2008年01月02日

ボブ・ディランの発言にはいつも刺激を受けてきた。
「アメリカは自給自足を目指すべきだ」「人類が月にいってどうするんだ」等々。

以下は1965年のボブ・ディランのインタビュー。
記者「30才以上の私たちにあなたの立場、役割をうまく説明してくださいよ。」
ディラン「30才未満とでも言っておきましょうか。僕の使命は出来るだけ長くここに留まることです。」(4分頃)
記者「あなたの立場は右翼ですか左翼ですか?」
ディラン「上であることを祈るよ」(7分40秒頃)

bob dylan - press conference san francisco 1965 2/6

以下は、ディランの直接の発言ではないが、1985年、プロモビデオ撮影でボブ・ディランと共演した、倍賞美津子の「季刊リュミエール2」(1985年一冬)に掲載された抱腹絶倒のインタビュー記事より。聞き手は山根貞男と蓮実重彦。

倍賞 (略)でも、ことしはいろんなことやって面白かったけど、ボブ・ディランと話したのが最高よ。待ち時間に、〈飲みに行こうっていうんでね。もう監督が迎えに来ても、「ちょっと待て」 って言ってね。何論? あれは。宗教なんですよ、宗教論。「何でいまの女は外で働くんだ」って彼が言い出したんですよ。それを通訳に聞いてるわけ、通訳の子も結婚してたから。黙って聞いてたんだけど、そのうちに、何かあたしも言いたくなっちゃったのね。そこからいろんな話になって、宗教問題--ユダヤの何か混じってるみたい。それで宗教変わったり、いろんなこと彼もして、仏教をやってみたり、禅をやってみたり--、いろんなことを知ってて、それから十戒の話が出て来るのね。もうね、あたしなんか、頭の中、(頭の上に大きな輪をかいて)こんなになっちゃったの(笑)。それが三時間くらい。で、赤坂のロケ現場へ戻って来ても、まだ喫茶店に入ってしゃべってるわけ。「そのうちにアメリカへ来い」なんて言ってね。「いつでも俺んち来てもいいから、泊まる時は。遊びに来るか?」って言うから、「うん、行く」「そしたら、泊まりにおいで」なんて言ってね。「あ、子供もいたんだっけね」「そう」「子供もー緒に連れて来ていいから」なんて言ってくれてね(笑)。最後に、赤坂のド真ん中でキスしちゃった、二人で。どうしてああいうとこが載らないのかしら(笑)。
-------「フォーカス」も「フライデー」もバカですね(笑)。
倍賞 最高だと思わない? そんなの。道のド真ん中でキスしてんだもんね、二人で。同志っていう感じでさ。
 最初の頃は、二人とも口きかなかったのね。一日目なんか、ほとんど。二日目は「ヤア」なんて言うから「ヤア」なんて言ってさ。それで「あなたのご主人はレスラーか」 って言うから「イエス」なんて言ってね。チョチョチョチョッと話してるうちに、また話が途切れちゃうから、本読んでるわけ。で、「子供は何人いるか」とか言い出してね。「一人で、女の子で。あなたは?」「五人いるんだ。男三人、女二人」「いま奥さんは」 「いや、いまは結婚してない」とかなんか、そんなこと言ってね (笑)。そういう話から入ってったの。
-------「フォーカス」に載ってたのは、ビデオの中のシーンの写真ですよね。倍賞さんが、ほんの短いコメントを話していて。
倍賞 あたし、「空気みたいに大きい人」ってだけ言ったの。初めてよ、こういうのでしゃべったの。絶対言わないって、しやべんなかったの。
「人間は死んで、僕が先に行くと、千年も万年も、君の来るのを待ってる。あなたはどのぐらい待っててくれるか」「あたし、待ってても百年しか待てない」って言ったの(笑)。いいでしょ? これ(笑)。これが載ったら最高なんだけどね。「あたしは待つことはできない」って言ったの(笑)。
 そうそう、モーゼが出て来たんだ。何かむずかしいんですよね。だから、もうちょっと通訳がうまかったら、ねえ。で、愛のこととかで、「じや、どうしてあなたは別れたんだ」と。そうしたら通訳の人が「そんなこと悪くて聞けません、失礼で聞けません」「いいじゃない、聞いたって! あたしが聞いてんだから!」って怒ったりして(笑)。そうしたら「君だって、いつこういうふうになるかもわからない、亭主と。そうしたら、何年でも待ってる」って。ロマンチックでしょ。詩人が、コノ(笑)。あの辺がもうちょっと噂立ってくれりや、最高だったわね。
 でも、みんな気つかってたね、ボブ・ディランに。ビリピリ。みんな「口きかない」 って言ってた。「笑い顔見たことない」って言ってたね。あたし、全然平気だったから。「えっ、そんな話したの?」 って言ったもんね、こういう世界の人たちは。「考えられない」って。可愛いんだよね。「コーヒー飲む?」なんて言うと、(下向いてうなずいて)なんてね(笑)。
 もう一回ぐらい会いたいなあ。今度はきちんとフォーカスさせてさ。させることないな (笑)。「フライデー」 にも絶対やめようね、ウソつきだから、あそこは(笑)。(マイクに向って)あれは、あたしんちの玄関の前を、あたしが自分ちの食料品を買って帰るのを、あなたたちが無断で写真を撮ったんですよね!(笑)全然知らないの、あたし。うちの前だもーん。でも、あれ、ずるいのね。ここがあの人んちの前ですよっていうことは、言ってないのよ。
 いい友達ですよ、ほんとに、ショーケンとは。やっぱりすごい才能ある人だと思うしね。でないと共演できないですよね。それをいちいちさあ。(マイクに向って)ご飯だって食べに行くわよ!(笑)バックがレスラーだって、ご飯食べに行く男ぐらいいるんだ、バカ!(笑)今度、ボブ・ディランの時なんか、教えてあげないもーん(笑)。あ、ここに教えればいいのか。
----そうそう(笑)。
倍賞 ここで特集組むの? どういうわけ?(笑)これ、スキャンダル雑誌になるじゃない、そしたら(笑)。
 でも、あれ、写真撮っときゃよかったねえ。キスしてっとこ。残念だなあ。心残りだわ!(笑)「サンキュー、バァーイ」なんて言って、プチュッなんてやったのに。
 でも、言ってたんですよね。「どうしてみんな世間っていうのは、こういうイメージだって、必ずきめつけたがるのか。それがすごく邪魔だ」って言ってた。自分のことも、こういう人間だとか。あと、新宗教っていうのが、アメリカで生まれてるみたいなの。何かあるでしょう、キリスト教でも。そこに属してるとかって、彼が。すごくいやだっていうことを言ってたね。それで、「ある日突然、僕は肩をたたかれて、メッセンジャーみたいにして歌ってるんだ」 って言うわけ、ギター一本で。「あなたも俳優っていうもので、そういうふうに神からやられて、そういうことを演じて、みんなを喜ばせてるんだ」と。「いつ、たたかれたの? 肩」と言ったの、あたし。そしたら「ん、いま」なんて答えたりするわけよ(笑)。おかしいでしょ、この辺が。可愛いの。もう笑っちゃうのね。
----いやあ、きょうは独占スクープがあったり(笑)、長時間ありがとうございました。
           (十月二十五日、三笠会館にて)
                    


(16:20)

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この記事へのコメント

1. Posted by 松村   2008年01月02日 23:31
猪木の引退試合で倍賞美津子がリングに入ったんですよね。笑顔で、花束持って。最高でした。
2. Posted by yoji   2008年01月06日 14:14
ディランの発言の正確な訳は以下です。
<ーもう30歳をかなり越えてしまった我々のために、あなた自身のレッテルを、そして、あなたの役割がどんなものかということを教えてくれませんか。>
<そうね。ぼく自身のレッテルは「30」にはまだかなりある」かな。ぼくの役割は「できるだけ長くここにいる」ということだ。>
p.87

<その政党には右翼とか左翼がありますか。>
<いや。どちらかと言えば中道だ。上流のね。>
p.130
『ディランは語る』(1979、クイックフォックス社)より
3. Posted by yoji   2008年01月06日 14:17
松村さん、コメントありがとうございます。
倍賞さんとは大学祭で一度お会いしたことがあります。
ぼくはどちらかと言えば猪木派ではなく馬場派ですが、、
猪木さんの話はいい話ですね。

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