ヨーク社株式会社の社長が時々書いています。
デザインオフィスにパソコンが置いてあるというのは、いまではあたり前のことだが、ヨーク社の創業時(1986年)では、けっこう珍しいことだった。まず、いまのデザイナーが当然のように使っている Mac というパソコンは、海の向こうで生まれたばかりで、ごく一部のマニアだけしかその存在を知らなかったし、モノクロ表示&英語版のみなのに、システム価格はクルマが買えるほど高価だった。また、パソコンは使いこなすのが難しいというイメージが先行していたし、実用性の点でもまだまだと言われていた。それでも、ヨーク社には創業時からパソコンがあった。
あのころのパソコンは、理工系の実験道具か、あるいは高価な趣味の道具というイメージだったかもしれない。大企業のオフィスに置いてあったのは、まだパソコンではなくオフコンと呼ばれるもので、経理や在庫管理などのオフィスワークに特化したものだった。日本のデザインオフィスに Mac が爆発的に普及するのは、もう少し後のことだ。むしろ、一般的なオフィスではパソコンよりも先にワープロ専用機が普及していた。だから、ヨーク社を訪れた多くの人は、置いてあるパソコンを見て「おぉ、ワープロですかぁ」と言った。この時代はパソコンが使えなくても恥ずかしいことではなかった。いや、ひょっとすると、パソコンを使っている方が、変わった人だったのかもしれない。

X1turbo-01


ヨーク社の第一号パソコンは、シャープのパソコンテレビ X1-turbo というホビーマシンで、独立するときに自宅から持ってきたものだった。いまのパソコンと比べると、できることは限られていたけど、自社のロゴもこれで作ったし、デザインワークから、経理の伝票処理、売上グラフの作成まで幅広く活躍してくれた。パソコンテレビなので暇なときはテレビも見ることができた。もちろん、ワープロとしても使っていた。簡単なプログラミングの知識さえあれば、零細企業にはぴったりのパソコンだったかもしれない。

その翌年、パソコンテレビの上位機種として、ユニークなパソコンが発売された。プロセッサーに当時の Mac と同じ MC68000 を使った X68000 というパソコンだ。しかも、フルカラーで日本語が扱えるうえに Mac よりも格段に安かった。マンハッタンシェイプと呼ばれた筐体デザインはちょっと出前箱にも似ていたけど、とてもカッコ良かった。マウスでアイコンをクリックしたりドラッグしたりする操作方法も当時としては新しかった。これが、後にヨーク社の第二号パソコンとなり、Mac が導入されるまで、X1-turbo とともに活躍してくれた。
ぼくは、いまでもあのころのパソコンが好きだ。それぞれに個性があったし、使い方に創意工夫が求められるところが良かった。それに、何よりも夢があった。パソコンという製品そのものから未来への夢を感じることができた。だから、独立を決意した時から、オフィスには、まずパソコンを置こうと決めていた。

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