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2013年06月

スポーツ・スペシフィック

スポーツ・スペシフィック(競技に特化した)トレーニングという言葉が氾濫しているんで、前にもこの言葉に関する記事も書いた気がするのですけど、ウェイトトレーニングとして確実にスポーツ・スペシフィックな運動の例として最適なものがあるので、今回それを載せておきます。


このビデオで見えるように、少しプルの動作時に腰の湾曲を起こすので、それを改善するための運動として

こういう運動をします。
そして、これがウェイトトレーニングとして行える数少ない”スポーツ・スペシフィック”トレーニングです。

スポーツ・スペシフィック・トレーニングというのは、バスケで言ったらランニングシュートとか2メン・3メンの練習。野球で言ったら素振りとかキャッチボールとかベース・ランニングとかを言うのです。
ウェイトトレーニングはスポーツ・スペシフィックにはなりえないし、S&Cプロフェッショナルがウェイトトレーニングの中でスポーツ・スペシフィックを語りだしたら、ちょっと気の利いたスポーツコーチにグウの音も出ないほど否定されてしまうし、それに対して言い返そうもんなら、その上からもっと否定されてバカだということを露呈するだけです。
幾度もこのブログ上で述べているように、ウェイトトレーニングはウェイトトレーニングです。
アスリートをより良いアスリートにするために役に立ちますが、このウェイトトレーニング自体がバスケットボール技術を向上させたり、野球選手としての技量を上げるということはありません。
また、スポーツ中に起こりうる動きを疑似して、そこに負荷をかけたりして行う動きは、障害発生の原因になりえます。

ウェイトトレーニングを正しく行えば、”体が強くなる”+”爆発力・瞬発力が向上する”+”怪我が起こりにくくなる”=より良い運動選手になる。
ということで、運動選手は競技力も向上する可能性が高い、ということです。

以上、今巷で流行しているスポーツ・スペシフィック・トレーニングとかファンクショナル・トレーニングに関する数言でした。

ウェイトトレーニングの効果の一例

先日のNHK放映のために準備したデータも、放送時間の問題で全く使われなかったので、せっかくなんでここで紹介します。

本学男子バレーボール部員(7名) 2年間のウェイトトレーニングの結果(変化率)
体重: 103.30%
体脂肪: 87.36%
バック・スクワット: 120.16%
ベンチ・プレス: 120.17%
垂直跳び: 112.97%

体重は3.3%しか増加していないので、定期的なウェイトトレーニングを要因として体重が増加するとは言えないということがわかります。
対して体脂肪は12.64%も減っている(体脂肪率自体が12.64%も減ったわけではなく、12.64%という負の変化率があったということ)ので、ウェイトトレーニングがこの体脂肪率の減少に影響を及ぼしたとは言えます。
筋力は20%向上し、それが跳躍力の向上にも影響を与えたとも言えるでしょう。
ちなみに、この間、慢性の怪我で試合に出られない選手がいたこともありません。

ただ、これはうちの学校のこの学年ではこういう結果であったという一例です。
だから、ウェイトトレーニングを行っている運動選手みんながこうなるわけではないことは理解してください。

以上。

研究という言葉

テレビのラーメン特集なんかを見ていると、
「このスープは何種類もの素材を使って、何度も失敗を繰り返し、"研究"に"研究"を重ねてやっと探り当てた逸品です!」
なんてセリフを聞きます。

この場合、この「研究」という言葉の使い方に「ナヌっ?!」という敵意も含んだ感情は一切生まれません。

ただ、運動指導者が
「この運動(動作)は僕が長年の指導経験の中から研究して思いついたものです」
というのは確実に「ナヌっ?!!!」なのです。


何が違うのかというと、「科学」を背景にしうる業界にいる場合、そうやすやすと「研究」という言葉を使うと、実際に「研究」をしている本当の「研究者」に失礼にあたるし、ちょっと出だしだけを聞くと、ある一定の人口に属する聞き手(ここにおいては「本物の指導者」とさせていただきます)対しては誤解を生み得るからです。

スポーツに関するおおよその事項は科学です。
だからある一定のレベルで、データを取って、他の関連データと比べて、結論付けて、文章に起こして、他者(オーソリティー)に評価してもらう等のプロセスがあって初めて「研究」と言えるような気がします。だって、そこまでやったってそのオーソリティーたちに認められなければ、その研究に要した時間も苦労も水の泡になることだってあるんだから…

その過程も踏んでないのに、自分の指導経歴の中で培った「創意工夫」や「試行錯誤」を「研究」と呼ぶのは、やはり本物の「研究者」に失礼にあたるし、「研究」という言葉を上記のようにとらえる人材に対しては、混乱を招く結果になるので、単純に迷惑だし不愉快です。

また、運動指導者が「創意工夫」や「試行錯誤」をすること自体は、その職業に就く人材としては当然の作業なので、それをあたかも崇高な行為のように申し出てしまうのはどうかと思うんです。
(研究ってすごく崇高な行為ですから)

確かにレベルの低い環境の中にいて、少しレベルの高いようなことをやっている人がチヤホヤされる中で、どっかでその地位に溺れてしまって、結果「研究」などという言葉を使ってしまうのかもしれないし、その指導者自体がそこまで「科学的事実」を生み出した研究者たちへのリスペクトを持つ人でないどころか、その崇高な行為をしてくれた人材の存在自体を人生に取り入れたことすらない人材であるならば、結構簡単に「研究」っていう単語も使えてしまうのだろうけれど、それにしたって、その「研究」という単語は、受け取る側の人口を考慮して発されなければなりません。

もう一度言いますが、「創意工夫」や「試行錯誤」だけであるならば、それはスポーツ指導の中では「研究」とは呼べません。
あなたがやっていることは、単に「指導者として最低限の行為」です。

僕なんてアホすぎるんで、「研究者」になんてなれないし、なろうと決心するまでにあと何年要するかも分かりません。(その時点で僕は「研究者」になれる器ではないんです…)
でも現状においても「指導者」としては十分すぎるほど成り立っていられます。

S&Cスペシャリストとして、「本物の研究者」にはどれだけ感謝しても感謝しきれません。
「研究者」って本当にスゴいんですよ!!!!!

まぁ…
色々な意味で、僕のいる場所にいると多種多様にわたる”?!!!”を日常の中で体験することができます。
つまるところ、日本のスポーツ業界の偏差値が現状より数段向上することを切に願います。

以上。

ウェイトトレーニングは競技力を低下させてしまうことがあるのだろうか?・・・

また最近ウェイトトレーニングに関してネガティブなコメントが、プロスポーツのコーチから発せられました。

ただそれに対して、「何言ってんの?」的なコメントも多く出るようになって、日本のスポーツ文化の変化に感心しているというのも事実です。

でも実際どうなんでしょうか?
ウェイトトレーニングが競技力を低下させることなどあるのでしょうか?

あると思います。

可動域を十分に使わずにトレーニングをすれば、そのコーチが指摘するような「硬さ」が生まれる可能性もあります。
関節の成り立ちに逆行するような方向で負荷をかけ続ければ傷害も起きます。

運動選手が、知識もなくただがむしゃらにやった結果、これらのネガティブなアウトカムが体に生じるならば、S&Cプロフェッショナルとして私も我慢できますが、これらの常識も知らずに運動指導をしてしまっている人材の存在があるのだとすれば、ちょっとバカにしてやらなきゃいけねぇな・・・とは思うのです。

ただ、どれだけ一生懸命選手に「正しく」ウェイトトレーニングを提供していたとしても、そういったチームコーチの一言で選手からウェイトを取り上げられてしまうということは今後も必ず起こると思います。


S&Cプロフェッショナルがチームの方向性を左右できるようなポジションに着くというのはおおよそなく、常にチームコーチの意向に従わなければならない。
S&Cとはそういう職業であることも常に念頭に置いていなければなりません。


だから言っているんです。
「自分の目の前にいる選手だけが得をすればいい」


~俺様ほど素晴らしいコーチに見てもらえる機会をみすみす見逃しているような奴等なんか知ったこっちゃねぇ…~
といった意味合い以外にも、色々な意味を含んでいつも言葉を発しています。


私と同じ分野で活躍する方々、効率的かつ効果的な正しいことを日常的に選手たちに与えるという大前提はあるにしても、諸々あきらめないとこの仕事やっていけません・・・


再度言いますが、
自分の目の前で努力している人達が得できるような人材でいればいいんです。

切ない無力感が伴ないますけど、以上っす・・・。
プロフィール

加賀 洋平

カリフォルニア州立大学ロングビーチ校キネシオロジー学科大学院プログラム終了
ロングビーチにおいてストレングス&コンディショニング(S&C)の世界的権威であるDr. John Garhammerを師事し、S&Cコーチとして経験と知識を積む。
日米両国で様々なレベルのアスリート指導経験があり、現在は仙台大学において、日本においては稀有な大学レベルでのS&Cプログラムを主催・運営している。

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