顔のない友だちと遊ぶ

ラノベコンテスト用に作成したブログです。 高校生の市川巧の元に届いた一通の手紙。それは、いつもとは違う学校生活の始まりだった。学校に伝わる「暗黙の了解」というなの遊びに気づけば巻き込まれる巧。その遊びの中で巧は、何を感じるのか? 一つの手紙が変える学校生活を一緒に楽しもう。こんな学校があってもいいんじゃない?

前回:2.初めて同士の共同戦線(2)

 隠し事を一つ失うと私の冷静さは何処かに隠れて
 隠し事を二つ失うと私の言葉は嘘を隠す
 隠し事を三つ失うと、 私は…


 引っ込み思案といえば、それで説明は済んじゃうのかな。私は口数が少なくて自分を表現することが苦手で、そのくせ家族や親しい関係の人には強気になる。そう、たしかこういうのを内弁慶というんじゃなかったかな?
  私が小説を読むようになったのは自然な流れだったと思うの。本を読むのが当たり前になって、いつだったかな。ライトノベルを初めて読んで、衝撃を受けたわ。今までの小説とは違う。それは躍動感のある本。セリフが音を持って、感情を伴って伝わってくる。勘違いかもしれないけど、私にはそう感じられたの。
 
 最初は恐る恐る声に出してみた。本をなぞるように。セリフ部分を読んだ。出した瞬間身体に走るなんとも言えない感覚。今まで感じたことのない違和感を私は忘れられないと思う。心臓を掴まれたかような…。恥ずかしい?それとも単なる高鳴り?頭の中にまで鳥肌がたったような気がした。その時の私は、私なのに私じゃない人だった。だけど、それを嫌とは思えなかった。
 
それが、私の夢の始まりでした。 
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前回:初めて同士の共同戦線(1)

 彼女は窓際で静かに本を読んでいた。その姿はなんと表現すればいいのだろうか。
朝はかけていなかったメタルフレームのメガネをかけ、一定のリズムで本のページをめくる。メガネをかけた彼女はなんだか幼く見えた。丸みのあるフレームを時々押し上げる仕草を見て、それが『しっくりくる』姿だなぁと、思うのだった。
 そうだ。 しっくりくるんだ。朝会話をした彼女も、教室で一人静かに授業を受ける姿も、なぜか僕の目には無理をしているように見えていたんだ。もちろん、それは朝のあの姿を見たからというのもあるのだろうけれど。
ここで今の彼女の姿を見るまでは、心がざわついていた。自分以外の誰かが起こした失敗の尻拭いをこれから受けるような不安な心境だ。でも、その不安は驚くほど消えた。

だから、僕は一歩踏み出す。
普段と同じ足取りで、僕は彼女に一歩づつ近づいて行く。
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前回:1.その遊びは始まっていた(2)

 自分が言ったことを後悔したことなんて数え切れないほどある。友達との会話であったり、憧れの作家へのファンレターであったり、授業中に指定された時の発言であったり…。
 数え切れないほどの経験が生んだ直感によって、言う前から後悔することがわかっているにもかかわらず、僕はまた失言を繰り返す。
 一言、文字にすればほんの三十字にも満たないような発言によって、僕と相手との距離は途方もなく遠くなる。それが、自分から離れているものなのか、相手から離れているものなのか、実際のところはわからないけれど…。
 気がつけば、僕の中から集団行動というものは形骸化されていた。
 それは、誰からみても当たり前の結果であって、誰にとっても自然な流れだった。今となっては、ここにいる僕という存在は、そういうものなのだと納得している。

2.初めて同士の共同戦線(1)

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