その旅の扉を抜けると、そこはロマリアだった。
はい、どうもよへいです。生きてます。
ロマリア城は、田舎のアリアハンに比べて、装備も整っているし、モンスター闘技場も備わっています。
そこはさぞかし絢爛豪華なところだろうと胸を弾ませている、御一行。しかし、ティンと来るものがあった。
朝にはいつでも来られる。だったら、時間を潰して夜に来る方がよいのではないか……。
幸いいまは夕方だから、どうにかこうにか戦闘を切り抜ければ楽勝だろう、なんて考えたのが命取りで、
命からがらの逃走劇がまたしても繰り広げられることになります。数は力ですから。
さ、そこで出てきたのが、
さまようよろい ―― 1ひき
(HP55、MP0、こうげき47、ぼうぎょ45、すばやさ10)
「二匹なら手も足も出んが、一匹。これは、勝てる」
よへいの頭のそろばんがパチパチと弾き出した結果だった。毎度のことやろと逃げの姿勢を取るなつみに、
「なつみ、こら、逃げの姿勢をとるんじゃない。戦うぞ!」
「……このなまけもん。楽ばっかしようとすると、いつか罰が当たるで」
なつみの こうげき!
さまようよろいに 1のダメージをあたえた!
ここまでなら、いつものことだと納得しえたのだが、
さまようよろいの こうげき!
よへいは 17のダメージをうけた!
ちょっと待ってほしい。1Kool置かせてほしい。
何これ! 強いとか弱いとか、そんな次元のレベルじゃないよ! 4分の1くらい削られたよ!
で、よへいのこうげきでも、8くらいしか与えることができなかった。
しょせん、よろいだ。なぐる、回復する、のローテーションがかみ合えば、他愛もなく沈むだろう。
と !
こ い
ろ こ
が っ
ど
さまようよろいは なかまをよんだ!
ホイミスライムが かけつけてきた!(原文記憶にナシ)
こ れ は ひ ど い。何というか、陰謀を感じました。久しぶりのドラクエだからとか、
大陸を越えたからとかそんなちゃちなレベルなじゃない。もっとすさまじい何かを感じた!
さて、それからの泥沼の死闘が始まる。血で血を洗う戦いだ。気を抜けばそこで死ぬ、訳はない。
「隊長! 眼前にさまようよろい発見突撃します!」
なんて具合に、勢いよく走りだしたのはいいものの、石のつまづいてヘッドスライディングをかました。
なつみに 7のダメージ!
「……なんでやねん! んな暇があったら、ホイミスライムでもしばいとれ!」
「いやあ、この、なんてゆーねんやろな。心の奥から燃え広がる……そう! あそびにん魂!
あそびにん魂がいきなり燃えたんよ。うん、次回はちゃんとしてみせるから、今回は勘忍な」
さまようよろいの こうげき!
よへいは 15のダメージをうけた!
ホイミスライムは ホイミを となえた!
さまようよろいの キズが かいふくした!
「……もう、いいよ。いいから次のターンにはちゃんとやくそう使ってね……」
怒る気力すら起きないよへいであった。なにせ、ホイミスライムを出た次のターンに倒し損ねると、
十中八九ホイミを唱えてくるのだ。1回30の回復だとしたら、心をが折れてしまいます。
なけなしの〔やくそう〕を使い切り、頼りのホイミは燃料切れ。最終的には、なつみは防御を固めて、
よへいがただひたすらに殴り続けるということに。もう、神に祈るしかなかった。きっとこういう事態を、
「天に身を任せる」だとか「人事を尽くして、天命を待つ」というのだろうか。
ミッションスクールに通っていた甲斐あってか、ついに、
よへいの こうげき!
さまようよろいに 8のダメージをあたえた!
さまようよろいを たおした!
のです。で、後はホイミスライムOを倒して、戦闘終了。ゲームながら、よく武器が持ったもんだと思う。
まもののむれを たおした!
それぞれ
428ポイントの けいけんちをかくとく!
210ゴールドを てにいれた!
戦い抜いた、当の本人も困惑したでしょう。これが、2人に均等に分けられているとすれば、倍。
856となります。ようがんまじん2匹並み、1匹ならがいこつけんし並みです。
もし、4で割られていた場合は、1712。うごくせきぞうにちょっと及ばない程度です。
ちなみに、ホイミスライム1匹の経験値は、24。さまようよろい分と合わせると、
15匹も倒している計算になります。
かかった時間は、20分くらいだったかもしれません。心の負担は、プライスレス。
そして、よへいとなつみ、もうこんなことは勘弁だと、脇目を振らず宿屋に行きましたとさ。
教訓「さまようよろい一匹いたら、そこにホイミスライムが20匹はいると思え!」