2019年02月14日

出版に際して(6)患者さんと鍼灸院をつなげる新提案

ツボがある本当の意味


ツボネットの思想と描く未来像


ツボネットは、「鍼灸の症例が検索できるツボ辞典」ということで試験運転を昨年から始めています。現在、症例数は700を超えています。一つのサイトにこれほどの症例が蓄積されていることでもスゴイことです。1000を超えるのは時間の問題です。

ツボネット_全国の症例数



現時点では、参加鍼灸院が少ないのが課題です。もっともっと増えないと目指す利便性に届きません。とはいえ、急ぐと症例の質が担保できなくなるので、現在は少数の鍼灸院と基盤づくりをする時期であると割り切っています。

今年の春には軌道に乗せる計画ですが、中長期的な視点で運営していいます。

5年後には、300以上の鍼灸院が参加し、10000症例が検索できる未来を描いています。これだけの数が揃っていると、データベースとしての価値が高くなります。データという資産を活かしてさまざまな取り組みができます。

症例が集まっていると、「鍼灸は何に効く?」という疑問にも簡単に答えられます。各鍼灸院ががんばって、適応症状を説明するより、一ヶ所に集めてしまった方が効率が良いです。手が空いた分だけ鍼灸院が一番重要な仕事(技能の研磨や専門知識を蓄えるなど)に専念できます。


ツボネットは鍼灸院が育てる


ツボネットは、鍼灸院がアップする症例によって支えられ成長していく仕組みです。クチコミサイトがクチコミによって成長するのと似ています。

突発性難聴の症例


ですから、ツボネット成長の鍵は鍼灸院が症例提供に参加したくなる仕組みにあります。症例を提供した時のリターンが具体的にイメージできなければ参加してもらえません。そのリターンとは、得意な症状に患者さんが集まりやすいことです。

なぜ、そう言えるのか、一般の訪問者のメリットを説明すると全体象が見えてきます。


鍼灸の効果がわかる


提供された症例は、データベースに格納され、グラフ化したり、統計処理したり、価値を付加して閲覧者に届けます。鍼灸がどんな症状に効果があるのか、各ツボがどんな症状に使われているのか、各症状にどんなツボが使われているのか、データとして知ることができます。

新ツボも含まれているので、鍼灸師が知らないツボも時々出ています。たとえば、地天や精霊。

突発性難聴に使われたツボ


鍼灸を利用しようか迷っている人は「自分の症状に対して効果があるのか」と思っているはずです。その問いにデータで答えるのがツボネットです。症例を参考にした決断ができます。

鍼灸を受けようと思っていても、なかなか一歩が踏み出せない人は効果に関する情報が明瞭でないからだと考えています。けっして安くない鍼灸院の料金(保険が適用されないので仕方ないのですが...)。誰でも、効果がわからないものに、時間とお金はかけられません。

もちろん、ツボネットの情報が完全に客観的とは言えません。症例はプライバシーに触れるものは入れてありませんから、ごまかそうと思えばごまかしができます。しかし、そういうインチキは滅多に起こりません。

なぜなら、架空の症例を書くのは、本物の症例を書くより難しいからです。やってみるとわかりますが、架空の症例を書くことは豊かな想像力が必要です。
症例を登録する際には、「使用したツボ」を登録する必要があります。理論的に説明しにくいツボは同業から怪しまれます。実は、裏側で互いの症例を評価し合う仕組みが働いています。ズルすると損するように設計しています。


鍼灸院のリターン


症状と提供している鍼灸院は紐付けされます。症例をアップした鍼灸院ほど露出が増えます。患者さんは、たくさんの症例を持っている鍼灸院を選びたくなると思います。数だけの勝負にならないように、同業から高く評価された症例ほど目立つように設計しています。

各鍼灸院は、症例以外にもアピールしたいことはたくさんあるでしょう。しかし、そこにボリュームを付けてしまったら、一般的なポータルサイトと違いがありません。あえてクチコミも掲載されません。鍼灸院の雰囲気や印象よりも、院の実績や実力を見てもらうコンセプトです。

鍼灸院にしてみると、院の情報の前にワンクッション入るので、遠回りしているような気分になるかもしれません。でも、患者さんに信用され安定した経営を実現するための、一番の早道にになると信じています。私の信念です。もちろん、この方法で結果は出ています。

毎年毎年、集客ツールと言われるものがリリースされていますが、患者さんが求める本質を理解する、という軸がなければ、経営はトレンドに流されてしまいます。


宣伝しない方が信用される


広告にお金をかけて割引などを効果的に使えば、患者さんを引き寄せることができるかもしれません。でも、信用を集めることは難しいかもしれません。広告はできるだけ地味な方がよいと思っています。何にもしなければ、存在そのものを知ってもらう機会がゼロになって、そもそも経営していけません。

いろいろな人がいますから、全ての広告が悪だと考える人もいます。このブログも「どうせ広告目的で書いているのだから信じられない」と言われることもあります。でも、その言葉を真に受けたらどんなサービスも生まれてきません。

要は、情報の誠意があるかどうかだと思います。

私の誠意はツボネットに込めました。宣伝という意識を捨て、ありのままを伝えようとしています。鍼灸院の実際が分かれば、必要とする人が現れてきます。行きたいと思った時に、迷わないように必要な情報が見つかりやすいように設計しています。

こうやって鍼灸の実際を伝える活動をしているのは、鍼灸には現在の医療の弱点を補う力があると思うからです。鍼灸院で患者さんを診ていても思いますし、病院内での施術する時にも感じます。


ツボネットの使い方


一般向け

ツボネットに悩みの症状を入れてみてください。地域を絞ることもできます。検索ワードに関係する症例の一覧が表示されます。同時に日本地図が表示されるので、症例を提供した鍼灸院の地域と院名がすぐにわかります。

検索ワードに病名や感覚(ビリビリやチクチクなど)を入れても大丈夫です。一致する症状が表示されます。700件以上の症例があるので、ご自身にそっくりな症例が見つかるかもしれません。

突発性難聴で検索


マニア・プロ向け

担当している患者さんとそっくりな症例を探して施術のヒントにすることができます。使われているツボを試すこともできますし、理論的な背景を想像して、見立てを鍛えることもできます。

ツボネットのツボマップは精細です。人体図をつくるだけで半年かけています。精細なツボマップを見るのは利用登録(無料)です。症例をアップしている鍼灸院は、さらにマップをフル拡大できるのでミリ単位で位置を確認できます。


ツボの統一規格を目指す


本来はすべての鍼灸院に参加資格がある良いのですが、現実はそうはいかない事情があります。鍼灸師によって、ツボを選ぶ理由もツボの位置もバラバラだからです。もちろん、それを統一しようという業界の動きはありまして、WHO(世界保健機関)でも、規格づくりをしています。

ただし、その位置にエビデンス(科学的根拠)があるわけではありません。その位置に疑問を持ってもよいのです。むしろ、何の疑問を持たずに従ってしまってはツボ理論は発展しません。

私はWHOに依存しない規格を提案しています。提案しているツボの位置はすべての再現性がある位置です。個人的な趣向やクセを極限まで排除し、誰がやっても同じ変化を引き起こせるツボのみをツボネットで扱っています。

整動協会が普及に努めている整動鍼の症例がツボネットにアップされています。鍼灸業界の統一規格というわけではありませんから、現時点では「勝手な規格ですよね?」と言われた時に否定はできません。。しかし、こうして同じ規格の症例が集まれば、世界規格と言えなくても意味は見えてきます。正式な実験によって証拠をつかもうとする時の手がかかりになります。

間違いは正して、より妥当な位置に修正しなければなりません。間違いあるという結論に至るためにも、情報を集めて整理した方がよいでしょう。最終的なゴールはエビデンスを伴う統一規格です。ツボネットがきっかけになれば嬉しいです。


◎出版記念イベント(講演・対談・実演)(3/24)


鍼灸師と医師で解き明かす 経絡とツボの正体
会場:FinGATE KAYABA(東京)
参加費:2,000円(1部)/3,000円(2部)
申込フォーム

Twitterもやっています。
https://twitter.com/kuri_suke

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