2011年05月02日

ボランティア・レポート−いわき市編(4)最終回

ボランティア・レポート−いわき市編(

がんばっぺ! いわき

■必要とされない時もある

御厩(みやま)小学校では、避難者が体育館、教室といくつかのエリアに分かれていました。御厩小学校では忘れてしまったプロフィール(A4印刷)と整理券を使うことになりました。

4人は二手に分かれました。体育館組と教室組に。

体育館組には、ジャッカル氏と私。入ってみると避難者はポツリポツリ。入口で出くわした40代後半くらいの男性に、「ボランティアでマッサージやっているのですが、やってもよろしいですか?」と訊ねると、「ど、どうぞ。やったらいいと思います。」と返ってきました。「どうして私に訊くの?」って感じだったのだと思います。「お好きにどうぞ」というニュアンスを感じたので、避難者に声をかけて回りました。

しかし、避難者に断られ続け…私はゼロ。
プロフィールも整理券も用意ができているのに…。

最後にジャッカル氏が声をかけた男性が受けることになり、私は体育館で必要なくなりました。そういうことならと、教室組の応援に行くことにしました。

教室に到着すると、既にN氏と橋本氏が始めていました。教室なので狭苦しい感じがしましたが、雰囲気は明るかったです。ここでは到着した途端に呼ばれたので、すぐに施術を開始しました。先に始めていたN氏は、二人目、三人目…とテキパキと。橋本氏は二人目を終えると、次ぎの教室に向かいました。結局、私が担当したのはお一人でした。

完全に散らばってしまったボランティア組。玄関で再び集合となりました。下駄箱には薬がいっぱい。ちょっとしたドラッグストアです。下駄箱にこんな利用法があったのかと、驚きつつも誰にその感動を伝えてよいのかわからなかったので、言葉をゴクリ。親切に案内してくださった行政の担当者に感謝し、避難所を去ることになりました。

施術の人数だけでいえば、極めて効率が悪かったと思います。しかし、今回はこれでよかったと思っています。県外から突然行って、手ぶら状態で迎え入れていただけた事実こそ重要です。最初は「迷惑になるのではないか…」とドキドキしていましたから。個別には断られたケースもたくさんありましたが、避難所はどこも温かく迎えてくれました。


■ボランティアに最適な職業?

考えてみれば、「アポなし、手ぶらで行って、すぐにやることがある」というのは、私たちの職業に与えられた特権かもしれません。「マッサージできます」という言葉だけで、詳しい自己紹介も職業紹介も必要ありません。それどころか、言葉すらいらない場面もあります。最初に行った江名小学校では、一人施術が終わると「お願いできますか?」と声をかけられました。避難者は私の名前すら知らないのです(準備したプロフィールを忘れてしまったからです)。

ボランティアとして参加するには、組織に加わらないと難しいことが多いと思います。個人で行くと迷惑になることも多いと思います。「何かやることありますか?」と行っても、仕事をすぐに割り振ってもらうのは難しいでしょう。普通は現地で仕事を得る前に誰かの協力が必要です。


■鍼灸師の言葉選び

ちょっとしたスペースが確保できれば、現地の人に力を借りることなくボランティアができてしまう。これは、スゴイことかもしれません。しかも、被災者と何の抵抗もなく会話に入っていけます。何気ない一言が被災者を傷つけてしまうこともあるでしょうから、言葉選びは慎重でなくてはなりません。もし自分が違う職業だったら、何て声をかけてよいか迷うと思います。

私たちは、

「どこが辛いんですか?」

とストレートな質問ができます。

医師が相手ですと「大丈夫」と我慢してしまう人は多いと思います。でも、私たちが質問すると誰でも辛いところを話してくれます。「これは変だ」と普通でないものを感じた時には、医療チームに報告することもできます。

手で触れてわかることはたくさんあります。検査の数値や画像では見抜けないことはたくさんあります。医師が気がつかないことに、私たちが気がつくかもしれません。


■鍼灸を封印した理由

今回、鍼灸をやらなかったのかについて説明します。鍼灸を愛している私からすれば、被災地でも鍼灸をしたいと思っています。しかし、アポなしで「鍼灸でもいかが?」と言っても、すぐに受け入れてもらえるとは限りません。

既に、受けている人であればその効果をよく知っているでしょう。しかし、初めての人にとっては、それが何であるのか…そこから始めなければなりません。普段の臨床では、事前にウェブサイトに説明を載せたり、問診で信頼関係を築く努力をしたりしています。初めてのことに対する不安を軽減するために、それなりの時間を費やしています。

避難所ではすぐに活動したいと思っていました。日帰りのボランティアですから。そうなると、事前準備に時間がかかる鍼灸は出遅れてしまいます。手間を惜しめば、鍼灸の本領が発揮できないばかりか、不安を煽るだけになるかもしれません。

そういう事情を考えて、今回は鍼灸を封印したのです。目的も慰安でしたから、手があれば十分だったのです。いつか機会が巡ってくれば、医療目的の鍼灸もしたいと思います。手で十分できるとは言えども、鍼灸の可能性を眠らせておくのはもったいですから。


■未知なる経験

たった1日だけのボランティアでした。でも、価値ある1日になったと思います。行ってみなければわからない空気がありました。過酷な現状がある一方で、普通の生活をしている(しようとしている)人がたくさんいることに驚きました。コンビニもファミレスも普通に営業していました。様相の異なる2つの世界の間に立ったとき、誰でも何かを感じるはずです。

必要とされていると感じる瞬間もあれば、必要とされていないと感じる瞬間もありました。声をかけてアッサリ断られてしまったときはガッカリしました。群馬から数時間かけて行っていますからね(交通費だって自前)。とはいえ、こっちで勝手に押しかけている以上、ガッカリするのは自分勝手なことです。

いつでも感謝されるとは限らないボランティア。時には、被災者とトラブルになってしまうかもしれません。迷惑をかけずに役立つことをするには、現場から発信される情報が重要だと思います。しかし、その情報がまだまだ足りていないと思います。

現場では常識になっていても、行ったことがない者にとっては、すべてが必要な情報です。これから行動を起こそうとしている鍼灸師やあん摩マッサージ指圧師に、どんどん情報を送り込む必要があると思います。私もできる範囲でお手伝いをしたいと思います。


■自己満足からのスタート!

「行ってよかった!」

1日の活動を終え、4人のメンバーが口をそろえて言ったことです。

いわき市内のファミレスにて撮影
(いわき市内のファミレスで撮影)

食事をしながら語ったのは、次回のこと。

避難所で生活する被災者は減っていくはずなので、仮設住宅に入った被災者に向けた活動も必要だろうと考えています。もちろん、避難所での生活を余儀なくされている人はまだままだ多いので、避難所での活動も価値があると思います。大きな避難所に行くほど、要望する人が多いと思いますが、みんなが大きな避難所に向かったら小さな避難所はどうなるのか…なども考えてしまいます。

だから、必要なのは業界での情報交換だと思います。


<写真について>
活動の様子をできるだけ撮影しようと思っていましたが、写真を撮りながら施術というのが難しく雰囲気を伝える写真を十分なだけ用意できませんでした。チームで行くときには、それぞれがカメラを用意して、施術の合間(休憩時間)に仲間の様子を撮影する、という約束事をしておくとよいと思います。活動の様子を撮影した映像は、次ぎに向かう同士の参考になると思います。


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yoki at 00:35│Comments(10)TrackBack(0) ボランティア 

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この記事へのコメント

1. Posted by なかじ   2011年05月02日 18:53
くりさんおつかでした。すごいですよ。よく針を封印と・・思い切りましたね。私たちの参加者さんの鍼灸師さんも、今日は針封印。の方がいました。もったいないから皆に問診で適応や、やりたい方がいたら全部まわしてお願いしました。骨折の疑い?は、柔整へ。私達は大人数で行くので、適所、適材で心がけています。脳梗塞で3/w歩行してなければ歩行介助。寝たきりならばトイレ介助から。車いすなら外へ散歩。。ニーズでいいと思います。いつも誰かが入ってる所はいらないですよね。まだまだ、誰も来てくれてない所も沢山あります。
2. Posted by れい   2011年05月03日 14:30
私は川崎市の住宅にいらっしゃった浪江町、富岡町などの方々をサポートする者で、ボランティアの情報が知りたく、このたび貴ブログを読ませていただきました。
暖かで真剣さが伝わる様子に感激しました。
いわきは被災地と言ってはいけないのでは?と言うことですが、海側は完全に被災地ですからその影響は内陸部にもありますし、余震もあるしやはり助けが必要な場所だと思います。
マッサージの仕事はからだに触れるといった行為ですから、施術を受けられた方々はかなり癒されたのではないでしょうか。
きっと大きな力になったことでしょう。
また日にちをあけてでもボランティアしてあげてください。
よろしくお願いします。

私のボランティア場所でもマッサージをしてあげたらきっと喜んでもらえるかなとヒントをもらえました。
ありがとうございました。
3. Posted by クリ助   2011年05月03日 21:31
>なかじさん

鍼封印に感想をありがとうございます!適所、適材、ベストな活動ですね。やはり誰もいない避難所ですか。誰もいない、という情報の方が入りにくいので、その辺が困るところかもしれません。
4. Posted by クリ助   2011年05月03日 21:43
>れいさん

TVや新聞では被災地の悲惨さを中心に報道していますが、被災地と言われている所で明るく過ごしている方もいるという事実を伝えたかったのです。もちろん、「だから支援はいらない、大丈夫」って意味ではないです。そう錯覚するくらい、復興エネルギーが高いと感じたわけで、そこに感動しました。

いわき市の方と話す機会がありましたが、いわき市の人にとって、津波被害にあった人は被災者、そうでない人は、非被災者なんです(原発事故のことを無視すれば…無視できないことは重々承知)。世界から見れば、日本が被災地ですが、日本人全員に被災地意識はないと思うのです。

また、機会を作って行ってみたいと思います。
5. Posted by なかじ   2011年05月10日 20:54
13金.14土.15日と南三陸町〜気仙沼本吉あたりに、あはき12、看護師1、薬剤師1でいってきます。今回は仮設がかなり入居すすんでる地域がありますので仮設まわってきますね。小規模多数いきます。また報告しますね。なかじ
6. Posted by bamboo   2011年05月10日 23:35
活動お疲れ様です。
宮城県石巻市の避難所で活動している組織です。先生方のお力を是非お貸しください。
よろしくお願いします。ご連絡お待ちしています。
7. Posted by りゅう   2011年05月11日 20:01
はじめまして、神奈川の鍼灸マのりゅうです。

わたくしは4月と5月に南三陸、気仙沼等の避難所でボラマッサー活動してきました。(人員としては5〜11名)

今後も活動を継続していこうと思っていますが、危惧している点を挙げたいと思います。

○地元の治療家とのバランス…
○一定の避難所での過剰なマッサージ…○そもそも、セラピストの自己満足になってないかなど…

活動を通じて、日々悩み、日々考え、また、悩んでいます…

ただ、一つ確かなことは、純粋に日本人として、国家資格者として、人間として、東北のために力になりたい!その気持ち一心です!

今週末、南三陸へ行ってきます!












8. Posted by bamboo   2011年05月13日 00:26
りゅうさん> 地元同業者の支援、とても大切なことだと私も思います。

いま爐覆じ瓩気鵑感力のもと、「治療ボランティアしつつ地元同業者を支援する」ための仕組みを強くしていこうと活動しております。
どうかお力をお貸しください。

ざっと言うと、
1:施術スタッフ(現地・他県避難所。資格の有無問わず)
2:サポートスタッフ(施術スタッフの活動を円滑にする)
3:後方支援スタッフ(応募受付、連絡、資料作り、輸送など)
4:寄付・物品レンタル
5:雇用確保、お仕事の再興お手伝い
こんなかんじです。

ちなみに石巻では、4/30~5/4で避難所3・スタッフ4~6人・患者総数208。
まだまだニーズもあり、治療環境や設備も提供してくださる所で、「来てくれるならこれからも拠点として使ってほしい」とのことです。

これを見ている方、是非お力を貸してください。わたしは愛知県民ですが、多くの県に散っているからこそできることもあるはずですし。
この場をお借りして、どうぞよろしくお願いします。
9. Posted by クリ助   2011年06月16日 21:05
>bambooさん

コメントありがとうございます。ご返信が大変遅くなり失礼しました。私にできることがありましたら、協力させていただきます。メールさせていただきます。
10. Posted by クリ助   2011年06月16日 21:09
>りゅうさん

「地元の治療家とのバランス…」というのは、私も感じるところでした。既に地元で活動されている治療家が築き上げたルールのようなものを、突然入っていて壊してはいけないと現場で思いました。

現在、自分の仕事に追われて、ボランティア活動ができない環境にあります。心苦しいところもありますが、今はこのブログを通じて応援したいと思います。

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