2018年05月26日

経絡(けいらく)と特効穴のここだけの話(2)

前回の記事では、「経絡治療は『局所に頼らない治療』という意味に過ぎません」と言いました。この話の続きです。

経絡と神経


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「経絡(けいらく)はない」という話をすると、経絡を信じている鍼灸師は、「経絡現象がある」と反論することがあります。

たとえば「ひびき」と言われる感覚です。鍼灸を受けたことがあれば、鍼をした時に独特な感覚が腕や脚を通った経験があるかもしれません。指でツボを押しても似たような感覚が生じることがあります。

確かに、その感覚って経絡に似たようなルートで感じることがあるのです。でも、冷静になる必要があります。

体には各部の状況をスピーディに伝えるために神経が通っています。感覚はその神経を伝わって脳に向かいます。その時に最短距離で向かうのがもっとも効率がよいです。真っ直ぐに行けるなら、わざわざ蛇行することはありません。腕や脚の情報の伝達ラインは縦ラインです。当たり前すぎるくらいの話です。

ここで経絡に戻ります。経絡も縦ラインです。腕を通る6本の線、脚を通る6本の線です。表を三分割、裏を三分割しているわけです。神経の伝達ラインと被ります。

ただそれだけです。

「ひびき」というものを、不思議だと思ったり、東洋医学独特のものだと考える必要などなく、感覚が縦ラインで走るのは、電車が線路を走るのと同じくらい当たり前の話なのです。

体は複雑なので、響きは刺鍼部位から波紋のように広がったり、蛇行するように移動したり、いくつもパターンはあります。体のコンディションや刺鍼点を微妙にズラすだけでも変わります。それも不思議な東洋医学現象ではなく、体が緻密にバリエーション豊かに情報を作りだしているということです。


脳は神経から伝わってきた情報を加工する


脳で情報は加工される_512

そもそも「ひびき」は脳が処理して出力した感覚です。だから、神経の走行そのものがダイレクトに反映されるわけではありません。脳が加工したものを私たちは感じています。

芸能人のニュースを見ても、注目するところが人によって違ったり、感想が違ったりするのも同じです。発言に注目する人がいたり、服装(ファッション)に注目する人がいたり、人間関係に注目する人がいたりですよね。

 情報≠感じること

もし、経絡というものがあるならば、それは脳が作り出したものです。経絡があると信じて疑わない鍼灸師は、自ら経絡を作り出してしまっているのです。あるいは、経絡の矛盾しない情報だけを強調してしまっているのです。

少しややこしいのは、この幻想のようなものが成果を導いてしまうことが多々あるのです。脳が加工した作り出す情報にはパワーがあります。スポーツ分野ではイメージトレーニングが常識ですが、それも脳が作り出す情報を利用したものです。想い続けることがあれば、脳は特定の情報を強調し始めます。経絡を信じて疑わないベテラン鍼灸師の脳は、経絡になっています。

そうした特別な脳が悪いとは言えません。何かを極めている人は、脳も特別に仕上がっているわけですから。経絡を信じることは悪いことではないのです。

ただ、信じなければ構築できない芸の世界のようでもあります。もしくは脳内サーカスです。たまたま相性の良い師匠に出会い、心の中の「脳の情報加工パターン」を受け取ることができれば、継承できるかもしれません。それはそれでアリとして、私は鍼灸は芸の分野にしたくありません。

人間がやることだから、上手になれば芸術的な技に見えてくると思います。でも、鍼灸は芸事として始めるべきことではありません。鍼灸を医学として考えるならば、誰でもわかる普遍的な話から始めるべきです。

だからツボも普遍的な話から始めなければいけないのです。

(つづく…)


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yoki at 03:52│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 鍼灸 | ツボ(経穴)

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