2022年04月19日

患者さんを観るときの手順(クリ助流)

患者さんを観るときの手順


これから、私が臨床でどんなふうに患者さんを観ているのかを解説していきます。やり方は鍼灸師によっていろいろですから、これが正解というものではありません。ひとつの個性として読んでいたければと思います。話をわかりやすくするために、問診を終えたあとからやることを書きます。

〆前未両態から観る


着替えたあと、施術室のベッドに横たわって待っている患者さんもいます。寝た状態で施術が始まるというイメージがあるからなのかもしれません。不思議なのは、鍼灸が初めての方でも、横たわっている場合があるのです。

もし、寝ていたら必ず起きてもらいます。ベッドの腰掛けた状態からはじめます。例外はありますが、基本的に坐位から始めます。もちろん理由があります。それは、覚醒時の状態からチェックしたいからです。理由からすれば立位でもよいのですが、落ち着かないという事情で坐位としています。

坐位のまま患部やその周辺に触れて正確に把握するようにしています。患者さん自身に気になるところをに触れてもらい、そこをトレースするように触れていくことが多いです。坐位でやりづらい場合は、立つかベッドに寝るかなど、確認しやすい姿勢になってもらいます。


患部にとわられず全体を観る


最初に患部の確認はするのですが、いったん患部から目を外します。理由は、患部に意識がとらわれないようにするためです。患部に原因があれば、患部をじっと見続ければよいのですが、そういう場合は少ないのです。こじらせた症状ならなおさらです。

あえて目的をもたず全体の印象を観ることを大切にしています。触れる前の話です。観た印象を大切にするようにしています。医学知識があるなしに関わらず、人が本来もっている本能というものがあります。それをできるだけ殺さないように心がけています。

知識の否定ではありません。本能的な感覚に飛び込んでくる情報を大切にしたいからです。鍼灸師である前に一人の人間ですから、人間の持つ直感も大切であると思います。もし「何かが変」だと感じれば、理由はわからずともその感覚は大切にしています。場合によっては、それ以上は触れず、他の選択肢を促すようにしています。もちろん、医学的な知識で危険兆候を察知すれば、言うまでもなく病院での検査をすすめています。


A歓箸龍敍に触れて緊張感を診る


全体を目で観たあとは、実際に触れて行きます。肩からや背中から診ることが多いです。ここでも、患部にはとらわれず診るようにしています。どうしても、気になるところを診ようとするので、意識が偏ってしまうのです。そうならないようにします。理由は、診たいところに原因があるとは限らないからです。

話はそれますが、原因というのは一見関係なさそうなところにあることが多いのです。慢性化してなかなか治らない症状では特にそうです。肩こりや腰痛など、一般的な症状でも同じです。患部から離れたツボを使って症状が改善すると、患者さんは「そんなところが関係していたんですね」と不思原因を探すためには、議そうな顔をされることがあります。

患部で起きていることの理解と同時に、患部以外のところで起因となることがないかと、先入観を入れずに観ることも必要なのです。言うは易し行うは難しです。


ご吃瑤抜慙△垢覿敍の緊張感をチェックする



で書いたような、患部にとらわれない観察を繰り返していると、患部と全身との関係のパターンも見えてきます。鍼灸師はこうしたパターンを経験の中に蓄積しています。私の中にも蓄積があり、再現性の高いものは積極的に共有するようにしています。

筋肉ばかりで骨の歪みは観ないのか、と思われるかもしれません。骨格の癖も目に入ってきますが、私は筋肉の緊張感を優先しています。理由は、骨格の癖を生み出しているのは、筋肉だからです。筋肉の状態が整うと必ず骨の位置も変化していきます。

このように筋肉の緊張でカラダの状態を理解しようとするのは、私の個性です。鍼灸師によって、手首の脈を診て判断する人もいますし、舌診といって下の状態で判断する人もいます。他には、皮膚の状態で判断する人もいます。カラダにはあまり触れず、問診で得た情報からツボを絞り込んでしまう人もいます。


デ感、冷汗、発汗をチェックする


い汎瓜になってしまいますが、筋肉の緊張度をチェックする一歩手前では皮膚に触れているので、皮膚からも情報を得ています。筋肉に触れる前に皮膚に触れているわけですから、5番目ではなく4番目でもよいのですが、ここに位置づけたのは重要度が筋肉の次だからです。あくまでも私の中での重要度なので、皮膚は重要ではないという意味ではありません。

少し細かい話になりますが、筋肉の方が座標としてわかりやすいと考えているからです。座標としてわかりやすければ、再現がしやすく、他者との共有にも有利です。私は再現可能であり共有可能なものを重視するタイプなので、座標としてわかりやすい筋肉を優先しています。

もちろん、これは私の個性ですから「私はこうじゃない」という話があって然りです。


ζ阿をチェックする


ここからが個性の本番です。私は人間の不調を動きの不調として理解しています。痛みがあるとき、動きづらいという問題が潜んでいます。だるい場合、疲れやすい場合も同じです。思ったように動けないという状態が不調を招いているのです。内臓の不調でも同じです。内臓と筋肉には、神経学的にも深い関係があり、筋肉が異常に緊張していれば内臓機能に悪い影響を及ぼします。

動きは、客観的な判断がしやすいことも特徴です。患者さん自身も変化に気づきますし、第三者もわかります。鍼灸の効果を視覚化できるというのは大きなメリットです。鍼灸の効果に懐疑的な人でも、動きの変化を見せられると認めざるを得ません。

最近、ツボには動きを整える効果があることがわかってきました。私はここを切り口に鍼灸の可能性を広げていこうと思っている鍼灸師です。


まとめ


いかがだったでしょうか。書き漏らしているところもありますが、私の個性を伝えるには必要に達しているのではないかと思います。もっと詳しいことは、専門家向けの教材やセミナーを通じて行っています。

鍼灸の魅力の一つは多様性です。しかし、そのいっぽうで種類がありすぎてどう選んだらよいのかわからないという意見も多いのです。鍼灸師業界では、「ひとり一流派」なんて言う人もいます。鍼灸は、鍼灸師の感覚に委ねられるところも多いので、鍼灸師の感性によってその効果が左右されます。そのため、相性のよい鍼灸師に出会えるかどうかで、鍼灸に対する評価が変わってしまいます。

鍼灸を名人芸として考えるなら、名人のみが生き残る世界でよいのでしょうが、鍼灸を医学的に発展させていくには、名人芸が引っ張る業界から脱皮しなければなりません。訓練さえすれば、誰でもできる技術に整理していく必要性を感じています。私がその一翼を担えればと思って、新しい技術体系の提唱に力を注いでいます。このブログでもその活動を時々取り上げていこうと思っています。



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yoki at 09:26│Comments(0) 鍼灸 | 鍼灸師の裏話

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