蕎麦とラーメン食べ歩き と読書のブログ

蕎麦とラーメンの食べ歩きと読書のブログです。蕎麦は、結構詳しいので、蕎麦の評価は信用出来ると思います。ラーメンは、素人です。読書傾向は偏りがちです。

 お薦めの本を紹介してください!  コメント欄ではちょっと・・・。という方は、メールください。生意気言ってすみませんが、「恋愛もの」以外でお願いします。     

読書関係

シンドローム(上・下)真山仁4

シンドローム上下
真山仁の『シンドローム(上・下)』です。5年ぶりのハゲタカシリーズということで、ずっと追い掛けてきている僕としましては面白かったです。上巻の帯が、この作品を上手く表現してます。

電力事業ほど儲かるビジネスはない──。
国から特別待遇を与えられ、「絶対に損をしない」
収益構造を持つ電力業界に狙いを定めた鷲津の前に
立ちはだかるのは、日本経済構造の暗部に蠢く権力。
それでも、総本山「首都電力」に
買収を仕掛けようとした矢先の2011年3月。
東北を未曾有の地震、津波、原発事故か襲う。
まさに国家存亡の危機。ハゲタカはどう動くか?


この「首都電力」とは勿論「東京電力」がモデルとなっておりまして、あの福島第一原発の事故を起こし、その後の巨額な賠償などで、倒産の危機に瀕している状態の「東京電力」を買収しようとするんだなと想像しながら読み進める訳ですが、真山仁のこのアイディアに参りましたと言う感じでした。真山仁は東日本大震災後の様子を描いた「そして、星の輝く夜がくる」「海は見えるか」なども出版しているだけありまして、そこら辺の描写も凄く濃密で、しかもこの作品を書くにあたって、実際に「福島第一原発」に取材まで行っているんですね。(https://diamond.jp/articles/-/80914)その「真山仁、福島第一原発を行く」の記事を抜粋させて頂きます。

科学技術は人を幸せにするために研さんを積み発展してきた。だが、あの日以来、科学技術の進化に大きな疑問符が付けられた。また、事故を起こした東電は、企業として瀕死の状態のまま現在に至っている。その現実を見据え、そして、そこから浮かび上がる科学文明を築いた人間のありさまを考えるときが来ている。
それを、『ハゲタカ』シリーズという世界を使って描こう──。
そう決心し、1Fを訪ねた私は、きっとそれが、未来の日本の指針になるのではと固く信じて時を刻むことにした。


そうなんです。ほんとに「ハゲタカ」シリーズという世界を使って上手く表現されていました。「首都電力」という「国策企業」の買収の世界を描き、しっかりとエンターテイメント性を持たせつつ、科学文明を築いた人間のありさまを真面目に考えさせらる内容となってるんですね。そして読み終えてみると、やっぱり、しっかりと「鷲津政彦」が主人公だったなぁと思える作品でした。(*´∇`*)

続きで、いつものやつを( ´∀`)つ


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ニードルス(花村萬月)3

ニードルス(花村萬月)
花村萬月の『ニードルス』です。そこそこ楽しめました。ジャンル的には【青春音楽小説】でして、「ロック・オブ・モーゼス」系の作品なのですが、面白さで言えば【十代の花村萬月を17歳女子に置き換えて】表現している「ロック・オブ・モーゼス」の方が上ですね。今回の作品も勿論、花村萬月の若い頃に置き換えて表現はされているのですが、ストーリー展開や内面描写は圧倒的に「ロック・オブ・モーゼス」の方が深みがありました。まあそれでも、このジャンルが好きな方は読んでみて損はないと思います。

この小説、劇薬――。心を突き刺す、疾風怒濤のロック小説!

都内随一の偏差値の低さを誇る高校で退屈な日々を送っていた伊織は、同級生の針生(はりゅう)とともにロックバンドを組むことに。〈ニードルス〉のボーカルとして針生の天性の「声質」が注目される一方で、針生との絶望的な才能の差にも気づかされていく伊織。人気獲得のための演出は過剰となり、やがて針生が薬物に依存していく姿を見て伊織は――。

帯はこんな感じです。簡単に言えば、主人公の「宮本伊織」が、兄の「武蔵」と、高校で出会った「針生」達とロックバンドの「ニードルス」を結成し、やがてメジャーデビューし、終曲するまでを綴った作品です。そこには、萬月の音楽論とかドラックの事とか、いつものテイストが織り交ぜられていて、なかなか楽しめました。

萬月の描く【音楽青春小説】の共通点は、圧倒的な音楽的才能を持っているモノとの出会いなんですね。萬月が実際に「圧倒的な音楽的才能」を持つ人物に出会い、音楽は、

努力ではどうしようもない才能がモノをいう

という事を悟ってしまって音楽を辞めたんですね。なので、ストーリー展開はそれぞれ違えども、この「才能」については、必ず作品の隠れた「軸」となっていますね。伊織の兄の「武蔵」が言った言葉です。

「おまえだって薄々わかってるだろ。プロの世界では努力や頑張りで成し遂げられることなんて、ほぼ無意味だってことを。プロの世界では才能の問題は、正しくは才能の質の問題になっちまう」

萬月は「才能の凄まじさ」や「天性のおそろしさ」を描き、努力の虚しさを訴えているのですが、その凄まじい才能を持っている「針生」は、その才能ゆえの「刹那的」な男だったんですね。ラストは想像通りの「終曲」を迎えるのですが、読後感ありました。

続きで、ストーリー展開とは別に印象に残った場面を( ´∀`)つ


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院内刑事〜ブラック・メディスン〜(濱嘉之)3

院内刑事〜ブラック・メディスン〜
濱嘉之の「院内刑事〜ブラック・メディスン〜」です。「院内刑事」の第2弾です。前作の「院内刑事」の記事で、

なかなか面白かったけど、「ヒトイチ」とか「警視庁情報官」とか「警視庁公安部」シリーズと比べてしまうと一段落ちますね。

なんて書いたのですが、【院内刑事】に慣れてしまったのか、今回の作品がパワーアップしたのかイマイチ確定出来ないのですが、前作より満足感がありました。この作品の内容紹介です。

文庫書きおろし!警視庁公安総務課OBの廣瀬知剛は、病院に常駐し、モンスターペイシェント、院内暴力、セクハラ、暴力団関係者の来院……院内で起きる様々なトラブルの対処を一手に担う「院内刑事」。ある日、製薬会社のMRから、多額のキックバックを受け取っている医師が院内にいると聞く。ジェネリック医薬品の闇を追う廣瀬。すると、病院が北朝鮮からサイバー攻撃を受け――圧倒的リアリティでおくる新感覚刑事小説!

という感じです。今回の主人公も勿論、警視庁公安総務課のOBの【廣瀬知剛】です。川崎殿町病院の総務部危機管理担当顧問の要職にある廣瀬が、今回も様々なトラブルを解決するんですね。今回は「ジェネリック医薬品の闇を追う」という事が主筋にあるのですが、各章ごとに起こる、ちょっとしたトラブルを解決にまで導く内容が、簡潔でスッキリする内容となっておりまして、作品に深みを演出しておりました。(暴力団による院内暴力、キレる老人、診察内容にケチをつける患者、これらに立ち向かって、読み手の僕が求める様なスッキリとした結末が凄く爽快でした)

そして、本筋であります、「ジェネリック医薬品の闇」の件でも、中国や北朝鮮の国家が絡む壮大な事件となっておりまして楽しめました。オススメです。( ´∀`)つ

↓前作の記事です。
http://blog.livedoor.jp/yocching/archives/51522515.html


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雨降る森の犬(馳星周)4

雨降る森の犬
馳星周の「雨降る森の犬」です。馳ブログの作品紹介を引用させて頂くと、

ワルテルと雪音の絆をモデルにした青春小説です。
雨音(あまね)という名の少女と、ワルテルという名のバーニーズが主役です。


という内容です。この短い文章だけで、この作品のストーリーはともかく、ワルテルと雪音の様々な情景が(想像でも良いんです)浮かんでこない方には、この作品の良し悪しを語って欲しくないですね。この作品の書評を見た訳ではないのですが、この作品の中に散りばめられた出来事が、馳のブログをずっと追い掛けてきている方達には感慨深い内容があったりして、僕的には、この作品は、

「馳のコアなファンだけが読んでくれれば良いなぁ」

なんて思ってしまった作品です。まぁ、そんな事を知らなくても作品自体は良い作品だと思うので(これは僕には冷静な判断が出来ないので分かりませんが)全然オススメは出来るのですが、よりこの作品を理解する上で、せめて、

http://walterb.blog103.fc2.com/blog-date-201203.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-38.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-178.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-542.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-544.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-560.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-562.html
http://walterb.blog103.fc2.com/blog-entry-1556.html

ここら辺をチェックして頂いてから、この作品を読んで頂ければと思います。以上で僕的には、出し切った感があるのですが、全然、案内出来てないので、集英社の文芸単行本公式サイトから内容をコピペさせて頂きます。

編集者のテマエミソ新刊案内

山と犬が与えてくれた、生きるためのヒント。女子中学生と男子高校生の葛藤と成長を描く、馳星周の最新長編『雨降る森の犬』。

父親を病でうしない、母親との確執を抱えた女子中学生の雨音(あまね)は不登校になり、山岳写真家の伯父・道夫のもとに身を寄せた。道夫はバーニーズ・マウンテン・ドッグのワルテルとともに自前のログハウスに住んでいた。ログハウスの近くには大きな別荘があり、雨音はそこの持ち主の長男で高校生の正樹と知り合う。正樹は再婚した父親と若い母親に対して、複雑な感情を抱えていた。
雨音と正樹は道夫の影響で登山の魅力を知るようになり、道夫の愛犬ワルテルと自然との触れ合いが、二人の心を少しずつ癒していく。

家族の問題を抱えた中学生と高校生が、道夫とワルテルと過ごすなかで、自らの生きる方向性を見出していく、心に響く長編小説。


これは完璧な内容ですね。主人公の雨音がワルテルと出会う事で、成長していく青春小説ですわ。馳作品の「ソウルメイト」の「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」を長編小説にした感じと言えば分かりますかね。(*´∇`*)

『雨降る森の犬』のインタビュー記事です。https://book.asahi.com/article/11737182

続きで、印象に残った場面を( ´∀`)つ


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ユートピア(湊かなえ)3

ユートピア



















湊かなえの『ユートピア』です。楽天のポイントが余っていたので文庫本を何でも良いから買おうと思いまして購入したのがこの作品です。「湊かなえ」らしい作品で、そこそこ面白かったのですが、【おっさん次郎目線】で言ってしまうと、あまり惹きがない話とも言えまして「おっさん」がわざわざ購入する程でもないなといった感じです。以下、内容紹介です。

太平洋を望む美しい景観の港町・鼻崎町。先祖代々からの住民と新たな入居者が混在するその町で生まれ育った久美香は、幼稚園の頃に交通事故に遭い、小学生になっても車椅子生活を送っている。一方、陶芸家のすみれは、久美香を広告塔に車椅子利用者を支援するブランドの立ち上げを思いつく。出だしは上々だったが、ある噂がネット上で流れ、徐々に歯車が狂い始め――。
緊迫の心理ミステリー。


この作品は、鼻崎町の商店街にある仏具屋を切り盛りする、車椅子生活の娘を持つ堂場奈々子、この町に工場を持つ「八海水産」に勤める夫を持つ相場光稀、岬タウンと言われる、海が一望出来る高台の住宅地に引っ越してきた、陶芸家の星川すみれの3人の女性を中心として物語が進んでいきます。15年振りに開催される商店街のお祭りの運営委員でこの3人は出会い、やがて、すみれの発案で「クララの翼」を設立し、瞬く間に話題となります。しかし、運営をめぐる方針など様々な要因が重なりドロドロの展開となっていくんですね。元々この3人は、出会う前から、それぞれが心に闇を持っていたので、それが交差した時の展開は「湊かなえワールド」全開でした。


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泥濘(黒川博行)4

泥濘
黒川博行の『泥濘(ぬかるみ)』です。待望の【疫病神シリーズ】の第7弾です。シリーズものとしましては、僕が一番好きなシリーズです。今回の作品は、前作よりも面白かったですね。思わず笑ってしまう場面が満載でした。このシリーズだけで僕的に順位を付けますと、

1位 国境
2位 暗礁
3位破門
4位 疫病神
5位 螻蛄
6位 泥濘
7位 喧嘩


といった感じです。順位は付けましたがどれも面白いです。この作品の帯は、

待たんかい。
わしが躾をするのは、極道と半グレと、
性根の腐った堅気だけやぞ。

老人ホームにオレオレ詐欺。老人を食い物にする警察官OBグループのシノギを、二蝶会へ復帰が叶った桑原と二宮の疫病神コンビはマトニにかける。しかし、二宮は拉致され桑原は銃撃を受け心配停止に。予測不能なドンデン返しにつぐドンデン返し。絶体絶命の二人を待つ運命は?

こんな感じです。今回の帯は65点という感じですね。僕の勝手な妄想ですと、黒川博行は先ずはテーマから入ったんだと思います。

ニュース1
ニュース2














こんな感じのニュースを見て、この腐敗した警察官OBの事件を扱った作品を描いてみたいと・・・。(あくまで僕の妄想です) そしてテーマが決まると、次は主人公はどうしようか考えた訳です。【勁草(けいそう)】の様に、新しいコンビを登場させようか、それとも、既存のコンビを登場させようか(あくまでも僕の妄想です)テーマからすると、堀内と伊達のコンビがピッタリだなぁなんて考えたりもしたんでしょうけど、

やっぱり、人気のあのコンビでいくか!

なんて事で、疫病神シリーズの連載に、このテーマを当ててきたと妄想しました。今回は、桑原が二宮の事務所にやって来まして、新聞の切り抜きを見せるんですね。

≪歯科診療報酬、不正受給疑い、警察OB、経営関与か
≪大阪府警OBや歯科医院理事長ら11人に逮捕状 診療報酬不正受給容疑
≪大阪の診療報酬詐欺 歯科医院理事長、府警OBに解決金名目で5000万円
≪診療報酬詐取容疑 歯科医院理事長に複数警官紹介か 逮捕の元警部補ら

この事件で不起訴となった「飯沢」という男から桑原に情報提供があったんですね。新聞では、この不正受給額は一千万円となっているが、実は不正受給額は二億円で、不起訴になった、警察OBで作るNPO法人の「警滋会」の代表やメンバーの司法書士やなどが、その金を手に入れたと・・・・。つまり、その金を掻っ攫おうという話だったんです。飯沢は、この事件のバックにいる暴力団や「警滋会」を相手にするヤバすぎるシノギは、数多いる極道の知り合いの中でも、二蝶会の桑原しかいないと判断して、桑原に持ち込んだんですね。桑原は先ず、この事件に絡んでいる「白姚会」の若頭の木崎に話を聞こうとするのですが、その伝手がない。そこで「白姚会」をサバキに使っている二宮に、この木崎を紹介してもらう目的で二宮を訪ねるんです。そして、話を聞きに行った「白姚会」でいきなり乱闘となりまして、二宮だけ捕まり監禁される事となりまして・・・・。

もう最初のスタート辺りでこんな状況となりまして、そこからラストまで一気に駆け抜ける内容となっております。桑原が的にかけるのは、警察官OBです。桑原と二宮のコンビに感情移入してしまっているので「黒川博行もハードル高い所を持ってきたなぁ」なんて思いながら読み始めた訳ですが、相手は腐っても警察OBな訳です。それも警察OBで組織されたNPO法人の「警滋会」と、そのバックには桑原と同じ神戸川坂会系の「白姚会」までいるんです。そこを相手に桑原と二宮が挑むんですから、当たり前の様に命のやり取りとなる訳です。アツい場面が繰り返し襲ってきまして満足感ありました。( ´∀`)つ


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刑事の矜持〜日本推理作家協会賞受賞作家傑作短編集7〜3

刑事の矜持
『刑事の矜持〜日本推理作家協会賞受賞作家傑作短編集7〜』です。タイトルから分かる様に「日本推理作家協会賞受賞作家」の方々による短編集です。作家欄に【大沢在昌】と【黒川博行】の名前があったので迷わず「楽天ブックス」で購入してしまったのですが、それぞれの作家の選びに選び抜かれた作品という訳でもなく、そんなには面白くなかったです。こんな所がネット購入のデメリットの部分で、もし実店舗の本屋さんでパラパラと読めたら購入しなかったですね。ただ、この作品が文庫本という事、楽天ポイントで購入したものだという事、こんな機会でないと、その他の作家の作品を読む事がなかったという事で評価は星が「3つ」になりました。以下が内容紹介です。

組織人としての苦悩を抱えながらも、ひとたび事件が起これば矜持を胸に執念の捜査で犯人を追い詰めていく。鮫島警部、黒マメコンビ、相良刑事、庄司部長刑事、朝霧警部、加賀美捜査一課長といった名刑事たちの活躍を、たっぷりお楽しみあれ―。歴史ある日本推理作家協会賞を受賞し、ミステリー界が誇る作家六名による、珠玉作短編集シリーズ第七弾。

大沢在昌 「亡霊」
黒川博行 「帰り道は遠かった」
佐野 洋 「有力者の夢」
島田一男 「信号は赤だ」
土屋隆夫 「絆」
角田喜久雄 「霊魂の足」


上記6人のラインナップで、生存しているのが大沢在昌と黒川博行の2人。この2人の作品だけは「書下ろし」のモノだと勝手に思い込んでしまいました。大沢在昌の「亡霊」の最初の1ページを読んだ瞬間に、

「鮫島の貌 新宿鮫短編集」にあったやつやん!

と気が付いて、失望感に襲われました。(タイトルまでは覚えてなかったので)そして、黒川博行の「帰り道は遠かった」は【黒マメコンビ】が主人公の作品で最初は忘れていたのですが、少し読み進めると内容を思い出してきまして、

「てとろどときしん」にあったやつやん!

と残念の2連発でした。しかし、その他の作家の作品は読んだ事がなかったので、そこそこ楽しめました。( ´∀`)つ


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瑕疵借り(松岡圭祐)3

瑕疵借り
松岡圭祐の『瑕疵借り』です。タイトルからして少しエゲツない内容かと思ったのですが【人が死なないミステリー】を描いていた松岡圭祐だけあって、興味をそそる題材に、エゲツなさは皆無の作品に仕上がってまして、なかなか面白かったです。先ず、瑕疵借りとは?帯から引用させて頂きますと、

賃借人が死んだり事件や事故が起きたりして、瑕疵告知義務が生じた物件にあえて住む者。瑕疵の告知義務を失効させるために、裏で大家や管理会社がこっそり依頼する。

ということらしいです。そんな瑕疵借りに纏わる4編からなる短編集です。この作品の内容紹介です。

訳あり物件に住み込む藤崎は不動産業者やオーナーたちの最後の頼みの綱。原発関連死、賃借人失踪、謎の自殺、家族の不審死…どうすれば瑕疵を洗い流せるのか。男は類い稀なる嗅覚で賃借人の人生をあぶり出し、瑕疵の原因を突き止める。誰にでも明日起こりうるドラマに思わず涙する“賃貸ミステリ”短編集。

それぞれの作品は、場所や内容は違うのですが、瑕疵借りの入居者は【藤崎達也】という人物です。瑕疵借りを生業としている藤崎はそれぞれの作品で、訳あり物件となる原因となった賃借人の知り合いや親族などと関わっていきまして、故人との絡まった糸を解していくんですね。この【藤崎達也】がもう一人の主役といった感じです。

「土曜日のアパート」・・・薬剤師になる夢を叶える為に、地方の国立大学の薬学部で学ぶ【吉田琴美】は、学費を捻出する為に、いわき市の郊外にあるコンビニでバイトに励んでいたんですね。クリスマスケーキの販売のノルマを課せられ12月25日に凍てつくような夜気のなか、コンビニの外で立ち尽くしていた時に、琴美の前に男性が現れたんです。

「ノルマまであと何個?」

と琴美に話かけてきて、琴美が「7個」と正直に言うと、7個全部を買ってくれたんです。それからその男性は、2月の恵方巻の際も20個纏めて琴美から買ってくれたんです。そこから琴美とその男性、峰岡修一は、コンビニで色々会話する様にまでなったのですが、それから数年が経ち、薬剤師の試験も合格し、勤め先も決まって薬剤師として働いていたある時、遺品整理業をしている会社から電話があったんですね。峰岡修一は、原発の作業員として福島の原発での仕事に従事していたのですが、急性白血病でなくなったとの事だったんです。寺岡修一には身寄りがなく、困っている時に、遺品の中に琴美に宛てた手紙があり、その手紙を手掛かりに琴美に連絡してきたんです。そして、琴美は寺岡修一が住んでいたアパートに赴くと、既に次の入居者が入っていたんです。その入居者こそ、瑕疵借りを生業としている【藤崎達也】だったんですね。原発作業員が白血病で亡くなった場合も瑕疵物件となるという事で、瑕疵借りを生業としている【藤崎達也】に依頼があったんです。ここから先の内容は伏せておきますが、藤崎達也のおかげで、原発の作業員として峰岡修一を派遣した雇い主の悪行が暴かれるんです。峰岡修一の琴美へ宛てた手紙にウルっときました。この作品が一番良かったです。( ´∀`)つ

「保証人のスネップ」・・・・スネップの【牧島譲二】は、小遣い稼ぎの為に保証人紹介会社へ名義貸しをした事から、厄介事に巻き込まれるんです。

「鳴海遥香さんです。去年の四月、茜荘に入居するとき、義理のお兄さんを連帯保証人になさいました。牧島譲二さんですよね?」

なんて不動産屋から連絡があり、失踪した鳴海遥香さんに代わって、滞納している家賃の4か月分を払えと連絡きたんです。鳴海遥香なる女性とは縁も縁もないのですが、連帯保証人なので、滞納分の家賃を【牧島譲二」が払い、賃貸契約も解除したのですが、失踪した入居者が何があったかわからない状況なので、万が一ににも次に入居者がなんらかの迷惑を被る事態になったら大変との事で、「瑕疵借り」を生業とする藤崎達也に依頼があるんですね。この作品も勿論、藤崎達也のおかげで、鳴海遥香の失踪の真実が明らかになります。この作品は、僕的には、浅田次郎の「ラブ・レター」に似ている内容で、耐性が出来てしまっていたので、あまり面白くなかったですね。「ラブ・レター」を知らない方なら楽しめるかもです。( ´∀`)つ

残りの「百尺竿頭にあり」は、ほんと賃貸ミステリにふさわしい内容でした。(保険金は返すというのは納得いかなかったですが)「転機のテンキー」は、馴染みの深い「印西市」が舞台だったのが良かったです。どちらも勿論「藤崎達也」が活躍します。この2つはまた後日編集します。とにかくこの作品はオススメです。( ´∀`)つ


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パーフェクトワールド上下(馳星周)3

パーフェクトワールド
馳星周の『パーフェクトワールド』です。12年前に「週刊プレイボーイ」に連載されていたものが12年の歳月を経て文庫として発売されました。帯には、

幻のノワール巨編ついに書籍化!

なんてありますが、12年間ほったらかしにされていただけで、馳の「ノワール作品」の中では下位の方ですね。前半はまったりとした遅い展開に少し飽きがくるのですが、中盤から終盤にかけてはリズムが良くなりまして面白くなりました。馳ファンなら読んで損はないですが、ファンでない方にわざわざオススメは出来ないという感じです。

1970年。本土復帰を目前に控え、沖縄は混沌としていた。公安警察官・大城は、警察上層部よりさらに上――内閣総理大臣から直接の命を受け、沖縄に潜伏することに。時を同じくして、那覇では沖縄独立を目指す平良が、賢秀塾を率いる古謝賢秀の指示のもと、不穏な動きを見せ始めていた。大城は、円滑な返還を実現するべく、時に犯罪行為にも手を染め、諜報を進める。彼は、どこまで堕ちていくのか。(上巻内容紹介)

沖縄独立へ向け、平良は古謝の立てたクーデター計画実現に必要な同士を集め、すでに軍事訓練を始めていた。一方、大城は犯罪性をますます強めた手法で、現地警察官、政治家やその愛人、平良の恋人すら懐柔し、内偵を進めていた。しかし、返還の裏に巨大利権が蠢いているのを察知し、自らの使命への疑問を強め・・・・・・。果たして彼らの、そして沖縄の行く末とは。幻のノワール巨編、満を持して書籍化。(下巻内容紹介)


上下巻の内容紹介です。主人公は警視庁公安総務課警部補(のちに警部)の【大城一郎】です。72年の沖縄返還に向けての現地調査に沖縄出身で沖縄方言にも理解力がある大城が抜擢されたんですね。首相官邸で総理から直々に、

「君に沖縄に潜入してもらいたいと思っているんだ。沖縄では今、なにが起ころうとしているのか、大衆の間にどんな心理が蔓延しているのか、なかんずく、沖縄の日本復帰を喜ばない連中はなにを考え、なにを画策しておるのか。その辺りを調査、報告してもらいたい」

なんて依頼されるんです。わざわざ総理を登場させる必要もない気が凄くしたのですが、とにもかくにも大城は沖縄に調査に向かいます。そして、沖縄の独立を夢みてクーデターを起こそうとしている「賢秀塾」に辿り着くんですね。公安警察ならではの手法でこの「賢秀塾」に迫っていくのですが、その一方で、沖縄返還後の莫大な利権に絡んだ争いに大城も身を投じていくんですね。そこからは当然の如く「馳のノワールの世界」が展開されていくのですが、大城の堕ちていく様が「馳作品」にしては、ストレート過ぎたのが残念でした。(頂点から急転直下という感じでした)もっと二重三重の変化を付けながら(読んでいて僕の内臓がうねる様な)徐々にすり減らしていきながら堕ちていく展開が良かったですね。

ファンの方は是非( ´∀`)つ


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爆裂通貨〜警視庁公安部・青山望〜(濱嘉之)3

爆裂通貨
濱嘉之の『爆裂通貨〜警視庁公安部・青山望』です。シリーズ11作目です。10作目の「一網打尽」は、僕のブログでは「サラッと」ラーメンの方の冒頭でしか触れてないのですが、10作目でとうとう青山も結婚しまして、この作品では、新婚の青山が活躍する事となります。相変わらず安定した面白さでした。

ハロウィンの渋谷で、マリオの仮装で見事な行進をする集団が注目を集めていた。直後にATM爆破と殺人が同時多発!しかもハワイでも——これは国際テロの予兆なのか?警視庁公安部のエース青山望が同期カルテットと共に辣腕を発揮。日本の隙に忍び寄る北朝鮮の影を追う!

この作品の内容紹介はこんな感じです。10月31日、午後九時の人でごった返した渋谷ハチ公前のスクランブル交差点に突如として、スーパーマリオに扮した2、30人の集団が四列に縦列を組んで、分列行進をしてきたんですね。整然とした動きの集団はやがて四つの路地に消えていったのですが、その数時間後に渋谷区周辺の4か所で、同時刻にATMが破壊され、そのATMの前でスーパーマリオの仮装をした男が頭部に被弾して殺されているという事件が発生したんですね。4か所で計4人が死んでいたんです。アメリカ大統領の来日前のハロウィンに起こった事件なので、テロの可能性もあるという事で公安部の青山も動き出すのですが、これがやっぱり単なる「ATM窃盗事件」と「殺人事件」ではなかったんですね。今回は特に【無戸籍者】(日本において戸籍を有しない個人)の存在など、僕の知らなかった世界を知る事が出来まして大変興味深かったです。

読み終えてしまうと、スーパーマリオに扮したり、渋谷の交差点でアピールしたりする意味に無理があったとは思ったのですが、十分に楽しめました。

続きで印象に残った場面を( ´∀`)つ


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武蔵(六)花村萬月3

武蔵(六)
花村萬月の『武蔵(六)』です。このシリーズの最終巻です。最終巻という事は、勿論、佐々木小次郎との対決がある訳ですが、これが視聴率の悪いドラマが急遽打ち切りになったかの様なあっけない終わりとなっておりまして、「私の庭」や「ワルツ」の様なアツい決闘の様子を期待していた僕としましては肩透かしな感じでした。下記は作中での武蔵の小次郎との対決に立ち会った弟子の直助との会話です。

痰が絡まったかの咳払いをして、直助が呟く。
「呆気ないいうか、えろう短かった。あまりに短かった」
「打々発止がよかったか」
「武蔵様が櫂を構えて波打ち際を駆けはじめた思うたら、次の瞬間には空飛んで、そいで仕舞いやった。ほんま、あっという間やったから」


読み手の僕もこんな感想です。勝負があっという間に終わっても良いのですが、それまでに至るお互いの心理描写すら、深堀りなされてなくて少し残念でした。しかし、僕が今回、星3つの評価をしましたのは、この小次郎との戦い以外に、かなり面白かった所があったんです。これがホント意表を突かれてまして、動揺させられてしまいまして、読後感ならぬ、読中感と言いますか、かなりの時間動揺させられてしまいまして「やられて」しまいました。

シリーズ全巻読破をオススメします。( ´∀`)つ

その「動揺」させられてしまった所は、せっかくシリーズを読んできてる方の為に伏せさて頂きまして、続きで別で印象に残った場面を(*´∇`*)


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武蔵(五) 花村萬月3

武蔵五
花村萬月の『武蔵(五)』です。前にも書きましたが、3巻から面白さにエンジンが掛かってきまして今回も面白かったです。前回の4巻からの続きで「鍛冶場」での武蔵の様子から始まります。自分の刀を作ってみたいと願いでた武蔵が、刀鍛冶の【忠直】の元で武蔵の刀が出来上がるまでの様子が綴られてます。今年に入ってすぐに両国の「刀剣博物館」に行ってきた事もあり、とても興味深く読む事が出来ました。

 下鍛えがはじまった。火床で充分に熱せられた鋼を金床に安置して折り返し鍛錬だ。國吉が打ち延ばした鋼の真ん中に鏨(たがね)を宛がう。佐兵衛が鏨の臀を鎚で打ち据え、切れ目を入れていく。ちょうど田楽の豆腐を真ん中から真横に割ったがごどくである。
 それを二つに折り返し、重ねる。國吉が佐兵衛と祐定に目で合図する。まずは佐兵衛が向鎚を振るい、その火花の散り具合を見定めてから祐定が若干勢いを弱めて打ち据えた。
 双方の力加減は一打一打微妙にちがい、打ち叩いているにもかかわらず愛撫しているかのような繊細さがある。弁之助は飛び散る火花にふたたび神妙になった。
 これより芯鉄皮鉄共に幾度も折り返して鍛える工程だが、まずは皮鉄からだ。國吉と佐兵衛と祐定が三位一体にならなければうまくいかない難しい作業だ。つまり刀匠と向鎚が一体にならなければ破綻する。
 向鎚の二人は國吉の目配せ、ときに指示の言葉にあわせて赤熱した鋼を叩く。
 相手の言葉に同意のしるしをあらわして頷くこと「相槌を打つ」をいうが、刀匠の合図にあわせて向鎚で叩くことからきている言葉である。

鍛冶場での場面を抜粋しましたが、上記を読めば分かると思いますが、その情景が頭にありありと浮かんできまして、さらには飲み屋で使える?雑学なんかもありましてとても面白かったです。

そして、二刀を手に入れた武蔵は「山落」の集落を離れ京都に向かい、鴨川沿いに軒をかまえる女郎屋の「湧泉楼」の主の【東海林梅左右衛門】のお世話になります。そこから北白川城址を訪れた武蔵は、

星辰坊、順正尼、白月尼

の3人と出会います。ここからが、この5巻のメインとなるのですが、これがアツいアツい。武蔵と2人の尼との交わりが勃起モノでしたね。男の僕が言うのは説得力がないかもですが、この精神世界までを理解して女性に対峙している男は殆んどいないと思いますね。萬月作品の良さはこれが理論的なんですね。この5巻でもそれが充分に楽しめるモノになっておりました。そして、武蔵と薙刀の名人の順正尼との仕合の場面もアツかったです。

唇のまわりを朱に染め、順正尼は笑みを崩さずに続ける。
「本音を申しますね。懸想しております。ゆえに首まで落とすつもりはございませぬ。けれど足か腕くらいは落ちるやもしれませぬ。だいじょうぶです。大切な武蔵様の男を傷つける気はありませぬし、腕や足が落ちれば即座に血止めして差しあげますし、手当もいたしましょう。もちろん後々の御面倒までも見させていただきますから御安心を」

その戦いの緊迫感から、下腹に力を込めて読む羽目になったくらいです。(*´∇`*)


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生か、死か(マイケル・ロボサム)3

生か、死か
マイケル・ロボサムの『生か、死か』です。オススメして頂きまして読んでみたのですが、これが面白かったです。今、結構読みたい本がありまして、こちらの作品はそんな優先順位が高くなかったのですが、本屋さんでこの作品の帯の

男はなぜ出所前夜に脱獄したのか?

というのを見て、俄然興味が沸いてきまして、思わず【上巻】を購入してしまいました。読み始めてみるとこれが面白くて下巻までイッキに読んでしまいました。「訳者あとがき」に書いてあったのですが、ロボサムは20年程前、実際に釈放前日に脱走した受刑者がいたという新聞記事を読み、そこから何年もかけてこの作品の構想を練り上げたとの事ですが、読み始めてみると脱獄が釈放前日だろうが1年前だろうが、どうでも良く感じる位に作品中にハマってしまいました。

主人公は、現金輸送トラック強奪事件を起こし、10年の刑に服していた【オーディ・パーマー】です。オーディは、刑期満了の前日に服役していた「スリー・リバース連邦刑務所」から脱獄したんですね。オーディが起こした現金輸送トラック強奪事件では、七百万ドルの金が行方不明のままだったんですね。物語は、オーディが脱獄した理由が伏せられたまま脱獄後のオーディを追いつつ、過去のオーディの生活が描かれていきます。最初の時点では、読み手として僕は、行方不明の七百万ドルを中心とした何かに異変が起きて、それの回収に向かう物語になるかと思いつつ読み進めていくのですが、それが徐々に想像と違う展開に発展していくんですね。その展開がとても深みがあって作品中にハマってしまいました。
 そして、その展開の脇を固めるのが、刑務所時代に一番仲の良かった【モス・ウェブスター】とFBIの女性捜査官【デジレー・ファーネス】なんですね。モスは7年間もオーディと隣の房で、刑務所の中では一番仲が良かったとの事で、オーディの存在を消したいと思っている権力者の力で刑務所から解き放たれてオーディを追うんですね。断れば殺される事なるモスは、必死でオーディを追い、徐々にオーディに迫っていくのですが、このモスはホントいい動きをしてました。そして、FBIの女性捜査官のデジレーは、この不可解な脱獄事件には、10年前のオーディが起こしたとされる現金輸送トラック強奪事件がカギを握っていると読んで、オーディに迫っていきます。オーディを含めたこの3人が魅力的でラストまで惹きつけられました。

この3人が織り成す【ワルツ】が凄く良かったですし、物語の中での会話も深みがあるモノが沢山ありまして楽しめました。帯に堂場瞬一が「読めば必ずなけます」とありましたが、僕は全然泣けなかったですが、僕もオススメですね。続きで印象に残った場面を( ´∀`)つ


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決戦!賤ケ岳3

決戦!賤ヶ岳
『決戦!賤ヶ岳』です。「決戦!」シリーズの第7弾です。今回は、

『槍よ、愚直なれ』(木下昌輝)
『糟屋助右衛門の武功』(簑輪諒)
『しつこい男』(吉川永青)
『器』(土橋章宏)
『ひとしずく』(矢野隆)
『権平の推理』(乾緑郎)
『孫六の刀』(天野純希)


からなる7人の作家の競作です。「本能寺の変」→「山崎の戦い」→「賤ヶ岳の戦い」という一連の流れでいきますと秀吉にとっては山場の戦いなのですが、小説にすると「ドラマチック」な物語は生まれ難い感じがするのですが、結構楽しめる作品に纏まってました。次郎的ランキングは下記の通りです。

1位『槍よ、愚直なれ』(木下昌輝)
2位『ひとしずく』(矢野隆)
3位『糟屋助右衛門の武功』(簑輪諒)
4位『権平の推理』(乾緑郎)
5位『孫六の刀』(天野純希)
6位『器』(土橋章宏)
7位『しつこい男』(吉川永青)


1位の『槍よ、愚直なれ』は、【加藤 清正】が主人公の物語。賤ヶ岳の戦いでは【山路将監】を打ち取り武功を挙げたのですが、この物語では、清正が恋した相手が嫁に行った先が山路将監という設定。そこから賤ヶ岳の戦いまでの物語は双方がカッコ良く描かれていて、歴史小説好きのドストライクな物語に仕上がっておりまして楽しめました。

2位の『ひとしずく』は、【福島正則】が主人公の物語。賤ヶ岳の戦いでは敵将・拝郷家嘉を討ち取る大功を立てて一番手柄となったのですが、この物語では晩年の福島正則が酒を飲みつつ当時を振り返るという設定です。晩年の福島正則は正しくこんな感じだったんだろうなぁ。なんて思いながら読む事が出来まして楽しめました。


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悪徳の輪舞曲(ロンド)中山七里3

悪徳の輪舞曲
中山七里の『悪徳の輪舞曲(ロンド)』です。御子柴礼司シリーズです。

贖罪の奏鳴曲(ソナタ)
追憶の夜想曲(ノクターン)
恩讐の鎮魂曲(レクイエム)


ときて、今回の「悪徳の輪舞曲(ロンド)」が4作目となります。読み始めたら止まらなくて1日で読んでしまいました。このシリーズが好きなので感情移入して読んでしまってますので、読み終えての満足度はかなり高かったです。今回は、シリーズの中では少し単調なのですが、御子柴が弁護するのは、御子柴の実の母親という設定にやられてしまいました。帯は完璧です。

悪徳は輪舞曲のように
同じ旋律を繰り返すのか――

14歳で殺人を犯した悪辣弁護士・御子柴礼司を
妹・梓が30年ぶりに訪れ、母・郁美の弁護を依頼する。
郁美は、再婚した夫を自殺に見せかけて
殺害した容疑で逮捕されたという。
接見した御子柴に対し、郁美は容疑を否認。
名を変え、過去を捨てた御子柴は、肉親とどう向き合うのか、
そして母も殺人者なのか?

という感じです。御子柴が起こした事件から30年を経て、妹の梓が御子柴の事務所に現れるんですね。御子柴の実の母、成沢郁美(再婚して成沢性となる)が「夫殺し」の容疑で逮捕されたんですね。事件のあらましは、

7月4日の早朝、世田谷区三軒茶屋3丁目成沢宅から「主人が死んでいる」旨の通報が為された。通報者は同家の主婦成沢郁美。通信指令センターからの情報で所轄の世田谷署員が現場に駆け付けると、通報通リ成沢拓馬が鴨居から首を吊っていた。遺書も残っていることから署員の見立ては自殺で間違いなかったのだが、その後の捜査で他殺の疑いが浮上し逮捕されるに至った。

この「その後の捜査で他殺の疑いが浮上」というのは、自殺に使用された縄から皮膚片が採取され、DNA鑑定した所、郁美のものと判明した事、遺書の署名部分がカーボン紙のインクだった事、成沢の体内からは多量のアルコールが検出された事、鴨居の部分に「吊り金車」という滑車の金具を取り付けた痕跡が残っていた事、死んだ成沢は資産家だった事から、財産目当ての偽装殺人という事になったんです。このシリーズで度々登場する、

動機・方法・チャンス

の三拍子が揃っているんですね。しかし、郁美は容疑を一貫して否認。やがて裁判が始まると、この事件と、29年前に自殺した御子柴の実の父親の死体が発見された状況とそっくりだった事が判明します。以下は、担当検事と御子柴の父親の自殺現場に立ち会った刑事との会話です。

「成沢拓馬が死んで、その遺産は郁美が相続するんでしょう。彼が死んで得をするのは彼女だけってことになる。一方、園部謙造(御子柴の実の父親)の場合も一緒です。息子の犯罪で八千万という莫大な慰謝料が請求されていたが、謙造の死亡保険でその一部が支払われている」
「では、二十九年前の園部謙造の自殺も偽装だったと言うんですね」
「検事、見た目は若いけれど、もうずいぶんと盗人野郎や人殺しを見てきてるでしょう」
「そういう人間を相手にするのが仕事ですから」
「だったらこれもご存じのはずだ。一度垣根を越えたヤツは、二度目の垣根を何の抵抗もなく跨ぎ越える。最初の手口で成功すると、失敗するまで何度でも繰り返す」


以前にも書きましたが、この絶体絶命の状態から御子柴礼司が如何にして、この裁判を勝つかをぜひ楽しでください。郁美の放った一言が後になって「カギ」になっていた事が分かりますので、その辺もお見逃しなく!この作品はオススメですが、シリーズを読んでない方は、1作目から読んでください。( ´∀`)つ


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長く高い壁(浅田次郎)2

長く高い壁
浅田次郎の『長く高い壁』です。浅田作品初の戦場ミステリとの触れ込みで、期待して読んだのですが大した事なかったです。また僕の好きなラーメンに例えちゃうと、ライトなスープに化調で味を調えたチェーン店のラーメンという感じでした。この本の帯は、作品以上に良い出来過ぎて、詐欺に近いです。(*´∇`*)

1938年秋。流行探偵作家の小柳逸馬は、従軍作家として北京に派遣されていた。だが、突然の要請で、前線へ向かうこととなる。
検閲班長の川津中尉と共に、北京から半日がかりで辿り着いた先は、万里の長城、張飛嶺。
そこで待っていたのは、第一分隊10名が全員死亡という大事件だった。
なぜ、戦場に探偵作家が呼ばれたのか。10名は戦死ではないのか
分隊内での軋轢、保身のための嘘、軍ならではの論理。
従軍作家の目を通し、日中戦争の真実と闇が、いま、解き明かされる。

「戦争の大義」「軍人にとっての戦争」とは
何かを真摯に捉え、胸に迫る人間ドラマ。


主人公は、従軍作家として北京に派遣された流行作家の【小柳逸馬】です。簡単に言うと、張飛嶺守備隊として警戒に当たっていた第一分隊10名全員が、何らかの原因で死んでいるのが発見されたんですね。その調査を【小柳逸馬】が命ぜられまして、助手役として検閲班長の川津中尉を伴って張飛嶺に向かいます。そして紆余曲折を経て事件を見事に解決するという物語です。物語の展開もライトな感じで、解決までの道のりに「ミステリ」としてのドキドキ感もなく、帯にある様な「日中戦争の真実と闇が解き明かされる」訳でもなく、「戦争の大義」「軍人にとっての戦争」を真摯に考えさせられる事もなく、最後までライトは仕上がりとなってました。せめて何処かに感情移入出来たら良かったのですが・・・・・。

浅田次郎の「戦場モノ」としては、最低ランクだと思います。( -д-)ノ


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それでもファンは読んでみてください。



生きている理由(松岡圭祐)3

生きている理由
松岡圭祐の『生きている理由』です。この作品は、清朝の皇族・第10代粛親王善耆の第十四王女である「川島芳子」 (本名は愛新覺羅顯㺭【あいしんかくら けんし】)を描いた作品です。この作品の冒頭には「川島芳子」なる人物について簡単な説明があります。

 かつて川島芳子という女性がいた。
 清朝末期、皇族の家系に生まれた王女ながら、日本人として育てられた。その生涯も多彩な噂話に満ちている。日本軍に協力したとされ、東洋のジャンヌ・ダルクとも喧伝されたが、実際にはどんな活動をおこなっていたかさだかでない。
 たしかなのは、十代後半に女を捨て男になると宣言したこと、以降は男装の麗人として一世を風靡したこと。そして戦争終結後、中国国民党により国賊として逮捕されたこと。異論なき事実といえば、それぐらに尽きる。

〜本書では、川島芳子の十六歳までの青春を小説として綴る。彼女の初恋とされる陸軍少尉との邂逅を中心に、純愛の少女期を描く。


どうでしょうか?僕はこれで掴まれました。簡単に言えば、日本人として育てられた清朝の皇族・第10代粛親王善耆の第十四王女「川島芳子」の青春物語なんです。自分の立ち位置に悩み、タイトルにある様に「生きている理由」を見出せないでいる「川島芳子」と松本聯隊所属の「山家亨(やまがとおる)少尉」の恋愛物語が中心となっておりまして、僕のストライクゾーンから大幅に外れている物語なはずなのに惹きこまれました。

良い作品は、読んでいて意識しなくても、頭の中で勝手に物語が映像化されるのですが、僕にとってこの作品は、特筆する場面がある訳でもないのに、最初から最後まで流れる様に映像化されてましたね。そして、読み終えて、本を閉じた後も、頭の中で映像が飛び回って暴れまくって、なかなか消えなかったです。(これが読後感というのですが、なぜか波長が合いました)

夜中に読むのがオススメです。( ´∀`)つ


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ヒトラーの試写室(松岡圭祐)3

ヒトラーの試写室
松岡圭祐の『ヒトラーの試写室』です。以前の僕のブログの
「万能鑑定士Qの最終巻〜ムンクの<叫び>〜」(Qシリーズの最終巻です)の記事で、
おっさんの僕的には、これ系の松岡作品とはここでお別れです。松岡圭祐の大人向けの作品が出ましたら、またお会いしましょう。.。゚+.(・∀・)゚+.゚
と書きました。ベストセラーとなったこのシリーズ系を今後もバンバン出していけば【松岡圭祐】は安泰な訳です。なので当分はこの路線で突き進むと思われたのですが、突如として「歴史小説」の路線へと向かったんですね。「黄砂の籠城」と次の作品は何となくパスして様子を見たのですが、読む本が無くて半ば騙されたと思って購入した「八月十五日に吹く風」を読んで感動してしまい、

松岡先生、すみませんでした。一生ついていきます!

という事で次に購入したのがこの作品です。さすが松岡先生、この作品も面白かったです。この内容紹介です。

1937年。22歳の柴田彰は円谷英二の下で日独合作映画『新しき土』 の特殊撮影を担当し見事に完成させた。その技術に目をつけたのがナチスの宣伝大臣ゲッベルス。映画による人心の掌握と統制を進める彼は、柴田をベルリンに招聘し、タイタニック号の沈没シーン制作を命じる。環境の違いから撮影は苦戦。妻子を想う柴田だったが、ベルリンは戦火に・・・・・。意外すぎる歴史秘話に基づく、一気読みと感動必至の傑作エンタメ小説。

という感じです。最初にページを捲ると、

この小説は史実から発想された

なんて出てきまして、僕的に、こういうのに弱い。ぎゅっと集中力を発揮して読み始めると、面白くて1日で一気に読んでしまいました。
 
大工の父親の元で大工見習として働いていた【柴田彰】は、役者を夢みて、家族の反対を押し切り家を出るんですね。京都の太秦の撮影所に向かうも、エキストラの声すらかからない状態が続くのですが、そんな折、撮影所の塀に
「日独合作 大作映画製作開始 出演者募集 独逸語に堪能な二十代男子求む」という貼り紙を見つけたんですね。ドイツ語教室に通っていた事がある彰は、これに応募するのですが、ドイツ語も演技も全然大した事なく、時間の無駄と言われてしまいます。重い足をひきずりながら外に出ると、大きな看板を抱えた若者に出会うんです。
『新しき土』特殊技術担当。撮影技術研究所助手急募と大書きしてあったんです。先程落ちた映画の撮影技術研究所助手して新たなスタートを切った彰は、順調に仕事をこなし、付き合っていた【敏子】と結婚もし、子宝にも恵まれ、貧しいながらも幸せな生活を送っていたのですが、『新しき土』の特殊撮影技術に目を付けたナチスの宣伝大臣ゲッベルスから東宝に、ナチスが制作中の映画「タイタニック」の撮影に協力して欲しいと連絡入ったんですね。ドイツ語も多少は話せて、円谷英二にも認められる様になっていた為、彰がドイツに行くことになるんです。妻子を残して、戦争が始まっている中のドイツに単身向かうんです。そこからのドイツでの映画製作から終戦を迎えて日本に帰国するまでの物語がアツかったですね。ラストにサプライズ的な仕掛けとかもありまして、読み始めたらイッキに読めちゃいます。
この作品はhttps://kadobun.jp/reviews/239/29992049
ここを読むと分かり易いです。(*´∇`*)

この作品はオススメです。続きで印象に残った所を( ´∀`)つ


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おもかげ(浅田次郎)3

おもかげ
浅田次郎の『おもかげ』です。この作品の評価は、その人が「スレてる」か「スレてない」かで評価が分かれる作品だと思います。「スレてる」僕は、少し斜に構えて本を読む様になってしまっているので、主人公や、その他の登場人物のキャラに少しだけ反感を持ちながら読み進める事になってしまったんですね。登場人物がみんな純粋だし、その境遇が特異だし、そこに拘り過ぎている設定に違和感を感じてしまったんですね。「スレてない」方が読めば、その主人公の生い立ちや境遇に素直に感情移入出来て、その後の展開に目が離せなくなり、一気に感動のラストまで引っ張られてしまうんだろうなぁ。なんて思える作品です。まぁ、そんな「スレてる」が僕が読んでも、それなりに(余計な、まわりクドイ話などもありましたが)楽しむ事が出来ましたけど。( ´∀`)つ

浅田文学の新たなる傑作、誕生━━━。
定年の日に倒れた男の〈幸福〉とは。
心揺さぶる、愛と真実の物語。


帯にはこうあります。僕的には「新たなる傑作」とは思わないですね。今までの浅田作品の色々な要素が織り込まれている作品で、この作品を読みながら、「地下鉄に乗って」「鉄道員」「血まみれのマリア」「天切り松闇がたり 」「椿山課長の七日間」などの作品が思い浮かんできました。(その他、何かの短編で出てたなぁ。なんてのもありました)特にラストの展開は、「〇〇〇やん!」と、一人呟いてしまった程です。(*´∇`*)

この作品の「あらすじ」は、毎日新聞出版の公式ページにあるので、先ずはそれをコピペさせて頂きます。
http://omokage-mainichi.jp/

主人公の竹脇正一は、昭和26(1951)年生まれの65歳。商社マンとして定年を迎えたが、送別会の帰りに地下鉄の車内で倒れ、集中治療室に運びこまれた。
 同期入社で今や社長となった堀田憲雄の嘆き、妻・節子や娘婿の大野武志の心配、幼なじみの大工の棟梁・永山徹の思いをよそに、竹脇の意識は戻らない。彼らを見守る看護師・児島直子は、竹脇と通勤電車で20年来の顔なじみでもあった。
 一方で、竹脇本人はベッドに横たわる自分の体を横目に、奇妙な体験をする。マダム・ネージュと名乗る老女と食事に行き、静と呼ぶことにした女性と夏の入り江で語らう。集中治療室で隣のベッドにいる患者・榊原勝男とは、銭湯に行き、屋台で酒を飲んだ。
 最初は彼女らのことを妻の知り合いだと思っていた竹脇だが、死に至るまでには肉体から解放された不思議な時間を経験するのではないかと考え始める。やがて、竹脇は自らの〈過去〉と思わぬかたちで再会する――。

公式ページの「あらすじ」はこんな感じです。定年を迎えた【竹脇正一】は、開催してもらった送別会の帰り道、地下鉄の電車内で「脳出血」で倒れたんですね。中野の国際病院に運ばれたのですが、出血がひどくて、脳圧も高く、手術も出来ない状態だったんです。この先たっぷりあると思っていた家族との時間も風前の灯火となってしまったんですね。
 病院のベッドで意識も戻らない状態で横たわる【竹脇正一】を軸とした「ヒューマンドラマ」が始まるんですね。上記の公式ページの「あらすじ」にある様に、同期で社長となった「堀田憲雄」、妻・節子、娘の「茜」、茜の旦那の「大野武志」、幼馴染の「永山徹」の視点で、それぞれの章がありまして物語が進んでいきます。そして、メインを張るのは、【竹脇正一】が幽体となって、病院のベッドに横たわる自分自身を尻目に、様々な体験をするんですね。竹脇正一には、他人に話したくない過去があるのですが(養護施設で育った事なんですが)そんな過去に関する事が少しずつ分かってきまして・・・・・・・・。

核心には触れない様にしますが、感動のラストが待ってます。この作品のターゲット層は、竹脇正一世代ですが、どの世代でもそれなりに楽しめます。(スレてない方は是非)( ´∀`)つ

続きで、くだらない話を(*´∇`*)


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蒼き山嶺(馳星周)3

蒼き山嶺(あおきさんれい)
馳星周の『蒼き山嶺』です。馳のブログでは、

父ちゃん初の正統派山岳冒険小説です。

なんて説明がありましたが、【神奈備】が発売された時の馳のブログでは、

父ちゃん初の山岳小説。

なんて書いてありまして、「正統派山岳冒険小説」と「山岳小説」の違いが僕には分からないのですが、ハッキリと言える事は、【神奈備】は面白くなかったのですが、【蒼き山嶺】は面白かったです。しっかりとしたストーリー展開で、【神奈備】と同じ様な「追いかけっこ」が続いたりするのですが、読み手を飽きさせない構成で、ある程度の緊張感が続き、最後まで飽きる事なく楽しめました。今回も帯は完璧です。

なにがあった?
なにをした?
どうして
追われている?

元山岳遭難救助隊員の得丸志郎は、残雪期の白馬岳で公安刑事・池谷博史と再会した。二人は大学時代、山岳部で苦楽をともにした同期だった。急遽、白馬岳山頂までのガイドを頼まれた得丸が麓に電話を入れると、警察に追われた公安刑事が東京から逃げてきている、という話を聞かされる。厳しい検問が敷かれ、逃げるには山を越えるしかないと言われたその時、池谷が拳銃の銃口を押しつけてきた

という感じで話は流れていきます。主人公の【得丸志郎】、公安刑事の【池谷博史】、有名な登山家となった【若林純一】の3人は、大学の山岳部では三羽烏と呼ばれていたんですね。得丸は長野県警の山岳遭難救助隊員を辞めて「北アルプス北部地区遭難対策協議会員」になり、山岳ガイドをして暮らしている。池谷は大学を卒業後は警視庁に入り、公安部に配属されて20年公安畑一筋。そんな二人が白馬岳で偶然出会うんですね。年に1度位しか山に登らなくなった池谷は、白馬岳の山頂までのガイドを得丸に頼むんですね。(この時既に、若林はヒマラヤで遭難死をしてしまってこの世にいない)そして二人は白馬岳山頂を目指すのですが、得丸は偶然、東京から公安が犯罪者を追って白馬村まで来ているという情報を耳にするんです。そうなんです。公安が追っている犯罪者が【池谷博史】なんですね。更に北朝鮮の工作員までが池谷を追っているんです。逃げる池谷を助ける羽目になった得丸と、これらの追手との「追いかけっこ」が展開されていくのですが、大学時代での雪山合宿での回想シーンとが交互に展開されて、更に若林に縁のある人物までが登場しまして、息つく暇の無いハラハラした展開が繰り広げられます。

展開の甘さで少し気になった所もあったのですが、ラストまで飽きずに楽しめました。ラストもこれが最高の締め方だと思える内容でした。山に興味ない僕でも楽しめましたのでオススメです。( ´∀`)つ


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カルマ真仙教事件(上・中・下)濱嘉之4

カルマ真仙教事件
濱嘉之の『カルマ真仙教事件』です。上・中・下巻あります。下巻の最後に、

この作品はフィクションですが、オウム真理教による一連の事件捜査に従事した、自らの経験を元に執筆しました。

とあります様に、元警視庁公安部管理官の濱嘉之の経験を元に、オウムの事件が描かれていて、とても興味深く読む事が出来ました。ちょうど先週の1月26日に「オウム真理教事件の裁判が終結」なんてニュースが流れましたが、教団の関係者190人が起訴されて、

死刑:13人
懲役刑:174人
罰金刑:3人


上記の結果となった訳ですが、改めてこのテロ事件を思い返すには最適の作品ですね。オウム関連の本はたくさん出版されてますが、この事件の捜査に当たった【濱嘉之】だからこその密度の濃い内容でした。

物語は「オウム真理教被害者の会」が結成された辺りから始まります。そして、坂本堤弁護士一家失踪事件から主人公の【鷹田正一郎(たかだせいいちろう)】は本腰を入れてオウムを調べていくのですが、あの一連の事件が起きてしまうんですね。
 一連の事件を時系列で追いながら、公安部管理官の【鷹田】の目線での捜査状況が克明に描かれております。上・中・下を3巻にまで亘っていますが、全く中弛みなく物語は進みます。
 僕的に一番興味深かったのは、【鷹田】がオウム真理教の【岡元一尚】(実際の名前で言うと「岡 一明」ですね)を協力者に仕立てていた事ですね。その岡元と鷹田のやり取りは非常に興味深いものでした。あとは、長官狙撃事件を鷹田の目線で語っている事ですね。色々な説がありましたが、やはりそうか・・・。的な内容でした。その他もホント内容が濃かったです。

最後に、印象に残った所です。

警察官にとって一生忘れられない、墓場まで持ち続ける記憶といえば、現職時に取り扱った事件事故、つまり犯罪についての記憶が圧倒的に多いという。
鷹田にとってその最大のものは、やはり平成最悪のテロ事件、カルマ真仙教による一連の事件捜査のすべてだった。
しかし、それらの歴史の一幕として決着が付いたとは言い切れなかった。その時の死刑囚十三人は、阿佐川光照を始め、未だに全員が刑務所、あるいは拘置所の中で生きていた。

濱嘉之の心情が何となく分かった場面でした。( ´∀`)つ


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Dの遺言(柴田哲孝)3

Dの遺言
柴田哲孝の 『Dの遺言』です。東大教授でもある歴史作家の【浅野迦羅守】のシリーズです。前作の「Mの暗号」では「☆」2つを付けさせて頂きましたが、今回は「☆」が3つという所です。前回は、M資金を題材にした【B級お宝探し小説】といった作品だったのですが、今回も「日銀の金庫から消えたダイヤモンド」を題材にした【B級お宝探し小説】です。前作もそうでしたが、作品のテーマと序盤の掴みは最高なのですが、展開が甘いんですね。しかし、今回の作品は前作よりも2回転半くらい捻りが入っていたので楽しめました。帯は完璧ですね。

戦時中、軍需省の要請により立法化され、それに基づき皇室からも供出さたダイヤモンドがあった。その量、32万カラット。戦後は日銀に保管されていたが、その内20万カラットが占領のどさくさの中に消失。GHQのアメリカ軍将校が盗み出したとも、日本の政権運用資金に使われたとも言われていた。東大教授にして歴史作家・浅野迦羅守は、戦後の特務機関・亜細亜産業に勤めていた曽祖父たちから消えたダイヤの在り処を示す暗号文の遺言書を託された。しかし、捜索を開始するや何者かからの脅迫を受け、やがて敵の襲撃が・・・・・・。

前作で、浅野迦羅守達は城ヶ島の獅子の岩の下から大量の金塊を発見したんですね。その金塊と一緒に、手書きの暗号文が記された一通の文書が見つかったんです。それには、

遺言
我々ノ子孫ニ告グ。失ナワレタダイヤモンドヲ探セ


から始まる文書だったのですが、その後の本文が意味が分からない状態だったんですね。(暗号文なんで)浅野迦羅守達の曽祖父達からの遺言書を元にダイヤモンドの捜索を開始するのですが、当然の事ながら、そのダイヤモンドを追うもう一方のグループが存在してるんですね。もうここからは想像出来るはずなのですが、どちらが先にそのダイヤモンドまで辿り着けるかという物語です。

展開が甘いと書いたのは、日銀金庫室に保管されていたダイヤモンドの約半分が(約800億円相当)消失した訳です。色々な所に渡っている事が想像出来るので、800億円分のダイヤモンドではないとしても、かなりの額となるダイヤモンドを探し出そうとしている訳です(結局は100億〜160億のダイヤだったのですが)それなのに、迦羅守も敵側も行動やら何やらが「ヌルい」です。そのヌルさに5回くらい舌打ちした記憶があります。ま、それでも楽しめましたが( ´∀`)つ


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決戦!大坂城3

決戦!大坂城
『決戦!大坂城』です。「決戦!」シリーズの第2弾です。今回は、

『鳳凰記』(葉室麟)
『日ノ本一の兵』(木下昌輝)
『十万両を食う』(富樫倫太郎)
『五霊戦鬼』(乾緑郎)
『忠直の檻』(天野純希)
『黄金児』(沖方丁)
『男が立たぬ』(伊東潤)


からなる7人の作家の競作です。決戦シリーズの題材的には、僕的に【大坂城】が一番惹きかありました。次郎的ランキングは下記の通りです。

1位『鳳凰記』(葉室麟)
2位『十万両を食う』(富樫倫太郎)
3位『男が立たぬ』(伊東潤)
4位『忠直の檻』(天野純希)
5位『五霊戦鬼』(乾緑郎)
6位『黄金児』(沖方丁)
7位『日ノ本一の兵』(木下昌輝)


1位の『鳳凰記』は奥深い作品に仕上がっていて楽しめました。慶長16年の1月、豊臣秀吉の正室で落飾して高台院と呼ばれている寧々が、新年の祝賀と称して大坂城に訪れた事から物語は始まります。後陽成天皇の言葉として、豊臣家に朝廷を守ってもらいたいという話しだったんですね。

「帝の思し召しはありがたく承りますが、されど、いまの豊臣に徳川と張り合うほどの力がありますかどうか」
寧々は頭を縦に振って言葉を添えた。
「そのことはわたくしも承知しています。されど、豊臣家のほかに朝廷をお守りすることができる者はおりますまい。それに徳川殿は既に七十歳になられておる。徳川殿か亡くなられた後、秀忠殿では大名はまとまりますまい。時が武器となりましょう。一日、一日と徳川殿のいのちを削いでゆけば、秀頼殿の天下となり、帝をお守りする盾となることもできるのではありますまいか」
一日、一日と家康のいのちを削ぐのだ、という寧々の言葉に茶々は大きく頭を縦に振った。


ここがこの作品の肝ですね。この視点は面白い。大坂の役を舞台に、女人としての茶々と家康の戦いが描かれていて面白かったです。

2位の『十万両を食う』は、大坂夏の陣を舞台にした、米商人の【近江屋伊三郎】が主人公の物語です。大坂冬の陣の前に、高騰した米価のおかげで大儲けをしたんですね。そして、伊三郎は【長い戦になる!】と予想して、まだまだ米価は高値をつけると踏んで、自分の金だけでなく、親戚や同業者からまで借金して金を掻き集めて米を買い付けたんですね。一年や二年は続くと伊三郎が見込んだ大坂冬の陣は、わずか二カ月足らずで終結し、大坂に集結していた諸大名が帰国を始めるや、米価は暴落したんですね。
四十年以上も続いてきた近江屋が破産の危機に立たされている時に、一発逆転の話が舞い込むんですね。商人の視点での大坂冬の陣の話だけでも十分面白いのに(よくある歴史ミステリーではあるのですが)しっかりと歴史小説的としてのエンタメ的な要素が織り込められていて楽しめました。詳細は省きますが、国松の脱出には、この手があったか!なんて思いましてランキング2位にしました。

3位の『男が立たぬ』(伊東潤)は、坂崎出羽守直盛の物語。千姫事件に【太閤の位牌】というアイテムを用いて奥深い作品に仕上げてました。


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電光石火〜内閣官房長官・小山内和博〜(濱嘉之)2

電光石火
濱嘉之の『電光石火〜内閣官房長官・小山内和博』です。主人公が内閣官房長官という事で、僕的に惹きがなくて、ずっとスルーしていたのですが、読んでみるとやっぱり濱嘉之作品としては最低ランクになりますね。スラスラと読めてそれなりには楽しめるのですが・・・。

主人公は内閣官房長官の【小山内和博】です。この小山内のモデルは【菅義偉】なんですね。歴代の内閣官房長官で最長の在任記録を持っているし、それなりにキレ者なんでしょうけど、世間受けはしないタイプなのでこの作品で菅さんは得したでしょうね。僕的にもこの作品を読んだ後は、【菅義偉】のポイントが2ポイント程アップしました。(*´∇`*)

情報を制するものが権力を制す。それが官房長官・小山内和博の哲学だ。総理のイスをめぐる権力闘争、水面下で蠢くスキャンダル、国際テロ組織による宣戦布告・・・・・・相次ぐ政権の危機をどう乗り切るのか「警視庁公安部・青山望」シリーズを手掛ける著者が、極限のリアリティで官邸を描く新感覚エンターテイメント。青山望も登場!

この作品の内容紹介です。僕の勝手な解釈ですが、官房長官を描く作品として「官房長官・小山内和博」だけだと少し弱いと思ったんでしょうね。この作品では、官房長官付秘書官の【大田祐治】をもう一人の主役として配置してます。大田は東大法学部を卒業後、警視庁に入庁、その後「チヨダ」の校長→警視庁公安部公安総務課長→警察庁長官官房人事企画官→県警本部長→政権交代前の官房長官秘書官となり、政権交代した後も引き続き官房長官秘書官となった凄い人なんですね。濱嘉之の得意な分野を織り交ぜながら官房長官・小山内和博を描いていく展開で、深い話にはなってないのですが、それなりに楽しめました。

続きで印象に残った場面を( ´∀`)つ


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心中旅行(花村萬月)3

心中旅行
花村萬月の『心中旅行』です。タイトルに「心中旅行」と謳ってしまってますので、お分かりだと思うのですが、勿論タイトルそのままの心中旅行の物語です。しかも、向かう先は花村萬月お決まりの北海道と云う事で、パターン化してしまっている場所なのですが、これがなかなか面白いんです。今回は特に、心中旅行に旅立つまでの過程が凄く面白くて、一気に読んでしまいました。

主人公は、文芸誌〈小説〇〇〉の編集長の【澤野逸郎】です。この編集長である逸郎が作品中で妻に語った内容がそのまま僕の萬月作品の評価だなと思ったんですね。

「言葉って、リズムなの?」
「うん。リズムの良い文章は、中身がなくても読んでいて愉しいじゃないか。文章の達人は、必ず独自の、しかも優れた抽んでたリズムをもっているよ。ノリでぐいぐい読まされてしまう文章は、本物だよね。これは努力や頑張りとはあまり関係のない資質で、だからこれを持っていない文筆家は意味とか筋書きに逃げるしかない。異論もあるだろうけれど、意味やらなんたらは、詩や小説にとって二義的なものかもしれないね」


ほんと萬月の文章は読んでいて愉しい。今回の作品はタイトルもストーリー展開も、悪く言うと陳腐なモノなのですが、読んでいて愉しかったんですね。特に、萬月が「文芸編集者」の目線で、(萬月側である)作家の人達を描いているのですが、これが切れ味良くて愉しかったです。ファンでない方までがわざわざ読む程の作品ではないのですが、ファンなら購入しても損はないです。帯は良い感じです。

小説を愛してやまない文芸編集者の澤野逸郎は、文芸誌〈小説〇〇〉の編集長になった。妻と双子の娘に囲まれ、幸せの絶頂かと思われたが、気づけば編集部には鬱が蔓延、作家とのトラブルも続き、やがて大量の薬に溺れるようになる。時を同じくして、部下である新人編集者の豊嶋と不倫関係が始まった。薬と肉欲にまみれた逸郎を、不幸の連鎖が襲う。その行き着く先は―。

その行き着く先は勿論「心中旅行」となる訳です。先程も書きましたが、ストーリー展開は大したものではないし、エロの世界もいつもよりだいぶ浅いので、この作品を読んで、印象の残っているのは、編集者目線でのアレコレと睡眠導入剤系の話とスバルとボルボの安全性能の良さを認識したくらいでしたが、愉しめました。

続きで印象に残った場面を( ´∀`)つ


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八月十五日に吹く風(松岡圭祐)4

八月十五日に吹く風
松岡圭祐の『八月十五日に吹く風』です。松岡圭祐がまさかこのジャンルに進出してくるとは思いませんでしたが、読んでみると凄く面白かったです。浅田次郎の「終わらざる夏」の様な、やり過ぎの感動モノへの懸念があったのですが、そんな事はなくて、歴史を小説にする為の必要最低限の調味料しか使用せず、実際の出来事を分かり易く、リアル感を持たせながら料理していった感じで、アレルギー反応も起こす事なく美味しく頂けました。また、このジャンルが出ても躊躇する事なく購入します。(*´∇`*)

アメリカが敵視した、人命を軽んじ易々と玉砕するという野蛮な日本人観が、一人の米軍諜報部員の報告で覆った。戦後占領政策転換の決め手となった一九四三年、北の最果てキスカ島での救出劇。日本は人道を貫き五千人の兵員を助けた。戦史に残る大規模撤退作戦を、日米双方の視点で描く感動の物語。

この作品の内容紹介なのですが完璧ですね。当初のアメリカによる戦後占領政策は、武力行使による制圧の方策がとられていたんですね。例えば、シンクタンクからホワイトハウスへの意見書(レスリーグローブス提案)では、

■軍人に限らず、婦人や子供を含む一般市民に至るまで、日本人は自他の生命への執着が薄弱である。軍部による本土決戦および一億玉砕、一億総特攻に、誰もが抵抗なく呼応している。原爆使用に慎重論を唱える向きは、情報部資料を参照されたい。
■一億玉砕、一億総特攻に大多数が賛意をしめす日本国民は、本土決戦において婦女子を含め非戦闘員が戦闘員になりうる。よって国民には「情報広報」の日本兵分析結果五項目(人命軽視、不条理な戦死の目的化、同一戦法への固執、想定外の事態への対処能力欠如、理想や願望と事実の混同)が、兵士と同様に当てはまると考慮される。
 という意見書により、ホワイトハウスは、日本への上陸作戦は米軍兵士に多大な犠牲が生じうる。ゆえに原爆投下が望ましい。という様に風向きが変わったとしか思えない。としているんですね。ですので、この流れでいけば、戦後のアメリカによる占領政策は、武力行使による制圧の方策がとられるのが自然の流れです。1945年8月13日にマッカーサーが提出した日本占領計画「ブラックリスト作成」では、
■注意警戒事項。非戦闘員による個人単位での玉砕、あるいは村や隣組など小自治体単位での反乱が起こりうる。各部隊は必要に応じ、武力行使による鎮圧を実施のこと。
 という様に日本国民への危険視は継続しているのです。(ここまでの記述は僕の意見ではなく、全て作品中からの引用です。お、次郎もやるなと思ったら大間違えです(* ̄∇ ̄*)エヘヘ) かなり【前フリ】長くて申し訳ないのですが、上記の様な日本国民に対する分析が、ロナルド・リーンという一人の諜報員による1943年8月15日に起きた出来事に関する報告により、日本の占領政策は平和な占領政策へとがらりと変わったんですね。それが「奇跡の作戦」と言われている「キスカ島撤退作戦」なんですね。松岡圭祐は、この「キスカ島撤退作戦」を軸にして、素晴らしい作品に仕上げております。(集中力切れたのでこの辺で失礼します)

僕的には中学校の課題図書にしたいですね。( ´∀`)つ


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神の涙(馳星周)3

神の涙
馳星周の『神の涙』です。アイヌ民族の文化を舞台に、ちょっぴりエンターテイメント的な要素を織り交ぜた作品で、なかなか面白かったです。ほんとは「アイヌ民族の文化」だけをぶっとく描きたかったのかもしれませんが、僕的にはこの刺激があってこその星が3つという感じです。帯に、

号泣必死の衝撃作!
感動の自然サスペンス!!

とありますが、少し涙腺を刺激する場面はありましたが、僕的には涙は全く出なかったです。感動の自然サスペンスという文句は「アリ」ですね。裏の帯は、

北海道東部に位置する屈斜路湖。
アイヌの木彫り作家・平野敬蔵と中学3年の孫娘・悠の家に、
尾崎雅比古と名乗る若い男が訪ねてきた。 「弟子にしてください」と懇願。
初めは煙たがられていたが、敬蔵から木彫りを教わり、山に入るようになる。
しかし、雅比古には誰にも明かせない過去があった。ある日、事件が起こる――。
自然を尊んで生きる敬蔵、アイヌから逃げ出したい悠、自らの原点を探す雅比古。
故郷とは、家族とは、今を生きることとは……。
さまざまな葛藤を抱える現代人に贈る、 感動のヒューマンドラマ!

これは完璧ですね。アイヌである事に誇りを持ち、アイヌの文化と共に生きる【平野敬蔵】、この北海道から抜け出して、自分がアイヌだという事を忘れ去りたい中3の孫娘の【平野悠】、自分のルーツを探しに北海道に来た【尾崎雅比古】、この3人が織り成すヒューマンドラマですね。3.11の震災で雅比古の人生が大きく変わってしまうんですね。やがて雅比古は、とある事件を起こし、住んでいた東京を離れ、敬蔵の元を訪ねる事から物語は始まるのですが、そこから一気に作品中に入り込んでしまいました。後半の雅比古の仲間の逃走劇は強引過ぎたのですが、あの場面は外せないので納得しました。( ´∀`)つ

ま、ファンでなくても楽しめる作品です。インタビューもありますので、それを読んで頂くと更に良いです。続きで印象に残った場面を(・∀・)つ

「神の涙」連載開始記念インタビュー
https://j-nbooks.jp/novel/columnDetail.php?cKey=50

「神の涙」刊行記念インタビュー
https://www.bookbang.jp/review/article/537334


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暗闇のアリア (真保裕一)3

暗闇のアリア
真保裕一の『暗闇のアリア』です。実は、同じく真保の【レオナルドの扉】と2冊同時購入しまして、【レオナルドの扉】から読み始めたのですが、中盤から全然進まなくなってしまいまして、一旦中断しましてこちらの作品を読む事にしました。こちらは面白くて読み始めたら、イッキに最後まで読んでしまいました。ストーリー展開もさることながら、真保が描く男女の内面描写も切れ味があって良かったです。帯は完璧ですね。

夫は自殺ではない、殺されたのだ。
警察から連絡を受けて、富川真佐子は呆然となる。自殺の状況は完璧にそろっていた。でも、絶対に違う。夫は死を選べるような人ではない。この自殺の背後には、きっと何かある。真相を探る孤独な闘いが始まった。
警察庁では真佐子から相談を受けた元刑事の井岡が、内密に過去の事件を調査していく。次々と明らかになる不可解な自殺・・・・・・。もし自殺大国と言われる日本で、多くの『偽装された死』があるとしたら?
ついに二人は謎の鍵を握る男の存在にたどりつく。が、彼はすでに異国の地で死んでいた⁉︎

経済産業省のキャリア官僚の【富川光範】が自殺したんですね。警視庁捜査二課が収賄容疑で話を聞こうとした矢先の自殺で、動機もあり、しかも死の直前、光範は自殺を仄めかす電話を家にかけてきて、光範の娘が直接話しているんです。この状況から、警察は、光範の死を自殺と断定したのですが、妻の真佐子にとっては、自殺と断定するには不審な点があり過ぎると感じたんですね。編集・ライターの肩書きを持つ真佐子の人脈を使い、警視庁の井岡登志雄警部補を紹介してもらい、井岡と共に真相究明に動き出すのですが、これが富川の死がどうでも良くなってしまう位、凄い事になっていくんですね。真保ならではの展開で最後まで楽しめました。

この作品の刊行記念対談がありました。対談相手は真保の良い所を出し切れてないですね。https://kadobun.jp/talks/23

続きで、何となく真保が分かった気がする場面を( ´∀`)つ


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極悪鳥になる夢を見る(貴志祐介)2

貴志エッセイ集
貴志祐介の初のエッセイ集『極悪鳥になる夢を見る』です。好きな作家の思考回路を理解するには「エッセイ」が一番なのですが、このエッセイ集ではまだまだ満足いかなかったですね。まだ情報不足です。まあ文庫本だし、損は無かったですけど。文庫版のあとがきで、貴志は

ときおり差し挟まれる主張らしきものにも、首を傾げたくなる方はおられるだろうが、私見では、充分に首肯できるものばかりである。ギャグが上滑りしているのはエッセイに限ったことではないし、ところどころ小拙のようなネタを入れて凌いでいるのは、むしろサービス精神と、善意に解釈するのが正解だろう。
 文字数あたりの吟味した時間は小説より長いし、単行本のときは1800円もしたのでお買い得だと思ってくれる方には、きっと幸せが訪れると思う。


と言っております(笑)僕的には、ポテンヒット的な内容ばかりでもっと深みが欲しかったです。今回分かったのですが、貴志のエッセイを面白いモノにするには、こちらからお題を投げてあげると良いかと思います。(*´∇`*)
貴志が奥さんと旅した「大河エッセイ・四万十を行く」の項が一番興味深かったです。


どこかでベートーヴェン (中山七里)3

IMG_1374
中山七里の『どこかでベートーヴェン』です。音楽ミステリーと呼ばれるシリーズの第4弾という感じだと思います。2016年5月に単行本として刊行されたものを、文庫化に際して加筆修正して、更に書き下ろしの「Concerto コンチェルト 〜協奏曲〜」を追加したものです。

今回は、主人公の【岬洋介】が高校生の頃の話です。洋介の父親の転勤により、岐阜県にある【加茂北高校 音楽科】に転入するのですが、そこで起こった殺人事件の物語です。ミステリーとしては、そんな大した事ないのですが、岬洋介と同級生の【鷹村亮】を軸としたストーリー展開はなかなか面白かったです。(シリーズを読んでない方にはそうでもないかもです)

洋介が転入した加茂北高校の音楽科は、プロになれる程の才能はないのですが、音楽が好きで、みんなそれぞれ音楽家に夢や希望を抱いてる生徒の集まりなんです。最初は、容姿端麗で天然な性格の洋介は、クラスの女子を中心として、皆んなからチヤホヤされるのですが、そんな中、洋介にピアノの腕前を披露する機会が訪れるんです。洋介のその圧倒的なピアノの巧さに、格の違いを見せ付けられた音楽科の生徒達は、自分の心の中に多少なりともあったプライドをズタズタに傷付けられるんですね。
それから、洋介はクラスで浮いた存在となり、やがてクラスの一部からイジメられる様になってしまいます。そしてある時、洋介をイジメていた男子生徒の他殺体が発見されるんですね。この時の洋介には、動機、チャンス、方法が揃っていたんです。殺人事件の容疑者にされた洋介は、クラスの唯一の理解者の【鷹村亮】と共に、犯人を追う!って感じの物語です。犯人が分かっても何の感慨も無かったのですが、そこそこ楽しめました。

その本編に、岬洋介の父親の【岬恭平】の検事モノの短編が追加されていましてお得感ありました。( ´∀`)つ


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