこ取りで、その全部に行ってしまいます。(笑)小説家志望の人物も出てくるし、犬も出てくるし、ホントに萬月のエッセンスが広く浅く網羅されています。そして主人公のジョーは、やっぱり絶倫でもあります。因みに僕は、超特急のクリーニング屋さんと同じで、「朝出して、夕方OK!」という感じで、頑張っても、一日2回ですね。朝から夕方までの休息時間が必要です。(●´ω`●)

永遠の島(花村萬月)2

永遠の島

 花村萬月の『永遠の島』です。1993年の発行。10人中7人が「つまらない」と言うであろう作品です。読み始めは、花村萬月が描く「SF小説」?なんてかなり期待出来るのですが、どんどんとスケール的にも話の展開的にも尻つぼみになっていきます。読み終えてみると、この作品自体のつまらなさと「永遠の命」のつまらなさの2つの「つまらなさ」を感じる事が出来ます(笑)

 日本海のほぼ中央に位置する無人島の『匂島』付近で、漁船や巡視船がたて続けに遭難する事件が起こる。主人公の「洋子」は、その海域を調査している物理光学研究所に助手として働く事になって、調査に乗り出すのですが、その過程で、年を取らない老人、「松田政老人」に出会う・・・。  
 
 という感じで話が流れていきます。『匂島』付近は、バミューダ・トライアングルと同じような事が起こっていて、誰も近づきたがらないのですが、「松田政老人」だけは、その海域の潮目をよむ事が出来るという情報を得て、「松田政老人」に『匂島』まで案内してもらうのですが・・・・・。期待とは裏腹な展開になっていきます。物理学の話が多くて、それ自体は、「うんうん勉強になるな〜」なんて感じなのですが、そこから精神世界的な話になっていき、

 「もっと匂島での話をスリリングに書けるだろ!」
 
 と突っ込みたくなる展開になっていきます。とにかく、「8章」位までは面白いです。( ´∀`)つ

二進法の犬(花村萬月)3

二進法

 花村萬月の『二進法の犬』です。次郎的花村萬月ランキングには入ってないですが、なかなか面白い作品です。ランキングを作った時に、この作品を入れようか「う〜ん」と悩んだのですが、この作品の主人公があまり好みのタイプではないので、ランキングから外しました。要所要所で明かされる主人公の内面描写に居た堪れない気持ちにさせられまして・・・・・・。器が小さいのです。周りから少し過大評価され過ぎている展開があまり好きではなかったですね。その分を差し引くと、ランキング外かな?という感じです。

 京都大学を卒業して大手出版社に就職するものの、その生活に馴染む事が出来ずに一年足らずで退職し、家庭教師やパソコンの個人教授をして糊口をしのいでいる『鷲津兵輔』が主人公。ある時鷲津は、女子高生の「倫子」の家庭教師を引き受ける事になったのですが、倫子の父は、ヤクザの超武闘派集団の「乾組」組長の乾十郎だった!

 という感じで話が流れていきます。鷲津は、乾のパソコンの個人教授もする事になるのですが、乾や乾組の者達と接する事で、一般の世間に馴染む事が出来なかった自分自身の本質を理解していきます。そして、鷲津と倫子はお互いに惹かれていき、鷲津の人生が大きく変化していきます。

 この作品は、大きく分けると3つに分ける事が出来ます。

 ・博打編
 ・京都への旅行編
 ・復讐(血讐)編


 という3編です。「博打編」では、乾組の縄張りで勝手に開かれていた賭場に、乾と鷲津と中嶋(乾の運転手)で一般人を装って乗り込みます。そこで夜を徹しての勝負が繰り広げられるのですが、それがめちゃめちゃ熱いです。

 「京都への旅行編」では、鷲津と倫子は、乾には内緒で京都へ旅行に出掛けます。京都で二人は結ばれて二人の仲は一層深い関係になっていきます。鷲津の器の小ささが露呈したのにも係わらず、倫子の鷲津への気持ちが更に深くなっていくのに納得がいかないのですが、なかなか楽しめました。

 「復讐(血讐)編」では、「博打編」で叩き潰した集団に反撃を受けた乾は、中嶋と鷲津を伴って、神戸へ復讐に向かいます。その復讐シーンがなかなか衝撃でした。最初に鷲津が襲撃を受けた時と神戸に乗り込んで復讐を果たす際に、鷲津はまたまた器の小ささを露呈するのですが(僕的に器が小さいと感じただけですが)、それでも乾の鷲津に対する態度が変わらないのが不満でしたが、読みごたえがありました。

 上記に、乾や鷲津の人生などに対する【蘊蓄】が各所に散りばめられていて、(細かい不満な点も多々あったのですが)全く飽きる事なく読む事が出来ます。

 読む価値はありですね。【続き】で、この作品で印象に残った所を紹介してみようかと思います。ネタばれなので気をつけてください。

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裂(花村萬月)2

れつ

 花村萬月の『裂』です。この作品は、つまらなかったです。花村萬月クラスの作家になると、読者が喜びそうな、平均点以上の作品を簡単に書く事が出来ると思います。しかし、この作品は、敢てそれをしないで、好きな様に、しかも気合もいれずに書いたような作品です。

 ・暴力シーンに心がない。 
 
 ・エロ描写がかなりいまいち(No 勃起) 
 
 ・全体的に目新たらしいものがない。(京都での食・口説き、テクニシャンの小説家、プロの小説家になる為の薀蓄、音楽あれこれ、【像は鼻が長い】の主語の話等)

 理由はこんな感じです。抽斗はまだまだあると思いますからね。内容的には、

 小説家志望の安良川王爾(おうじ)と「群像」の編集者、羽田御名子(みなこ)の話。王爾は、各社の新人賞の最終選考まで残る常連で、実力がありながらもプロになれないでいる。そんな王爾を御名子が面倒見る事となる・・・・。

 という感じで話が進んでいきます。その後は、先程書いた様な内容を散りばめながら、最後は新人賞を取っちゃいます。(つまらないからネタばらしちゃった(゚∀゚)アヒャヒャ)作中に「花村萬月」も登場しちゃいまして、(王爾でも花村萬月でも語られる事は変らないのですが)深みを出そうとしてますが、失敗な感じです。どうせなら、王爾と「花村萬月」を対決させて方が面白かったです。

 面白かった!と言っている友人がいるので、気になる方は一応読んでみてください( ´∀`)つ

草臥し日記〜萬月夜話其の三〜(花村萬月)3

manngetu

 花村萬月の『草臥し日記〜萬月夜話其の三〜』です。花村萬月のエッセイの中では、この作品はトップクラスですね。内容が濃いです。興味深かったのをいくつかあげると、

 ●こんな風呂に入ってきた(1)

 の章で、花村萬月が20代前半に、鹿児島の友人の所で暮らしていた時の事が書かれています。そこで、花村萬月の手相が〈升掛〉だという事を知りました。徳川家康が〈升掛〉だとの事でこれは意外と有名なのですが、なんと僕も〈升掛〉なんですよね。左右両方ともなので、よく誉められるんですよね。「大器晩成」だとかね。しかし、ネットで検索すると、〈升掛〉の方は結構いて、【平凡】な人生の方がほとんどみたいです。(笑) これ以外もこの章は興味深かったです。

 ●教育された側から(1)

 の章では、戸塚ヨットスクールの事から始まり、花村萬月が入れられていた福祉施設での体罰の事などが書かれています。非行少年についての花村萬月のスタンスが語られていたりして興味深かったです。前に書いたかもですが、こういう矯正施設みたいな話で再び思い出したのですが、僕の中学生の頃も、あまりにも悪い事ばかりするので、親に寺みたいな所に数ヶ月放り込まれた同級生がいました。帰ってきた時にはビックリ。オオーw(*゚o゚*)w すっかり何かの神を信じる信者となって、真面目になろうとする男になっていました。それはそれで良い事だとは思ったのですが、何か事があるとすぐに「〜様のおかげ」みたいな事を言うようになりました。揚句の果てには、僕が空手の小さな大会で優勝したのでさえ、そいつのおかげだと言いました。まだ若かった僕は怒りました。僕的には、そんな奴は関係ない訳です。僕まで巻き込むとは呆れてしまいました。怒った僕は、「今からお前をボコボコにするから、そいつに頼んで、俺を心臓発作でも起こさせて、止めてもらえ!」と言いました。そんな状況でも、何かを悟ったような笑顔で「違うよ。それはね」なんて反論しようとするので、「ね」をを言った辺りで、前蹴りが中段にヒットしたので、その後何を言おとしたか分かりませんが、施設とは洗脳だと思った記憶があります。それがあってからそいつとは遊ばなくなりましたが、普通に戻ってました。

 ●芳香とはいえないけれど

 の章では、花村萬月が京都で暮らしていた若い頃は、女性とのデートによく吉田山に登ったそうです。その吉田山の土や緑がある環境では、ほとんどの女性が花村萬月に体を許したそうです。ノ( ̄0 ̄;)\オー!!ノー!!!! そしてその中では、殆ど女性が「便臭」がしたそうです。その「便臭」に愛おしさを抱いていたそうです。しかしその便臭は、現代の「シャワートイレ」のおかげでほとんど消えてしまったみたいです。僕は、花村萬月程レベルが高くないので、「便臭」がどうこう思わないのですが、花村萬月の「匂い」の描写は凄い!といつも感心しています。多分、匂いの描写をさせたら、日本一ですね。僕が花村萬月作品を読んで、うっかり勃起してしまうのは、この「匂い」の描写の所です。匂いフェチの僕にはたまりませんね。エロだけでなく、真面目な場面での「匂い」の描写も上手くて、僕のブログの「百万遍 流転旋転(上)」の所にもある(http://blog.livedoor.jp/yocching/archives/51215192.html)文章ですが、

 しゃがみこんで拇指と人差し指でブーツのジッパーをつかんでそっと動かしてみると、影がさした。厚めのコットンのパジャマを着た綾乃だった。垢抜けない恰好だと笑みがうかんだ。眠っていた女の軀の匂いがした。きっと口臭もするはずだ。
 
 の所の文で、「きっと口臭もするはずだ」という所なんて、普通の作家ならこの場面に「口臭〜」なんて入れないと思います。入れなくても十分にその場面の緊張感が伝わるし、一見、不必要に思えます。しかし、僕にはこれが入ってる事で、この場面が更に良く思えてしまうのです。衝撃的な印象として僕の中にずっと残ってしまう。ホントに匂いの天才です!

 ●文化人

 の章では、花村萬月が『日本文化デザインフォーラム』なる団体に所属していた時の話です。その時、あの「ミラーマン」と不名誉なあだ名をつけられた「植草一秀」さんに出合った事が書かれています。その時のエピソードが語られているのですが、花村萬月の印象も社会常識を身に付けたエリートという印象でした。花村萬月が出会ってからどれ位たったか分かりませんが、その後に、あの事件がありました。最初の事件では、花村萬月の植草さんに会った印象から真実がどうか分からず態度を保留にしてたのですが、次の事件で苦笑いと同時に溜息が出たとの事でした。僕も「WBS」を見ていたりしてたので、あの方の印象というのは意外でした。誰かのエピソードですと、携帯電話のカメラ付きでさえ、誤解されるのではないかという理由で、所持する事を避けていたみたいな事を聞いたりしてたので、「陰謀」説もあながち嘘ではないと思ってました。2回目は、目撃者が多数との事でしたが、微妙な犯罪なんですよね。僕の知り合いは、本当かどうかは「精神科」なり心理学的に調べれば分かると言ってました。2重人格とかなのか、陰謀なのかハッキリ出来ると言ってました。現在のブログとか見ていても僕では判断出来ないです。 http://uekusak.cocolog-nifty.com/blog/
















と、余分な文が多かったですが、読んで損はないです。( -д-)ノ

犬でわるいか〜萬月夜話其の二(花村萬月)

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 花村萬月の『犬でわるいか〜萬月夜話其の二』です。小説現代で連載されていたエッセイを纏めたものです。すでに紹介した「空は青いか」が「其の一」で、この作品が「其の二」です。ついでに言うと「草臥し日記」が「其の三」という感じになります。(この中では、【其の三】が1番面白いです)まぁ、「エッセイ」ですから花村萬月ファンなら必読な作品ですが、今回の「其の二」はそんなに面白くなかった。目次を見ていただくと分かりますが、内容が偏っています。僕的には「レガシィホテル」(愛車のレガシィを宿代わりにして、北海道を旅した話)が好きなので良かったですが、バイクに興味がないので、「オートバイ徒然草」なるタイトルで4章に亘って、オートバイの事を書いてある辺りは、斜め読みしてしまった。その他もそんなに目立って面白いものもなく、可もなく不可もない感じです。

 印象に残ったのは、【あとがき】で、花村萬月は、アチコチの出版社から印税の前借りしているという事を告白しているのてますが、なんと借用書なるものを書いてないそうです(1社だけは書いた記憶があるそうです)出版社は、なんと素晴らしい所なんでしょうね。(●´ω`●)

次郎的花村萬月作品ランキング

 1位「百万遍 古都恋情」

 2位「百万遍 青の時代」

 3位「風転」

 4位「ワルツ」

 5位「少年曲馬団」

 6位「たびを」

 7位「私の庭 シリーズ」

 8位「百万遍 流転旋転」

 9位「笑う山崎」

10位「ぢん・ぢん・ぢん」

11位「夜を撃つ」


 新規で、「百万遍 流転旋転」が8位にランクインしました。 凄く面白かったのですが、1位と2位の「古都恋情」、「青の時代」には及ばず、ぐ〜と下がって、「私の庭 シリーズ」には勝てないけど、「笑う山崎」よりは面白かった感じなので8位になりました。やはり、「幸子」との場面は、僕の好きな映画の「死にたいほどの夜」の様な切ない気分にさせられるのが良いですね。この感覚には、まだどの作品も勝てないですね。3位の「風転」は、読後感ありましたね。鉄男のキャラクターも印象強いです。

 次の「百万遍」のが読みたいですね。


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百万遍 流転旋転(下巻)(花村萬月)4

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 花村萬月の『百万遍 流転旋転(下巻)』です。下巻も引き続き面白かったです。嬉しい事に、この下巻が終わっても、まだ主人公の「惟朔」は、20歳ですよ。まだまだまだまだ楽しめるのではないかと期待してしましますね。この作品の上巻の紹介の所では、この作品の良さを、百田尚樹の「錨を上げよ」と比較しながら、表現してみたのですが、読んでない方には良く分からなかったみたいですね。( -д-)ノ そりゃあそうですね。とにかく、「内面の描写」が物凄く優れていて、納得、共感出来てとても良かったという事が言いたかったのです。下巻も同じです。「流転旋転」とのタイトル通りの展開で、ラストは予想してなかった展開に少し驚きました。早く次作が読みたいです。

 下巻の方は、「大波」が2つ程現れます。ソープの「城」のオーナーの「栃憲」と惟朔は、惟朔の彼女の「綾乃」が働いているクラブへ行く。そして、綾乃は「栃憲」に口説かれる。そして・・・・・。というのが、第1の波。そして、第2の波は、ラスト。綾乃と東京へ向かうバス亭で・・・・・・。これが下巻の大筋です。その他の脇を固める話も十分深くて面白かったです。

 この下巻は、人生に役に立つ話が沢山あります。次回、それを抜粋して紹介しようかな。なんて考えてます。(・∀・)つ

百万遍 流転旋転(上巻)(花村萬月)4

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 花村萬月の『百万遍 流転旋転(上巻)』です。この作品はホント良かったです。知らない方の為に、一応紹介しておきますと、この作品は、花村萬月の自叙伝的な小説です。400ページもあるのに、ページ数が少なく感じる位、面白かったです。ただ、この作品は読者を選びます。

・すでに出ている『百万遍』前2作を読んだ方。

・男性の方。女性の場合は、母性本能の強い方。


 以上の条件に当てはまってないと少し厳しいかもです。(*´∇`*) 僕の周りの読書習慣がある女性の知り合いには不評です。(このシリーズの前2作が)

 この作品の良さは、簡単に言うと、

 『強烈に上手い、内面描写と相手の心理を衝く行動』 

です。これが、百田尚樹の「錨を上げよ」と決定的に違う点です。この内面描写と相手の心理を読んだ上での行動が非常に上手い為に、僕は惟朔に入り込んでしまいます。魅力を感じてしまいます。同調してしまいます。「錨を上げよ」の作田又三には、とことん反発してしまいます。イライラしてしまいます。そして、嫌悪してしまいます。( -д-)ノ 花村萬月は、これがホント上手い。女性だけでなく、ヤクザやらバイトの先輩やら、誰であろうと相手の内面を見抜いてしまいます。見抜いてしまうので、相手に取り入ろうとすれば簡単に取り入ってしまう。その延長線上で、綺麗な女性を次々と落としていきます。惟朔の言動や行動の理由が、内面描写として全てに理由付けがなされていて、すごく分かり易いし、納得がいく。そんな惟朔も惟朔のお母さんには、上手く自分を出せなかったり、惟朔の内面に入り込んでしまっているだけに、僕までなんか、せつない気分になったり、とにかく、こんなに分かり易くて、面白くて、興奮する作品にはなかなか出会えないです。(●´ω`●)

 ストーリー的には、大した波はないです。四番町の下宿に引っ越した惟朔の元に母が訪ねてきた事やその後綾乃との同棲を始めた事や出会った女子高生と東京に旅行に行き、昔の馴染みと会ったり、その他、本屋の奥さん、下宿先の住民の女との出会いが綴られています。これ等の全てが面白く、心に響きますね。続きを読む

萬月放談(花村萬月)3

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花村萬月の『萬月放談』です。この作品は、対談集です。まぁまぁ面白いという感じです。僕が思うに、対談集って、どちらかが、対談を熱望していないと面白いものにはならないと思います。そうでないと、上辺だけの話になり、渡された資料をチラッと見て、話が進行していき、非常につまらないものになるパターンが多いですね(浅田次郎の対談もこのパターン多いです)この『萬月放談』もそのパターンで、編集部が選んだ対談相手と花村萬月が語り合います。なので、ホストである花村萬月も及び腰な所があって、あまり相手の良さを引き出せてない気がしますね。これが、どちらかが対談を希望したパターンだと非常に面白くなり、双方の魅力の相乗効果で、とても良い作品になります。それが残念でしたね。

 しかし、今回の作品は僕の興味のある人物が何人か出ていたので、結構楽しめました。

第一章 性を演出する人々
○高橋がなり
○高須基仁
○カンパニー松尾
○頼朝
○村西とおる

第二章 性を体現する人々
○加藤 鷹
○川奈まり子
○夢野まりあ
○麻雛 舞
○岡田りな

第三章 性を浮遊する人々
○ブリテリ
○松野行秀
○朝川ひかる
○祐天寺うらん

第四章 性を表現する人々
○室井佑月
○成田アキラ
○平口広美
○酒井あゆみ

 2002年位のものなので、メンバーの名前を見ても分からない方もいると思いますが、「章」のタイトルで想像出来ると思います。僕的には、

○高橋がなり
○加藤 鷹
○成田アキラ


 に興味がありましたので読んでみる気になったようなものです。この3人に対しては、花村萬月より僕が対談した方がもっともっと良い所を引き出せましたね(笑)

 高橋がなりは、話が上手くて、言ってる事に共感出来て好きですね。マネーの虎で、この人を初めて知って、その後、テリー伊藤のラジオにゲスト出演して話を聞いて、好きになってしまった。テリーが風邪でラジオを休んだ時に代打で再び登場した時は、「テリー、戻ってくるな」と思った記憶あります。( ̄∀ ̄)
現在の高橋がなり→  http://www.kf831.com/agrinoneko/

 加藤 鷹は、僕の師匠ですね。僕等の世代では、加藤 鷹のビデオを観て、「H」のやり方を学習した方多いのではないでしょうか?僕的には、加藤 鷹のコピーロボットと言っても過言ではないです(テクニックは、彼の域まで勿論達成してないですが(`∇´ゞ)加藤 鷹の凄さをホントに分かってないで、対談してたので、勿体なかったです。

 成田アキラは、体験記的なマンガをよく見て興味を持ちましたね。この対談では良さが引き出されてないですね。

沖縄を撃つ!(花村萬月)3

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 花村萬月の『沖縄を撃つ!』です。この作品は普通ですね。この作品の紹介によると、

 作家・花村萬月が、日本人と沖縄人の共犯関係で出来上がった「癒しの島」幻想を徹底的に解体しながら、既存のイメージとはまったく違った沖縄の姿を克明に描き出す。

 という感じで書かれております。もっと簡単に言えば、花村萬月自身が実際に体験した沖縄の事柄を書き連ねた作品です。(どっちかといえば沖縄の「暗部」の事かな)

 ・瀬長島でのドリフトの話
 ・沖縄での食べ物の話
 ・色里の話
 ・お薦めスポット


 が主な内容です。こういう感じの作品は、思いっきり勉強になるか、思いっきり笑えるかが、評価のポイントだと思ってますが、どちらとも大した事ない。コアなファンのみお薦めですね。

 因みに、花村萬月は沖縄料理を絶賛してますが、これは僕の周りでも真っ二つに意見が分かれますね。沖縄料理は、基本的には不味い。という人もいるし。僕的には、都内にある沖縄料理の店に数件いきましが、大した事ないという印象ですが、食べた店によるんでしょうね。

父の文章教室 〈花村萬月〉3

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 花村萬月の『父の文章教室』です。ファンでない方がわざわざ読む程ではないけど、ファンなら、花村萬月の父、「正男」の詳しい事などが分かり、かなり楽しめると思います。花村萬月の父は、数カ国語(ラテン語、中国語、英語、ドイツ語)を操る明治生まれの教養人で、作家希望の為、定職にも着かずに、家にもほとんど帰ってこない人だったそうです。それが花村萬月が5歳の時に昭島市の都営住宅で一緒に暮らす事となりました。そして、花村萬月の父、「正男」の英才教育が始まります。この「父の文章教室」は、「正男」が独自に作った教育カリキュラムの事や正男の事や、花村萬月の母の事、そして、花村萬月が父からどのような影響を受けて、現在に至っているかなどが語られています。巻末には「正男」の死を描いた短編が収録されています。

 花村萬月の父の事など色々知る事が出来て、とても楽しめるのですが、最終的に行き着くのは、(小説家や画家など様々な世界に言えるのですが)何かで成功するには、「才能8割、努力2割」だなという事を思い知らされる作品です(;´Д`)
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