2018年06月01日

経絡(けいらく)と特効穴のここだけの話(3)

)のつづき

経絡は発見されていない


「経絡を発見した人は天才」と勘違いしている人がいます。この勘違いには2つの意味があります。一つ目は、経絡は発見したものではなく創作されたもの。もう一つは、経絡は誰か一人が発見したわけでも作ったわけでもないことです。

だから、「経絡はあるけれども、今の科学では証明できない」と考えてロマンを抱いている場合ではありません。経絡は人工的に描かれたラインで、完全なる創造物です。経絡に神秘を感じる必要はありません。私見ではなく歴史が物語る事実です。

こうした話をするのは、夢を奪うためではありません。むしろ逆です。冷静になって現実的な思考をすることでツボの可能性を引き出したいのです。現実を理解すると、経絡の本当の価値が見えてきます。

それでは、経絡の現実に向き合ってみたいと思います。


経絡は途切れている


「手の少陰心経」という経絡があります。この経絡を見て「あれ?」と思うことがあります。前腕(肘から手首)の間にツボがほとんどありません。手首に3つ並んでいる他、肘までガラ空きです。

手の少陰心経に限らず、ツボは経絡上に均等に並んでいるわけではありません。このような経絡ジャンプが経絡上でたびたび起こっています。このジャンプに疑問を持たなければなりません。

心経の不思議_tate400


経絡の奇妙なライン


経絡そのものはキレイなラインで示されることが多いのですが、時としては、奇妙なラインを描くことがあります。

もし、経絡が何らかが流れるルートを示しているならば、川の流れのようでなければなりません。突然直角に曲がったり、ちょっと引き返してみたり、そんなことは不自然です。

会宗と豊隆


でも、そんな不自然が鍼灸の世界ではまかり通っています。「経絡は完成している」という前提で話が進むので、疑問を持っても質問できる空気はありません。受け入れるか否定するかの二択しかないのです。

私はどちらでもない「疑問を投げかけ続ける」ということを選択しました。鍼灸の効果を間近で見ているからこそ、信仰の対象に位置づけられている鍼灸のポジションが我慢できません。

そもそもなところ、経絡ありきで考えるから疑問が複雑になるのです。経絡がなければ、途切れていると思うことすらありません。ただそこにツボがある。それだけです。

すべてのツボを経絡というラインに乗せて体を一巡させるというプロジェクト(名付けるなら、経絡プロジェクト)に、もともと使われていたツボが巻き込まれていったのです。

もともとあったツボとは何か。それは無所属のツボで今で言うところの特効穴です。特効穴のきちんとした定義はあいまいですが、「ある症状や病気に対して理論的な説明はできないが、効果を示すツボ」と言ったところでしょう。


特効穴こそ純粋なツボ


理屈抜きに効くツボ、それが特効穴です。そもそもを考えてみて欲しいのです。特に「鍼灸医学は経験医学だ」と思っている鍼灸師に意見を聞きたいと思っています。経験医学であるという人ほど、ツボの純粋な効果を優先すべきなのに、経絡信仰というパターンが目立ちます。

「やってみたら効果があった!」という積み重ねがあったから、その経験を説明するために理論が構築されたのです。「ツボって効くぜ!」という人が出現する前に、経絡が必要とされるはずがありません。

  ツボの効果 ⇒(普及のための理論化)⇒ 経絡

ただ「ツボって効くぜ!」と叫んでいるだけでは、「あの人、またおかしなこと言ってる」になってしまうのでプレゼンが必要です。「ツボの効果をみんなに教えたい!」という熱い気持ちが引き金になって、理論の視覚化プロジェクトが動き出したのだと思います。

経絡の素晴らしさは身体に線を描いて効果の理屈を説明できることです。説得力とインパクトにおいて、二千年もの間、誰も超えることができないでいるのです。

しかし、この経絡でツボの効果のすべてが説明できない現実があるため、そこから外れたツボたちは特効穴として理論の地下に追いやられています。特効穴は、巷の鍼灸師の経験として積み重ねられています。最近ではSNSでシェアされることが増えましたが、10年前は個人の経験でしかありませんでした。

特効穴を収集し整理していけば、そこから新しい事実が見えてくるかもしれません。特効穴の理解こそ、鍼灸理論の発展の肝だと私は思います。

そんな特効穴の代表格は腰腿点ではないでしょうか。


腰腿点スクエア


腰腿点は腰痛のツボとして鍼灸師に人気があるツボです。確かに(限定的に)腰痛に効果を発揮します。しかし、その作用機序は誰も説明できませんでした。こうしたツボは臨床において頼もしいのですが、理論的なバックボーンがないので、たくさん集めても烏合の衆となり学問になり得ません。

もし、こうした特効穴の作用機序を説明できる理論があったら、特効穴が地下からどんどん飛び出してきます。特効穴を理論的に選んで組み合わせて使うことができたら、鍼灸師の常識は変わってしまうでしょう。


ツボの効果は脳科学で証明できる


実は、こんな話をセミナーでよく話しています。たまに「アナトミートレインと関係した話ですか?」と聞かれますが、全く違います。もっと原始的でシンプルなツボのお話です。経絡をいったん外すと見えるツボの世界があります。

脳科学的に推察するとツボの役割が見えてきます。仮説の域を脱するために、ツボに鍼をした時に脳で起きていることを実際に調べています。そうした研究に協力しています。こうした動きがますます活発になっていきます。

研究で得られた知見は仲間と共有し、患者さんのために活用されていきます。ツボが科学的に説明できるようになると、鍼灸の可能性が大きく広がることは間違いありません。鍼灸は民間療法の域を脱し、先進医療の道を歩み始めています。

世界の鍼灸も日本を起点に変わっていくでしょう。日本が世界をリードできる条件はそろっています。逆に言うと、鍼灸を飛躍的に発展させられるのは日本しかありません。なぜそう言えるのか、次はその理由について書いてみようと思います。


はりきゅう養気院(群馬県伊勢崎市)
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yoki at 01:11│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 鍼灸 | ツボ(経穴)

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