2020年01月07日

連想力を磨いて臨床をアップデートする

連想力を磨いて臨床をアップデートする


鍼灸師も頭脳で勝負している


将棋が頭脳勝負というのはわかりやすいですが、サッカーもラグビーも頭脳勝負です。

鍼灸もまた頭脳プレーです。少なくとも、私はそういうスタンスで鍼灸師をしています。「誠実な人柄が患者さんを集める」と言われます。それはそれで正解です。私はあえて、頭脳勝負だと言います。こういう発言には勇気が必要です。「じゃあ、お前の頭脳はいかほどか?」と意地悪なことを言われてしまうからです。

一口に「頭脳」と言ってもジャンルはさまざまです。人の顔を覚える能力と、数学の問題を解く能力ではタイプが違います。鍼灸師には、鍼灸師に必要な頭脳があります。

それが何かを考える必要もあるし、自分が持っている頭脳を鍼灸に上手に使おうと考えられる鍼灸師が活躍できるのでしょう。

私も自分の頭脳をフル活用して勝負するようにしています。具体的にいうと、私は記憶力で勝負しています。記憶力と言っても、学校の勉強で活かせる記憶力は普通です。悲しいくらい並です。

私が秀でているのは感触の記憶です。味覚に例えたらわかりやすいのではないかと思います。ソムリエやバリスタが味や香りの記憶が秀でているように、私は皮膚や筋肉の状態を記憶する感覚が秀でています。毎日毎日、体に触れているのでこうした感覚が身につきやすいのです。

記憶するときに大事なのは言語化です。感触を何かに例えると記憶しやすくなります。漠然と触れ続けていてもわかるようになりません。「○○のようだ」と記憶するのです。硬いとか柔らかいとか、そういう強弱だけの指標ではなく、質感も大事にします。こういう話は、鍼灸師が集まるセミナーで話題にしています。


「経験が大事」は聞き流す


名人と言われている鍼灸師が「手が自然とツボに行くようになる」と言うことがよくあります。名人の言葉は信じないようにしています。「経験することが大切だ」って言われるのですが、経験で積み重ねるものが明確になっていないのなら、得られるのは「慣れ」だけです。もちろん慣れも必要な要素ではありますが。

経験を積むためには「何を積み重ねるか」と初期設定しないといけません。それを間違ってしまうと10年やっても芽が出ないなんてことにも。悲しいことに、ここに気がつかず伸び悩み、鍼灸の道をあきらめてしまう人がいます。上手に積み重ねている人は差分を認識しています。1年前と何が違うのか、ちゃんと説明できるのです。

「できるようになったことリスト」みたいなものをつくれば、「経験」という言葉を使う必要はあまり意味がありません。こういう記事を書いている理由の一つは、鍼灸師という職業は、スキルを説明する時に「経験」という言葉に頼りすぎだと思うことが多いからです。


経験を積み重ねるための条件


積み重ねるために必要だと思うことを書きます。

|亮韻隆恭于
感覚の知識化


,砲弔い
鍼や艾(もぐさ)といったシンプルな道具しか使わない鍼灸師は、自らの肉体を通して知識をアウトプットしなけれなりません。感覚に置き換えられる知識のみが現場で役立ちます。書籍やタブレットから引き出した情報を患者さんに伝えても、それは検索の代行でしかありません。患者さんから期待されているのは、この目であり、この手です。

△砲弔い
感覚を知識に変える必要があるのは、そうしないと記憶できないからです。臀部にあるツボに鍼をしたら、患者さんの腰痛が劇的に緩和されたとしましょう。そのときに「なんとなくココかな」と思ってツボを決めたのと、「PSIS(上後腸骨棘)と大転子を結んだラインの位置から○○な位置」と位置関係を把握してからツボを決めたのでは、大きな差となっていきます。前者は感触の性質だけしか残らず、後者は感触と位置関係を紐付けできるのです。


臨床は連想ゲーム


私がもっとも大切にしているのは連想力です。連想力というのは、患者さんの口から出る言葉から悪化したきっかけを推測したり、体の凝り具合から体の使い方の癖を想像したり...ということです。患者さんが嘘をつくこともあります。悪気があるわけではなくて、勘違いだったり、言いづらいことだったり...。そういうものを込みで患者さんと接しています。

「想像力」という言葉ではなく、あえて「連想力」という言葉を使っています。発言や現象をつなぎ合わせていくことが重要だからです。つなぎ合わせる糊になるのが知識と感覚です。知識と感覚に乏しいと提案ができません。痛いところに鍼や灸をするという原始的な方法を選ばざるを得ません。鍼灸は、「ツボの効果」を操ることが醍醐味です。そのために必要なのが連想力です。

ゲーム感覚という表現は不謹慎ですが、臨床力はゲーム感覚で養うのが早いと真面目に思っています。

Twitterもやっています。
https://twitter.com/kuri_suke

【よろしければ投票してください】
応援クリックありがとうございます(1日1クリック有効)。
2つのランキングサイトにエントリーしています。
にほんブログ村 健康ブログ 鍼灸(はり・きゅう)へ  

yoki at 14:35│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別アーカイブ
記事検索
全記事にコメント歓迎
これから読みたい本