筋力向上、スポーツパフォーマンスの向上、骨・関節や筋肉自体の強化、柔軟性向上、精神鍛錬、そしてそれらによる総合的な傷害予防が、運動選手がウェイトトレーニングをすることによって期待できる。ここでは、それらがどのようにウェイトトレーニングの中で発達させることが出来るかをここで紹介する。
走る、跳ぶ、方向転換する、投げる、蹴る、叩くなど、すばやく力強い動きのことを運動力学的専門用語で「パワー」と呼ぶのだが、高度なスポーツパフォーマンスに必要な動きのおおよそが、その「パワー」というものである。だが基本的なウェイトトレーニング動作には、スポーツで起こるほどのスピードは見られない。というのも正しく健康的なウェイトトレーニングテクニックは、全てコントロールされた動きとされているからだ。つまりウェイトトレーニングの基本はコントロールした動きから起こす力の発揮であり、運動力学的専門用語ではそれを「筋力」と呼ぶ。
ではなぜ実際にスポーツ中に起こりうるスピードでウェイトトレーニングを行わないのか。それは単純に、不可能であり危険だからである。想像してほしい。重い物を保持しながら全速力で走ることも跳ぶこと出来ないし、その重量物が落下することで様々な事故や怪我が起こる可能性があり危険である。だからこそ、ウェイトトレーニングはコントロールされた動きで行わなければならないのであり、その動きは、解剖学や人体力学的観点から見て「関節に負担のかからない(Non-Shear-Loading)動き」にしなければならない。そして、それらの動作を「正しいウェイトテクニック」と呼ぶ。
上でも述べたとおり、スポーツとウェイトトレーニングでは、要求されるもの、そして結果育つものが違うという前提がありながらも、運動選手がウェイトトレーニングを行う必要性は何なのだろうか。
第一の理由が、「筋力」を鍛えることで「パワー」を育てることが出来るからであるといえる。ウェイトトレーニングをすることで「筋力」が向上することを説明はしない。これは必然である。物理学的な数式に「パワー=フォースxヴェロシティー」というものがある。「パワー」は先ほど説明したもので、「フォース」は先に挙げた「筋力」と考えていただきたい。そして「ヴェロシティー」の別名は「スピード」であり、ここでは運動時に筋肉が力を発揮するとき(収縮するとき)のスピードと考慮すればよい。おおよその場合、個人のスポーツパフォーマンス時に起こる筋収縮スピードの変化はトレーニング前後でも大きく変わらないことはわかっているので、この式に当てはめれば、「筋力」が上がれば必然的に「パワー」が向上するのは理解できる。スポーツの場で起こりうる例を見れば、ウェイトトレーニングの結果、足を曲げ伸ばしする筋力が向上すれば、跳躍力や走力の向上も期待できるということだ。つまりウェイトトレーニングを行えば、筋力だけではなくスポーツパフォーマンス(パワー)も向上するといえる。
もう一点、筋力の向上が直接スポーツパフォーマンスに関わる大きな点が、ウェイトトレーニングにより向上した筋力が、傷害防止になるということだ。スポーツは体に悪い。全速力や跳躍そして全速力からの方向転換などの競技中に頻繁に起こる動作は、体に対して自体重の何倍もの負荷を与える。これらの動きを繰り返してスポーツをしている運動選手が、怪我をしないほうがおかしいといえる。つまるところ、「スポーツは体に悪い」のである。だからこそ、運動選手にはウェイトトレーニングが必要なのである。ウェイトトレーニングによって鍛えられる筋力、特に筋肉が伸展しながら発揮する「エキセントリック」といわれる筋力は、スポーツ時に起こる体に対する衝撃の吸収に役立つのだ。例を挙げれば、ベンチプレスで重りを胸にゆっくり下ろす筋力、またはスクワットでゆっくり体を降下させる筋力がそれである。それらの「エキセントリック」筋力は、筋肉が収縮して起こす「コンセントリック」筋力、つまりはベンチプレスで重りを胸から上に持ち上げる筋力や、スクワットで上昇時に必要な筋力よりも格段に強い。この衝撃吸収性に長けた「エキセントリック」筋力を、運動力学的に見て「関節に優しい」トレーニング方法を用いて育てることで、スポーツ時に「関節に優しい」体の使い方が出来る癖を持った、強い衝撃にも耐えうる人体を創造できる。つまりは怪我が少ない体作りに役立つのである。
もう一点、ウェイトトレーニングが直接的に傷害予防につながる点は、ウェイトトレーニングによって「体」自体が強化されるということだ。解剖学的にみて、全て筋肉は骨に接続していて、その骨の動きを制御する。つまり、骨をつなぎ合わせてできている人体の動きを制御するのは筋肉である。そして骨と骨の接続部には関節があり、筋肉はその関節同士を接合していることも忘れてはいけない。筋力が向上するということは、筋肉にかかる負荷に対応するために、筋肉自体が強化されているということである。筋力の向上は少しずつ起こるものであり、急激に起こるものではない。そしてその少しずつの筋力の向上とともに、そこに付属する骨や、関節の強化も進むのである。つまり、ウェイトトレーニングをすることにより、筋力が増し、それに伴い筋肉自体の強化につながり、その筋肉強化が骨と関節部位の強化につながることとなる。それらの強化によってより強靭な、そして怪我に強い人体が創造できるのである。
怪我を防ぐために「柔軟体操」をするようになって久しい。つまり、「柔らかい」ことが運動時の傷害予防になることが世間で知られている証拠である。しかし、ウェイトトレーニングをすると体が硬くなるという「迷信」もよく聞く。ただ、それは正しくウェイトトレーニングを行ってないから起こる現象で、正しいテクニックに徹してウェイトトレーニングをすると体は柔らかくなるのであるということはあまり知られていない。実際に、新体操選手以外のオリンピックスポーツ競技者の中で、一番体が柔らかいのは体操選手で、その次がウェイトリフティング選手であるという科学的研究レポートも出ている。基本的に正しいとされるウェイトトレーニングテクニックでは、可能な限りの関節可動域を利用することが求められる。日常生活の中では使うことの無い可動域にまで体を動かし、しかもその関節可動域には重量が付加としてかかっているので、そのかかっている負荷に耐えうる筋力が、その関節可動域全てに付くということである。これだけを考慮しても、決して「ウェイトトレーニングをすると体が硬くなる」とは言えないのであり、逆に、一般的な日常生活のみをしている人が得ることが出来ない、ただ柔らかいだけでなく、重い負荷にも耐えうる実質的な柔軟性を持つことができると考えられる。この観点から見ても、ウェイトトレーニングは「やはり」運動選手にとって効果的なのだ。
最後に精神鍛錬だが、これも説明は非常に簡単で、一般人にとっても運動選手にとっても、ウェイトトレーニングはキツイ。ただ、その苦痛に耐えて、今自分が持つ「強さ」をよりいっそう高めるためにトレーニングするころを続ければ、おのずと精神的にも強くなる。また、トレーニングをした結果身体能力が成長し、それが自信につながることも忘れてはならない。運動をするということ自体が、精神的なストレス発散になるという事例も多く出ていることを見ても、ウェイトトレーニングが運動選手の精神鍛錬に役立つことは容易に判断できる。
上記が、ウェイトトレーニングが運動選手に役立つ理由である。
走る、跳ぶ、方向転換する、投げる、蹴る、叩くなど、すばやく力強い動きのことを運動力学的専門用語で「パワー」と呼ぶのだが、高度なスポーツパフォーマンスに必要な動きのおおよそが、その「パワー」というものである。だが基本的なウェイトトレーニング動作には、スポーツで起こるほどのスピードは見られない。というのも正しく健康的なウェイトトレーニングテクニックは、全てコントロールされた動きとされているからだ。つまりウェイトトレーニングの基本はコントロールした動きから起こす力の発揮であり、運動力学的専門用語ではそれを「筋力」と呼ぶ。
ではなぜ実際にスポーツ中に起こりうるスピードでウェイトトレーニングを行わないのか。それは単純に、不可能であり危険だからである。想像してほしい。重い物を保持しながら全速力で走ることも跳ぶこと出来ないし、その重量物が落下することで様々な事故や怪我が起こる可能性があり危険である。だからこそ、ウェイトトレーニングはコントロールされた動きで行わなければならないのであり、その動きは、解剖学や人体力学的観点から見て「関節に負担のかからない(Non-Shear-Loading)動き」にしなければならない。そして、それらの動作を「正しいウェイトテクニック」と呼ぶ。
上でも述べたとおり、スポーツとウェイトトレーニングでは、要求されるもの、そして結果育つものが違うという前提がありながらも、運動選手がウェイトトレーニングを行う必要性は何なのだろうか。
第一の理由が、「筋力」を鍛えることで「パワー」を育てることが出来るからであるといえる。ウェイトトレーニングをすることで「筋力」が向上することを説明はしない。これは必然である。物理学的な数式に「パワー=フォースxヴェロシティー」というものがある。「パワー」は先ほど説明したもので、「フォース」は先に挙げた「筋力」と考えていただきたい。そして「ヴェロシティー」の別名は「スピード」であり、ここでは運動時に筋肉が力を発揮するとき(収縮するとき)のスピードと考慮すればよい。おおよその場合、個人のスポーツパフォーマンス時に起こる筋収縮スピードの変化はトレーニング前後でも大きく変わらないことはわかっているので、この式に当てはめれば、「筋力」が上がれば必然的に「パワー」が向上するのは理解できる。スポーツの場で起こりうる例を見れば、ウェイトトレーニングの結果、足を曲げ伸ばしする筋力が向上すれば、跳躍力や走力の向上も期待できるということだ。つまりウェイトトレーニングを行えば、筋力だけではなくスポーツパフォーマンス(パワー)も向上するといえる。
もう一点、筋力の向上が直接スポーツパフォーマンスに関わる大きな点が、ウェイトトレーニングにより向上した筋力が、傷害防止になるということだ。スポーツは体に悪い。全速力や跳躍そして全速力からの方向転換などの競技中に頻繁に起こる動作は、体に対して自体重の何倍もの負荷を与える。これらの動きを繰り返してスポーツをしている運動選手が、怪我をしないほうがおかしいといえる。つまるところ、「スポーツは体に悪い」のである。だからこそ、運動選手にはウェイトトレーニングが必要なのである。ウェイトトレーニングによって鍛えられる筋力、特に筋肉が伸展しながら発揮する「エキセントリック」といわれる筋力は、スポーツ時に起こる体に対する衝撃の吸収に役立つのだ。例を挙げれば、ベンチプレスで重りを胸にゆっくり下ろす筋力、またはスクワットでゆっくり体を降下させる筋力がそれである。それらの「エキセントリック」筋力は、筋肉が収縮して起こす「コンセントリック」筋力、つまりはベンチプレスで重りを胸から上に持ち上げる筋力や、スクワットで上昇時に必要な筋力よりも格段に強い。この衝撃吸収性に長けた「エキセントリック」筋力を、運動力学的に見て「関節に優しい」トレーニング方法を用いて育てることで、スポーツ時に「関節に優しい」体の使い方が出来る癖を持った、強い衝撃にも耐えうる人体を創造できる。つまりは怪我が少ない体作りに役立つのである。
もう一点、ウェイトトレーニングが直接的に傷害予防につながる点は、ウェイトトレーニングによって「体」自体が強化されるということだ。解剖学的にみて、全て筋肉は骨に接続していて、その骨の動きを制御する。つまり、骨をつなぎ合わせてできている人体の動きを制御するのは筋肉である。そして骨と骨の接続部には関節があり、筋肉はその関節同士を接合していることも忘れてはいけない。筋力が向上するということは、筋肉にかかる負荷に対応するために、筋肉自体が強化されているということである。筋力の向上は少しずつ起こるものであり、急激に起こるものではない。そしてその少しずつの筋力の向上とともに、そこに付属する骨や、関節の強化も進むのである。つまり、ウェイトトレーニングをすることにより、筋力が増し、それに伴い筋肉自体の強化につながり、その筋肉強化が骨と関節部位の強化につながることとなる。それらの強化によってより強靭な、そして怪我に強い人体が創造できるのである。
怪我を防ぐために「柔軟体操」をするようになって久しい。つまり、「柔らかい」ことが運動時の傷害予防になることが世間で知られている証拠である。しかし、ウェイトトレーニングをすると体が硬くなるという「迷信」もよく聞く。ただ、それは正しくウェイトトレーニングを行ってないから起こる現象で、正しいテクニックに徹してウェイトトレーニングをすると体は柔らかくなるのであるということはあまり知られていない。実際に、新体操選手以外のオリンピックスポーツ競技者の中で、一番体が柔らかいのは体操選手で、その次がウェイトリフティング選手であるという科学的研究レポートも出ている。基本的に正しいとされるウェイトトレーニングテクニックでは、可能な限りの関節可動域を利用することが求められる。日常生活の中では使うことの無い可動域にまで体を動かし、しかもその関節可動域には重量が付加としてかかっているので、そのかかっている負荷に耐えうる筋力が、その関節可動域全てに付くということである。これだけを考慮しても、決して「ウェイトトレーニングをすると体が硬くなる」とは言えないのであり、逆に、一般的な日常生活のみをしている人が得ることが出来ない、ただ柔らかいだけでなく、重い負荷にも耐えうる実質的な柔軟性を持つことができると考えられる。この観点から見ても、ウェイトトレーニングは「やはり」運動選手にとって効果的なのだ。
最後に精神鍛錬だが、これも説明は非常に簡単で、一般人にとっても運動選手にとっても、ウェイトトレーニングはキツイ。ただ、その苦痛に耐えて、今自分が持つ「強さ」をよりいっそう高めるためにトレーニングするころを続ければ、おのずと精神的にも強くなる。また、トレーニングをした結果身体能力が成長し、それが自信につながることも忘れてはならない。運動をするということ自体が、精神的なストレス発散になるという事例も多く出ていることを見ても、ウェイトトレーニングが運動選手の精神鍛錬に役立つことは容易に判断できる。
上記が、ウェイトトレーニングが運動選手に役立つ理由である。