2026年04月18日
技術を教えたら辞めていく鍼灸院の厳しい現実

前回の記事「根拠のない自信と患者ゼロの日々」では、スタート直後に遭遇した経営危機について書きました。実家の一室を利用して開業し、インターネットを介して患者さんがなんとかやってくるようになった私です。
だから怪しいって言われる
下の写真をご覧ください。私はここからスタートしました。画像が小さいのはお許しください。昔はダイヤルアップで接続する人のために画像はあえて小さくしていました。ダイヤルアップの速度がイメージできない人は、速度制限中のスマホとほぼ同等だと思ってください。

入口(普通に実家の玄関の隣に強引に作ったもの)

待合室の椅子に座った目線から(これでもきれいに見せているつもり)

施術室(怪しさしかありません)
わかっていただけていると思いますが、自慢したくてこの写真を出しているのではないんですね。もちろん、若手に勇気と自信を与えるためです。これでも患者さんが来てくれたのですからすごくないですか?
「鍼灸を怪しいものにしたくない」などと普段から偉そうに語っている私ですが、その私が先頭に立って怪しさを広めていました。でも、誤解しないでください。この怪しさが経営危機を招いたのではありません。むしろ、自宅開業は固定費を低く抑えることができるので生存戦略としてアリという立場です。
スタッフが続々と去っていく
では、ここから本題に入っていきましょう。こんなふうにスタートとしたわけですが、それから16、17年が経つと、実家とは別に鍼灸院(2003年〜)を建て、東京に2院目の鍼灸院(2014年〜)を経営するようになっていました。
このあと廃業の一歩手前を経験するのです。舞台は品川でした。タイトルを読んで予想はされていると思いますが、スタッフが次々と辞めてしまったのです。
問題が起きたのは品川の鍼灸院が始まって3年が過ぎたあたりです。スタッフの一人が独立で退職、そこに引き抜きが重なり退職が連鎖したのです。引き抜きをしたのは独立したスタッフ。
退職前は遠い地で開業するという話だったのですが、直前で話が変わり、そんなに遠くないところになりました。患者さんもまるっと移動したので、うちの院の予約はスカスカに。
その後、群馬でも問題が起こりました。スタッフが家庭の事情で地元に戻らなければならなくなったのです。退職したあと、なぜか独立した元スタッフが開業した院で見慣れた名前がありました。
北海道の病院から声がかかって抜けた者もいました。引き抜きなんて珍しいことではないでしょうが、ここまでごっそりやられた人は私くらいじゃないでしょうか。
それで東京の鍼灸院に残ったのは一人だけ。もし一人も残らなければ閉院でした。まさに首の皮一枚。
退職の原因はコミュニケーション不足なのか
誰かに相談すると「コミュニケーション不足だね」と返ってきます。そうかもしれませんが、これを言われ続けると病みます。
この経験があるから、従業員が突然やめて困っている経営者に対して「◯◯が悪かったんじゃない?」なんて分析して伝えることは絶対にしません。自分を責めている人をさらに追い込むことになるからです。
もし相談するなら社労士さんをおすすめします。社労士さんは構造で問題を考えてくれます。従業員の立場も経営者の立場も理解しているので的確なアドバイスがもらえます。一方的に経営者が悪いって言わないと思います。
スタッフがやめる理由
構造で考えるとシンプルな答えが得られました。私の鍼灸院に就職したスタッフは整動鍼を学びたくて集まり、外には整動鍼を習得した鍼灸師を欲しがる人が多かったのです。「整動鍼ってなに?」って人はこちらからお願いします。
私は鍼灸院の経営と併せて技術系のセミナーを開催しています。ここでやっているものが整動鍼で、この整動鍼を習いたくて入社を希望する人が多くて、そういう人を採用していたのです。
整動鍼のマスターが目的なので達成したら離れていくのが自然な流れ。整動鍼をマスターしたあとも辞めずにいて欲しいなら、残ろうと思えるほど強い理由をつくる必要があったのです。
これは私だけの問題ではありません。教育して戦力になったと思った途端に独立してしまい、「何のための教育だったのか…」と力が抜けてしまった開業鍼灸師はいくらでもいます。院長一人の鍼灸院ばかりである理由はこのあたりにあります。
話は戻ります。この集団退職は序の口でした。本当の経営危機はこのあとやってきます。みんなが知っている、あの新型コロナがやってくるのです。売上がピークの8割減。さて、どうなるか…。次回、私は大きな決断をすることになります。
つづく…
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