2018年04月25日

経絡(けいらく)と特効穴のここだけの話(1)

経絡(けいらく)で鍼灸は説明できない


経絡が鍼灸理論の根幹というなら、特効穴はどう説明したらよいのでしょう?

特効穴は経絡理論で説明が及ばない変化球的なツボのことです。1つや2つであれば例外的に扱うこともできるでしょうが、特効穴の数はよく知られたものだけでも100を超えています。この異常な例外を私たち鍼灸師は放っておいてよいのでしょうか。特効穴は奇穴とも言われています。

経絡で鍼灸は説明できない


すべての問題は経絡を主に考えるから起こるのです。経絡を一つの診療デザイン(※)と考えたら何の問題もありません。経絡の上に鍼灸が成り立っていると考えるから無理が生じるのです。鍼灸は発祥してから年月が経っているため、鍼灸のアイデンティティを「伝統」に設定してしまう傾向があります。

※診療デザイン=複雑な人体をそのままでは理解できないので、診察と診療のために人体を単純化させるための切り口。人体をどのような存在として見なし、人体の生命活動をどのように解釈するかという経験的もしくは学術的視点のこと、とここでは定義します。

しかし、いったん途切れたものは伝統とは言いません。古い書物を読んで読解することと、伝統は違います。古文書を読んでも受け継がれてきたものがなければ、伝統とは呼べません。

ちなみに、日本の鍼灸は江戸時代という限定的な時期に大きく成長しましたが、明治になって政策的な理由から地下に沈むことになってしまいました。その結果、ほとんどが途切れてしまったのです。

昭和になって、柳谷素霊先生(鍼灸界のレジェンド)が鍼灸の復興を呼びかけて、古典に記されている鍼灸をもう一度見直すことになったのです。

とはいえ、そのプロジェクトに公平性があるわけではありませんので、あり合わせの知識で古典的鍼灸を取り繕うしかなかったのです。その取り繕いから始まったのが経絡治療です。したがって、いわゆる「経絡治療」と呼ばれているものは、昭和と平成の歴史しかありません。


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『昭和鍼灸の歳月』のもくじ



「経絡治療」と名付けたのは、痛みのある患部に直接鍼をするような行き当たりばったりの治療が横行していたことに対するアンチテーゼだったのです。古典に記されている「経絡」という言葉を用いることで、本来のポテンシャルに気が付いてもらおうと考えたわけです。

当時(昭和初期)の状況を考えると、経絡治療は「局所に頼らない治療」という意味に過ぎません。こうした歴世的事情が鍼灸師の間でもあまり知られていません。

しかし、経絡治療という響きは伝統を重んじる鍼灸師には心地が良いようで、伝統的療法を継承したかのように錯覚してしまうのです。実際は昭和に生まれた流派の一つにすぎません。「経絡治療=日本の鍼灸」という認識も間違いです。

日本の鍼灸の歴史は、江戸時代に花が咲き、明治でいったん散り、昭和になってもう一度咲かせようと組み立て直したのが実際のところです。さらにいえば、その突貫的な手法に限界を感じ、現在もさまざまな工夫がなされています。


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歴史に翻弄されたのは日本の鍼灸ばかりではありません。いわゆる中国も政権(国名)が変わるたびに伝統は焼かれ、中国の伝統もかなり怪しいものです。

しかし忘れてはいけないことは、歴史に翻弄されながらも鍼灸が途絶えていないのは、必死に後世に残そうと書物や道具を守ってきた先達の存在です。彼らに感謝の気持ちを抱かなければいけないし、常に謙虚でなければなりません。


話は戻ります。

経絡は誰もその存在を確認したことがありません。古典に記されているものをそのまま受け入れ、あることを前提に話が進んで来てしまいました。でも、立ち止まる時期だと思うのです。

少なくとも経絡は科学ではありません。存在が不確かなものをベースに行っているということを鍼灸師一人一人が認め、確かなものを求めて共有していくべきです。

経絡は理論ではなく、もはや問題です。この問題を放置して次世代につなげてよいのでしょうか。

誤解をしないでください。鍼灸の効果が不確かだとは言っていません。確かに効果があるのに、その説明が不確かであることに問題を感じているのです。「古典に書いてあるから・・・」という説明がいつまで許されるのだろうか、と考えたら不安です。


だから考えていきましょう、経絡問題を。(つづく…) 


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yoki at 11:50│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 鍼灸 | ツボ(経穴)

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