2024年08月17日
骨盤矯正はなぜ悪役になるのか?
骨盤矯正はなぜ悪役になるのか?
先日、仙腸関節に関するセミナーを開催しました。仙腸関節といえば骨盤にある関節で、骨盤といえば「骨盤の歪み」がよく話題になります。つまり、仙腸関節を学ぶことで、骨盤の歪みを正しく認識することができます。
「骨盤の歪み」は、世間でよく使われる言葉です。私のところにやってくる患者さんも「骨盤が歪んでいるんです」とよく言われます。世間には骨盤の歪みに対する悩みが存在していて、骨盤矯正なるサービスが展開しています。
SNSなどでも「骨盤の歪み」はビッグワードで整体師(民間療法のセラピストなど)を中心に情報が発信されています。こうした状況に危惧を抱く整形外科医がパトロールをして「骨盤が歪むのは嘘です」と情報を上書きしようとしています。
人によって言っていることが違う、それが骨盤の歪みです。いったい何を信じたらよいのか、誰が正しいことを言っているのか、一般の方はわからないでしょうし、私たちのような体の専門家から見ても、混迷を極めています。
なぜ、このような状況が起きているのか、私なりに思うことろを書いてみます。
謎だらけの骨盤
いずれにせよ、骨盤の機能を正しく理解していることが前提になるのですが、困ったことに骨盤は謎に包まれています。特に仙腸関節の機能を理解するのが難解なのです。「仙腸関節はほとんど動かない」と考えれば、機能を考える必要がなく楽ができるのですが、そうはいきません。動きが小さいとしても、関節面があるれっきとした関節です。そして靭帯に覆われています。
どんな専門家でも、骨盤の機能を正しく理解しているとは限りません。これは医師であっても同じです。もし、医学の常識は歴史と共に上書きされてきたわけですから、正しさは普遍ではありません。私が信用する情報は「詳しくはわかっていないが」という前置きがある情報です。すべて分かったような説明ほど信用できないものはありません。
たとえば「骨盤は動かない」という情報。骨盤は3つの骨からできていて、3つの接続部があります。恥骨結合と左右に一つずつある仙腸関節です。接続部があるということは可動性を有するということです。ではなぜ「動かない」という立場を取る人がいるのでしょうか。主なものは、強靭な靭帯で関節が覆われているからという理由です。
関節を固定するということ
いったん話をズラしてテーピングを考えてみましょう。怪我をしたときに施されるテーピング。これは何のためでしょうか。目的の一つは関節の可動性を制限するためです。関節が動きすぎないようにテープで固定するのです。
この時に使われる「固定」は全く動かないことを意味するものではありません。ギプスで固定することとテープで固定することの感覚は全く違います。ぱっと見どちらも動いていません。しかし、その内容は全く異なります。関節の可動性を完全に奪うことと少し残しておくことは別物です。
関節の機能を考える上で、45度曲がるとか90度曲がるという角度の違いの前に、完全に動かないか少し動くかの違いを知ることが重要だと思うのです。この部分に触れず、骨盤が歪むかどうかを議論するのはナンセンスです。
骨盤を形成する3つの骨(寛骨×2、仙骨×1)の接続部である、恥骨結合も仙腸関節もわずかに動きます。このわずかな動きを無視して「動かない」と理解してしまうのはセンスに欠けると言わざるを得ません。こんなふうに考えずとも、関節周辺に多数の靭帯が存在している事実が十分すぎるくらいの動く証拠です。
歪んでいるという感覚
数理的な計測で骨盤の歪みを確認できるかどうかという問題の前に、「骨盤が歪んでいる」という感覚をお持ちの方がいらっしゃることは事実です。感覚ですから客観性は担保できませんが、尊重すべきです。気の早い方は「だからといって骨盤が歪んでいる証拠とはならない」と突っ込みたい衝動にかられていると思いますが、もう少しお付き合いいただければと思います。
私たちのところにやってくる患者さんの悩みの多くは主観です。痛みも主観です。画像で原因が特定できない痛みはいくらでもあります。「原因がないので問題ありません」と言われても、痛みは消えません。現場で遭遇する患者さんの悩みは客観的事実で捉えられるとは限りません。
そもそも、患者さんは「痛い」「つらい」「苦しい」「心配」「不安」という主観的な理由で医療機関に行き、医療機関はその主観に対応する客観的事実を拾おうとして努めます。
このように考えると、患者さんが訴える「歪んでいる」という発言を無視するべきではありません。「歪んでいる」という感覚に真正面から向き合うことで気づきがあります。「歪んでいるはずがない」と一蹴することは、新しい見地の機会も一蹴していることになります。
歪みと違和感
それでは歪みの感覚はどこから来るのでしょうか。これを考える上で重要なことは「歪み」という言葉が、体の状態を表現する用語として市民権を得ていることです。倦怠感を「だるい」と表現することに似ています。面倒くさい、やりたくないことに対しても使われています。「だるい」という言葉が文脈で意味が変わるように、「歪み」も文脈次第です。意味はその時々で決まります。
「歪み」の定義がないまま使われているわけですから、「骨盤の歪み」と言ったときに、それが何を意味しているのか医学的に説明することは困難です。こうした事情を踏まえると「骨盤の歪みってどういうこと?」という疑問は至極当然です。
腰部、臀部、股関節、など骨盤周辺に何らかの違和感が生じたとき、それを表現するときに「骨盤の歪み」という言葉がしっくり来るのでしょう。ある意味では「歪み」という言葉は感覚表現における発見であると言えます。
ここで重要なことは「骨盤の歪み」という言葉が医学的には定義されていない、定義できないということです。にも関わらず、「歪み」に対して医学的にもコンセンサスが得られていると思われている状況があるのです。
少なくとも「整体師」を名乗っている人は、その歪みの原因や矯正方法を知っていて対処してくれるもの、という思い込みが蔓延しているように思います。裏を返せば、いわゆる整体師を名乗る人たちも、各々が考える歪みに対処しているにすぎず、彼らの中に共通認識があるわけではありません。
なぜ歪んでいると感じるのか
ここから一歩踏み込んで、なぜ歪みという表現がしっくり来るのか考えてみます。まず、痛みを感じたら「痛い」と表現します。腰が痛ければ、腰痛、脚の方に向かって放散する痛みがあれば坐骨神経痛などと言われることになります。少なくとも、私が知る限りでは強い痛みを感じている人は「歪み」という言葉を用いません。
前述したように、何らかの違和感を指して「歪み」と言うのです。以前に、「歪みを直してほしい」という依頼を受けたことがあります。「ここがこう歪んでいるから、こうしてほしい」という要望で、私が具体的に「どこか痛いところがありますか? どういうことでお困りですか?」と問うても「ここに歪みがあるので…」という返答で、会話の99%が「歪み」となってしまい収拾がつかなくなったことがあります。
お体を観察すると、動きにくい方向、取りにくい姿勢がある、ということがわかりました。顕著な左右差がありましたので、行き過ぎた左右差がなくなれば動きやすくなって、いろいろな姿勢が取れるようになり、歪んだ感覚から脱出できるのではないかと考えました。実際、そうすることで違和感が減る人が多いです。
ただ、現場はそんなに単純ではありません。すべての原因を「歪み」に求める人は、歪みに対する施術を求め続けます。直さないと健康になれないという強い思い込みがあります。明らかに、彼らの中には「歪み」の概念が存在しています。それが何であるか想像はできるものの、医学的に説明できるものでもありません。
では、その概念はどこからやってくるのでしょうか。
骨盤矯正というビジネス
「骨盤矯正」という施術が存在します。大なり小なり、その根幹には骨盤の歪みが症状を生み出しているという考え方があります。
その方法は多種多様で中身を見なければ何とも言えません。「骨盤矯正」というだけで肯定も否定もできません。個人的に懸念しているのは行き過ぎた思想や価値観です。
何でも骨盤で治る、何でも骨盤が原因であるというのは摂理として不自然です。骨盤にアプローチすることで改善する症状もあると考えるのがちょうどよいでしょう。ただし、前述した通り骨盤矯正は多種多様ですし、言い方を変えれば玉石混交です。ですから、標榜している人がどれほどの知識や技術を持っているのかわかりません。
ここで「矯正」という言葉に注目してみましょう。よく目にするのは歯列矯正です。歯並びをそろえるわけですが、どういう歯並びが正しいのか、その目標となる並び方をきっちり設定します。であるならば、骨盤矯正もあるべき状態がきっちり設定されていないと成立しません。
誰でも同じ状態が目標となるのか、人によって目標が異なるのか、右利き左利きの違いを考慮する必要があるのかなどと考えが浮かんできます。
骨盤自体の歪み、骨盤周辺の歪み
確かに、人の骨盤は歪んで見えることがあります。左右非対称であったり前後の傾きが強かったりと。たとえば、中殿筋という股関節の側面についている筋肉の筋力が十分に発揮できないとき、トレンデレンブルグ徴候という変化が生じます。これは、健側(問題ない側)の骨盤が下がるというものです。骨盤自体の形状が変わっているわけではなく、骨盤が傾いている状態です。このトレンデレンブルグ徴候は、もっとも有名な骨盤の傾きを示すサインですが、この他にも骨盤自体の形状が変化せずとも、骨盤が傾く現象は見られます。
骨盤は、上は腰椎、下は股関節と接続していますから、上からも下からも影響を受けます。これを骨盤の歪みと表現するかしないか、どちらのケースもあるわけですが医学的なルールは存在しません。
次に、骨盤自体の歪みについて考えてみましょう。「仙腸関節は動かない」と考える人にとっては「歪むはずがない」というのが結論ですが、ここでは「わずかでも動くなら骨盤の形状は変わる」という立場を取ります。
仙腸関節面の動きがわずかであっても、末端である腸骨稜の変動はそれよりも大きくなります。その動きに偏りが生じたとき歪みと言えるのではないでしょうか。ただし、仙腸関節の動きが並進(スライド)運動であると考えている場合は成り立ちません。並進運動では、仙腸関節における変化が末端で拡大するわけではないからです。私の手元にある専門書では、当然のように並進であるかのように書かれているのですが、この常識は疑わないといけません。吉岡一貴先生は、論文『仙腸関節の研究 -動きの解析と歪みのメカニズムに関する考察-』の中で次のように述べています。
これまでの理論では仙骨はうなずき運動の際に、特定の軸を中心として回転運動、もしくは関節上の軸に沿った直線的な並進運動を起こすと考えられてきた。これらの動きは、仙腸関節の関節面が平面であればその理解はたやすい。しかし、実際の関節面は凹凸が大きく、その面同士が並進運動をするようには到底思えない。
冒頭で書いたセミナーは、この論文を書いた吉岡先生をゲストに招いた行ったものです。従来の理論にとらわれている限り、骨盤自体の歪みを理解することはできません。この理論をこの記事の中で解説すると長くなってしまうので、興味のある方は論文にアクセスしてください。
私は、いろいろな仙腸関節の理論がある中で吉岡先生が提唱した理論がもっとも確からしいと考えています。関節面が凹凸なのだから並進運動するはずがないというのは納得です。もちろん、これに異を唱える人もいるでしょう。ただし、その場合は吉岡先生の理論を否定するだけの材料を持ち込んでください。生半可な気持ちで挑むと怪我をします。
骨盤矯正はなぜ悪役になるのか?
この記事のメインテーマとなる問題。一言で言ってしまえば、骨盤の動きを正しく理解せずサービスを実施している例があまりにも多いからです。「仙腸関節は動かない」という立場からは当然おかしいわけですが、仙腸関節は動くという立場からしても「本当にわかっているのだろうか?」と疑問を持つようなものがあまりにも多いのです。
「骨盤矯正やっています」
と標榜している人はすべてを理解しているのだろうと思ってしまいがちですが、現実は大きく乖離しています。医学的知識をほとんどもたない整体師が見様見真似で行っているケースは珍しくありません。そういうものに対して異を唱えたくなる気持ちはわかります。ただ、そのいっぽうで「骨盤の歪み」を悩みとする人が多いのも事実で、その受け皿として機能している現実があります。
ひねくれた見方をすれば、「骨盤の歪み」という悩みを生み出しているのは骨盤矯正というサービスです。そのような言葉がなければ、そもそも矯正の対象になりません。「骨盤は矯正する必要がある」という意識が世間に浸透すれば、新しいマーケットが生まれます。こうした状況に対して「わざわざ必要がないサービスを売りつけている」と考える医療関係者が出現するのは当然です。
骨盤矯正は必要なのか?
矯正するには正しさの設定が必要になります。こういう状態が正しいと設定し、そこに向けて調整していくわけです。正しい骨盤の状態が健康をもたらすという考えなわけですが、正しい位置とはなんでしょうか。多くの場合、左右対称を理想として左右差を取ろうとするのですが、左右差が取れたから健康になるとは限りません。左右差があっても健康な人はいくらでもいますし、そもそも左右が完全に対称な人などいません。
つまり、本来的に人体には左右差が存在します。その左右差はネガティブなものでしょうか。もし、ネガティブなら右利き左利きという左右差はどう解釈すればよいのでしょうか。左右差が悪いという考え方があるならば、いっぽうで左右差には機能的な意味があるという考えもあります。
左右差を直す必要が本当にあるのか。シオマネキというカニのオスは片側のハサミが大きい。右が大きい個体がほとんどだという。ヒトも右利きが約9割。偏りには意味がある。だから、肩の高さ、脚の長さなど、左右差が異常なサインかどうかは慎重に判断した方がよい。 pic.twitter.com/C4OEe49r9F
— クリ助@鍼灸師 (@kuri_suke) August 3, 2024
自然界には、不思議な左右があります。たとえばシオマネキというカニ。オスは片方のハサミが大きいのです。右が大きい個体がほとんどだそうです。ハサミが大きい方が利き手(ハサミ)かどうかはわかりませんが、ヒトは右利きが約9割。ヒトは右手が大きいわけではありませんが、似ていると言えば似ています。仮に左右差がよくないというのであれば、シオマネキはみな不健康ということになってしまいます。
ヒラメやカレイは左右非対称で有名な魚です。もちろん、ヒトと単純に比較することはできません。ただ、正常範囲で左右差がある動物がいるのだから、左右非対称には意味があると考えるべきです。
参考)内臓の左右非対称を制御するノダル経路によるヒラメ・カレイ類の眼位制御機構
人間はヒラメやカレイと違ってほぼ左右差がない動物ですから、左右差はNGと考えるのもありですし、左右差には機能的な意味が潜んでいる可能性があると考えるのもOKです。
骨盤矯正が必要かどうか、その結論を出す前に考えてほしいことがあります。それは、骨盤の動きの問題です。
骨盤の動き
骨盤には2つの仙腸関節がありますが、この関節は小さな範囲ですが動きます。左右対称かどうかを考える以前に、この可能性がもっとも重要であると考えています。なぜなら、この可動性が悪ければ関節の機能が低下していることを意味していますし、左右差を整えようと思っても動かなければできないからです。
どのみち、仙腸関節が本来の可動性を発揮していることが大切です。矯正が正しいかどうかは意見が分かれても、可動性を確保しておくことのメリットは否定できません。ですから、私は可動性を重視するようにしています。ただ、仙腸関節は関節の動きがとても小さいため、肩関節のように簡単に比較できません。
ここから先を書こうと思うと技法的な話にならざるを得ず、個人的な考えが主体となります。今回のテーマは「骨盤矯正はなぜ悪役になるのか?」ですので、この辺でまとめに入っていこうと思います。
<吉岡一貴先生の講義(仙腸関節塾)資料より許可を得て掲載>
参考論文まとめ)
・仙腸関節の研究 -動きの解析と歪みのメカニズムに関する考察-(吉岡一貴)
・仙腸関節の機能的左右差の関する考察 -新たな検査法の提案とその解釈について-(吉岡一貴)
医学とビジネス
結局は、骨盤矯正が悪徳ビジネスかどうかという話なのです。一部の医師は悪徳ビジネスを撲滅しようと活動をしていますし、私と同じ鍼灸師でもそうした医師と同じ側に立って非難している人もいます。骨盤にある仙腸関節の機能についてはわからないことばかりで、勇気を持って言えば、医師の言っていることがぜんぶ正しいわけではありません(医師が間違っているという意味でもありません)。立場でも発言の角度が変わりますし、医学的な正しさは時代と共に変わっています。
それぞれの立場から慎重に考えるべきです。医学的な側面だけで批評しても本質が見えてきません。ビジネスの側面から、どういう背景からニーズが生まれているのかを考える視野の広さが大切ではないでしょうか。すでに述べたように骨盤矯正というサービスは玉石混交です。具体的に何が玉で何が石かの話はデリケートな内容になるので避けておきます。行ってみて受けてみなければわかりません。
「矯正」から「動きの調整」
私個人の考え方を軽く示しておきます。私は「矯正」という考え方を持っていません。歯科矯正の例で示した通り、矯正には正しさの設定が必要です。しかし、私にはあるべき正しさを形状から判断できません。真っ直ぐなように見えて調子が良くない人、曲がっているように見えても調子がよい人、形状だけでコンディションの良し悪しはわかりません。
ただ、動きを見ればわかることがあります。当然ながら、ぎこちない動きはよくありません。誰が見てもわかるように腰痛の方の腰の動きはよくありません。
「痛いから動かないのだ」と反論したくなるかもしれません。考えてみてください。動きがスムーズな腰の人が突然痛みを訴えるでしょうか。腰痛の人は痛くなる前から、動きの中にぎこちなさがあります。スムーズに動ける範囲が狭くなっていて、それが逸脱したときに痛みとなります。このように、もともと「動きに問題があった」と考えることもできます。
そして、このように考えると動きの中から問題を探せます。動きづらい方向性や苦手な姿勢を探すだけでよいので、誰でもわかりますし客観性も担保できます。
私は「整動」と表現しています。動きを滑らかにしていくと痛みの多くが軽減します。痛みのあるところに鍼や灸をするのではなく、動きを制限している緊張を対象としてます。すると、動きがスムーズになるので、筋肉や関節の負荷が減ります。痛みが取れるだけでなく、よい状態が長く続きます。アスリートであればパフォーマンスが向上します。
また、姿勢は動きの一瞬を切り抜いたものですから、動きがよくなると姿勢までよくなります。
動きとツボの関係
これまで、ツボは体内の流れを整えるために使われてきました。臨床に長く携わっていると、ツボに鍼をした瞬間に、関節の可動性が良くなることを目にします。関連性がわからずに「なぜ?」と思うこともあります。動きとツボの関係を説明する理論がないため、そういう現象は鍼灸師の個人的な体験の中におさまって、その鍼灸師の人生と共に消えてしまいます。
もったいなさすぎる、ということで始めたのが「整動鍼」です。刺鍼で変化した動きをつぶさに記録しつづけることで、昔から知られているツボに動きを整える効果があることがわかってきました。それを整理して生まれたのが整動鍼です。今回の話題となった仙腸関節も対象にしています。仙腸関節に直接刺鍼をするのではなく、仙腸関節と連動しているでろう部位にアプローチします。ここから先は込み入った話になりますし、今回の本題から外れるので別の機会にします。
良くわかっていないから何でも言えてしまう
気合を入れて書いていたら、ずいぶんと長くなってしまいました。何篇かに分けて投稿することも考えましたが、一気に読んでいただいた方が伝えたいことが伝わるだろうと思い、「なげーぞ」という声を無視して書き続けました。この文章はいろいろな立場の方が読まれると思います。公平な文章を心がけながらも、結局のところ私の目線となってしまいます。最後の「動き」の話など、完全に私の得意分野の話です。
仙腸関節(骨盤)の師である吉岡先生は、仙腸関節の分析に人並み外れた才を示しているにも関わらず「仙腸関節はわかっていない」と必ず前置きします。学術に対する真摯な態度があるから信用できます。
私も見習って、自分がわかる話しかしないようにしています。わからないことは「わからない」と言うようにしています。「たぶん、そうだろう」と思うことは仮説として伝えています。
何でもわかったように語る人は怪しいと思ったほうがよいです。よくわかっていないから骨盤だから何でもアリになっている傾向は私も危惧するところです。スピリチュアルな話と結びついているものはとりわけ注意が必要です。
こちらもよろしくお願いします。
X(旧ツイッター)
インスタグラム(ほぼ趣味)
・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)