2016年06月06日 仕事日記 

■美味いランチの話

5月から群馬の養気院には、新入鍼灸師の坂口が研修のために来ています。昨今の鍼灸師は情報発信がとても大事です。誰でも、気軽に低コストもしくは無料で情報発信できる時代だから、黙っていると埋もれてしまいます。

群馬研修にはいくつものテーマを用意していて、情報発信のイロハも重要なテーマです。情報発信の定番と言えばランチ紹介。

近所に大好きな喫茶店「caffe ROSSY」があります。

この季節に絶品なのが冷やしナポリタン。気温が上がってくると、周辺の住民は「冷やしナポリタン始めました」のフレーズが出るのを、今か今かと待っているのです。

カフェロッシーの「冷やしナポリタン」


上司に逆らえない坂口は、その冷やしナポリタンを注文。そして、私はハンバーグのランチプレート。ここで坂口に指導したのは、「写真は使えるか使えないか考えずに、とりあえず撮っておくべし」というものでした。

ブログを書いていると「写真がない!」とか「こんな写真があったらいいのに!」と思うことがよくあります。そこから動き出したのでは遅いのです。必要な時、必要な写真がポンと出てくるのが理想です。どのタイミングでランチネタを振られても大丈夫です。

店主は理想のランチを求めて、コストという制約の中でベストを尽くしています。でも、評価はバラバラです。みんなで一番を決めようと思っても結論は出ません。それぞれ、評価するポイントが違うからです。

手技療法や鍼灸も同じです。

患者さんが評価するポイントが違います。だから、私は自分なりの「上手さの基準」を設けています。評価されたいポイントを絞り、その部分で高く評価して頂けるように努めています。

まず、鍼灸を取り巻く環境を見てみることにします。



■日本にはどれくらいの手技療法があるのか

鍼灸の中にもいろいろありますが、少し広げてみると、鍼灸を取り巻くように様々な療術が存在しています。私が携わっている活法もその一つです。活法にいろいろであるように、それぞれの療術もいろいろです。細かく分けるときりがありません。

どれだけ細かいのか、覗いてみたい方は「肩こり整体院」のブログをご覧ください。こんなにあるのかとビックリしました。全てがリスト化されているわけではありませんが、よく調べたものだと感心しています。

鍼灸や療術に関わる専門家が把握できていないのですから、一般の方は大きなクエスチョンです。まず、この辺りを一緒に考えながら、最終的に「上手さの基準」に結論を出そうと思います。

患者さんが「どれが一番効くのだろうか...」と関心があるように、私たち専門家も関心があります。せっかく時間とお金をかけて習得するなら一番よいものを選びたいと思っています。

鍼灸家や手技療法家がどのような基準で自分が使う療術(学派・流派・テクニック)を選んでいるかを考えると、いろいろな発見があります。今回はその発見について言及してみたいと思います。それから、私なりの「上手さの基準」に触れていきます。

整体師のイメージ



■わざわざ2番を選ぶ人はいない

おのおのが、良いものを求めて現在の手技療法にたどり着いています。自分の知り得るものの中から1番を選んでいます。誰もわざわざ2番を選びません。それぞれの基準にそって「良いもの」を選んでいます。

良いものであるかどうかは、2つの方向から考える必要があります。なぜなら、手技療法は患者さんのために使うものであると同時に、それを用いる施術者のものだからです。

最初は道具のようだった技は、熟練して染みついてくれば術者の一部となっていきます。つまり、手技というものは最終的には施術者自身と一体化します。

ですから、専門家が手技療法を選ぶ際には、「どれなら同化できるのか」「どれと同化したいのか」と、そういう視点が入り込むのです。「患者さんのために使う」という目的は変わらないのですが、使う側の事情や都合、そして趣向が関係しています。ですから「最高の手技療法は何か」という問いに一つの答えは出ません。

事情は武術と似ていると思います。「○流が一番強いのだろうか?」という問いに答えは出せませんが、それと同じです。一番を決めるって簡単なようでとても難しいのです。決めようと思えば、少なくとも条件を揃えなければなりませんが、限られた条件で決めることに何の意味もありません。

と色々言ったところで、どうにか決めなければなりません。では、どうやって決めているのでしょうか。


■基準1 習得のしやすさ

そもそも習得できなければ始まりません。ですから、習得のしやすさは大事です。どういうものが習得しやすいのか、思いつく限り挙げてみます。

・手順がシンプルであること
・適正な力加減に幅がある(微妙すぎない)
・カンタンに覚えやすい(理論がシンプル)
・教える人がうまい(講師や先輩)
・練習する環境がある(場所・仲間)


■基準2 リスクがないもの

効果があると言っても、危険が伴うものは習得しようとは思いません。習い立ての下手な時でもリスクがない(極めて少ない)ものの方が安心して習得できます。ですから、「下手なら効果がなくてもいい」と考えるのは妥当です。


■基準3 受ける側が気持ち良いもの

どうせ受けるなら「気持ち良くて治る」ものが良いのです。同じ効果であるならば、私も気持ち良いものを選びます。わざわざ痛いものを選ぶことはありません。でも、これで話はすみません。なぜなら、気持ち良くないもの、ちょっと痛いもの、すごく痛いものでも、効果が高いと言われているものがあるからです。「少しくらい痛くても、一番効果のあることをしてほしい。」という人はたくさんいます。特に、切羽詰まっている人は、施術時の気持ち良さにこだわらなくなってきます。


■基準4 術者が疲れないもの

勝手なようですが、これも見逃せないポイントです。疲れるものであれば、疲れるほど質が下がってしまいます。夕方には疲れ果てているでは、夕方の患者さんが可哀想です。常に同じ質の施術を提供するには、あまり疲れないものの方がよいのです。

違った視点からも疲れない方がよいのです。体力のある若い時期しか使えないテクニックなら、どこかで諦めなければなりません。長い年月をかけて成熟させていく、ということもできません。難しく考えなくても、疲れすぎては仕事が嫌になってしまいます。


■基準5 考える必要がないもの

「こういう場合にはこうすればよい」と決まっていたり、どんな症状でもこうしておけば良いと決まったやり方があると楽ができます。臨床の場で悩む必要がないことは施術する側にとって安心できます。ですが、そこには限界があります。考えることをやめた瞬間にできる範囲が決まってしまいます。避けたいのは、考えても答えが出ないものや、考えるほど悪い方向に転がってしまうものです。


■基準6 奥深いもの

考える必要がないと逆になりますが、使い込んだり考えていると深みが見えてくるものです。別の言い方をすれば、習熟すると効果がアップしたり、応用範囲が広がることです。考えれば考えるほど本質に近づけると思えば、知的好奇心は黙っていません。


■基準7 背景が好きなもの

療術が生まれたきっかけや歴史が好きになる場合あります。創始者が療法を生み出すまでのストーリーが好きという場合もあります。理屈ではなく嗜好の問題です。療術はアートだと考える人もいます。私もその一人です。「美しさ」を感じられるものを選びたくなります。



話が長くなりすぎて、本題である私の「上手い鍼灸師の基準」までたどり着けませんでした。次回に続きます。



【投票ボタン】
応援クリックありがとうございます(1日1クリック有効)。
2つのランキングサイトにエントリーしています。
にほんブログ村 健康ブログ 鍼灸(はり・きゅう)へ  

yoki at 11:48│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2016年05月28日

■免許の意味 

鍼灸の習得は簡単なのでしょうか、それとも難しいのでしょうか。

何事もそうであるように、鍼灸にも上手と下手があります。でも、安心してください。鍼灸師を名乗れるのは、3年間の技能訓練を経て、国が行う筆記試験に合格した者のみだからです。鍼灸師なら誰でも安全に鍼灸施術ができます。

免許証


安全は当たり前で、勝負どころは効果の高い鍼灸ができるかどうかです。鍼灸師の免許は「効果の保証ではなく安全の保証」をするだけです。効果は鍼灸師一人一人に委ねられています。

では、効果の高い鍼灸とは何でしょうか。
上手下手を分ける基準は何でしょうか。


■教科書の役割

鍼灸師であるならば「効果の高い鍼灸」を追究することが仕事です。教科書通りに鍼や灸をすればよいわけではありません。もし、教科書通りにやるだけで大きな効果が出るのであれば、これほど多様な流派や学派が存在しているはずがありません。

そもそも、鍼灸には「教科書通り」なんて治療法がありません。ですから、教科書と効果は、完全に切り離して考える必要があります。

自動車の免許と同じだと思います。免許は、クルマを安全に操ることができる一定ラインを保証しているだけです。公道での運転が上手になるのは免許を取ってからですよね。クルマの場合はサーキットでタイムを出せるとか、上手さを計る基準が思い付くのですが、鍼灸にはわかりやすい基準がありません。技能を数値化するのがとても難しいのです。


444309_320


鍼灸は、ひょっとすると料理の方に近いかも知れません。美味しさの基準もバラバラですからね。だからこそ、「口に合う」という、とても便利な言葉を発明されたのでしょう。

とはいえ、美味しさの基準はある程度まで設定できるように思うのです。「人によって違うから...」で済ませるのではなく、鍼灸にも誰でもわかる基準があった方が便利だと思います。


■評価の基準

評価をすべて感性に委ねてしまうと、いわゆるフィーリング勝負になってしまい、患者さんも鍼灸師もフィーリングばかり追いかけてしまいます。

イイ感じがする鍼灸院とイヤな感じがする鍼灸院なら、当然イイ感じがする鍼灸院の方がよいです。でも、それが「何となく」という言葉以外で表せなければ、結局、鍼灸師は何を目指せばよいのかわかりません。患者さんも、感覚を頼りに鍼灸院を選ぶしかありません。

ですから、上手さの基準は明確にあった方がよいです。その基準が統一されているのがよいかといえば、そうは思いません。目的に合わせていろいろなクルマがあるように、鍼灸も目的に合わせて、いろいろなカタチが必要だと思うからです。

大事だと思うのは、それぞれのカタチに応じた上手さの基準を設けることです。トラックなら運べる荷物の量、スポーツカーなら最高速度、セダンなら居住性と走行性のバランス、というように、クルマは設計段階からどの性能を重視するかが明確に決められています。

クルマをひとまとめにして評価したら、アンフェアですよね。

401939_400


鍼灸師も同じだと思います。「鍼灸」というカテゴリで一つの評価基準を作ったら無理が生じます。さらにいえば、整体師、カイロプラクター、エステティシャンなど、同じ基準で評価したら、それぞれの良さは見えてきません。気持ちよさが基準なのか、痛みが消えることが基準なのか、キレイになることが基準なのか、病気を予防できるかが基準なのか...。


■イイトコ取りの罠

「イイトコ取り」という言葉があります。他のカテゴリやジャンルから学ぶ姿勢は柔軟性を感じますが、自分の基準を持っていないのとただの優柔不断です。

「様々な療法を学び、それぞれの良いところ吸収して自分なりに技術を完成させた」というプロフィールを時々拝見します。

220607_320


確かにモノやコトには良い所と悪いところがあると思います。ただ、それは「自分にとって」の話であって、他者からみれば、悪いところかもしれません。ですから、「イイトコ取り」をしたからと言って、それがイイトコ集になるわけではありません。

むしろ、元の良さを破壊している場合も多いと思います。こんなふうに気が付かないところで損をしている鍼灸師が少なくない気がします。私自身にも心当たりがあります。

勉強すればするほど壊れていく、という最悪な状況です。

勉強に出かける際には、その評価の基準を明らかにしておかないと、どんどんおかしな方向に転がってしまうと思います。実際、鍼灸師はエステサロンから学ぶこともできますし、病院から学ぶこともできます。美容院や飲食店から学ぶこともできます。でも、それを全部合わせたら、必ずどこかで矛盾が生じてしまいます。結果、患者さんから見たら、何がしたいのか、何ができるのかがわからなくなってしまいます。


■上手い鍼灸師の共通点

上手い鍼灸師は自分の基準を持っています。評価してほしい部分をしっかり分かっています。だから、何でも取り入れることはしません。評価して欲しい部分を強化できるかどうかという視点で吸収していきます。

ものさし_320


おそらく、

「患者さんは何をして欲しいのだろうか...?」

と考えているうちは答えに出会えないと思います。なぜなら、患者さんはいろいろだからです。「どんな症状でどんな不安を抱えているのか」を想定しておかなければ、何をして欲しいかが見つかりません。

どんな方を対象に鍼灸をしたいのかが漠然としていると、何をしたら良いのか見えてきません。これは経営面でも技術面でも言えると思います。上手い鍼灸師は基準づくりが上手に見えます。



次回は、私の基準について。


【投票ボタン】
応援クリックありがとうございます(1日1クリック有効)。
2つのランキングサイトにエントリーしています。
にほんブログ村 健康ブログ 鍼灸(はり・きゅう)へ  

yoki at 18:01│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

2016年05月27日 仕事日記 

私が東京に行く日は、東京の姉妹院カポスで社員研修か、社外向けのセミナー講師です。外部向けの方は技術系がほとんどで、活法(古武術整体)か整動鍼を教えています。

そうした事情で、群馬の鍼灸院が休診の日は東京にいます。今月も東京での仕事が多く、数えてみたら9日ありました。月の三分の一は、ちょっと多すぎました。今月はたいへん。


■ストレス解消セミナー(専門家向け)

昨日の26日(木)は、普段は行わない経営系のセミナーの講師を務めてきました。前回に経営系の講師をしたのは2014年の冬でしたので2年半ぶりでした。正直に言うと、慣れている仕事ではありません。普段の技術系セミナーの何倍も緊張します(技術系も多少は緊張しています)。

うまくしゃべれるだろうか〜???

しかも、この日のセミナーは後にDVDの教材になるため撮影隊も入りました。3台のカメラの前に立たされ(?)て超緊張。セミナー前にちょっとした撮影があり、何を言っているのか、全くわからないまま終了。その映像を後から観る勇気がありません。

セミナーが始まると、だいぶ心が落ち着き、いつもより微妙にハイテンションな程度。映像に残るので、NGワードを言わないように気を付けました。

DSCF1068_400


大まかな内容は、品川で2年前にオープンした鍼灸院「カポス」をここまでどういう考えでどういう方法で導いて来たのか、その具体的な取り組みを紹介しました。

このセミナーのテーマの一つに「ストレス」がありました。好きで始めた仕事ですが、実際に携わっているとストレスを感じることがあります。患者さんと良い関係を築けるのかという心配があったり、自分の技術で患者さんが満足するだろうか、と心配になってみたり。

ある意味では、患者さんに常におびえている存在なのかもしれません。患者さんのことを心配する立場でありながら、患者さんにどう思われているか、ということを心配しています。私たちも人間だから仕方ありません。

開業している施術者の深刻な悩みは、技術ではなく経営の方にあるのかもしれません。患者さんを集めようと必死になっていたら、本当に大切なものがどんどん離れていく...。私自身にも心辺りがあります。ですが、ある時から、その悩みが一瞬にして解決しました。その時に気が付いた「当たり前だけど忘れがちなこと」を受講者の方々と共有してきたのです。セミナー後の懇親会は、深い話に発展しました。


■活法のDVD第二弾!

そして27日(金)は、同じ会場を使って活法のDVD第二弾の撮影です。教材の撮影に2日連続で携わったのは初めてでした。私の都合でこの日にして頂いたわけですが...。

今年1月に発売された、第一弾の「これが活法だ」は、発売直後にアマゾンで売り切れ。ジャンル別で10位以内に入っていた時期もあり、好調な売れ行きです。今でも売れ続けているようです。

一手で改善、幻の古武術整体 即効! これが活法(かっぽう)だ [DVD]

活法研究会の代表橋本と企画をし、主演は碓井流活法創始者の碓井先生に依頼しています。しゃべり担当は橋本。私は師匠の技の受け手役を務めています。

第一弾は「活法らしさ」にこだわって7手を厳選したのですが、今回は「できる活法」にこだわって7手を厳選しました。

DSCF1115_400
気になるプロ用撮影機材


DSCF1108_400
技術解説中の活法研究会代表 橋本


DSCF1119_400
碓井先生と共に


第二弾は上半身にテーマをしぼりました。残る下半身は、第三弾に委ねることにしました。実はすでに準備が始まっています。

明後日の日曜日、そして、その翌日の月曜日も同じ会場で活法セミナーです。
今度は、入門セミナーの肩こり編です。


【投票ボタン】
応援クリックありがとうございます(1日1クリック有効)。
2つのランキングサイトにエントリーしています。
にほんブログ村 健康ブログ 鍼灸(はり・きゅう)へ  

yoki at 23:30│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

月別アーカイブ
記事検索
全記事にコメント歓迎
これから読みたい本