2021年10月26日

「気が見える」などと言う鍼灸師の話には気をつけよう

昨日、こんなツイートが流れてきてビックリしました。



あまりに馬鹿げていると思ったので、ご本人に「反論しますよー」と宣戦布告のDMを送ってしまいました。ご本人のツイートを見たら、私以外にもDMを送っている鍼灸師がいるらしく、このツイートに対して黙ってはいられない鍼灸師がいるようです。真面目な鍼灸師が反応しているという言いっぷり。

こういうものは、裏でやっても面白くないので私は自分の意見を表で書くことにしました。私にとって大好物のネタです。

ご本人から許可も頂いているので、さっそくテツさんのツイートに突っ込んでみようと思います。こういう記事を書くと、「足の引っ張り合いをしてばかりいるから鍼灸業界が盛り上がらないんだ」という意見が必ず出てきます。そういう方に言っておきたいことがあります。鍼灸業界を盛り上げていくのは、活発な議論です。おかしいと思うことはしっかり批判し、発言する側も批判を受け止める覚悟を持つことです。

テツさんにもテツさんの考えがあり、それを支持する鍼灸師がいることも確かです。私はテツさんが憎いわけではありません。ただ、考えが180度違うので、私みたいに考えている鍼灸師もいますよ、と存在を示しておきたいと思ったのです。テツさんに恨みはありません。私が送ったDMにきちんと返信をくださったので信頼しています。

ということで、遠慮なく行きまーす!


1.今の鍼灸が効かなくなったと誰が言っているの?


こう言っている人がどこかにいるかもしれません。どこにもそんな根拠はありません。そもそも、鍼灸は効果を数量化するのが難しくて苦労しているので、効かなくなったというデータなどあるはずがないのです。「最近の若いもんは〜」と全く同じです。若手をディスっているなら老害です。

2.「気」や「邪気」が見えるはずがない


「気が見える」という鍼灸師は怪しいと思って間違いありません。少なくとも医学的な立ち位置ではありません。占い師と同じような存在価値であると思います。「気」や「邪気」というのは、見えない物質や見えない力を指すものとして使われてきた言葉です。

空気を吸わないと死んでしまいますから、空気に何かしらのエネルギーが含まれていることは昔の人も気づくわけです。いっぽうで、空気には有害物質が含まれていることがあります。悪いものが含まれているのは間違いないがそれが何かわからない、という状況もあったわけです。そうしたときに、それを「邪気」と呼び危険性を理解しなければならない時代があったわけです。

ですから、「気」や「邪気」は人間の五感では判別できないが存在するであろう何かを指す言葉なのです。だから、見えるはずがないのです。見えているならそれは幻覚です。もしくは虚言です。


3.鍼灸師の才能は多角的に評価されるもの


勘が働くという言葉があるように、理屈では説明できないほど未来を予測できたり、状況を見抜けるような場面があります。そのとき第六感が働いているのかもしれません。ただ、鍼灸師は第六感で勝負する職業ではありません。問診力や洞察力によって症状の起因や原因を絞り込み、五感を駆使して異常点にたどり着くのです。手指の感覚も大切ですが、コミュニケーション能力、観察力、推察力、洞察力、推理力などを駆使して患者さんの悩みを解決していくのです。勘がいいかどうかだけで適正が決まるほど簡単ではありません。


4.徒弟制度こそが鍼灸の発展を妨げてきた


今でも徒弟制度のなごりはあると思います。同業の鍼灸師と話していると、「師匠」と言葉を時々耳にします。「技術は師匠から学ぶ」という慣例は残っているように思います。鍼灸師には共通の技術、つまり標準治療がありません。師匠それぞれが使っている技術が違うのです。理論的に施術を組み立てている鍼灸師もいれば、それこそ第六感を頼りにしている鍼灸師もいるわけです。

自由にやっていいのが鍼灸なのです。その良さがあることは否定しません。ただ、この状況では永遠に標準治療にはたどり着けません。標準治療はエビデンスから正しさや妥当性を導いていきますが、徒弟制度は師匠が黒といえば黒、白といえば白の世界です。鍼灸がアートであれば、同じものが白に見えても黒に見えてもかまいませんし、むしろ、白でありながら黒であるようなところにアートの価値があると思います。

そういう意味で、テツさんの視点は完全にアートに偏っています。あのツイートもそんな立場から出たと考えれば合点がいきます。

5.気が見えるとしても病気や怪我を治せるわけじゃない





ここは、テツさんと同意見です。見えることと解決できることは別問題なのです。たとえば、家から火が出ていれば火事だとわかります。しかし、鎮火できるかどうかは別問題です。気が見えるという話が本当だとしても、病気や怪我を治せるわけではないのです。

twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)



yoki at 21:52│Comments(1)このエントリーをはてなブックマークに追加 ひとりごと | 鍼灸師の裏話

この記事へのコメント

1. Posted by かな   2021年10月28日 12:37
>「気が見える」という鍼灸師は怪しいと思って間違いありません。

鍼灸においては気というのは五感で感じ取れるものを指すのではないですか。
もし、第六感でしか感じ取れないものだと思ってるとしたら誤解も甚だしく、今までその程度の認識で気に関して意見を言ってきたのかと思うと呆れてしまいます。
正確な言葉の使い方を指摘したいだけならこのような発言は出ないはずですから、本当に思ってるのでしょうね。

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