2015年12月14日

肩こりと腰痛にも役立つ整動鍼

整動鍼のツボ探しの具体的な方法」のつづき

■人間が動物である以上

整動は全ての鍼灸師に関係します。なぜなら、肩こりや腰痛など、普段の臨床で当たり前のように遭遇する症状も整動で解決できるからです。決して、スポーツやダンスなど、激しく身体を使う人を対象にしたものではありません。人間が動物である以上、整動は全ての人に関わる問題です。

ここで整動の位置づけを整理しておきます。

まず、一般的な鍼灸においてツボに鍼をすることの目的は「通す」ためです。詰まった管(くだ)の中を通すことによって、内臓機能を回復させます。流れを回復させるので「整流」です。ただし、これだけだと筋肉の特性(収縮と弛緩)を活かすことができません。筋肉の働きに応じた手法として整動があります。筋肉の張力を「(なら)」という発想です。


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ツボを介して、整動と整流を行うことを整穴(せいけつ)とを呼んでいます。ツボに鍼をする目的は、整動と整流のどちらかになります。時には両方同時です。整動と整流に優劣はありません。どちらも同じくらい大切です。ですから、単純に整動に目を向けることで鍼灸の可能性が2倍になるのです。これは理論値であって、実際の臨床ではもっとインパクトがあります。整動をした時の方が、患者さんが変化に気がつきやすいからです。

整穴整動整流


整動を体感した鍼灸師が驚くのも、変化が圧倒的にわかりやすいからだと思います。

“流れ”より“動き”の方が、他から見た時の変化も大きいので、鍼灸の効果を観察するのも簡単です。伝統的な鍼灸は脈診を行っていますが、整動鍼では脈診を必要としません。その代わり、動きの分析をします。たとえば痛みの症状を尋ねる時、「どこが」に加えて「どんな時に」「どんな事をすると」という項目が重要になります。患者さんに自覚がなければ簡単なテストで問題(原因点)をあぶり出します。



■肩こりを治したい

肩こりの治療というのは、簡単でもあり難しくもあります。肩のコリ部分に直接鍼をするのも肩こり治療です。スタイルとしては、それで成り立ってしまいます。しかし、その背景には何の理論もありません。

にも関わらず、マッサージでも指圧でも整体でも取れない、という患者さんが局所鍼を望みます。「コリそのものに鍼をしてもらえば治るかも知れない…」と最終兵器のように考えているのです。

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ちょっと待ってください。

何をやっても取れなかった肩こりの場合、そのコリに直接鍼をしても劇的な効果は得られません。そこに原因がないからです。前回のギターの話しを思い出してください。どこかに引っ張りすぎな場所があるのです。筋肉は好きで硬くなっているわけではなく、どこかに原因があって、硬くならざるを得ないのです。

その原因が、頚から来ている場合もあれば腕から来ている場合もあります。下半身も忘れてはいけません。腰や脚が関与しているかもしれないのです。他に悪いところがあるのに、肩に鍼をするというのは、整動の観点からすると合理的ではありません。

患者さんが訴えるコリそのものに鍼をするのは、鍼灸師の立場からしてもっとも簡単ですし、患者さんにとっても治療をしてもらったという自覚を持ちやすいと言えます。ですから、局所鍼が巷で多く使われています。「コリ刺しこそ鍼治療!」と信じて疑わない患者さんも多いです。それで絶大な効果が得られるなら、何にも言うことはありませんし、私もそうしたやり方をします。

しかし、現実は治らないケースが多いのです。

肩こりを本気で治そうと思ったら緻密な戦略が必要です。「やっかい」と言ったらいけないのかもしれませんが、しつこい肩こりは実際にそう感じます。「なぜ凝るのだろうか」と問いかけながら原因に迫っていく必要があります。

整動鍼では“動きにくさ”に着目します。凝っている肩は例外なく動きが悪いからです。その動きが改善するとコリも軽くなるのです。動きの悪さの背景には“引っ張りすぎ”が潜んでいるので、そこを見抜き、過剰な張力を引き起こしているポイントに鍼をします。

興味深いことが起こります。鍼をした部分もそこそこ緩みますが、それ以上に目標のコリが緩むのです。鍼をしたところ以上の変化が起こります。



■腰痛を治したい

腰痛も患部を攻めて改善できるものは限られています。仮に痛みが取れたとしても、その直後に力を入れにくい状態になります。この状況が別の不調和をもたらす可能性があります。ですから、巷で行われている局所鍼の後の心得として「鍼をした後はしばらく運動をせずにゆっくり過ごす方がいい」とするのは妥当な指導です。

最近では、施術後の不調和を限りなく小さく出来ていると思いますが、その時々で施術の内容は様々(整動を目的とした鍼とは限らず整流と組み合わせた複合治療)なので、予測できない筋肉の不調和を想定して、初診では「鍼をした後は運動せずにゆっくり過ごす方がいい」としています。

腰は何をするにも使うところです。腰を抜きに動くことはできません。ですから、腰痛治療を行う際は慎重です。ベストな治療だとしても、その後の過ごし方で悪化してしまうことは珍しくありません。患者さんの気持ちを考えると、まず「痛みをいかに取るか」が大事なのですが、そのすぐ後には「痛みをいかに戻さないようにするか」という課題がのし掛かってきます。

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整動の良いところは、痛みを取りながら動きやすくできることです。正確に言い直すと、動きやすくなるから痛みが取れるのです。自然な動きを回復したのと同時に痛みが取れることになります。調和の結果として鎮痛的な作用がもたらされます。鎮痛の後に、あえて「的」と書いたのは、鎮痛とは種類の違うものだからです。

原因を取り除かなくても成り立つのが鎮痛です。整動は鎮痛ができません。原因を取り除き、本来の状態に回復した分だけ痛みが軽減するのです。理論上は、痛みがすっかり取れているならば、激しく動いても大丈夫です。ただ、身体に起こる変化を全て把握できるわけではありませんから、できるならば、軽い動きから始めて慣らす方が現実的です。

整動鍼で腰の痛みを分析する際、胸椎、腰椎、仙腸関節を特に意識します。動く方向によって使う筋肉は違います。さらに、痛みの出ている腰の筋肉と全身の筋肉がどのように連動しているのかを考えてながらツボを選びます。胸椎との連動が不調であれば、胸椎に作用させるツボを使います。激しい腰痛になるとわかるように、どこを動かしても腰に激痛が走ります。それが全身の筋肉の腰の筋肉が連動している証拠です。こうした視点から腰痛を治療するのとそうでないのでは、大きな差になります。



■整穴(整動)マップ

繰り返しになりますが、経絡から連動を読み解くことは不可能です。経絡は違う目的のために創られたものだからです。ある目的のために“人工的”にデザインされたツボ選びの指標だからです。経絡は、古代人が“発見”したものではなく、古代人が“創作”したものです。この根拠は、勉強会で行う実技の中で説明しています。

連動を読み解くには、専用のマップが必要です。このマップは身体で張力がどのように働いているのかを示すものです。マップ作りは鍼灸師である限り続けていく予定です。


整穴マップイメージ


脊柱の動きをメインにしたのが「脊柱編」のマップ、四肢の動きをメインにしたのが「四肢編」のマップです。そして、体幹の動きと安定性をメインにしたが「腹背編」です。あくまでも、勉強会用の分類ですから、実際の臨床では垣根はありません。

経絡が鍼灸学の標準となれたのは、ビジュアル化に成功したからです。当たり前のようになている経絡図ですが、よくよく考えてみれば、ツボ理論の概要を一瞬で伝えてしまうのですからこれは大発明なのです。

経絡に最大の敬意を払うことは忘れないようにしながら、負の部分をクローズアップしてもよい時期に入ってきていると思います。そんなことを語る機会を少しずつ増やそうと思っています。一応、大人なので周りの空気を読みながら。

つづく…「整動鍼の勉強会の評価はいかに

カポス(東京都港区・品川駅)では「整動鍼の体験」を目的とした施術を受けております。整動鍼に興味のある鍼灸師の方は、私と同じことができるカポスに足を運んでみてください。

整動鍼™「腹背編」の勉強会(鍼灸師対象)
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A日程(2015年11月29日〜30日) 満席(終了)
B日程(2015年12月6日〜7日) 満席(終了)
C日程(2016年1月10日〜11日) 満席(キャンセル待ち)
D日程(2016年1月24日〜25日) 定員15名(先着順にて受付中)
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yoki at 19:34│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 鍼灸 | ツボ(経穴)

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