2022年03月07日

名人にあこがれると成功できないワケ

名人にあこがれると成功できないワケ


名人には欠点がある


鍼灸師は職人であると思っている方は少なくないでしょう。確かに職人の要素があることは否めません。言語化できない身体技法があるのは確かです。ただ、個人的には職人としての側面は控えめにしておきたいのです。

鍼灸をもっと広げていくためには、誰かがマネのできない特殊な能力を獲得するよりも、全体のスキルを底上げした方がよいと考えています。そのためには、鍼灸師のスキルはできるだけ言語化し、ノウハウにまとめていく作業が必要です。

鍼灸師を目指すからには名人になりたいと思うのは当然かもしれません。私もその一人でした。今は名人というものを全く意識せずにスキルアップに努めています。名人と言われる人がいたら、どこが上手いのかを分析するようにしています。そうすると、そもそも名人には個性があって、その強烈な個性が評価されていることが多いのです。

誤解を恐れずに言えば、名人ほど欠点をもっています。欠点を覆い隠すほどの優れた点があるから成り立っているのです。何もかも優れているなぁと思う名人には出会ったことはありません。名人というのは、能力の偏りから生まれてくるものです。


生き残るために必要なのは、基本か個性か


「あなたにしかできない鍼灸を追求しなさい」という声をあちこちで耳にします。基本があって応用があって、その先に個性の追求があるのが本来だと思うのですが、鍼灸は基本があってないようなものです。

もちろん、衛生管理など、患者さんをリスクにさらさない基本的な約束事はあります。ここで話題にしたいのは、効果を出すために必要な基本です。

開業して食べていける鍼灸師の多くは個性を磨く努力をしていると思います。「個性」は「差別化」や「強み」と言い換えることができます。

鍼灸院は基本的に自由診療(保険の適用外)ですから、資本主義の競争に晒されます。一般的な企業と同じように差別化することは成長や持続させていくのに必要だと思います。

現実的に考えれば個性は必要だと思います。同じ医療者であっても、標準治療があり保険診療で保険料の一部が収入になっている医師とは、条件や環境が異なりすぎて思考を揃えることが困難です。

だからといって、資本主義に飲み込まれて個性を磨くことだけに注力することは、医療人としての立場で考えると疑問を抱かざるを得ません。鍼灸が医療として成り立つためには「基本とは何か」を考えていきたいのです。そうでなければ、鍼灸の標準治療は永遠に見えてきません。


あこがれたら分析をする


鍼灸の基本を考えるためには、名人のパフォーマンスが参考になります。ただし、名人は平均から大きく外れている、外れ値でもありますから気をつけないと基本どころか癖だらけになってしまいます。

名人は、自分の上手さの正体に気がついていないことがあります。さらにいえば、欠点にも気がついていないことが多いです。強烈な上手さが欠点を覆ってしまうので、欠点が欠点でなくなってしまうからです。

だから、名人を見て「こんなテキトーでもいいんだ」と思ってしまったらマズイです。患者さんは何を評価していて、何に目をつむっているのか、しっかり分析しておかないとマネしなくてもよいところまでマネしてしまいます。

実際に「そこまでマネしたらいけないでしょ」という光景を目撃したことが何度もあります。たとえばですが、カルテを取らないとか白衣を着ない(制服がない)とかです。

これとは別ですが、私にもマネしなくてもいいことをマネしてしまった心当たりがあります。罠にはまらなくなったのは、憧れを捨てたからです。そうすると、患者さんがどこを評価しているのか客観的に見えてきます。そこに絞って見習えばよいのです。

名人と出会ったとき、わかりやすい指導は期待しない方がよいと思っています。なぜなら、名人だからといって教えることまで上手いとは限らないからです。


120点を狙うより80点を狙う


名人への憧れを捨てるのと同じくらい大切にしていることがあります。それは、自分自身にも特別なことを期待しないことです。自分の能力以上のことを臨床で期待しないようにしています。80点を狙うというと手抜きしていると誤解されるかもしれませんが、それくらいの方が冷静な判断ができますし、余計なプレッシャーがないので実力が出やすくなります。

余力を残すのは別の意味もあります。自分のスキルを客観視するためです。自分の良いところと足りないところを知ることができます。精一杯になってしまうと、仮によかったとしても、なぜよかったのかわからないので再現性が低くなってしまいます。


名人に共通する4要素


「名人」と呼ばれている人は、技術だけが優れているとは言えません。欠点となるような癖もありますが、そこに注目しても学びはないので私なりに「上手い」と思う点を4つ紹介します。

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 ものごとをきっちりと表現しています。モゴモゴしゃべったりしません。

∋覲佚にわかりやすい施術


 施術そのものであったり効果を視覚化するのが上手いです。

8鎚未紡弍する能力


 マニュアルを感じさせないということです。

し亳核富に見えること


 風貌もかなり影響すると思います。施術室にある使い込んだ道具も印象をつくります。


上手さの比率

 
話をしたとき、相手に与える影響は次の割合であることが科学的にわかっています。

 内容 7%
 身体 55%
 声  38%


内容がたったの7%なのです。これには驚きを隠せませんでした。どんなに内容がよくても、姿勢や視線、そして発声が足りていないと高い評価は得られないということです。

患者さんの目を見て、自信ありそうにしゃべらなければ、いくら知識を蓄えても報われることはないということです。勉強熱心である人ほど覚えておいてほしいです。



twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
はりきゅうルーム カポス(東京/品川駅)
整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)


yoki at 08:30│Comments(0) 仕事日記 | ひとりごと

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