2021年07月07日

鍼灸業界に現れた「ルート治療」という怪物

鍼灸師一人ひとりが自分の鍼灸を極めていけばいい!?



鍼治療のやり方は色々です。

鍼灸師一人ひとりの治療理念やテクニックに委ねられているのが現状です。バラエティに富んでいると言えますが、外から見ると何をするのかわかりにくいのです。外からだけではありません。実は、内からもそうです。同じ鍼灸師でも隣の鍼灸師が何をしているのかわからないのです。

病院では当たり前の標準治療。医師が違っても同じ治療をしてくれます。どこに行ってもだいたい同じであることが安心感です。もちろん、患者になってみると感じるように、医師や病院の善し悪しを感じることはありますが、標準治療という枠の中で起きている違いです。

そんな標準治療が鍼灸にはありません。このことに問題を感じている鍼灸師もいれば、興味を示さない鍼灸師もいます。鍼灸師によっては「一人ひとりが自分の鍼灸を極めていけばいい」と考えています。

私は、こうした考えと対極に位置しています。なぜなら、一人ひとりが極めていくという考え方では、情報共有がしづらくなって他者のアイデアが入り込みづらく、独りよがりのものになりがちです。その独りよがりな方法を高く評価される鍼灸師は一握りです。普通は我流です。

「一人ひとりが自分の鍼灸を極めていけばいい」というスローガンは我流を強烈に肯定してくれますから、一部の鍼灸師にとって都合がよいのです。

私は、鍼灸師には個性があってはならないと言いたいのではありません。個性に偏重すれば医療として発展していくことは難しくなるでしょう。

医療は、アーティストのように個性の勝負の世界ではありません。目立つことよりコンセンサスが重要です。


整動鍼は個性的ではないのか!?


個性の勝負ではないと言いながら「整動鍼」を創案している私は、個性で目立とうとしていると思われてもしかたありません。でも、その真には標準治療へのあこがれがあるのです。

私が考える標準治療になるための条件は次の3つです。

|でも理解できる理論であること
誰でも再現可能であること
8‐擇可能で発展の余地があること

整動鍼はこれら´↓を満たせるように意識しています。整動鍼を標準にしたいとは思っていません。そもそもを考えると、標準治療に特定の名前が付いていたらおかしいです。

だからといって、名前をつけず「標準化を目指した鍼灸です」と言ったら、「個人が何勝手なことを言っているんだ!」とお叱りを受けるでしょう。現状においては、標準治療を目指すとしても、何らかの名称をつけて発信していく他ありません。


ルート治療という怪物


私より若い白川勇作先生が、「ルート治療」と名付けた方法で鍼灸業界を賑わせています。その特徴は一目瞭然で、鍼をたくさん刺すのです。もちろん見た目の話であって、その裏には真があるはずです。

私から見ると、鍼をたくさん同時に刺してしまうと、(検証が可能で発展の余地があること)をクリアできないように思います。科学的手法にはいろいろあるので、何かしらの方法があるのかもしれません。ただ、少なくとも「どのツボが効いたのか?」とツボが持っている独自の効用にたどり着くことは難しそうです。これは、あくまでも私の個人的な感想です。私が提唱している、ツボ一つ一つの意味に迫るスタイルとは違うものの価値は安易に否定はできません。

実際、ルート治療のセミナーを受講して実践している鍼灸師は全国にいます。整動鍼のセミナーでも話題になることがあります。

ルート治療と整動鍼は、似ても似つかない方法です。しかし唯一の共通点があると思うのです。それは、従来の常識とは違った視点から効果を引き出そうとしていることです。整動鍼もよく批判されますが、ルート治療もよく批判されます。私も批判している人の一人です。「あんなに刺してしまってはツボの効果がわからない」という立場です。


正義感という暴力


批判することも、批判されることも、悪くありません。何かを始めるには批判がつきもので、何かを始める人はその覚悟があります。やってはいけないのは、批判したいからといって、人格を攻撃したり、揚げ足を取ったりすることです。

卑怯だと思うのは批判が集中し、相手が反撃できないとわかっているときに、ここぞとばかりに正義感という棍棒で殴りかかるような行為です。私は、そんな一人にはなりたくありません。

私も批判されやすい立場にありますし、実際にある人から正義感の棍棒で殴られ続けていた時期があります。だから批判されている人の立場や気持ちが少しわかります。

白川先生も私も、鍼灸業界においては異教徒のような存在です。批判されるのは、批判する側に「鍼灸はこうあるべきだ」という信仰があるからではないでしょうか。

信仰心が強い人ほど、自分の信仰とそりが合わないものを「宗教的だ!」と批判したくなるのです。自分も気をつけなければなりません。

批判したいなら技術論の枠から出るな、というのが私の考えです。


ルート治療の創案者の白川先生に会いに行く


なんだかんだいって、会いに行くのが一番早いです。ルート治療の白川勇作先生が鍼灸院を構える博多に行くことにしました。白川先生は、私の日頃のSNSでの発信からルート治療を否定的に思っていることに気づいていたらしいのですが、私の申し出を快く引き受けてくださいました。

7月22日(木)に博多に飛ぶことにしました。白川先生から直接話を聞ける機会はなかなかありませんから、対談の様子を無料で配信する予定です。


◎対談のライブ配信(視聴無料)

7月22日(木)19:00〜20:00
視聴用URL:https://vimeo.com/event/1126241

白川対談バナー_FB


twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)

yoki at 19:33│Comments(0)このエントリーをはてなブックマークに追加 鍼灸 | 仕事日記

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別アーカイブ
記事検索
全記事にコメント歓迎
これから読みたい本