2024年05月24日

ツボの新たな可能性「足のアライメント調整(扁平足の実例)」

ハリとツホで足のケア

ツボと動きの関係


私は、ツボと動きの関係に注目して臨床を行っています。既にご存じの方もいらっしゃると思いますが、得られた知見を「整動鍼」と名付けて体系化に取り組んでいます。

ツボで動きが整うことは、私が体系化する前から経験のある鍼灸師であれば知っていたはずです。残念なことに、個人の中で蓄積され一代限りで幕を閉じ、それが繰り返されてきたのだと思います。

鍼灸は経験医学なんて言われることがありますが、個人個人が経験を積むだけでは経験医学と言えないと思うのです。経験が継承されていって初めて経験医学と言えるのではないでしょうか。

もともと、鍼の医学は「体内の流れを整える」(『霊枢』九鍼十二原編)から始まっているため、古今東西、鍼灸家は流れに着目して理論構築に取り組んできました。その基本になっているのが経絡(けいらく)と言われているものです。経絡は流れの道筋なので、ここを整えることを鍼灸の目的としてきたのです。

動きを整える効果については、流れが整った結果の副産物として理解されることもあり、積極的な理論構築は歴史の中に見つけられません。この理論を私が表に出したのは10年くらい前ですから、鍼灸の歴史から見たらとても浅いです。

これまでの鍼灸でも現れていた効果ですが、着眼していなかったために気づかれることなく通り過ぎてしまっていたのです。


効果の見える化


動きを整えることを研究することはメリットしかないのですが、こうしたコンセプトが生まれてからまだ10年ですし、学校教育にも含まれていません。新参者の理論ですから疑いの目で見られます。少しでも多くの鍼灸師に伝えて一緒に取り組んでほしいと考えてセミナー活動も行っています。症例もウェブで公開しています(ツボネット)。

普及活動は少しずつ実ってきているのですが、「整動鍼ってどうなの?」という声ばかりなので、もどかしさを感じることも正直なところです。ちょっと欲張りすぎなのかもしれませんね。

体験談としての「カラダが軽い」や「気持ちいい」は世に溢れています。しかし、それでは足りません。数量化(効果の見える化)が重要です。

効果の証明で信用度が高いのは論文ですが、統計的な結論では自分ごととして捉えにくいです。患者さんが興味あるのは、自分の身体に現れた効果の証拠です。


足裏の重心測定


まずは、こちらの動画をご覧ください。37秒の短い動画(音声なし)ですので気軽に再生してください。




これは歩行時における足の重心です。左側が鍼をする前で右側が鍼をした後です。注目は右足の土踏まずです。いわゆる扁平足とい内側の縦アーチがつぶれた状態です。これが改善されているのがお分かりいただけると思います。こうした改善例は他にもたくさんあると思います。

この事例には信じてもらいにくい事実が3つあります。

1つ目は足に鍼をしていないことです。使ったのは上半身にあるツボです。
2つ目は鍼は1本しかしていないことです。ひとつのツボに20〜30秒程度の鍼刺激です。
3つ目は1週間後の状態であることです。直後に変化が出て一週間持続しています。

もう一つ補足するなら、運動療法はいっさい行っていません

鍼治療というのは全身に変化が及ぶことは昔から知られています。その変化を橈骨動脈を使った脈診で確認するなどの方法がありますが、客観性に乏しいという課題があります。こうした課題を乗り越えるために、検査器具で筋肉の硬さを調べることもできますし、最近ではエコーを使う鍼灸師も増えています。

私は足裏の重心測定も一つの方法であると気が付きました。触診では足に変化が出ることはわかっていましたし、捻挫、足底筋膜炎と診断された患者さんが鍼で良くなっていく姿を数え切れないほど見てきました。


全身を整えると足が整う!?


一般的に足の治療は足そのものに刺激を行いますが、ツボと動きの関係を使う場合、そうとは限りません。一見すると関係のない上半身からアプローチできます。もちろん関係があるから変化します。わざわざ遠くからではなく足そのものに鍼をしたらもっと効くのではないかと考えるかもしれません。

そうかもしれませんが、私の経験ではこのように変化しません。全身の張力が整うことで足のアーチが回復し安定しているのだと思います。「足を整えるためには全身を整える必要性があるのでは?」と疑問が浮上している状況です。

この症例で使われたツボが気になるところかと思いますが、データが十分ではありませんし「エビデンスは?」と問われても困るので公開はできません。まずは、しっかりとデータを取って再現できる技術に仕上げることに専念します。今回はツボの新しい可能性を示したくて計測データのみ公開しました。検証に立ち会っていただける方も密かに募集しています。外反母趾、モートン病でお困りの方は声をかけてください。

2000年以上前から行われている鍼灸。ツボは調べ尽くされていると思いきや、そんなことはありません。一介の鍼灸師である私でも、新しいツボを見つけたり、新しい効果に出会っているのですから、いろんな鍼灸師が本気で取り組めばツボの世界は広がっていきます。

こちらもよろしくお願いします。
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はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
はりきゅうルーム カポス(東京/品川)
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yoki at 15:38│Comments(0) 鍼灸 | 技術論

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