2026年04月16日
根拠のない自信と患者ゼロの日々 〜鍼灸へのこだわりが招いた経営危機〜

「開業鍼灸師がブログに残してきた思考の軌跡」の続き
経営危機は3回
転んだのは誰かのせいかもしれない。けど、立ち上がらないのは誰のせいでもないわ
ルパン三世の峰不二子が発した言葉としてあまりにも有名です。有名かはさておき、鍼灸院経営もこれなんですよね。経営していると運の要素は大きいなぁと思います。そういう意味で私は運がよい方なんだと思います。誰が言ったか知りませんが「運も実力の内」とはよく言ったもんです。
この辺の話はいくらでも転がっているので、自分自身が起き上がった話とその理由について書いてみようと思います。前提としてお伝えしたいのは、経営危機が何度もあったことです。鍼灸院を続けていられなくてもおかしくはありません。
まずは、経営危機について書いてみようと思います。経営危機は3回です。悲壮感が出てはいけないので、かる〜いタッチで書くことにします。
開業して最初にやる仕事は電話線チェック
2000年代の初頭。
最初の経営危機はスタート直後にやってきました。患者さんが全然来ません。もちろんゼロの日だってありました。電話線が抜けていないか1日に何度も確認しました。
何を支えにしていたのか。それは単純。「自分ほど鍼灸が大好きな人は見たことない」という感覚です。実際にそう感じていたのか、そう思い込もうとしていたのかはわかりません。誰も否定ができない自分だけが納得している根拠です。まさに、根拠のない自信です。
自信家なのに患者さんが来ない。端から見たらこんなに滑稽なことはありません。超かっこ悪いです。でも、企業していきなり順調なんてSNSの中だけの話です。実際には、多くの起業家が自信をもって事業を始め、売上が上がらない時期を経験しているはずです。
「患者様の笑顔が〜」とか言ってる場合じゃなかった
問題は患者さんがいないこと、売上がないことではありません。その時期をどうやって過ごすかです。なんかかっこいいことを書きそうな雰囲気になっていますが、感情的には、カッコ悪い状況を早く抜け出したいと思っているだけです。
ネットや広告で「患者様の笑顔を見るのが幸せです♪」という宣伝文句をよく見かけますが、自分が笑えない状況でそんなふうに思う人はいません。いたら病気です。
「ネットで患者は来ない」と言われていた時代
幸い私は健全な精神で「やばいよ、やばいよ〜」と心の中で叫んでいたわけです。で、実際に何をしていたかというと、ひたすらWebサイトをつくっていました。いわゆるホームページです。ずっとパソコンと向き合っていました。患者さんの方は見ません。だって、いないから。
当時は高速通信が当たり前ではありませんでした。ちょうどADSLが普及し始めた頃です。街でSoftBankと書かれた赤い紙袋が配られていた頃の話です。もちろん、スマホなんてありません。
「ネット」なんて言葉は誰も使っていません。ちゃんと「インターネット」と言っていた時代です。「インターネットで患者さんが来るわけねーじゃん」といろんな人から言われました。「だってオマエの仕事は高齢者がターゲットだろ。使っている人なんてゼロ。わかってる?」って感じです。
私の心が悪意に変換しているので、こう聞こえていたのですが、実際はすごく親切な言葉でアドバイスをしてくれていたと思います。そういう親切をすべて無視。空き時間はパソコンに向かっていました。父親には「インターネットばかりやっているから患者が来ないんだ。禁止にする!」と何の権限があって言っているのか、わかりませんが、それも無視。
自信過剰で何の結果も出していないめんどうな存在、それが20代半ばのクリ助です。クソ助ですね。
マッサージすればいいのに…
そういえば「マッサージすればいいのに…」というアドバイスもいっぱいもらいました。そうなんです。私は鍼灸師であると同時に「あん摩マッサージ指圧師」という国家免許を持っているのです。いつのまにか整体師の方が格上みたいに思われていますが、整体師には免許がないですからね。「整体師」は自称の職業です。
話を戻します。私は鍼灸(得に鍼)をしたいと思ってこの道を選んだので、「マッサージすればいいのに…」は転職しろと言われているのと同じ意味でした。誤解のないように言っておくと、マッサージを否定しているのではありません。ケーキ屋さんになりたいのに和菓子屋をすすめられているような意味なのです。あん摩マッサージ指圧は、私にとってケーキの修行中に勉強した和菓子なのです。
鍼灸への強いこだわりが経営危機を招いていました。でも、やっぱり私が睨んだ通りインターネットの時代になっていきました。「みんなわかってた」とツッコミを入れたくなる場面かと思いますが、その当時は全力でチラシを撒いていた時代です。タウンページも健在でした。
ネットの時代キターーー!
自宅(農家の一室)で開業していたのに、それでもインターネット経由で患者さんがやってくるようになり、なんとか開業即廃業だけは回避できました。
ここで言いたいことを一言で表すと「孤独」です。私なりに孤独を楽しめていたのは、鍼灸の価値をわかっていたからです。カッコよくまとめてみました。次回は第二の経営危機について書きます。人が転んでいる姿を見たいという根性をお持ちの方は次回の更新を楽しみにしていてください。
つづく…「技術を教えたら辞めていく鍼灸院の厳しい現実」
・鍼灸のクリ助ch.(YouTube)
・X(旧ツイッター)
・インスタグラム(ほぼ趣味)
・はりきゅう養気院(群馬県/伊勢崎市)
・はりきゅうルーム カポス(東京/品川)
・整動協会(鍼灸師のための臨床研究会)