2020年11月01日

日本の鍼灸が世界から評価される日(4)

日本の鍼灸が世界から評価される日(3)」のつづき

セミナーではノウハウを提供できるが…


セミナー事業に関わってから10年が経ちます。これも教育事業の一環と言えなくもありません。しかし、セミナーは「育てる」とニュアンスが薄くなります。ノウハウをエッセンスにして2日間で提供するというものです。

整動鍼セミナー 張力連綿編

20名ほどの受講者が一つのカリキュラムを同じ時間の枠でこなしていかなければならないので、理解できていなくても吸収できていなくても、否応なく次に進まなければなりません。セミナーは、集積された経験を整理して売る仕事です。そう割り切りながらも、やっぱり受講してくださる方には、理解して吸収していただきたいと強く思っています。ここにジレンマがあります。

そこで、セミナーを始めたばかりの頃からSNS上に交流会をつくって情報交換ができる環境をつくってきました。受講者が自主的に復習する動きが活発になり、2017年には受講者が情報交換しながら切磋琢磨する場所として協会(一般社団法人 整動協会)を設立しました。

協会ができると同時に、自主的に勉強を行っていた集まりを公認勉強会に発展させ、セミナー受講後に研磨できる環境の整備を進めました。技術を使いこなせる受講者が増えました。とはいえ、これも教育とは言えません。受講者自身の成長に遠くから期待しているに過ぎません。

これが悪いわけでもありません。すべての人に教育が必要なわけではなく、セミナーの中でエッセンスを吸収するだけで十分な鍼灸師も多いからです。


鍼灸師の未来を切り拓くのは教育


専門教育を経て国家試験に合格したからといって、患者さんと信頼関係を築ける鍼灸師になれるとは限りません。むしろ、そういう鍼灸師は一部です。国家免許を取得したにも関わらず、鍼灸業界から去っていく鍼灸師が大多数です。私自身も一歩間違えたら、鍼灸師として仕事を続けることはできませんでした。

セミナーの受講者は、自助努力ができる鍼灸師ばかりです。しかし、どんなに能力が高くてやる気があっても環境に恵まれなければ活かすことができません。前進できる環境を必要としている鍼灸師の1%だとしても届けられたら本望です。

群馬で寝泊まりしながらトレーニングする


群馬の鍼灸院(養気院)を拡張し、研修と臨床研究ができる施設に発展させるための準備を進めています。遠方から参加しやすいように宿泊施設も併設する計画です。

群馬で鍼灸の研修と臨床研究ができる施設

準備していたらコロナ禍に突入し、資金の目処が立てられず延期しました。資金源はセミナー事業なので、セミナーが続けられないと中止せざるを得ない状況でした。

3〜5月はセミナーを中止しましたが、6月から再開し少しずつ受講者が戻ってきました。完全に受講者が戻ってくるのは来年の2021年以降です。いつ戻るのかわかりませんが、完全に戻るのを待ってから再開したのでは出遅れてしまいますから、回復に期待して計画は進めています。

ここで行う教育プログラムは社内研修で培っているノウハウをベースに準備しています。個人事業だった鍼灸院を会社にしてから本格的に雇用を開始し、現在まで5名の鍼灸師が巣立っていきました。2〜3年で全員が患者さんから信頼され、鍼治療のみでお代を頂けるレベルに達しました。すべてが上手くいったとは言えませんが、失敗した部分は教訓となりました。


経験を積める仕組み


鍼灸師になってから一番最初に訪れる壁は経験を積める環境がないことです。患者さんにしてみても、免許取り立ての鍼灸師では不安があるでしょう。できるだけ経験が豊かな鍼灸師に診てほしいと思うのが自然です。

経験豊富な鍼灸師にも最初がありました。経験が少ないながらも信頼関係を築く「何か」があったはずです。そこをサポートすることができれば、経験が少ない鍼灸師もよいスタートを切ることができるようになります。

免許を取った鍼灸師はプロです。鍼灸師は民間資格ではなく国家免許ですので、必ず3年以上の専門教育を受け国家試験に合格しています。安全な施術を約束できる専門家です。しかし、「新人」というイメージが先行してしまうと患者さんは不安になります。最初のうちはおぼつかない様子に見えることがあるかと思います。そうであっても、結果を出し始めると、自信が表情に出てくるようになります。

準備しているのは、臨床研究と臨床トレーニングを兼ねた施設です。参加費を支払うことで、経験のある鍼灸師のサポートを受けながら臨床の場に立つことができます。患者さんは安い料金(通常の50%程度)で施術を受けることができます。

通常は鍼灸院の経営は、物販をしていなければ患者さんから頂く施術料に100%依存しているわけですが、これを50%に軽減し、50%を参加する鍼灸師から頂くことで運営に必要な売上を確保します。患者さんは、経験豊かな鍼灸師が補助している鍼灸師の施術を、負担少なく受けることができます。鍼灸師は、経験をお金で買うことができます。

経験があって即戦力のある鍼灸師は就職に有利になります。多くの鍼灸院は、給料を支払いながら戦力になるように教育しているので負担になっています。また戦力になった途端に退社されるリスクを抱えることになるので、雇用に踏み切れない鍼灸院がたくさんあります。

鍼灸業界においては、教育は慈善事業であるべきという考え方が根強くあるため、ビジネス化することに不快感を示す鍼灸師もいるでしょう。

しかし、持続可能な事業として続けていくには収益が必要です。収益が見込めるからこそ施設を建てることができ、システムも構築でき、携わる鍼灸師に給与を出すことができます。慈善事業でやっていくということは、自分を含めて誰かのタダ働きに期待するということを意味します。

この群馬の計画と合わせて、東京の品川でもう一つの計画が動いています。次回は、それについて書きます。

品川

つづく...「品川で鍼灸院+セミナールーム+α


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yoki at 22:28│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 鍼灸 | 東洋医学(中国医学)

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