2022年08月16日

新米鍼灸師は黙って即戦力をめざせ

新米鍼灸師は黙って即戦力をめざせ


「御社に就職したら何が学べますか?」という質問はNG


8年くらい前から採用という仕事をしているわけですが、その経験から思うことがあります。就職に興味がある学生や鍼灸師から「御社に入ったら何が学べますか?」と質問されることがあります。

違和感について書いてみようと思います。

就職先の企業や鍼灸院は学校ではありませんから、「何が学べるか」という質問がちょっと違うように思うのです。

研修内容を調査して、就職先が自分の技術向上に役立つのか判断したい気持ちはわかります。その気持ちは尊重しますが、採用する側の立場で伝えたいことがあります。

採用する側は「何ができるのか・何ができそうか」という目で見ています。給料を支払い始めたら売上に貢献してもらいたいのです。売上がないと給料が支払えないからです。給料を何年も支払いながら、現場に出ない鍼灸師に実技指導をしてくれる就職先ないでしょう。

企業や鍼灸院が求めているのは即戦力です。求人の際には戦力になるまでの期間を見積ります。その期間が短ければ短いほど、企業側には有利です。

鍼灸院によってはやり方の規定がなく、どんな流儀でもよいところがあります。制約がない代わりに技能は持ち込みです。育成費を抑えるという経営方針なのでしょう。いっぽうで、うちの鍼灸院のようにスタッフ間の技能やスタイルを揃えようというところもあります。この場合は、少し長い目で見て、相性や素直さ、そして協調性を重視します。


相手を知れば即戦力の意味がわかる


ときに正直な学生がいて「御社で学んだら独立をしたいと思います」と、学ぶことが目的であることを告げてくれます。おそらく「計画性、向上心、そして将来性」をアピールしているのだと思いますが、空回りです。就職しようという相手に、退職後の計画や夢を語っても「じゃあ、ここでは何がしたいの?」と思われて終わりです。

退職後の計画が夢が悪いのではありません。退職後の自由を奪う権利もありません。。ただ、就職先を探すときは、その職場で即戦力になることだけを考えた方がいいよ、という話です。

では、戦力はどのように準備すればよいのでしょうか。誰でも最初からいろいろできるわけではありません。ですから、就職先が求めているスキルをしっかり調査することです。就職希望者の見学を受け入れている鍼灸院はたくさんありますから、足を運んで経営者と話をすることをおすすめします。

「鍼灸院なんてどこでも一緒でしょ」と思っているならアウトです。仮に就職できても後悔が残るかもしれません。鍼灸院によって鍼灸師に求めるスキルはだいぶ違います。たとえば、マニュアル通りに間違いなく行うスキルであったり、自分で考えて答えを探そうとする姿勢であったりするのです。

このように相手の要求がどこにあるのかを考えることが、戦力を準備する第一歩です。戦力になれたら、待遇もよくなるでしょうし、経験も積みやすくなります。また、経営者を恐れてビクビクする必要もありません。スキルアップの機会も広がります。結果、将来の夢に向かって走りやすくなるのです。


10年先の深みより、この1年のできること


夢は無限でも人生は有限です。限られたリソースをとりあえずできることに差し向けるのは大切な生存戦略です。もしかしたら、超ベテランの先生が「即戦力ばかり追いかけていたら、浅い施術しかできなくなる」と警鐘を鳴らすかもしれません。

「古典を読みなさい」とか「まず10年は我慢しなさい」とか言われるかもしれません。しかし、古典を読んでいる間、どんな仕事をすればよいのでしょうか。10年我慢し続けたら何かが得られる保証でもあるのでしょうか。私は、最初の10年でほぼ決まってしまうと思います。もっといえば、卒後3年間が勝負だと思います。

セミナーに関わり10年以上の月日が過ぎました。いろいろな鍼灸師と出会ってきました。学生のときに出会った鍼灸師も少なくありません。成功のカタチはそれぞれですが、生き生きと鍼灸師を続けている人に備わっていることがあります。

それは即戦力です。行動力と言い換えてもよいです。「今できる範囲でやってみよう」という心があるのです。できるかできないかと考えるのではなく、できることから始めているのです。

即戦力になる人は「自信がついたら…」と口にすることはありません。やりながらできる範囲を広げていっているように見えます。やってみて気づいたらできる範囲が根拠となって自信と化していくのでしょう。


即戦力は臨床力だけじゃない


今回は説教じみた内容になってしまいました。何度も採用に携わってきて「入社したら私は何をしてもらえるんですか?」という意味の質問が思った以上に多く、ちょっと質問の角度が違うんだよなーと思って書いたらこんな記事になりました。

「入社したら私に何をしてほしいですか?」と尋ねた方が就職が有利になると思います。すぐに臨床に入れなくてもできる業務はあるはずです。それを探すのも仕事のうちです。

鍼灸師だからといって戦力は臨床力とは限りません。売上に貢献することができるなら戦力です。実際、うちの鍼灸院では臨床力だけを戦力と考えず、掃除、受付、電話対応、広報、などの周辺業務も含めて戦力として考えています。鍼灸院の仕事で施術は業務の一部でしかありません。

自分の役割を自分で作れる人は、雇用されていても独立しても上手くいくはずです。もちろん勉強できる環境もつくれるでしょう。

twitterもよろしくお願いします。
https://twitter.com/kuri_suke

はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
はりきゅうルーム カポス(東京/品川)
整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)

yoki at 14:29│Comments(0) 仕事日記 | 鍼灸師の裏話

コメントする

名前
 
  絵文字
 
 
月別アーカイブ
記事検索
全記事にコメント歓迎
これから読みたい本