2018年01月28日

鍼治療はもうすぐ科学になる(9) なぜ脈診をするのか

)のつづき

鍼治療の目的


なぜ脈診をするのか


鍼灸学の古典といえば、『素問』と『霊枢』です。

この中に「脈」という言葉がたくさん出てきます。この脈の意味を一つに絞り込めません。血管を指している場合もあれば、目には見えない反応系統を指している場合もあります。また、時には動脈の拍動を意味することもあります。

いずれにしても、鍼灸学の歴史は「」の歴史です。文字通り、この脈に関する理論が脈々と受け継がれてきていいます。

脈診とは、脈で身体の健康状態を診断する方法です。しかし、そもそも脈には色々な意味があるため、この脈診という言葉の意味も広大なのです。

現代では、「寸口脈診(すんこうみゃくしん)」と言われる、手首の脈を診る方法が主流になっています。橈骨動脈の拍動を指先で触れて、その脈の打ち方で健康状態を診断します。

このように、橈骨動脈で身体の健康情報が得るというスタイルが生まれたのは、鍼灸学がもともと「循環を整える」という理論に根ざしているからです。



鍼治療の目的


ちょっとだけ、古典に付き合って頂きます。

『黄帝内経霊枢』の「九鍼十二原編」には次のようにあります。

欲以微鍼通其経脈(微鍼をもってその経脈を通じる)

微鍼というは、細い鍼のことです(当時はそれでも今よりだいぶ太かったと思いますが…)。

つまり、鍼治療というのは、経脈を通じさせることから始まっています

少し読み進めると、

凡将用鍼、必先診脈(およそ、まさに鍼を用いんとすれば、先ず脈を診る)

とあります。

まとめると、

脈を診てから、鍼で脈を通じさせる

ということになります。



脈診をするなら考えてほしいこと


「必先診脈(まず脈を診る)」なんて書いてあるので、手首の脈(橈骨動脈の拍動)を診てからツボを決める鍼灸師がとても多いです。

でも、ちょっと考えてほしいことがあります。「必先診脈」としか書いてありません。どんなふうに脈を診るのかまで指定はしていません。

つまり、「寸口脈診=手首の脈で脈を診る」のは一つの流派のやり方です。伝統的なものにもハヤリやスタリがあります。気軽さで優る、寸口脈診がメジャー化しました。

「脈診」と言った時、この「寸口脈診」を指している場合が多いです。

ここで言いたいのは、寸口脈診は一つのスタイルでしかないことです。

「脈」が拍動を指すという説明は前後にありません。にも関わらず拍動だと解釈するのは、だいぶ血管(物質)よりの解釈です。ほかに、「脈」は見えない「気」が通る機能的な存在という解釈もできます。

個人的に不思議に思うのは、寸口脈診(物質的な拍動を感じる)をする鍼灸師ほど、見えない「経絡(けいらく)」や「気」を重んじる傾向にあることです。

診断は物質的な拍動を頼りにし、鍼施術をする際には見えないものを扱っていると、違和感を覚えます。どっちかにすればいいのに...と。

話が戻ります。

寸口脈診は重要かもしれないけれど、解釈の一部です。ですから、それを踏まえた上で情熱を注ぐようにしなければいけません。

鍼灸師が学ぶべきものは他にもたくさんあります。有限の時間をどこに使うべきか、考える時間をつくるべきです。



脈診は科学ではない


脈診は科学的姿勢から生まれたと思います。寸口脈診を例にするならば、健康状態によって橈骨拍動に変化が起きるという“気づき”は、相関関係を見出す科学的姿勢です。残念ながら、それを計測することができないのでデータとしては残せません。

科学とはいえないけれど、科学的です。

できるだけ指先で感じたものを後世に残そうと、脈を文字に置き換えました。受け取る方がわからなくても、残す側としては伝える最大努力をしてます。観察した現象をみんなに伝える努力は、科学的姿勢だと言ってもよいでしょう。

でも、これだけで科学とは呼ぶわけにはいきません。しかし、可能性はあります。


つづく…脈診が科学になるには



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