2014年11月23日

実際のところ、鍼灸院で突発性難聴と耳鳴りは治るのか?

鍼灸院で突発性難聴と耳鳴りは治るのか?


ネットの中の意見


ネットで「突発性難聴」と「鍼灸」を一緒に検索すると、「本当に治るのか…?」という懐疑的な声や「病院に行った方がいい」という意見や、「鍼灸には予防的な効果しかない」という持論など、さまざまな声が飛び交っています。

鍼灸師が意見しようものなら「宣伝のために効果があると言うのは当然」と返される始末。鍼灸の意見はなかなか耳を傾けてもらえません。売る側だからよい事しか言わないと思われてしまうようです…。専門家の話より、実際に治ったという体験者を探している人の方が多いのかもしれません。


臨床データとプライバシー


検索してみると、ネット情報のほとんどは“素人意見”と“宣伝”だと思います。素人は無責任な発言をし、専門家も、裏付けや証拠を添えていないこともあります。突発性難聴で有名な某団体も一つ一つの臨床データを公開しているわけではありません。ネット情報だけでは、突発性難聴や耳鳴りの治療がどのように行われているのか実状が見えてきません。

症例は、患者さんのプライバシーの問題を抱えていますから扱いは慎重にしなければなりません。患者さんの中には「人の症例は見たいけれど、自分の症例は見せたくない」という方もいらっしゃいます。ですから、医療者側も、症例をお見せしたくても全ては出せない事情があります。

世間には、鍼灸に否定的な人がまだ残っています。否定したがる人(医療関係者であるなしに関わらず)は、「たまたま治っただけ」であるとか「薬が効いてきただけ」と常套文句を使ってきます。改善率が50%を越えても「たまたま…」と言い続けられるでしょうか。薬を飲まずに鍼灸治療をしているケースに「薬が効き始めて…」と言えるでしょうか。


実際の効果


この記事はきっと、突発性難聴が治らなくて悩み、これから何をすればよいのか途方に暮れ、ネットで情報を収集している方が読まれていると思います。では、実際のところを書きます。効果があるのかどうかについての結論は簡単です。

鍼灸治療で治る人と治らない人がいる。

これだけです。0か100かではないのです。実際をそのまま書くと、冷たい表現になります。「突発性難聴のお悩みは当院にお任せください!もうすぐ耳のお悩みとお別れです!今すぐお電話を!」と書いた方が頼もしく温かみを感じるかもしれません。それとも怪しいか…。

突発性難聴や耳鳴りの患者さんを診ている私に言えるのは、「実際に治っている人がいること」と「残念ながら治らなかった人がいること」の2つです。

「治っている人がいるなら、やってみる価値がある」と思うか、「治らない場合があるならお金と時間の無駄になる」と思うかは、お一人お一人の価値観です。私の方から「絶対にやった方がいいですよ」なんて言いません。

すべての病気に言えることですが、病気の治療成績は、確率で示すしかありません。風邪にしても100%治るわけではありません。ただ100%に限りなく近いだけです。突発性難聴や耳鳴りの方が誰でも治る鍼灸治療はおそらくないでしょう。どんなに有名な鍼灸師の治療であっても同じです。

絶対に治るわけでないなら鍼灸は受けない

こういう判断をする人がいても何とも思いません。突発性難聴や耳鳴りの鍼灸治療は自由診療ですから出費を覚悟できる人にしかすすめられません。結果が出なくても「仕方ない」と思える人でないと難しいのです。


治らない時の罪悪感


今、私がやっている鍼灸院(群馬の養気院、東京のカポス)には、突発性難聴や耳鳴りの患者さんが次々に訪れています。施術する側としても「治るかもしれない」と「治らないかもしれない」が交錯しています。結果が全く出ない時は、患者さんの顔をまともに見られなくなりますし、気分は落ち込みます。時間とお金をかけて通院している患者さんの努力に報いることができなければ、罪悪感があります。

この罪悪感から逃れるには、2つの道しかありません。一つは「引き受けない」という選択。難しいと判断したらお断りしています。もう一つは「改善率を上げる技術の開発」という選択です。100%はあり得ませんが、技術で50%を60%、70%…に引き上げていくことはできます。


改善率の目安


突発性難聴やそれに伴う耳鳴りは、治療が早ければ早いほど高い効果を示します。発症直後は病院に入院されている方が多いので、私たちが施術できるようになるのは、早くても発症後2〜3週間後です。時には、病院に行かずダイレクトに私の鍼灸院にやってくる方もいらっしゃいます。すべて改善していますが、まだ数えるほどなので「たまたま」と言われても仕方のない状況です。

突発性難聴とそれに伴う耳鳴りは、1ヶ月以内がとても大切です。私の経験で話しますと、1ヶ月以内であれば70〜80%の改善率です。完治する症例もたくさんあります。3ヶ月以内であれば60〜70%の改善率です。改善しても完治には至らない例が出てきます。半年を過ぎると20〜30%程度まで落ち込みます。少しでも聴力が回復できたら、という気持ちになります。数年経つと1%にも満たないと思います(改善例なし)。

 <改善率(目安)>

  1ヶ月以内 70〜80% 10割までの回復を目標にできる
  3ヶ月以内 60〜70% 8割までの回復を目標にできる
  6ヶ月以上 20〜30% 少しでも回復すればよい
  数年経過  1%未満  かなり厳しい

発症から3ヶ月以内が勝負です。3ヶ月を過ぎると、治らない方が増えてしまいます。私の感性で許容できるのは、改善率が50%以上です。これ以下になると、自信を持って「やってみる価値があります!」と言えなくなってきます。「どうしても…」と依頼されない限り、引き受けていません。


治った証拠


今年から、特に突発性難聴や耳鳴りの患者さんの割合が増えてきました。その要因は、間違いなく症例を積極的に出すようにしたからだと思います。すべての鍼灸院で突発性難聴と耳鳴りの治療をしているわけではありません。どの鍼灸院でも同じ効果は得られません。治療を受けるなら、必ず得意としているところで受けてください(有名なところではなく)。

オージオグラム(聴力検査)を証拠と出している鍼灸院は、まだあまり多くありません。最寄りの鍼灸院に実績や治療に対する考え方を尋ねてみてください。鍼灸院によって使うツボも違います。私はいっさいやりませんが、電気を流すところもあります。

最後に、「半年経ってから治療した症例(2014年8月23日)」の続報があるので、下に記します。前回の報告から4回の施術で、さらに回復していました。耳鳴りも完全に消え、聴力の低下を日常生活では認識できないレベルになりました。

ただし、この改善例は珍しいくらい良好な結果です。医師が首をかしげるほどの好成績です。患者さんも私も驚きました。この1例をもって「鍼治療は素晴らしい!」とするのは良くありません。可能性を信じて取り組んだ一例としてお見せします。

鍼灸院での突発性難聴の症例(オージオグラム1)
鍼灸院での突発性難聴の症例(オージオグラム2) hspace=


★他の症例を見る≫養気院(増やしていく予定です)


医師は全知全能か


医師の診断のみを信じる方に、鍼灸師として言いたいことが一つあります。医師は、聴力検査と問診などで医学的情報を集めるかもしれませんが、耳以外に触れることはほとんどありません。鍼灸師は、突発性難聴を患っている方の体の特徴や癖を必ず確認しています。すると、突発性難聴を患った方に特有なものが見つかります。治療で使うツボは、そういう特有な反応を示しているところになります。

わかりやすく言えば、突発難聴の方に共通する頚や背中の凝り(自覚しているとは限らない)などがあります。実際に触れてみないとわからない血行不良があちこちに見つかります。医師は全知全能の存在ではありません。医師が見ていないところを鍼灸師は見ています。医療制度の下では、残念ながら鍼灸師は医師のような権威はありませんから発言に力はありません。だから、術でもって示していくしかありません。


スプーンとフォーク


鍼灸師と医師では、扱っている医学が違います。東洋と西洋の違いは、スプーンとフォークの違いに似ていると思います。スパゲッティはスプーンでは食べられませんが、フォークなら簡単です。スープはフォークでは飲めませんが、スプーンなら簡単です。

東洋医学と西洋医学、どっちが優れているかという議論には全く意味がありません。ただ、私は、鍼と灸で仕事をするからには、これらを活かせる理論をバックボーンにするべきだと考え、東洋医学を追究しています。

簡単に「東西融合」という方もいますが、口で言うほど簡単ではありません。融合するのなら、新たなものが生まれていなければなりません。都合に合わせて東と西を行ったり来たりするのは融合とは違います。


<関連記事>
突発性難聴になったらすぐに読んでほしい記事
突発性難聴になったら2番目に読んでほしい記事
突発性難聴を半年経ってから治療した症例
突発性難聴の鍼治療で耳鳴りが一時的に強くなりました。悪化でしょうか?(2016-11-25追記)


連絡先(どちらも同じ治療法です)
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養気院(群馬県伊勢崎市)
カポス(東京都港区/品川駅) 
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yoki at 17:55│Comments(2)このエントリーをはてなブックマークに追加 鍼灸 | 東洋医学(中国医学)

この記事へのコメント

1. Posted by 匿名さん   2014年11月23日 18:43
5 いつも、先生の治療を受けに通っていた、あの頃を懐かしく思い読ませてもらっています。
自分も、突発性難聴からの耳鳴りでした。約2年くらい通ったかな?結果は、変わらずでした。しかし未だに悪くなっていないのも事実です。聴力や耳鳴りは戻らなかったのですが、精神面で先生の治療には本当に助けていただきました。なんと言いますか、耳が更に悪くなったらどうしようと言った、不安を丁寧な治療と説明と先生の揺るぎない自信に助けてもらったのです。つい余計なコメントしてしまい、申し訳ないですが、どうしても言いたかった(笑)
2. Posted by クリ助   2014年11月23日 22:31
>匿名さん

今もこのブログを読んでくださってたのですね!
まず、そのことにビックリ(@_@)

長いことケアに通って頂き、私としてもたくさん勉強させて頂きました。聴力の低下を食い止めることで精一杯でベストな結果にはいたりませんでしたね。モヤモヤが心に残っています。そのモヤモヤを原動力にさせて頂いています。

この記事に書いた通りですが、今はあの頃より耳症状の患者さんが増えています。力になれた時の嬉しさ、力になれない時に悔しさ、どちらも倍になっています。

コメント、本当にありがとうございました! 匿名さんが長く通院してくださったことは一生忘れません。

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